皆さん、おはようございます。
11月18日は、ミッキーマウスの誕生日だそうです。
・・・なんと、今年(2024年)で96歳! お元気ですねえ!?
さて、ディズニーランドの素晴らしさは語るまでもないでしょう。
ディズニーランドでは、来園者をゲスト(賓客)と呼び、従業員をキャスト(出演者)と呼んでいます。東京ディズーニーランドのある千葉県浦安市で、髪を染めず、黒髪で歩いている若者は、キャストであることが多いそうです。そのキャストたちを育てるノウハウは、教育の世界でも大変参考になることばかりです。
クレーム処理
ディズニーキャラクター、フック船長のサイン会がありました。ところが、フック船長、体調を崩してしまい、サイン会は途中で中止となってしまいました。長く並んで待っていた親子は、フック船長が突然いなくなってしまったことに腹を立てます。子供は泣き、父親はカンカン。
キャストがすぐに対応します。
苦情はスタッフを通して、すぐにホテルフロントから客室係へと密な連絡が取られます。客室係は、ホテルのベッドにフック船長からの手紙を置いたのです。それを読んだ子どもは、笑顔を取り戻しました。
子どもの笑顔こそ、クレームの本質をつく対応でした。
自主・自律
平成23年3月11日の東日本大震災の直後、ディズニーランドも混乱していました。しかし、それはすぐに収まったそうです。その理由は、園内にいるキャストたちの的確な指示でお客を安全に避難させたからでした。
あるキャストは落下物に備え、ショップにあった売り場のぬいぐるみをお客に配り、防災頭巾のかわりにして避難させました。不安がる子どもたちに笑顔で接し、ショップのお菓子も配りました。
驚くことは、これらの指示は、上からの指示による対応ではなく、その場にいたキャスト自身の判断で行われたのでした。
ディズニーランドのキャストは9割がアルバイトですが、こういう場面では、「安心・安全のため」なら、自分で判断して行動してよいと任されているのです。もちろん、こういうことができるようになるための教育は、一夜でなされているのではありません。ディズニーランドでは、年間に180回も避難誘導訓練があるそうです。その積み重ねが、「自分たちでできる」という自信と信頼を作りあげたのでしょう。
マニュアル化
ディズニーランドの掃除マニュアルには、こんなことが書いてあるそうです。
「ハイハイできる赤ちゃんが、ハイハイしても汚れないこと。」
私は、以前、マクドナルドでマネージャを務めていましたが、マクドナルドでは従業員に1万ページに及ぶマニュアル本と100本近くになるビデオが用意され、マニュアル通りにして全国中、同じサービスをすることに重点がおかれていました。従って、個々の人間は頭を使う必要がなくなり、臨機応変に対応することやその場に応じた柔軟な姿勢はなかなかとれませんでした。ディズニーランドの社員教育と大きな違いを感じまました。
先ほど、浦安市を黒髪で歩いている若者の殆どは、ディズニーランドに関わっている者だという話をしましたが、これも決してキャストに黒髪を強制しているわけではないそうです。ディズニーランドではキャストのアピアランスについて、マニキュアやピアスなどを頭ごなしに禁止するのではなく、自然の美の良さを教えたり、お客様がどう感じるかを考えさせたりして、納得の教育をしているのだそうです。
ディズニーで起きた奇跡
主人の上司のA課長は、病気で子供を失いました。お子さんは当時5歳。原因は分かりません。不治の病だったそうです。Aさんも、Aさんの奥さんも絶望の淵に立ったそうです。あまりにも辛すぎる出来事に精神的ダメージを受けた奥さんは、突然Aさんに皿を投げつけたりなどのDV行為を行ったそうです。Aさんは事情が理解できていたので、黙って見守っていたそうです。
