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「創造力」を育てるためには?

タイトル 創造力
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退屈な時間が必要

学校教育では子どもの『創造力』を育てなければならない」とよく言われます。
校訓に「創造」を目標として掲げている学校も多々ありますが、一番難しいテーマではないでしょうか。そもそも、一体、「創造」とは何でしょう?
ウィキペディアで「創造」と調べると、創造とは、
「創作や発明、あるいは新しい考え方など、オリジナリティの強いものに対し使うことが多い」とあり、創造力を育むには「退屈な時間」が重要と指摘されています。
何もないところから、新しいものは生まれません。創造性を発揮しようとする時には、その退屈な時間にすべき、いくつかの条件が必要です。

ノーベル物理学賞を受賞された湯川 秀樹博士は、

と述べておられます。そのためには豊富な情報量が必要で、いい案を浮かべるには、一日に10万以上の活字に触れることが必要なのだそうです。10万字の活字とは、原稿用紙で250枚、新聞なら三紙ぐらいをスミからスミまで目を通すことです。活字離れが問題視されている現在の学校で、子どもたちにそんなことをさせているでしょうか? また、大人の私たちですら、毎日、多くの文字を読んでいるでしょうか?

経営コンサルタントで名高い二見 道夫氏は、いいアイデアを出すには、3つの要素が必要だと述べています。図式に表すと、次のようになります。

前例のないグッドアイデアを考え出しても、それを実行するには、強いエネルギーが必要で、パワーのないアイデア倒れは、エネルギーの無駄遣いだと諭しています。

大塚製薬がヒットさせた「ポカリスエット」というドリンクが開発されたのは、一人の営業マンが得意先の病院を訪ねた時、手術を終えたばかりの医師が脱水症状にならないように輸液を飲んでいるのを見て、商品開発に結びつけたのだそうです。知識、情報、柔構造の発想、実行力の相乗効果作用といえるでしょう。

いくら「知識」や「情報」が豊富でも役にたちません。それを社会生活に生産的に結びつけて、新しい価値に結びつけてこそ、生きてくるのです。知識や情報を現実に結びつけていかすには、現実即応の「柔構造の発想」が欠かせないのです。これは言い換えれば、「臨機応変の現実対応の知恵」です。

二見氏が、「柔構造の発想」を身につけるための十の原則を述べていますので、紹介しましょう。

兵庫県出身で、楽天グループの創業者、三木谷 浩史氏は、慈善活動家としても活躍されています。同じ兵庫県出身の取締役副社長執行役員のH氏(高校の同級生)に評してもらうと、「仕事も遊びも超一流」の人だそうです。その三木谷氏は、こんな話をされています。

つまり、どんなに多忙な毎日であっても、創造力を発揮するには、仕事や勉強や家事を遊びのようにできるかどうかがポイントだと思います。

児童・生徒の「創造力」を育くむ教育

創造力を育てる方策

創造力というのは、決して生まれつきの才能ではなく、育てることのできる力です。子どもたちが、自由に考え、表現し、試して、学ぶという体験を積むことが大切です。

そのためには、「間違ってもいい」「自分らしく考えていい」という心理的な安全性と、「試す・創る・語る」という体験の場が必要だと思います。

児童・生徒の創造力を育てるために、「自由な発想」「多様な視点」「試行錯誤の機会」などを意識した教育を行うための具体的な方策を7つあげてみましょう。

  • 自由画や物語づくりの時間を取り入れる。

    例:一つの絵を見て自由に物語を書くなど

  • 詩の創作・絵本づくりなど、「正解がない」活動を促す。
  • 図工や音楽で即興的な創作活動

    例:自分だけの楽器・ロボットを考えてみるなど

  • 日常生活の問題を題材にし、自分たちで調査・提案する活動を行う。
    例:「学校をもっと楽しくするための方法を考えよう」など
  • 試行錯誤しながら自分たちのアイデアを形にするプロセスを重視
  • 「もし〇〇だったら?」という仮定の問いを活用する。
    例:「もし動物と話せたら?」「1日だけ校長先生になれたら?」など
  • 「なぜ?」「どうしてそう思ったの?」と、理由を問う習慣をつける。
  • 「うまくいかなくてもOK」という安心感のある学級づくり
  • 「そのアイデア、面白いね」「それも一つの考えだね」と多様な意見を肯定する態度
  • 失敗を通して「どうすればうまくいくか」を考えさせるプロセスを重視する。
  • 世界の童話や絵本、神話などを紹介する。
  • 美術・音楽・伝統文化など、多様な作品や表現に触れる機会を増やす。
  • 異なる背景や視点に触れることで、視野を広げる。
  • プログラミングやロボット作りなど自分で試す活動を取り入れる。
  • 音楽や美術・図工と組み合わせた「作品づくり」のような総合的活動を実施する。
  • 自分のアイデアを他者に説明し、フィードバックを受ける機会を作る。
  • グループワークやディスカッションで発想の刺激を与え合う。

