「天運」と「地運」
皆さん、おはようございます。
日本では、クリスマスにベートーヴェンの「第九」を聞くことがひとつの風習になっています。日本で初めて演奏されたのは、第一次世界大戦末期の1918年、「奇跡の収容所」と呼ばれた徳島県板東町(現・鳴門市)の板東俘虜収容所で、捕虜になっていたドイツ人によってでした。また、第二次世界大戦後、NHK交響楽団の前身、日本交響楽団の第九公演が大当たりし、オーケストラの書き入れ時として定着したという説や第二次世界大戦の学徒出陣壮行会で演奏されたことに由来するという説もありますが、1989年のベルリンの壁崩壊直後の年末や翌1990年の東西ドイツ再統一前夜に祝典曲として演奏されたり、1998年の長野オリンピックの開会式で演奏されたり、2011年の東日本大震災後の復興チャリティーコンサートで演奏されるなど、これまで第九は、人間讃歌と平和への祈りとして演奏されてきました。ただ、クリスマス=第九は、日本だけだそうです。
ベートーヴェンといえば、やはり「運命」が有名ですね。
さて、その運命には、変えることの出来ない「天命」(宿命)と、努力次第で変えることの出来る「立命」があります。
同じように、運にも「天運」と「地運」があります。
変えることの難しいのが「地運」で、空の雲のように毎日変わっていくのが「天運」です。
どんなに肥沃ないい土地に種を撒いても、天候がすぐれないと立派な食物は育たないように、「地運」より「天運」の方が重要です。その割合は、地運:天運=3:7くらいではないでしょうか。
つまり、運がいいかどうかは、自分次第だということでしょう。
諸仏の法引は人より得るにあらず
10月5日は「達磨忌」でした。
「七転八起」や「ダルマさんが転んだ」でお馴染みの「達磨大師」に関するお話です。
安岡正篤師が「立命の書」と呼んだ中国古典「陰騭録 」(いんしつろく)に袁了凡(えん りょうぼん)という人の話が載っています。
袁は少年の頃、易者に出会い、「君はなかなかよい相をしている。君は、これから一生懸命に勉強して18歳の頃には難関といわれる官吏登用試験に合格し、25歳には地方の長官になろう。やがて結婚するが子どもはできず、53歳で死ぬだろう。これが君の一生というものだ。」と言われます。それからというもの、袁は一生懸命に勉強し、やがて18歳で試験に合格して官僚になりました。そして25歳の時には地方の長官に出世し、易者のいう通りの人生を歩んだのです。
しかし、ある日のこと、禅の老師に出会い、何の雑念もなく無心な顔で座禅をしている袁は、ひどく叱られます。「なんということだ。人間は、ある程度は運命づけられている面があるが、運命は自分の思いで変えることができる。これを立命というのだ。」と。その後、袁は運命を立命に転換し、善行を積みました。息子ができ、袁自身も70歳まで長寿を保つことができたのだそうです。
自分の人生がうまくいかないことを、自分の運命だといって諦めている人がいます。
たしかに、自分の生まれてきた家や親子関係など、変えることの出来ない「宿命」というのはあるでしょう。
しかし、運命というのは、決して「宿命」だけで決まるのではありません。「運」にも変えることの難しい「地運」と空の雲のように毎日変わっていく「天運」とがあるように、運命にも「宿命」と「立命」があることを忘れてはいけません。
運命を呪うことは、自分を呪うようなものです。
運命は未来へのびているのであり、未来を築くのは、自分の力です。達磨大師の言葉「諸仏の法引は人より得るにあらず。」というのは、真実の道は他人からもらうものではなく、自ら切り開いていくものであるということを教えてくれています。
ピンチをチャンスに!