我が子を失った思いというのは、自分さえ深く深く傷ついている。ましてや、奥さんは自分が仕事でいない間もずっと一緒だった。たとえば入院してからも、自分は仕事で病院に行けない日があったのに、奥さんはずっと通っていたわけです。Aさんも悪いなあと思っていました。
その時点では、いずれ退院したら、どこかに連れて行こうか、奥さんと子供はディズニーが好きだから、ディズニーへ連れていけばいいや、と軽く考えていたそうです。その矢先のお子さまの突然の天界。Aさんも自分の過ちにやっと気づいたそうです。その時、その一秒でも子供と奥さんと共に接していれば、わずかな時間でも共有していれば、たとえ結果は一緒だったけれど、過程は全然異なる。そう自責の念に駆られたと言います。
子供を失った夫婦というのは、とてつもなく大きな暗い穴が広がるそうです。我が子をうざったいと思う時もありますが、いざ、最初からいないと仮定すると、それは考えられない。失う、消えるという事態が突然自分の子供に起こることはとても理解できないと思います。そういう場面にAさん夫妻は直面したのです。
その後は毎日が夫婦喧嘩。一方的に奥さんが罵るわけですが、Aさんも耐えてるんでけども、悪いとは思いながらも、時折言い返してしまっていました。Aさんと奥さんは精神的にボロボロに崩れ落ちていました。
当時そのA課長は、私の旦那を送ってきた際に「きみの子たちは元気だね。それは結構幸せな事なんだ。ゼロになるというのは本当に信じられないことなんだ。気が狂うよ。」と言っていました。涙目でした。あとあと話を聞くと、実際に、備長炭を用意していたそうです。死ぬ一歩手前でした。
そんな時な話です。
「ディズニーランドに行ってみようか。」
そう思ったA課長はその考えを奥さんに言いました。なぜならその日は生きていれば我が子の誕生日だったからです。それに、子供は病院で息を引き取る前に、ミッキーのぬいぐるみを抱いていたほどディズニーが大好きだったんだそう。Aさんは、子供が亡くなるまで毎年、ディズニーランドで子供の誕生日を祝っていたのです。今年も生きていれば当然ながら行っていました。我々の家庭ではお決まりのイベントだった。それを思い出したんです。それで一周忌に子供との約束は守ろうと思いました。
Aさん夫婦はディズニーランドに行きました。ディズニーランドへ到着してすぐは後悔したそうです。すれ違う親子連れやミッキーの帽子をかぶってじゃれ合う親子連れ。ディズニーランドには親子連れがたくさん遊びに来ています。きっと我が子と同い年であろう子供を見るたびに涙がこぼれそうになったそうです。なぜなら我が子も一緒にディズニーランドへ来ていれば、他の親子連れと同じことをしていたわけです。ふと子供の手の温かさを思い出したそうです。
『パパ、ママ。』
亡き子供の声を何万回も聞いたそうです。もし、自分の子供が生きていたら、こんなふうに乗り物に乗っていたんだろうか。こんなものを一緒に食べて喜んでいたのかなあ。ディズニーランド内を歩くたびに亡くなった子供の笑顔ばかりが頭に浮かんだそうです。
Aさんは「来なければよかった。」と思ったそうです。奥さんも同じことを考えていたのか、Aさんを睨み付けるばかりでした。「帰ろうよ。」そしてさらに「あなたは私に悲しみを与えるばかり。」「最悪の夫だよね。」とも言われたそうです。
Aさんはふと、そんな奥さんを見て思ったそうです。自分と一緒にいるから彼女は子供のことを思い出し、救いようのない泥沼から這い上がれずにいる。そしてそれは自分も同じだ。お互いに幸福になるにはどうしたらいいか?
