―ストレスに対する〝極楽とんぼ〟な「生き方」―
皆さん、おはようございます。
季節の変わり目、ストレスいっぱいなんて人はいませんか?
ストレスは、うつ病・不安症・心臓病の原因になるだけでなく、免疫力を低下させ、ありとあらゆる病気の原因になります。また、やる気や自信の低下など、精神面にも悪影響を与えます。ストレスに対して強い性格・考え方の持ち主にどうすればなれるのでしょうか?
言葉のご馳走
金平 敬之助という人が、「人には五つのタイプがある。」と指摘しています。
一.言う前にわかる。
二.言えばわかる。
三.言ってもわからない。
四.言えば反発する。
五.初めから聞く気がない。
しかし、どんな相手でも、「言葉のご馳走」をふるまえば、その人の人生を大きく変えることができるそうです。
1.感謝の言葉;「どうもありがとう。」「ご苦労さま。」 何度言っても言い過ぎるということはありません。この一言で苦労も吹き飛んでしまいます。 |
2.相談する言葉;「あなたはどう思う?」「是非、教えてください。」 相談されれば、誰でも嫌な気はしません。当事者意識が生まれて、やる気も出てきます。 |
3.期待と激励の言葉;「ここはひとつ、あなたに期待する。」「頑張りなさいよ。」 多少の心配があっても、おのずと元気と自信が沸いてきます。 |
4.信頼する言葉;「ここは君に任せた。」「君ならきっと出来るよ。」 任されて頑張らない人はいません。 |
5.誉め言葉;「よくやった。」「すばらしいね。」 誉められれば自信が沸いてきて積極的になります。 |
この「言葉の御馳走」は、すべて、プラス思考・ポジティブ思考による言葉です。人は誰でも、朝起きると、マイナス思考・ネガティブ思考からスタートするそうです。ですから、1日の始まりの早い時期から、「言葉の御馳走」をいただくことが大切です。
楽天主義optimism
人の性格をざっくり分けると、2つに分かれます。オプティミストoptimist(楽観的な性格)とペシミストpessimist(悲観的な性格)のタイプです。言い方を変えると、プラス思考とマイナス思考、ポジティブ思考とネガティブ思考となります。
仕事で、先輩から「頑張れよ」と言われた時に、オプティミストは、「私に期待してくれている」と喜びますが、ペシミストは、「これ以上、どうやってがんばるんだよ!」と腹を立てます。
失恋した時でも、オプティミストは、「もっといい人はいくらでもいる」と考えますが、ペシミストは、「彼女以上の人はどこにもいない」と嘆きます。
・ストレスに強い。
・人生で成功しやすい。
・体が健康
・寿命が長い。
・人に好かれる。
・疲れが少ない。
・眠りが良い。
・行動力が高い。
・神経過敏
・人付き合いが苦手
・イライラしやすい。
・落ち込みやすい。
・立ち直りが遅い。
・心の病になりやすい。
・体調を崩しやすい。
・行動力がない。
また、ハーバード大学が70,021人の健康データを分析した研究では、オプティミストはペシミストより生存率が29%高く、癌の発症リスクは16%低く、52%も感染症にかかりにくい傾向にあることが指摘されています。
アメリカの心理学学会の会長を務めたマーティン・セリグマン氏は、「オプティミストはなぜ成功するか―ポジティブ心理学の父が教える楽観主義の身つけ方―」という本で、現在ペシミストであっても、後天的な学習でオプティミスト的な考え方を身につけることができ、考えるまでもなく、楽観主義な性格の方が得をすると述べています。
歴史上、最もオプティミストであった人は、生後19ヵ月で猩紅熱のために目・耳・口が不自由になり、「見えない、聞こえない、話せない」という三重苦を抱えながらも、家庭教師アン・サリバンの厳格かつ献身的な教育によって読み書きを覚えて大学を卒業し、「奇跡の人」と呼ばれ、世界各地で講演して盲唖者・身体障害者を励ます福祉活動に献身したヘレン・ケラーではなかったかと思います。実際、彼女が
大学在学中に書いた第一作に、『楽天主義(OPTIMISM)』という本があります。
ヘレン・ケラーは、
「楽天主義こそいっさいを成功に導く信念である。希望がなければ何ごとも成就するものではない」
