八坂の龍が語る心の成長
皆さん、おはようございます。
京都には「五社めぐり」という有名なイベントがあり、中央の平安神宮から、東の八坂神社には春を意味する「青龍」、南の城南宮には夏を意味する「朱雀」、西の松尾大社には秋を意味する「白虎」、北の上賀茂神社には冬を意味する「玄武」が祀られています。中でも、「祇園さん」と親しまれる八坂神社本殿の下には「龍穴」があり、竜宮城につながっているとも言われています。
毎回、八坂神社を訪れると「龍雲」が現れ、不思議といつも何かを語ってくれているような気がします。
年に数回、家族で八坂神社に来ていますが、ある年、子どもたちもすっかり大きくなったなあと思って眺めていたら、
「人は歳月と共に身体的な年齢は増えるが、心は年齢と共に勝手に発達するわけではない」
ということに気付かされました。
心の成長の7段階
日本大学教授なども務めた公認会計士で、薄衣会計事務所の創設者である薄衣 佐吉氏は、
人の心の成長を7段階にして示しています。
第1 自己中心の心
赤ちゃんがそれである。自分の欲求だけに生きている。
第2 自立準備性の心
幼稚園児の頃である。用事を手伝ったりする。
第3 自立力の段階
成人を迎え、自立する。
第4 開発力の時代
困難に立ち向かい、開発改善していく力を持つ。年齢的には30~40代
第5 指導力
40~50歳になり、部下を指導していく。
第6 包容力
好き嫌いを超えて人を抱擁していく。
第7 感化力
その人がいることで、自ら感化を与える最高の状態
そして、次のように述べています。
「人は歳月とともに身体的年齢は増えるが、心の発達は歳月に比例しない。
行き詰まる会社は、必ず家庭が行き詰まっている。
親子関係が悪い
夫婦関係が悪い
ご先祖を疎んじている。
百に一つの例外もない。
人に頭を下げられない者がどうして人の指導者たり得よう。」
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家庭教育がしっかりしていれば・・・
長年、中学校の教師をしてきましたが、家庭教育の大切さを身にしみて感じています。
学校では、暴力、いじめ、不登校など、様々な問題が発生していますが、家庭教育がしっかりしていれば、そのような問題に巻き込まれることもなく、また、たとえ、周りでそのような問題が発生したとしても、必ずリカバリーができるのです。
かつて、若い頃、担任していた生徒(中学1年生男子)S君の話です。
S君は、いつも、教室で誰かに身体接触をし、粗暴な言動を繰り返していました。落ち着きがなく、周りの注意を引くために大声を出したり、わがままな言動をしたりすることが多くあります。強情で意地が悪く、嘘も平気でつくのです。私は明らかに「愛着障害」の傾向があると感じました。
早速、母親と面談をしました。
すると、母親は、私が「この子は愛情不足だ」というような表現をしたのが気にいらなかったのか、声を荒げて、「うちでは、これまで毎週、あちこち、子どもを旅行に連れて行ってきました。遊園地にも行きましたし、映画にも連れて行ってきました。中学生になって部活動で忙しくなり、休日に旅行に行く回数が減ったので、子どもがストレスを溜めているのだと思います」と言われるのです。
私は、
「いろんな所に連れて行かれたのは大変だったでしょうが、そんな時でも、お子さんの目を見てお話をされてきましたか? また、これまで、お子さんから『困っている』ということの相談はありましたか?」
と問うてみました。
すると、母親は、はっとされたようで、
「そういえば、あの子の目を見て話を聞いてあげたことは、なかったように思います。まさか、あの子に悩み事があるということも考えてあげたこともありません。そうですね。一度、父親ともしっかり話をしてみます」
と言ってお帰りになりました。
その後、S君は、劇的に変わりました。
お母さんが偉かったのだと思います。私のような若輩者の言うことを真摯に聞いていただいたことにも感謝しました。
卒業の時、ご両親がそろって、私のところにあいさつに来てくれました。今は、いかに家庭が安らぎの場になれるかを意識しているというお話をされていました。
子どもにとって安らぎの場となる家庭のタイプ
1 明るく、つねに冗談が飛び交う家庭
2 子どものユーモアに上手につき合える親であること
3 本当のことを言ったとき、たとえそれが悪いことでも、頭ごなしに叱ったり、罰したりしない
4 みんな健康で、それぞれが好きなことを思いっきりできている家庭
5 隣の芝生を気にしない。マイペースのわが家
6 家族が、あいさつや感謝、ねぎらいの言葉を互いによくかけ合っている
7 時には夫婦げんかがあっても、基本的には仲が良く、楽しい会話が行き交っている
8 きょうだい、親子、みんながよく助け合い、支え合う家庭
9 深刻にならず、家族みんなが、真剣に、力を合わせて、やる時にはやる家庭
10 楽天的。開けっ広げ。時には大笑い。温かい言葉のかけ合いがある家庭
参考:「中学生を持つ両親へ」より(あすなろ書房)
今では死語に近い言葉になっていますが、家庭は「家長」によって変わります。今は、「家長」と言っても、必ずしも父親である必要はありません。両親ともが家長であってもかまわないでしょうし、母親が家長であってもかまわないでしょう。いずれにしても、親が変わらなければ子どもは変わらないと思います。
家を治むるには・・・
ある年、八坂神社でおみくじをひきました。なんど、その年、出雲大社で頂いた言葉と同じ言葉が書いてありました。
「家長」として、
「家を治むるに「『勤』『倹』『恭』『恕』をもってす」
「勤」なれば功あり。
「倹」なれば用を足し、
「恭」なれば悔いらず、
「恕」なれば怨みなし。
「勤」の意味は、力を尽くしてつとめはげむこと、 「倹」の意味は、無駄や贅沢をしないこと、「恭」の意味は、礼儀正しく丁寧であること、「恕」の意味は、その身になって他人の気持ちを思いやること、また、他人の立場になって許すことです。
家を治めるには、力を尽くして勤め励み、無駄や贅沢をせず、家族にも他人にも礼儀正しく丁寧に接し、思いやりを持つことが大事です。
「努め励めば、立派な手柄を得、贅沢をせねば、様々な用途に使え、礼儀をわきまえれば、馬鹿にされず、全ての人に思いやりを持てば怨みを受けることがない」のです。どれ一つも欠くことがないようにすべきだと思います。
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