導き出した結論は離婚でした。子供を亡くした親は必ず離婚を意識するそうです。理由はこれ以上子供のことを思い出して、互いに傷つきたくはないから。それが天国にいるであろう、我が子に対しての償いだと・・・。
真剣に離婚を考えながらもA課長は、予約してあるレストランへ向かいました。そこではお互い、言葉は交わすことはなくても、これが一緒に取る最後の食事であることはなんとなく、感じていたんだそうです。子供が生きていたらきっと喜ぶであろう、ミッキーマウスのショーを見ることができるレストラン。これが最後の晩餐になるんだろうなぁ、と夫婦共に考えていたそうです。
A課長は自分の心は死んだ子供にある。奥さんも亡くなった子供だけしか考えられなくなっている。どんなに思おうが、子供は生き返っては来ません。だけど、二人にとっては決して忘れることができないし、忘れる気持ちも毛頭ない、楽しい日々の思い出がある。共有する楽しい思い出と、それに残酷なまでに続く悲しい思い出です。
レストランに入り、「予約していたAですが。」と伝えると、キャストは席に案内してくれました。テーブル席です。空席がありますが、それは亡くなった子供の席です。Aさんと奥さんの間にある一つの空席。
その日は非常に混んでいたんだそうです。日本はおろか、アジア中からゲストが来ていたから当然です。Aさんの席は2人だけなのに、4人掛けのテーブルでした。Aさんもちょっぴり悪いかな、と考えました。そんな時キャストがこちらにやって来ました。
「お客さま、大変申しわけございませんが、御夫婦さまでしたら、二人掛けのテーブルに移っていただけないでしょうか?御家族連れに困っているお客さまのためにお願い致します。」と、そう言ったそうです。
夫婦だけなら、もっと小さなテーブルに行って、大きなテーブルは待ち疲れたファミリーに譲る。それはディズニーに限らず、レストランで食事を摂る者の当たり前のマナーです。だけど、Aさんは「悪いな」とは思いつつ言いました。
「混んでいるのは分かるんだよね。できることなら僕だって席を譲りたい。でも、実は昨年、私たちの子供が病気で死んだんだ。今日は、私たちの子の誕生日なんだ。私たちは子供の誕生日を祝ってあげたい。この真ん中の席には、子供が座る予定だったんだ。約束していたんだ。二人だけであれば当然、席を譲ろうかとも思うんだけれど、亡くなった子のバースデーだから、大変申しわけないんだけど、このままでいさせてはいただけないだろうか。」
それを聞いたそのキャストは、しばらく考えたあと「お客さま、それは大変失礼な事を言ってしまいました。大変申しわけございません。どうぞ、このままの状態でいらしゃって下さい。」と言って去って行ったそうです。
しばらくして食事が来ました。注文したのは二人分のフレンチのコースだったのに、なぜか3人分が来たそうです。しかも、真ん中の席にはきちんとお子さまランチが置かれたそうです。そしてドリンクはオレンジジュースでした。それを見たAさんはキャストを呼びました。「自分たちは子供の分までは注文していない。」と。
すると、「これは店のサービスです。お子さまの分はお店からのサービスです。」そうキャストは言ったそうです。そしてさらに、しばらくして、天井の明かりが少し落とされたかと思うと、突然アナウンスが聞こえてきました。Aさん夫妻は何だろう?と思い、マイクの発信先に目をやりました。すると、そのキャストが大きなケーキを持っていたのです。それもバースデーケーキを。
「みなさま、大変申しわけございません。本日は特別な日です。ここにいらっしゃる方のお子さまの誕生日なのです。どうかみなさま、いっしょにハッピーバースデーを一緒に歌ってはいただけませんか。」キャストはそう言うと、音楽と共に、ケーキをAさんのテーブルに運んできてくれたそうです。何人ものお客さんが、音楽に合わせてハッピーバースデーを歌ってくれたそうです。テーブルに運ばれてきたケーキ。すると自然に蝋燭の火が消えたそうです。理由は分かりませんが確かに静かに消えました。Aさん夫婦が立ち上がってお礼のために頭を下げると、拍手が起こったそうです。「おめでとう。」「おめでとう。」お祝いの言葉が色んなところから聞こえてきました。
やがて子供が大好きだったミッキーのショーが始まったそうです。そのときでした。Aさん夫婦は奇跡を見たそうです。真ん中誰もいないはずの席に、我が子が座っている。ミッキーのショーを見て喜んで手を叩いていたんです。ああ。ああ。