「悲観的に考えてしまうと、なかなか希望がもてないのでしょう。希望がなければ、努力もできず、何も成就できないでしょう。」
「明日は今日より美しい。明後日は明日よりさらに美しい。楽天主義者はそのように信じている。」
と述べています。
楽天主義者になるには、些細なことでも成功体験をコツコツと積み上げていくことが大切です。
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性格を変える方法
オックスフォード大学などの膨大な研究により、最近の心理学では、性格は生まれもった遺伝子に加え、他の3つの要素と絡み合って決定するとしています。
遺伝子が性格に与える影響は35~41%。すなわち、性格の60%は、自分の力で変えられるということです。
そして、性格を決める遺伝以外の3要素とは次の3つがあげられています。
❶脳の可塑性
❷腸内環境
❸エピジェネティクス
(1)脳の可塑性
映画俳優のレオナルド・ディカプリオは、ある映画で強迫性障害の役を演じました。その映画を撮影しているうち、彼は、本当の強迫性障害になってしまったのだそうです。たとえ演技であっても、同じことを繰りかえしていたら、脳が変化してその通りの人間になってしまいます。これが脳の可塑性です。どんな俳優でも、悪役を演じる続けると、性格も悪くなるそうです。
では、脳の可塑性を利用して、オプティミストになるには、具体的にどうすればいいかというと、「ポジティブなことをたくさん考えること」です。ヒントは、感動する,感謝する,誰かを褒める,大笑いする,ことです。そうすることによって、ポジティブ思考回路が大きくなります。
ただ、注意しておかなければならないことは、ポジティブなことを1つ考えてポジティブ思考回路が1つ大きくなったとしても、ネガティブなことを1つ考えると、ネガティブ思考回路は3つ大きくなるということです。つまり、ネガティブ思考回路のほうが、3倍成長しやすいということです。なので、ポジティブなことを4回考えて、ネガティブなことを1回考えるくらいのペースでないと、オプティミストにはなれません。
(2)腸内環境
楽観的な性格になるのに欠かせないものは、セロトニンという脳内ホルモンです。セロトニンが大幅に不足すれば、どんな人でも悲観的な性格になります。そのセロトニンは、90パーセントが腸で作られています。ですから、腸内環境を整えることが大事なのです。
腸内環境を整える主な方法は、次の3つです。
①野菜と果物をたっぷり食べる。
食物繊維とオリゴ糖が、腸内細菌のエサになります。
②プロバイオティクス
ビオフェルミンやヤクルト、乳酸菌ヨーグルトなど、腸内細菌を食べることです。
③運動習慣
筋トレよりも、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が有効です。
(3)エピジェネティクス
エピジェネティクスとは、遺伝子のON/OFF機能のことです。遺伝子は、すべてが使われているわけではなく、ONになっている遺伝子だけが使われています。
たとえば、激しいダイエットをすると、脳は「食料が少ないぞ」と勘違いをして、肥満遺伝子や大食いの遺伝子をONにしてしまい、結果として、太りやすい体質になってしまいます。
宇宙飛行士の研究で、340日間宇宙で滞在した人のエピジェネティクスを調べたところ、なんと、9000個以上のエピジェネティクスが起きていたそうです。一日に換算すると、26個。つまり、1時間に約1個のペースでエピジェネティクスが起きていたということです。
無駄なエピジェネティクスを防ぐポイントは、「この環境は安全だぞ」と脳を安心させることです。そのために私たちができることは、情報の選択と「エクスポージャー法」です。
情報の選択は、テレビ、週刊誌、SNSなどから、ネガティブな情報ばかりを取り込まないようにすることが大切です。笑えるものとか、感動するもの、生活に役立つ情報や癒し系の情報など、心が明るくなるような情報を意識して取り入れましょう。
「エクスポージャー法」というのは、ちょっとだけ勇気のいることにチャレンジすることです。たとえば、家の前で見かけた赤の他人に「おはようございます」と挨拶してみるなど、これまでやったことのないことに何度かチャレンジすることで、慣れてきて不安がなくなり、自分にとっての安心ゾーンが広げることが有効です。
