12月は「掃除」の月
「思いやりの心」を育てるために・・・
皆さん、おはようございます。
先日の月曜日の朝早く、市内中央の駅に行きました。たくさんの人が朝早くから清掃をしています。仕事でしている人だけでなく、ボランティアの人も多いように思いました。夜の都会では、ゴミを道に捨てる心ない人がいるのでしょうが、街を綺麗にしようとする人がこんなにもたくさんいることに感動するとともに、安心しました。
初めて海外旅行に行った時、「治安の良い安心な町はゴミの少ない美しい町で、汚れた町は危険なことに出合う機会が多い。」と、添乗員さんから教えてもらったことがあります。これは現在でも生きた教訓でしょう。見知らぬ土地を訪れるときの治安のバロメータにしてください。ゴミの多い町は自己中心で自分さえよければ良いと考える人が多く生活している町なので、強盗に遭うなど危険も多いのです。
以前訪れたニュージーランドでは、裸足で歩いている人が多いことにビックリしました。スーツ姿の人の中にも、裸足の人がいるのです。街にはゴミ一つ落ちていません。ニュージーランドは、治安のいい、安全な国でした。
さて、私達の生活している学校や職場の中はどうでしょうか。ゴミの多い環境で、周囲を思いやる心は育ちません。
ゴミんなさい!
ある先生が、転勤してすぐ中学3年生のクラス担任になって教室に入った時、確かに「荒れているクラスだ」と感じました。教室内が雑然として、ゴミがあちらこちらに落ちています。悪循環で、平気でゴミを捨てる生徒が後を絶ちません。
先生は常々、「教室が汚いと、気持ちも荒んでくる」と感じていました。しかし、放課後、掃除の時間になっても、手足を動かすのは数人で、あとはただ窓際に立っているだけ。掃除をするように声をかけようものなら、逃げ出して行く始末です。
ある時から先生は、放課後、帰りの時間に「30秒以内に全員教室を出て行くように」と、生徒たちに声をかけます。そして、誰もいなくなった教室を、先生が一人で黙々と掃除をしました。机、椅子も寸分の狂いもない位に、ピシッと合わせて並べました。
最初はすべてが徒労に終わっていました。翌日、半日も経たないうちに、机の並びは乱れ、ゴミも相変わらず投げ捨てられます。しかし、朝、生徒が教室に入って来た瞬間だけでも、整然とした教室を見て、気持ち良くなってくれたらいいと思い、一人で掃除を続けました。
何日かすると、数人の生徒が掃除中に教室に入って来るようになりました。最初は取り留めもない話をするだけでしたが、段々掃除を手伝ってくれるようになったのです。時をみて、先生はクラス全員に向かってこう言いました。「みんな、一つだけ約束しようや。取りあえず、ゴミはゴミ箱に捨てよう。」そのあたりから、クラスの雰囲気が変わっていったと言います。
問題を起こした生徒の家庭訪問でも、生徒の部屋を見せてもらい、ある程度掃除が行き届いているようだと、程なく立ち直ることができるだろうと確信するそうです。逆に、部屋もやっぱり荒れている生徒の家には、何度か通って、掃除を手伝ってあげ、立ち直りの糸口をつかんだこともあったそうです。
お釈迦さまの弟子の周利槃特(しゅりはんどく)は、物覚えが悪く、短いお経さえ、すぐに忘れてしまう方でした。お釈迦様は周利槃特に箒を与え、掃き掃除に専念するように諭されました。その結果、遂に悟りを開かれたと伝えられています。
掃除をすることにより、いらないものが取り除かれ、まわりが清められ、輝いてきます。その清々しい光景を見れば、誰でも心が洗われ、それまで見えなかったものが見えるようになっても不思議ではありません。
教室にゴミを捨てるような中学生でも、素直に反省するかもしれません
・・・「ゴミんなさい!」と。
下坐行行(ぎょう)
「しつけの三原則」を提唱され、「国民教育の師父」と仰せられた教育哲学者の森 信三先生が、「下坐行」(げざぎょう)を勧めておられます。
「下座行」とは、自分の身を低くし、人から顧みられないようなことについて、手足を汚すことを厭わずに行うということです。トイレ掃除は、まさにこの「下座行」そのものであり、この行いを続ける中で、自分とその周囲の環境を変えるのです。森先生は、「下座行」について、こんな解説をしています。
『人間を鍛えていく土台は下坐行で、身は実力以下の地位にありながら不平不満を示さず、真面目にその仕事に精励することで、人間的な光が身につくのです。下座行を積んだ人でなければ、人間の本当の確かさの保証はできないと思うのです。いかに才知才能に優れていようと、どれほど人物の立派な人であっても下座を行じた経験を持たないとどこか保証しきれない危なっかしさの付きまとうのを免れないように思うのです。
「下坐行」とは、自分を人よりも一段と低い位置に身を置き、わが身の修養に励むことを言うのです。自分の傲慢心が打ち砕かれ、それによって自分を鍛えるための最適の場所と心得て、これを生かしていくという、いわば受動的消極的な場合が多いでしょう。便所などで、人の粗相のあった場合など、人知れずこれを浄めておくとか、教室の机の中の鼻紙を、人知れず捨てるなどということを、“下座行”としてやろうと決心をすると、(汚いと思われるものにも親しみが湧き)、しみじみと身にしみるものがあるのです。他から課されたものではなく、自ら進んでこれをやる時、言い知れぬ力が内に湧いてくるものです。だれ一人見るものはなくても、それが五年、十年と続けていくと、やがてその人の中に、まごうことなき人間的な光が身につき出すのです。』
さて、「下座行」を英語で書くとすると“Understand”でしょう。「貴方の下に位置することにより、私はよく理解が出来ました」ということでしょうか・・・。
掃除で心を磨く。
「人間の心は、そう簡単に磨けるものではありません。
心を取り出して磨くことはできません。
心を磨くには、目の前に見える物を磨き、きれいにすることです。」
これは、カー用品販売イエローハットの創業者で、「掃除の神様」と呼ばれている鍵山 秀三郎さんの言葉です。鍵山さんはご高齢になった今も、学校や公園で子ども達とトイレ掃除をする活動を日本全国に、そして、世界に広げています。
掃除が当たり前にできる生徒は、心が鍛えられ、感謝の気持ちと強い精神力の備わった、たくましい青年へと成長していきます。
その結果、学習面も着実に伸びていきますし、義務教育卒業後の進路先を自らの力で切り拓いていくことができます。
「掃除で心を磨くこと」は、社会人になってからの生き様や人間性にも繋がっていくものだと考えます。
たとえば、プロゴルファーの石川 遼選手は、ゴルフ場に着いたら必ずトイレの洗面台を掃除し、水しぶきをふき取ってきれいにすることを習慣にしてします。
また、アメリカ大リーグで活躍している菊池 雄星投手の場合は、「ゴミが落ちているのを見ると、神様が自分を試していると思う」と話しています。
「掃除の神様」鍵山 秀三郎さんの言葉をもう一度かみしめてください。
「掃除をすると、心が磨かれる、謙虚な人になれる、気づく人になれる、
感動の心が生まれる、感謝の心が芽生える。」
なぜ、トイレ掃除か・・・?