君と一緒に見たかったんだよ。Aさんは涙目になりながら、生前の我が子からは少し成長した我が子を見たそうです。ミッキーを見て笑顔で喜ぶ我が子を。横を見るとAさんの奥さんもハンカチで目頭を押さえて、同じように空席に座る少し成長した我が子を見ることを体験したそうです。
そのとき、夫婦で悟ったそうです。自分たちは間違っていたのかもしれない。自分たちが喧嘩ばかりしていたら、亡くなった子供はますます悲しくなってしまう。悲しみがひどすぎて、天国へもいけない。自分たちは間違っていたんだ。子供のことは忘れてはいけない。だけど、前に進まなればならないんだ。そう、夫婦で一瞬にして悟ったそうです。その直後、真ん中に座る子供はAさんと奥さんを右、左とゆっくりと見て、微笑んだそうです。声は出すことはなかったそうですが、こう聞こえたそうです。
『ありがとう。ありがとう。パパとママ、ありがとう。』
やがてショーが終わり、店内に明かりが再び灯りました。Aさん夫婦の間には手を付けられていない料理が一つ。けれど今、体験した奇跡を夫婦は本物であると疑いを持つことはありませんでした。2人手を握り締め合って、ディズニーランドをあとにしたそうです。
ディズニー7つの法則
このようなディズニーランドの素晴らしい経営の謎は、30万部を超えるベストセラーとなったトム・コネラン著の「ディズニー7つの法則-奇跡の成功を生み出した感動の企業理念-」という本で解明されています。
ディズニー7つの法則 新装版 奇跡の成功を生み出した「感動」の企業理念【電子書籍】[ トム・コネラン ] 価格:1540円 |
そのいくつかを紹介しましょう。
p31
モートはきれいな切手を集めるように、「細部にこだわる」エピソードを収集している。
p32
「競争の性質が根底から変わってしまったのです。町内の同業者だけが競争相手だという時代は終わりました。お客さんは文字通りすべての会社を比較します。すべての企業が「顧客満足」という土俵で勝負しているのです。
p39
ヒッチング・ポストひとつ、ないがしろにしない会社なら、お客さんが目にするもの、触れるものすべてに、細心の注意を払うでしょうね。細部にこだわることが、企業文化になっているからです。
p42
同じものを見ても、見るたびに新しい発見がある
p59
新しいキャストを迎えたとき、指導するというのではなく、伝統を伝えていくんです。
p75
ディズニーにふさわしくないものを”不法侵入”と呼んでいます。
p89
「変えたほうが顧客が喜ぶか、変えないほうが顧客が喜ぶか」
p104
サービス
①つねに相手の目を見て、笑顔を忘れない。
②ゲストの期待を上回る仕事をし、ゲストとのふれ合いを求める。
③つねに最高のサービスを提供する。
④すべてのゲストをひとり残らず、心から歓迎する。
⑤最善をつくし、妥協しない。
p104
チームワーク
①与えられた仕事以上のことをやる。
②協調精神を忘れない。
③ゲストや同僚と積極的にコミュニケーションをはかる。
④ゲストに魔法をかけつづける。
p110
人間というのは、自分が扱われているように他人を扱うものです。従業員の満足感と顧客の満足感はきってもきれない関係にあります。
p112
「プラスの評価をすること、しかも、すぐにその場で、何がよかったかを具体的に指摘することが大事なんです。」
p117
まったく失敗しない会社は、たぶん、新しいことを何もやろうとしない会社でしょう。失敗を避ける一番確実な方法は、新しいことには一切手を出さないことです。
p125
顧客が比較するすべての企業が競争相手になること。細部にこだわること。すべての人が、語りかけ、歩み寄ること。すべての物が、語りかけ、歩み寄ること。情報アンテナをあちこちに配置すること。報い、認め、讃えること。そして全員がキーパーソンであること。
p127
同じものをみても、人それぞれ受け取り方は違う。見る角度によって、同じものが違うものに見えてきます。ポイントは自分にとって何が重要かということです。勉強になることは、人それぞれ違うはずです。「生徒の準備ができたとき、教師が現れる」それと同じことです。学ぶ準備ができたとき、教訓が向こうからやって来ます。
さて、ウォルト・ディズニーは、
「夢はすべて実現する。」
「夢をかなえる秘訣は4つの『C』に集約される。」
と述べています。
4つの『C』とは、
「Curiosity – 好奇心」
「Confidence – 自信」
「Courage – 勇気」
「Constancy – 継続」
です。
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