なお、睡眠不足や運動不足は、暗いことばかり考えるネガティブ脳になってしまう危険性が高いことも報告されています。
最善観―「まあいいか(ま、いいか)」―
ところで、これまでの人生の中で、「あの人だけは許せない。」「あいつのことは思い出したくもない。」ということがありませんか。
私はありました。
いつまでも、そういう恨みや憎しみを心の中に抱えているのはしんどいことですね。
心学研究家・潜在能力研究家の小林 正観先生から、「許せない人のことでも、感謝はできますか?」と問われました。
「国民教育の師父」と言われた教育哲学者の森 信三先生は、「最善観」という考え方を提唱さています。これは、「わが身に降りかかる一切のこと、それは自分にとって絶対必然であり、また実に絶対最善である。」ということですが、自分にとって許せない人であっても、その人との出会いや交流があったから、今の自分があるということもあるでしょう。そう考えると、好きにはなれないけれども、感謝はできるということもあると思います。
「許す」の語源は「ゆるます」だそうです。つまり、緊張の糸をピンと張っているのを「ゆるます」ことが「許す」ということです。「まあいいか(ま、いいか)」とゆるますことが、「許す」ことの本質です。感謝することはできると考えるだけで、心の緊張がゆるみます。
2007年に紫綬褒章を受章された、『課長島耕作』『黄昏流星群』『人間交差点』等で有名な漫画家の弘兼 憲史氏は、「たいがい人は『どうにもならないこと』をくよくよ悩んでいるもの、『過ぎてしまったこと』『起こってしまったこと』にいつまでも怒っているというケースも多いのではないでしょうか。」と言い、「人生は『まあいいか、それがどうした、人それぞれ』の精神で生きていった方がずっと楽しいし、自分らしくやっていけます。悩みを抱えたり、問題に直面したり、人がうらやましくなったときには、ぜひこの言葉を思い出してください。」と話されています。
日時計主義
アメリカ小説家、エレナ・エミリー・ホグマン・ポーターの書いた「ポリアンナ」は、1986年にフジテレビで毎週日曜の『世界名作劇場(ハウス世界名作劇場)』で放送されて有名になりました。主人公の少女パレアナは、喜びを発見するゲームが得意でした。
「鏡のないおかげで自分の嫌いなそばかす顔をみなくてもよい、あ~よかった!」
「絵なんて飾らなくても、窓からこんなに素敵な景色が見える、あ~よかった!」と考えるのです。
日時計は太陽の輝く時だけを記録します。それと同じように、物事の「明るい輝き」のみを記録し表現するのが「日時計主義」です。
子どものマイナス面ばかりを指摘していると、やがて自信を失い、問題行動を起こすことにも繋がりやすいと言われます。それより、プラス面を見つけて「素晴らしいねえ」と伝えてあげる(褒めるとは違います)ことで、子どもはやがて自立していくようになるのです。
そのためには、まず、大人(親や教師)が、自分自身のプラス面を自覚して、さらに伸ばすようにしなければなりません。
レジリエンス(resilience)
同じコロナウイルスにかかっても、風邪症状で終わってしまう人から重症化して亡くなる人もいます。このような個人差が出るのは、人の体には免疫と言う病気にかかりにくい抵抗力があり、この免疫の力が個人によって異なるからです。
心の病気に関しても、同じストレスを受けながら何も感じない人もいれば、心の病気になる人もいます。例えば、災害の被害を受けると、2割くらいの人がPTSDという病気になります。しかし、同じ被害を受けながら8割の人はPTSDになりません。これは、人の心にも体の免疫に似たものがあり、その差によって、心を病む人と病まない人がいるのです。
このようなストレスへの心の抵抗力、しなやかに立ち直る力をレジリエンスと呼びます。心の免疫に相当するもので、心の強さとも言えるでしょう。
一般に、ストレスの対処の仕方には大きく4つあると言われています。お茶の水大学名誉博士で生命科学者の柳澤 桂子氏が、次の4つをあげています。
①ストレスの原因であるストレッサーから逃げる。
