水の不思議
皆さん、おはようございます。
小学4年生の問題を出します。
コップに真水で作った氷と真水をぎりぎり一杯に入れると、氷が少し浮かんで出てきます。この氷が溶けて水になると、水はこぼれるでしょうか?
答えはこぼれません。水が氷になると体積が大きくなっているので、氷が溶けても大丈夫ということです。
これを根拠に北極の氷が溶けても海水面が上がらないという人もいますが、それは間違いです。塩分を含んだ海水と、真水からできた氷山では密度、つまり比重が違うので、海水面は上がります。
次に水を熱するとどうなりますか。
100℃を超えると、蒸気になって消えてしまいます。液体が気体になること、これを「気化」するというのでしたね。
ちなみに、個体がいきなり気体になったり、気体が個体になったりすることを「昇華」といいます。
月の影響
さて、今回は、「水」に関するお話です。
地球に一番多い物質は、海水です。
以前、長崎県の壱岐に行った時、小島神社という海に浮かんだ島が、潮の干潮時に渡れるようになるのを見て、非常に感動した覚えがあります。
香川県の小豆島のエンジェルロードや岡山県牛窓の黒島ヴィーナスロードなんかも有名ですが、モーセの「海割り伝説」を聞いたことがあるでしょう。
これは、旧約聖書の出エジプト記に書かれている話で、奴隷になっていた60万人のヘブライ人を預言者モーセが連れてエジプトを出ます。目前に海が見えた時、後方からエジプトの軍隊が奴隷たちを連れ戻しに追ってきました。モーセは神に祈り、杖をふるうと海が割れてヘブライ人たちは渡ることが出来ましたが、その後を追ってきたエジプトの軍隊は溺れ死んだという話です。
そんな馬鹿な話と思うかもしれませんが、2010年、アメリカのカール・ドリュースという学者がコンピュータシミュレーションによってその可能性を研究し、実際にそうしたことが起こり得るということを科学誌「PLoS one」で発表しています。
海割れとまではいかなくても、潮の満ち引きで陸が見えたりするのは、月の引力のためだということはよく知っていると思います。
私たち人間の体は年齢や性別によって違いはありますが、約60%が水分で出来ていると言われています。当然、月の引力の影響を受けているといってもおかしくはないでしょう。
ウミガメや魚たちは、満月の夜に卵を産むといいます。同じように、人間も月の影響を受けていて、例えば出産は満潮時になることが多く、反対に病気などで死ぬのは干潮時に多いのだそうです。
水五訓(水五則)
ところで、福井県に永平寺という有名なお寺があります。ここは道元が曹洞宗という禅宗をひらいたところです。今でも座禅をしたり、典座(てんぞ)という修行僧への食事を出してくれたりします。
ここに、兵庫県播磨の国生まれで、戦国時代に豊臣秀吉の参謀として活躍した黒田孝高、通称、黒田官兵衛の教えである「水五訓(水五則)」というのがあるそうです。
一、自ら活動して他を動かしむるは水なり。
一、障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水なり。
一、常に己の進路を求めて止まざるは水なり。
一、自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るるは水なり。
一、洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり
雪と変じ霰と化し疑っては玲瓏たる鏡となりたえるも其性を
失わざるは水なり。
京都の貴船神社の「神水」の説明看板にも、この水五訓が書いてありました。
上善は水の如し
水は「生命の源」で、①形を変える「柔軟性」、②低きに流れる「謙虚さ」、③時に命を洗い流す「秘めたるエネルギー」という3つの大きな特徴を持ちます。
このことを、道教の開祖である老子は、「上善は水の如し」という言葉であらわしています。「上善」とは最高にいいこと、つまり、最高の人生のありかたは、水のように生きることだと説いたのです。
ちなみに、黒田官兵衛は、剃髪後、自らを「黒田如水」と名乗っていました。
さて、英語のことわざに、“Runnning water is better than standing.”というのがあります。日本のことわざで近い言葉は、「流れる水は腐らない」「流れる水は清く、留まった水はくさい」でしょうか。
悩むことは立ち止まることです。流れる水のごとく、走り続けましょう。
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