「ゆとり教育」

実は、1977年の学習指導要領改定で導入された「ゆとり教育」は、受験競争や落ちこぼれ対策として、教科内容や授業時間数を減らし、余った時間を「総合的な学習」に充てたものでしたが、これら7つの方策を取り入れ、まさしく、「創造力」の育成を高めた教育政策でした。

この教育で育った、いわゆる「ゆとり世代」の若者たち(1987年4月2日~2004年4月1日生まれ)は、基礎的な知識や技能が不足しているとの批判もありますが、創造力や独創性が高く、クリエイティブな作業が得意な傾向にあります。 また、慣例の枠を超えたアイデアを生み出す力に長けており、より効率的に業務を遂行する手段を考えようとします。日本の新しい文化の創造にも大きな貢献をしていると思います。

特に、「スーパーゆとり世代」と言われる1995年生まれの人たちは、小学校~高校まで、全学年でゆとり教育を受けた世代で、情報化社会の中で成長したため、デジタルツールにも非常に習熟しています。

しかし、2002年度から本格的に導入・実施されてきた「ゆとり教育」でしたが、2011年以降、学習内容の充実と授業時間数の増加により、「脱ゆとり教育」へと移行しました。この成果が明確にわかるのは、もう少し時間が必要かもしれませんが、多様な経験を積む機会が確実に減少しており、今後、学力格差の拡大(教育の二極化)、学習意欲の低下、過度なプレッシャーや競争意識の増加による精神的ストレスの増大、不登校生の増加などの問題が懸念されています。つまり、「創造力」を高める教育からは後退していると言わざると得ません。

なお、1996年~2010年頃生まれの「Z世代」と言われる若者たちは、インターネットが普及し始めた頃に育ち、デジタル環境に慣れ親しんでいることから「デジタルネイティブ」「ポストミレニアル世代」とも呼ばれ、SNSやスマホを日常的に使いこなすことのできるデジタルネイティブです。この世代は、多様性や個性を尊重し、自分らしい価値観を持つことを大切にすることが特徴のようです。

「創造力」を育む

「創造力」を育むトレーニング

さて、創造力を育んでいくためには、必ずしも難しいことをする必要はありません。創造力を鍛えるヒントは、実は子どもたちの日常生活の遊びの中に多くあるのです。

以下にご紹介する「遊び」は、創造力を鍛える上でおススメです。

公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会

https://www.naturegame.or.jp/

大人も子どもたちと一緒になって、このような遊びをする中で、「創造力」が高められるのではないでしょうか?

「創造力」を育む時間

ところで、最近、「創造力」を育む時間の確保のために、「デジタル・ミニマリズム」というのが注目されています。

「デジタル・デトックス」が一時的にデジタルの世界から離れて、デジタル機器を使えない環境に身を置くことで、デジタルの毒素を抜き、心をリフレッシュさせることであるのに対して、「デジタル・ミニマリズム」は、生活習慣を見直して、自分にとって有益なテクノロジーを取捨選択することで、本当に大切なことに集中することと定義されています。

この「デジタル・ミニマリズム」という新しいメゾットが広まったのは、2019年に出版された『デジタル・ミニマリスト―本当に大切なことに集中する』という本でした。

本の中では、不要なモノを減らす断捨離と同じように、不要なテクノロジーやオンライン活動を取り除いていく『The Digital Declutter(デジタル断捨離)』という方法が紹介されています。「デジタル・ミニマリズム」は、一時的なものではなく、長期的な変化をもたらすことを目的としています。

デジタル・ミニマリストの具体的な行動例

・SNSに「いいね」やコメントをしない。

・使わない時間を決める。

・大切なことから逆算してスケジュールを立てる。

SNS断ちのメリット

・自分の時間が増える。

・友人との仲が深まる。

・その場を心から楽しむことができる。

・ストレスが減る。

タイトル 教育
子どもに何を教え、何を育てるか?子どもに何を教え、何を育てるべきなのか? フランスの詩人、ルイ・アラゴンは、「学ぶとは誠実を胸に刻むこと。教えるとはともに希望を語ること」と謡っています。 目的のない船は、どこに到着するのかわかりません。教育者は、いつも何を教え、何を育てるべきなのか、自問自答しておきましょう。「よく学び、共に生きよう。」「正しく考える」 「愛する」「尊ぶ」など、テーマを掲げてみました。 子どもの手本となり、「愛」をもって教育活動に携わりましょう。...
タイトル 教育活動とは感動 星田妙見宮
教育活動とは「子どもに感動を与えること」教育活動とは「子どもに感動を与えること」です。 エマーソン「すべて忘れてしまって残ったものが教育である」 アインシュタイン「学校で学んだことを一切忘れてしまった時に、なお残っているもの、それこそ教育だ。」...

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学校教育では子どもの『創造力』を育てなければならない」とよく言われます。

何もないところから、新しいものは生まれません。創造性を発揮しようとする時には、退屈な時間を作り出し、一日に10万の活字を読む、柔構造の発想をする仕事や勉強や家事を遊びのようにすることです。

児童・生徒の「創造力」を育てために、「自由な発想」「多様な視点」「試行錯誤の機会」を意識した方策を7つあげます。また、「ゆとり教育」→「脱ゆとり教育」の見直しもしてみましょう。