「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」
皆さん、おはようございます。
1895年10月26日、俳人、正岡子規が奈良旅行で詠んだ有名な歌です。子規はその後、カリエスで病床にありながら「根岸庵俳句会」を主宰し、近代短歌の確立に尽力しました。1897年には、夏目漱石の「吾輩は猫である」が連載された雑誌としても有名な俳誌「ホトトギス」を発刊しています。
子規の歌には、私たちの琴線に触れるものが多いと思います。
いくたびも 雪の深さを 尋ねけり
真砂なす 数なき星の 其中に 吾に向ひて 光る星あり
いちはつの 花咲いでて 我目には 今年ばかりの 春行かんとす
ところで、法隆寺といえば、宮大工、西岡常一氏がこんな言葉を残しています。
「癖のある( )を使うのは厄介だが、うまく使えばその方がいいこともある。
癖のある( )ほど、その命も強い。反対に癖のない( )は弱い。
癖のある( )は何も悪いものではない。要は使い方次第である。」
( )に入る言葉は何でしょうか?
答えは、当然「木」です。西岡氏は、木の個性を見抜いて使う方が強いし、耐久年数も長いのだが、最近は個性を優先するより平均化してしまった方が仕事が早いので、安易に使い易い木を用いているといって嘆かれています。
ところで、( )には、「人間」という言葉を入れても、おかしくないですね。事実、西岡氏は、人間も木と同じで、癖のある人材を求めたいと述べられています。
癖は、その人のトレードマークでもあります。「癖のある木ほど強い。」というのは、人間にも当てはまるでしょう。
人は、いろんな「癖」を持っています。しかし、悪い癖は直さないといけないと思います。
直したい「しぐさ」
先日、職場で、ある上司に3人の部下たちが報告をしている場面に遭遇しました。
見ると、Aの部下は腕組みをし、Bの部下は腰に手を当て、Cの部下はポケットに手を入れて話をしています。
私は思わず、「きちんとした姿で立って、話をしなさい。」と声をかけてしまいました。
「心理カウンセラーが教える相手の深層心理が分かる仕草や癖」によると、腕組みをする人というのは、次のような心理があるそうです。
①警戒心、拒絶の表れ
②考え事をしている。
③隠し事をしている。
これは男女では少し異なり、男性の場合は「自分をかっこよく見せたい」「他者を寄せ付けない強さをもっている」と無意識に威嚇する心理が働き、女性の場合は自分を魅力的に見せたいという心理だそうです。
また、腰に手を当てて話をする人は、次のような深層心理だといわれています。
①自分の体を大きく見せ、自分の意見や主張を押し通したい。
②拒否の意味合いで距離を置きたいと考え、相手に自分の領域に入って欲しくない。
③結局、相手のことをバカにし、見下している。
ビジネスシーンでは、手を後ろに組む人は、警戒心を示し、相手を信用していないことの表れで、偉そうな態度に見えることから、「マナー違反」とされているのと同様で、腰に手を当てて話をしたり、ポケットに手をいれながら話をしたりする態度も、問題ありだと私は思います。生徒に話をする時もそうですが、特に保護者や地域の方と話をする時に、腕組みをしたり、手を腰に当てたり、ポケットに手を入れて話をするというのは、大変、損する行動だと思います。
ポケットに手を入れて上司に話をするなんてのは論外でしょう。
以下のような態度や仕草は、相手の心理状態を知る上でも役立つでしょう。是非、参考にしてください。
(1)鼻をよく触る人は・・・嘘つき。
(2)耳や耳たぶを触る人は・・・会話に不満を感じたり、相手を苦手に思っている。
(3)唇を舐める人は、・・・緊張している。
(4)舌を出す人は・・・リラックスし、好意や安心感、信頼感を持っている。
(5)口を隠す人・・・自分の考えや意見に自信がなく、心情を隠そうとしている。
(6)目をこする人は・・・相手の発言を否定している。
