“One for All, All for One.”
皆さん、おはようございます。
ラグビーシーズン真っ盛りですね。
さて、ラグビーの世界には、“One for Fifteen, Fifteen for One. “という言葉があります。フランスの作家デュマの言葉、”One for All, All for One. “「全体は個人のために、個人は全体のために。」から生まれた言葉のようですが、この精神は、ハンディキャップのある人との共生社会を築く上で、キーワードになる言葉だと思います。
12月4日から「人権週間」が始まっています。障害のある人に出会ったら、気軽にさりげなく手をさしのべられるような人に育って欲しいと願います。
学業成績がよいに越したことはないし、運動ができるに越したことはありません。しかし、人として生きる中で一番大切なことは、いじめや差別をなくし、誰に対しても「おもいやり」と「優しさ」の持てる人に育つことではないでしょうか。
個性を認め合う
人間は一人ひとり個性が違います。したがって、個人個人を大切にしなければなりません。違う個性を認め合わねばなりません。
キツネもオオカミも同じイヌ科の動物ですが、キツネの場合は、同じ母親から生まれた子は、皆同じ性質で、全て攻撃的で、自己主張が強く、探索的なのだそうです。
しかし、オオカミの場合は、同じ母親から生まれても、皆性質が違うのだそうです。ある子は攻撃的ですが、ある子は臆病なのです。これは、キツネは群れを作らず、一頭で生きていくので、同じ性質でいいのですが、オオカミは群れで暮らすので、いろんな性質の子が必要なのだからだそうです。
人間も群れで暮らす動物です。だから、いろんな個性があっていいのです。その個性を認め合う社会を作らなければ、けんかが起こり、戦争がおき、最後は滅ぶしかないのです。
困難に打ち勝つ経験を
いじめや差別をなくし、誰に対しても「おもいやり」と「優しさ」の持つためには、ラグビー選手のように、身体も精神も極限まで鍛え、困難に打ち勝つ経験をしておく必要があると思います。
生まれつき、「おもいやり」があり、「優しさ」をもっているはずはないでしょう。
人の世の悲しみや苦しさに耐えてきた経験がないと、人の胸の痛みをわかる温かい人間にはなれないと思います。負ける経験や悔しい思いをすることは、人の成長にとって欠かすことのできない試練です。
鍛えられた人間は強い。
1972年10月13日、南米アンデス山脈に、乗員46名を乗せたウルグアイの軍用機571便が不時着しました。不時着した時、生存者は28名。夜はマイナス20度にも気温が下がり、食料品も積んでいませんでした。助けに来る者もなく、アンデスの山の中に閉じこめられてしまったのです。しかし、それから72日間生き延びた人が16人いました。
生き残った16人は、やむを得ず、死んだ人々を食料にして生き延びました。救助された時、人道上許されるかどうかが大きな話題となり、事件後、10年後になって、ローマ法王庁から、これはやむを得ない行為であったとの見解が出されました。
この話は、1975年のブラジル制作のドキュメンタリー映画『アンデスの聖餐』(原題LA ODISEA DE LOS ANDES)をはじめ、『アンデス地獄の彷徨』,『生きてこそ』など、何度か映画化されています。
さて、生き残った16人のうち、15人は、ウルグアイ大学のラグビー部の選手だったそうです。ラグビーというスポーツは、球技の中で最も激しく、厳しい練習が要求されます。身体も精神も極限まで鍛えた結果、困難に打ち勝つだけの強さを得られるのです。
16番目の選手
ラグビーの15人には様々なポジションがあります。フォワードの選手にはがっしりした体型で、少々ぶつかってもけがをしない体が必要ですし、バックスの選手は足が速くないといけません。
それぞれのポジションに要求される体の大きさや身体能力が違うのですが、その中で、最も人間的に伸びるといわれるポジションは何かわかりますか?
そう、それは、16番目の選手です。
ラグビーの16番目の選手というのは、普段、皆と同じように練習をするのですが、試合には出ることは滅多にありません。ラグビーは、イギリスで生まれ育った紳士のスポーツですから、試合中に少しぐらい倒れようが、メンバーチェンジをしないので、16番目の控えの選手は試合に出る機会は殆どないのです。皆と同じように厳しい練習をしているのに、試合の晴れ舞台には出られない辛さを乗り越えてきた人が、人間的に最も成長するといわれるのです。
「ラグビーの16番目の選手になれ。」
・・・「おもいやり」と「優しさ」を持つ人になるキーワードです。
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