以前、植村 花菜さんの「トイレの神様」という歌が流行りましたね。
トイレには
それはそれはキレイな
女神様がいるんやで
だから毎日
キレイにしたら
女神様みたいに
べっぴんさんに
なれるんやで・・・
冗談のような話ですが、5月4日に日、臨月を迎えていた妻が一生懸命トイレ掃除をしています。「どうしたの?」と聞くと、「トイレ掃除をすると、心のきれいな子が生まれると聞いたので、明日の5月5日の子どもの日に生まれたらいいと思って・・・」と答えます。「出産予定日までまだ2週間もあるじゃないか!」と笑い飛ばしていましたが、なんと翌日5月5日の子どもの日に、無事出産となりました。
なぜ、トイレ掃除なのか? その疑問に答えます。
①心を磨く。
心は取り出して磨くことができないので、目の前にあるものを磨く。特に人の嫌がるトイレをきれいにすると、心も美しくなる。人はいつも見ているものに、心も似てきます。
②気づく人になれる。
世の中で成果があげる人とそうでない人との差は、無駄があるかないかです。無駄をなくすためには、気づく人になることが大切。気づく人になることによって無駄がなくなる。その「気づき」を最も引き出してくれるのがトイレ掃除です。
③感動の心を育む。
感動こそ人生。できれば、人を感動させるようない生き方をしたい。そのためには、自分自身が感動しやすい人間になることが第一。人が人に感動するのは、その人が手と足を使い、さらに身を低くして一生懸命に取り組んでいる姿に感動する。特に人の嫌がるトイレ掃除は、最良の実践です。
④謙虚な人になれる。
どんなに才能があっても、傲慢な人は人を幸せにすることはできない。人間の第一条件は、まず謙虚であること。謙虚になるための確実で一番の近道がトイレ掃除です。
⑤感謝の心が芽生える。
人は幸せだから感謝するのではない。感謝するから幸せになれる。その点、トイレ掃除をしていると、小さなことに感謝できる感受性豊かな人間になれます。
男性トイレ張り紙
掃除道具点検を!
家の近所に、アストロプロダクツという、工具・DIY・整備用品の専門店ができました。ホームセンターより安く、いい道具がそろっているので、機械いじりや日曜大工が好きな人にとってはたまらない店です。
「弘法は筆を選ばず。」の英訳に、”A bad workman always blames his tools. “(ヘタな職人は腕不足を道具のせいにする。)とか、”A bad carpenter quarrels with his tools. “(下手な大工は道具に難癖をつける。)というのがありますが、それは達人のすることであって、道具がいいと作業もはかどります。何より、いい道具を手に入れると、やる気になりますね。魚釣りやゴルフでも同じことでしょう。いい竿を手に入れれば、釣りに行きたくなりますし、高価なクラブを手に入れたら、早速、打ちっぱなしに行きたくなるものです。
学校や職場をきれいにするためには、こまめに清掃活動をすることですが、一番のコツは、清掃道具を真新しいもの,いいものにして使うことです。それと、拭き掃除に力を入れることです。掃除道具はこまめに点検して交換しましょう。
我が家でも、少し値段がはりましたが、掃除機をダイソン製に変えたり、ルンバを購入したら、誰からとなく掃除をするようになり、家の中がみごとにきれいになりました。
さて、年末の大掃除に向けて、12月は「掃除」の月です。
心まで洗われるような掃除に力を入れましょう。
特に、掃除で意識しておきたいことは、『掃除道具の点検』と『拭き掃除』です。清掃道具が使いにくいものでは、やる気も効果も出ません。
また、寒い時期になりますが、“ほこり”を取り除くのには、「拭き掃除」を欠かすことができませんね。
「皆さん、おはようございます」授業では教えない 生き方 教育 スライドで語る全校朝礼のお話 / 長井功 【本】 価格:1280円 |
「皆さん、おはようございます」授業では教えない“生き方”教育 スライドで語る全校朝礼のお話【電子書籍】[ 長井功 ] 価格:1000円 |