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2-2 基本的行動様式の定着

タイトル 基本的行動様式
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躾(しつけ)

時々、教室の机の上に平気で座る生徒がいますが、私は常にこう言って叱ります。

「学校の机は勉強するところでもあるが、昼食を食べる食卓(テーブル)でもあるのだ。あなたの家では、テーブルに座っても誰も何も言わないのか?」

すると、殆どの生徒は、「はっ」として、跳び上がります。

「しつけ」は押しつけだと言って、しつけ教育に反対する人がいます。しかし、本当に不必要なものなのでしょうか。

「人」という文字が二本の棒が支え合って出来ているように、人は一人では生きていけません。常に自分以外の人逹との関わりの中で生きています。そこで、周りの人達と、よい人間関係を作っていく必要があります。周りの人達からバカにされたり、見放されたり、不当に扱われたりすれば、幸せな生活を送ることは出来ません。しつけというものは、子どもが将来、立派な社会人として生きるために必要な基本となるものであり、幸せに生きる社会人となるための生活行動基準だと思います。

碁でいえば「定石」,柔道や剣道でいえば「型」,スポーツでいえば「基本」にあたるものです。これらをしっかりマスターしない限り、試合に勝つことは出来ません。

しつけなき社会人は、定石・型・基本を学ばずして試合をするのと同じで、どのように頑張ってみても、結果はみえています。たまたま運よく成功したとしても、一時期のものに過ぎないでしょう。

しつけの三原則

教育哲学者の森信三氏が「しつけの三原則」というのを提唱されています。これは、「おはよう」,「ハイ」,「はきもの」の三つです。つまり、

1.特に朝、「おはようございます」と明るくあいさつをします。

2.呼ばれたら、「ハイ」と返事をします。

3.履き物をきちんとそろえます。

この三つのしつけが身につくと、子どもの「我」がとれます。「我」がとれるということは、素直な気持ちになるということであり、心の受入れ態勢が整うということです。こういう子どもは、何でも吸収し、伸びていくことができますが、反対に、「エゴイストに成長なし」と言われるように、「我」の強い子は心の窓が締め切った状態ですから、風通しが悪く、中の空気もどんどん悪くなっていきます。

学級でもしつけは必要です。「しつけの三原則」に倣って、次の三つの基本的行動を指導するといいと思います。

①あいさつを徹底する。

・朝のあいさつ「おはようございます」

・授業開始と終わりのあいさつ「お願いします」「ありがとうございました」

・食事前後のあいさつ「いただきます」「ごちそうさまでした」

・校内で「こんにちは」

・帰りのあいさつ「さようなら」

全体であいさつする時に声が小さいようでしたら、やり直しをさせることも大切です。

②「ハイ」と返事させる。

毎朝、出席をとるのに呼名をして「ハイ」と返事をさせると効果的です。呼名は卒業式

の時だけするものではありません。ベテランの担任なら、朝、呼名をしてその返事を聞くだけで、生徒の様子がおかしい時、ピンとくるものです。テストを返す時など、一人ひとり、個別に物を渡す時も同じです。名前を呼んで、「ハイ」と返事する習慣をつけさせたいものです。

③席を立ったら椅子を入れる。

履き物をそろえる機会があればいいのですが、履き物に代わって、席を立った時に椅子を入れることを習慣づけるようにすればいいでしょう。朝や帰りの短学活の時に、椅子を入れて席を立ち、あいさつすることを継続すれば、他の授業でも、椅子を入れて立つようになります。

8つの人間力

ところで、「教師の仕事は教えることであって、しつけは家庭ですべきだ。」という意見もありますが、しつけを教えずして、教師の仕事は成り立たないと思います。教師の仕事には、「教える」ことと「育てる」ことという二面性があります。この二つを持って、教育者たる資格を得るわけです。

「育てる」というのは、『子』から『大人』への自立を支援するということです。『子』から『大人』になるのに学ばせなければならないのは次の8つです。この8つをもって、「人間力」と表現する人もいます。

8つの人間力

 「明」: 人の心を楽しくさせる力

 「温」: 相手の身になって考える力

 「誠」: 真心を貫く力

 「行」: 有言実行の理想に近付く力

 「体」: 元気のもととなる力, からだの健康

 「心」: 人生をたくましく生き抜く力, こころの健康

 「智恵」: 判断力, 創造力, 推理力, 分析力, 感受性etc.右脳に関する本当の学力

 「知識」: 記憶力, 理解力etc.左脳に関するいわゆる試験学力

特に最近の生徒たちは、対人関係でトラブルと起こるケースも多くなっています。

人間関係処理能力を身につけるためには、

(1)ゆとりのある心を持つ,

(2)他人と比較しない,

(3)お互いに距離をおいて接する,

(4)他を先にする心を持つ,

ことが必要です。

「ジコチュウ」(自己中心的な行動)は許さず、基本的行動様式を定着させましょう。

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