②ストレッサーと闘う。
③ストレッサーに諂(へつら)う(過剰反応する)。
④ストレッサーに従ったふりをしながら従えてしまう。
1.楽観的
2.一喜一憂しない。
3.すぐに諦められる。
4.良い面を見つけられる。
5.人のために生きる。
6.ユーモアがある。
7.理解者がいる。
しかし、残念ながら、レジリエンスをどのようにすれば高めることができるのか、すなわち、どうすればレジリエンスの強い人の性格となれるのかということに関しては、未だ、明確な方策は明らかにされていません。
そもそも、レジリエンスという概念を持ち込んだのは、ヴィクトール・E・フランクルです。彼はユダヤ人としてアウシュヴィッツに囚われ、奇蹟的に生還し、「強制収容所における一心理学者の体験」として、『夜と霧-ドイツ強制収容所の体験記録-』を著しています。
アウシュヴィッツでの体験が現代日本人のストレスに対する心の抵抗力に活用することに無理があると思います。レジリエンスは時代や民族、国や地域によって、違いがあるからです。
ベネフィット・ファインディングbenefit finding
最後に、ストレスに対する最強の対処方法、すなわち、誰もができる有効なストレス対処方法を教えましょう。
フグは、そのまま食べると毒になります。ところが、ひと手間くわえると、高級料理に早変わりするのと同じように、ストレスもそのままでは毒になりますが、ストレスの中にあるプラス面を見つければ、ストレスが自分の味方になってくれるのです。
そのひと手間が、ベネフィット・ファインディングとよばれるものです。ストレスに何とか対処しようとするなかで、ベネフィット・ファインディングを行えば、ストレスは心と体の栄養へと変わり、人生の原動力にもなります。
ベネフィット・ファインディングの具体例をいくつかあげてみましょう。
①「部長は頑固でイヤになっちゃうけれど、ナヨナヨした部長よりはマシだね。困ったときは頼りになるし・・・」
②「風邪を引いて苦しい思いをしたおかげで、健康のありがたみに気づけた。これからは、もっと自分の体をいたわろう。」
③「仕事はたしかにキツいけど、いい運動になっています。」
④「悪夫とやっと別れることができた。これからは自由だ。苦労もあるかもしれないけれど、新しい人生を切り開いていこう。」
⑤「毎日バタバタと忙しいけど、でも充実してる。」
⑥「仕事で大失敗しちゃったけど、でもこれ、いいネタになる。」
⑦「沖縄旅行の間、ずっーと台風。ツイてないけど、きっと一生忘れられない思い出になる。」
⑧「財布をなくして大変だったけど、でもいい勉強になった。これからはしっかり管理しよう。」
⑨「できればプレゼンなんかやりたくないけど、でもこれで、また一つ成長できる。いいチャンスだ。」
⑩「子育ては大変だけど、これで両親の苦労がわかった。感謝できるようになった。」
⑪「あの人はひどい性格だな。でも、自分がそういう性格に生まれなかっただけでも有り難い。」
⑫「店は廃業することになったけれど、でも、この経験は将来きっと生きてくる。人生の糧になる。」
ところで、皆さんは歳を取ることについてどう思いますか? いくらアンチエイジングに励んだとしても、歳を減らすことはできません。確実に「死」に向かって進んでいるのです。
しかし、「歳を取ると、シワが増えたり、気力が衰えたり、嫌なことも多いけれど、知恵や経験が豊富だから、上手く生きていける。経済的にも余裕があるし、時間の余裕もある。」
というように、歳を取ることにプラス面を見つけている人は、そうでない人より、平均で3年も寿命が長いのだそうです。また、心臓発作を起こす可能性が5分の1という結果も出ています。
最後にベネフィット・ファインディングの効果を10個あげましょう。
・寿命がのびる。
・免疫力アップする。
・うつ病・不安症・心臓病になりにくくなる。
・腰痛や不眠症がへる。
・病気やケガの回復が早くなる。
・やる気と集中力がアップする。
・自信がつき、人生に希望がもてる。
・性格が積極的で粘り強くなる。
・優しくなれる。
・人生満足度・結婚満足度が高まる。
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