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「和して同ぜず」か、「同じて和せず」か?

タイトル 和して同じず。
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コスモスの花

9月14日は、2月14日のバレンタインデーから半年、男性から女性に下着を贈って愛を告白する日で、「メンズバレンタインデー」、また、プレゼントにコスモスの花を添えて交換し、お互いの愛を確認しあう「コスモスの日」だそうです。しかし、バレンタインデーから半年目で、別れを切り出すのにいいということで、「セプテンバーバレンタインデー」とも言われています。

さて、秋の季語としても使われるコスモスの和名は「秋桜(あきざくら)」です。

コスモスには色々な色があり、色によって花言葉が違います。

は「優美」「純潔」「美麗」、 

は「恋の終わり」「恋の思い出」「移り変わらぬ気持ち」、

だそうです。

品種改良が進んでいますが、残念ながら青色のコスモスはまだありません。

コスモスの語源はギリシャ語のKosmosで、その意味は『美しい』『宇宙』『調和』です。コスモスが整然と群れを成して咲く姿は、まるで宇宙で星々がきらめいているようです。

武者小路実篤の詩に、こんな詩があります。

人の「やさしさ」や「連帯」を大切にし、「皆が皆生きる世界」,「皆が美しく咲く世界」を一緒に作ろうという武者小路の強い決意の感じる詩だと思いますが、この花にコスモスの花がぴったりではないでしょうか? コスモスの秩序だった咲き姿に、誰もが「調和」の花言葉を想像できるでしょう。

「調和」の精神

古来、この「調和」の精神は、日本人の心とされてきました。聖徳太子(厩戸王)の制定した17条憲法の第1条に「和を以て貴しとす。上やわらぎて下睦ぶ」という条文がある通りです。

しかし、この「和」するというのは、道理に従って主体的に判断し、「あなたのこの点には賛成します。私にも考えがありますが、どうぞあなたの方法で進めてください。私でお役に立つことがあれば、喜んでお手伝いします。ただし、この点は、反対します」と態度をはっきりさせて、全体として団結とまとまりを見つけていく生き方をいうのです。

この点を明確に述べているのが、孔子だと思います。

・・・これは、「君子は道理に従って仲睦まじくするが、道理に合わないことに対しては、はっきりと意見を言い、無闇やたらに賛同はしない。これに対して、小人は付和雷同はするけれども、真の調和はしない」という意味です。

「同じて和せず」という、表面的には賛成しているようにみえるけれども、主体性がなく同調しているだけの状態は、内に不満を抱えていることが多く、非常に危険でしょう。私たちは、主体性や自主性を持って、議論を重ねた上で、落ち着いたところに「和」をみつけるという生き方をしたいものです。

君子の九思

また、孔子は『論語』の中で、君子である者の心がけるべき九つのことを述べています。

まさに、徳を積んだ聖人君子になれということでしょう。

日本には、古くから「因縁生起思想」というのがあります。つまり、あらゆるものは、原因によって生じ、たとえば、今世の運の良さは前世の徳であり、反対に今世の運の悪さは、前世の徳の報いがないからだと考えられています。したがって、今世で徳を積めば、来世ではその功徳を受けるというわけです。

」というのは、ラテン語では“Virtus”といいます。語源は“Vir”は「男」という意味で、ギリシア・ローマ時代、男の価値は自分の命よりも価値あるものに命を捧げる勇気をもつことで、そういうことの出来る者こそが尊敬される人間であり、その性質を徳といったのです。

つまり、「徳」とは、本来、自分の命に代えてでも他の人のことを思い、他の人のために行う利他の行為をいうのです。

子育て中の母親の姿は、まさに徳を積んでいる最中で、人間の最も美しい姿だという人もいます。他の人の幸せを願って行う業は、やがて自らに業報として返ってくるでしょう。

しかし、我が子ならいざしらず、昨今、自分のことよりも他人を思い、命に代えてでも尽くそうなどという人は殆どいません。何でも、自分が、自分が、と言い、他人のことは押しのけてでも、自分が前に出ることをよしとする風潮もあります。

『俺が、俺が』」の我を捨てて、『おかげ、おかげ』の下で暮らせ。」と言われますが、自分さえよければという考えを捨て、あなたのおかげと思い、相手を立てる心をもって生きるのが理想でしょう。

せめて、人の為に尽くさないまでも、どんな生き方をするにせよ、人様に迷惑をかけない生き方ぐらいはしなければなりません。

徳を積むとは・・・

心霊研究家で超能力者の深見 青山氏も、よき運を引き寄せるための人生観として、「徳を積む」ことが大切と述べています。そして、「徳を積む」ための具体的な内容として、次の3つをあげています。

「これだけで?」と感じてしまうかもしれませんが、難しいことではありません。

このようにして「徳を積む」ことで、運(金運・家庭運・健康運)が高まっていくのだそうです。また、多くの人々にも善の感化力で幸福にすることができます。つまり、「徳」は「得」になるわけです。

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君子自重

世界に禅を伝えた鈴木 大拙氏が中国に行った時のことです。

日本なら「小便すべからず」と書いてあるような路地で、「君子自重」と書いてあるのを見て、すこぶる感心したことがあるそうです。

「小便すべからず」とは禁止的な表現ですが、「君子自重」の方は、路地に飛び込んだ人を君子と扱い、徳が備わっているあなたは自重してくださいと、相手に襟を正させるユーモアがあります。自分を重んじること、すなわち自重から、人間尊重が始まります。

「君子自重」とは、自らの行動を慎み深くし、軽はずみな行動はしないという意味を表す言葉です。孔子が説かれた「君子の九思」や深見 青山氏の言う「三徳」まで求めなくても、私たち凡人は、少なくとも、「同じて和せず」生き方ではなく「和して同ぜず」という生き方を心がけましょう

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