四苦八苦
皆さん、おはようございます。
今日は、悩み事の多い人に向けたお話です。
仏教では、人間が生きる時に感じる苦しみの原因となる悩みを「煩悩」と呼んでいますが、煩悩はいくつあるか知っていますね。
そう、12月31日、大晦日に撞く除夜の鐘の108です。なぜか、公式野球の球の縫い目も108です。
ところで、「四苦八苦」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
四苦とは、「生老病死(しょうろうびょうし)」です。
残りの4つは、まず、求不得苦(ぐふとっく)。
求めても得られない時の苦しみです。失恋もそうでしょうし、入学試験や入社試験に不合格になることもそうでしょう。
次に、愛別離苦(あいべつりく)。
愛する人と別れねばならない苦しみです。順調に成長すれば、いつかはお父さんやお母さんの死にも出合うでしょう。
別れがあれば、出会いもあります。第3に、怨憎会苦(おんぞうえく)。
嫌な人とも出会わなければならないという苦しみです。生きていく上で、相性のよい人とだけつき合っていくわけにはいきません。社会の中で生きていくには、相手の立場に立って考える、思いやりの気持ちや心のゆとりをもっていないといけません。
そして最後は、五蘊盛苦(ごうんじょうく)。
身体や心から溢れるエネルギーや煩悩をコントロールする苦しみです。「有り余ることの苦しみ」とも言えるでしょう。エネルギッシュな中学生は、まさにこの時期です。
このように、人が生きていくためには、いろいろと「苦しい」ことがあります。「四苦八苦」とは自分の思い通りにならないことだと理解すればいいと思います。数字で書くと、不思議なことに 4×9 + 8×9 = 108 という計算が出来ます。
セーブ・ザ・チルドレン
さて、ACジャパンの広告で、セーブ・ザ・チルドレンという言葉を聞いたことがあるでしょう。
セーブ・ザ・チルドレンは1919年にイギリスで設立され、約100年にわたり、生きる・育つ・守られる・参加するという「子どもの権利」が実現された世界を目指して活動している国際NGOです。世界120ヶ国で、緊急・人道支援、保健・栄養、教育などの分野で活動し、日本国内では子どもの貧困問題の解決や虐待の予防などに取り組んでいます。
日本は2018年よりACジャパンの支援団体の1つに選ばれ、テレビや新聞・雑誌などのメディアや公共交通機関が無償で提供する広告枠において、セーブ・ザ・チルドレンの広告が展開されてきました。
今、世界では、5人に1人の子どもが紛争下で暮らしています。
学校に通えていない子どもは、6人に1人、
5~17 歳の子どもの約10 人に1人に当たる1 億5,200 万人が児童労働に従事しています。日本の子どもの総数が1,426万人ですから、その10倍の子どもたちが働いているのです。
働く子どもたちの写真を見てください。
ブルキナファソの金鉱山で働く子ども、ネパールの農業をする子ども、シオラレオネの薪を売る子ども、中国ウイグル自治区でコットンを摘む子ども、イエメンの石切り場で働く子どもたち、インドの木工所で働く子ども……共通点が分かりますか。
皆、子どもの顔じゃないでしょう。
また、セーブ・ザ・チルドレンで、こんな問題が出されています。
サラさんは、起きている時間の半分で家の手伝いを、残りの時間の2/3で妹の世話をします。6時間寝たとき、勉強は何時間できますか? 学校へは、歩いて往復3時間かかるものとします。
答えはこうです。
サラさんの睡眠時間は6時間で、起きている時間は18時間。起きている時間の半分(9時間)で家の手伝いを、残りの時間(9時間)の2/3(6時間)で妹の世話をします。余った時間は3時間。徒歩で往復3時間かかる学校に通おうとすると、通学時間だけで終わってしまいます。
つまり、サラさんが学校で勉強出来る時間は「ゼロ」です。
あなたは周りの人のためにいる。
先日、私のもとに「国境なき医師団」から支援のお手紙が来ました。
「この子たちは、日本に生まれていれば、こんなことにならなかったろうに。そう思うとやるせない気持ちになります」と書かれていました。
私たちは日本に生まれただけで幸せと言えるのではないでしょうか。自分の周りにいる人や世界の人々に対して何が出来るのかということを考えてみると、今ある悩みは、半分になるでしょう。
ただ、世のため、人のために出来ることは、何もボランティア活動や社会貢献だけではありません。
・朝、会ったご近所の人に「おはようございます」と声をかける。
・道におちていた空き缶を1本拾って、ゴミ箱に入れる。
・レジ横の募金箱に1円を入れる。
・誰かに何かをしてもらったら「ありがとう」と返す。
・省エネなど、何でもいいので、地球にやさしいことを実行する。etc.
あなたのために周りの人がいるのではなく、あなたが周りの人のためにいるのです。
「忍辱」の心
次に、ネズミを使ったストレス実験を紹介しましょう。
箱に入ったネズミに電気を流すと、ネズミは苦しくて走り回ります。ネズミ(A)には、あるポイントを押すと、その電気が止まることを学習させます。そのうち、ネズミ(A)は電気が流れるとすぐに電気を止められるようになります。もう一方のネズミ(B)の方は、電気を止める方法がありません。何回か、電気を流していると、先に倒れたネズミはどちらだったでしょうか?
答えは、電気を止めることを学習していたネズミ(A)だったのです。ネズミ(A)の胃は、ストレスで穴があいていました。一方、ネズミ(B)は、ひたすら我慢を覚え、電気が止まるまで、じっとしているようになりました。
「苦」に対して、どう対応するのがいいのでしょうか。解決法を考えて見つけ出すのも一策でしょう。しかし、ネズミの例のように、じっと我慢し、時が経つのを待つのも有効な策だということです。
ただ、苦しいことを「我慢しろ」と言いたいわけではありません。「我慢」に似た言葉に「辛抱」という言葉があります。少年院を慰問し、入所している少年たちを相手に漢字の授業をしているゴルゴ松本さんは「辛いことは抱きかかえよ。それが『辛抱』だ」と述べています。「辛」という字は、横棒をもう一本引くことで、「幸」という字になりますね。
私たちの生きている世界では、自分の思い通りにならないことの方が多いと言えます。思い通りにならない時、いちいちそれに腹を立てていても仕方ありません。思い通りにならないことに対して、その原因を分析し、解決法を見出だすようにすべきでしょうが、すべてそういうわけにはいかないでしょう。そういう時の得策は何でしょうか。
それは、「忍辱(にんにく)」の心です。忍辱とは、仏教の修行の1つですが、要するに我慢すること,辛抱すること,耐えることです。これほど文明が栄えても、私たちは自然の脅威には勝てません。台風や地震などの自然災害をなくすことも出来ません。自然の脅威に対して、人間は辛抱するしかないのです。同じことは、対人関係でもあります。自分の力ではどうしようもないことがあり、それに対しては我慢するしかないのです。
このように、「忍辱」には、生忍(対人関係での我慢)と法忍(自然環境への辛抱)があります。他人や自然と上手に付き合いましょう。
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