セールスマンなら誰でも知っている「アフリカに行った靴屋の話」を紹介しましょう。
ライバル同士の靴のメーカーにAさんとBさんという2人の営業マンがいました。2人がいるメーカーはアフリカに靴を売りに行く計画を立てました。
ところが2人にとって、予想外の状況が待ち受けていましたす。何とアフリカの人たちは誰も靴を履いていなかったのです。
それを見てAさんは急いで本社に報告しました。
「ここでは靴は売れません。だってみんな裸足なんですから。」と。
一方のBさんも現地の人たちをみて急いで本社に連絡しました。 「至急ありったけの靴を送ってください。ここでは誰も靴を履いていません。この人たち全員が靴を買ってくれたら、すごいことになります。」
同じ状況でもポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかによって全く違う判断になります。おそらく結果も違ってくるでしょう。
「未来は変えられる」と思うか思わないかによって、人間の取り組みというのは随分と変わってきます。
自分が置かれた状況を「ピンチ」と捉えるか、「チャンス」と捉えるかは自分次第です。
運命を変えるたった1つの思い込み
アメリカ、スタンフォード大学の心理学部教授キャロル=ドゥエックは、その著『マインドセット「やればできる!」の研究』で、人は、生まれつきの才能・知能・性格は一生変わらないという「固定的知能観」(固定思考)を持った人と、生まれつきの才能・知能・性格はいくらでも変えられるという「拡張的知能観」(成長思考)を持った人に二分されると述べています。
また、tuberの心理カウンセラー、ラッキーさんも、「運命を変える!たった1つの『思い込み』」という動画で、固定思考を持った人より成長思考を持った人の方が伸びることということを提示しています。
ところで、「成長思考」を持った人になるには、人間はいくらでも変わることができるという事実を知ることが大切だそうです。
そのためには、偉人の伝記や自伝をたくさん読むことを勧めています。
「習慣」を変える。
「心構え」がかわれば「態度」がかわる。
「態度」がかわれば「行動」がかわる。
「行動」がかわれば「習慣」がかわる。
「習慣」がかわれば「人格」がかわる。
「人格」がかわれば「運命」がかわる。
「運命」がかわれば「人生」がかわる。
どこかで聞いた言葉でしょう。
ハンガリー出身のアメリカ心理学者、ミハエル・チクセントミハイも述べていますし、アメリカの哲学・心理学者、ウィリアム・ジェームズ、社会教育団体「修養団」を設立した日本の社会教育家、蓮沼 文三氏も同じような言葉を残しています。また、スイスの哲学者、フレデリック・アミエルの詩の中にもみられまし、ヒンズー教の教えの中には古くからあるそうです。
では、これら、「心構え」、「態度」、「行動」、「習慣」、「人格」の中で、最も大切な要素は何か、わかりますか?
それは、「習慣」です。
古代キリスト教神学者で哲学者のアウレリウス・アウグスティヌスは、
「習慣は第二の天性なり。」
と述べています。
なお、「心構え」というのは、心の持ち方であり、具体的には、①言葉づかい,②笑顔,③姿勢,④身だしなみ,⑤礼儀、⑥夢と希望の6つを意識するとよいでしょう。
「他人」と「過去」と「感情」は変えれないが・・・
カナダ精神科医のエリック・バーン博士は
「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる。」
と述べています。
細菌学者の野口 英世も、
「他人と過去を変えることはできないが、自分と未来は変えることができる。」
と述べています。
私は、「他人」と「過去」に加えて、人の「感情」も根本的には変えるのは難しいと思っています。頭でわかっていても、嫌いなものは嫌いですし、好きなものは好きなのです。どんなに体にいいと言われても、嫌いな食べ物は口にしませんし、反対に体に悪いと言われても、お酒なんかはやめれません。
だから、変えることのできるものだけに注目すればいいのす。つまり、「自分」と「未来」と「行動」です。
最初に、運命には、変えることの出来ない「天命」(宿命)と、努力次第で変えることの出来る「立命」があると述べましたが、神様は、立命を変えるためのツールを私たちに与えてくれています。
それは、「呼吸」と「笑顔」と「思考」です。
緊張した時、心臓のドキドキをコントロールすることはできませんが、ゆっくり「呼吸」をすることはできるでしょう。
何か困ったことや苦しいことがあった時に、つまらない顔やくらい顔になっても、意識して「笑顔」を作ることはできるでしょう。
「私はダメだ」と考えるか、「まあ、いいか。まだまだやれる!」と考えるかは、自分次第です。
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