(7)髪を自ら撫でる人・・・「褒められたい」や「甘えたい」などの心理が隠れている。
(8)椅子に浅く座る人・・・その場に長く居たくない。
(9)足を組む人は・・・安心しているか、警戒している。常にプレッシャーにはさらされている。
(10)首を傾げる人は・・・会話の内容に満足しておらず、相手を見下している。
(11)貧乏ゆすりをする人は・・・ストレスで不満・不安・退屈等のプレシャーを感じている。
(12)手を後ろに組む人は、警戒心が強く、他人を信用していない。
(13)ペン回しをする人は、眼の前にあることに不安を感じていたり、悩んでいることがある。
(14)眉毛を触る人は・・・喜怒哀楽を隠そうとしている。
(15)眉を抜く人は・・・過度のストレスがかかっている。
(16)ポリポリと頭をかく人は・・・恥ずかしいと思ったり、照れている。
(17)唇を噛む人は・・・感情を抑え込み、極度のストレスを感じている。
(18)まばたきが多い人は・・・嘘を隠したい、恥ずかしいなどの緊張状態にある。
(19)髪をかき乱す人は・・・悩んでいたり、イライラしている。
(20)髪をかき上げる人は・・・無意識に女性らしさをアピールしている。
(21)指先に髪を巻きつける人は・・・退屈している。
(22)髪を強く引っ張る人は、ストレスを感じている。
(23)足を広げて座る人は、無警戒か、体を大きく見せ相手を無意識に威嚇している。
(24)ふんぞり返って座る人は、縄張り意識が高く、プライドが高い。
(25)首を傾げる人は、会話の内容に満足しておらず、相手を見下している。
(26)ペン回しをする人は、眼の前にあることに不安を感じていたり、悩んでいることがある。
(27)爪や物を噛む人は、ストレス・不満・苛立ちを感じている。
(28)机をトントンと叩く人は、「話が退屈」「会話を終えたい」「意味が分からない」
(29)ポケットに手を入れる人は、警戒心が高く、心を開きにくい「人見知り」
(30)ため息をつく人は、緊張や不安などを感じている・
(31)頬杖をつく人は、不満や退屈を感じている。
(32)早口な人は、自己主張が強く、頑固。事務処理能力や頭の回転も早い。
(33)頭の後ろに手をおく人は、ライバル心が高く、見栄っ張り。
(34)頭の上で手を組む人は、頭を使う作業をしていたり、リラックス状態である。
(35)胸の前で手を組む人は、何かしらの緊張状態にある。
(36)机の上で手をギュッと握って人は、何かしら考えごとがあり、その考えに集中している。
(37)机の上で手を軽く組んいる人は、リラックスしている状態。
(38)スマホが手放せない人は、何かに依存していないと落ち着かない心理。
直したい「口ぐせ」
以前、ある若い先生から仕事上のアドバイスを求められたので、私なりに経験と知識を駆使して一所懸命にお答えしました。
すると、その先生が、ことあるごとに「確かに。」という返事をするのです。同意されるのはいいのですが、次第に、私はアドバイスをすることに違和感を覚えて、「もういいか」という気になってしまいました。
私は若い頃、先輩からアドバイスを受けた時に「なるほど」というのはおかしいと教わったことがあります。ネットを見てみると、ビジネスマナーとして、使ってはいけない言葉がいろいろと載っていますので、紹介しましょう。
1.特に問題ありません。
2.部長なりのお考えをお聞かせください。
3.はい、分かりました。
4.それはできません。
5.私も知っております。
6.部長、私もご一緒します。
7.課長、いってらっしゃい。
1.「なるほどですね。」
2.「ご苦労さまです。」
3.「こちらが資料になります。」
4.「〇〇様がお帰りになられます。(お越しになられます。)」
5.「珈琲と紅茶、どちらにいたしますか。」
6.「~ございます。」
7.「~させていただく。」
8.「〇〇の方(ほう)」・・・「お返事のほうをお願いします。」「大学のほうは文学部でした。」
9.「部長がおっしゃられました。」
10.「私的には」「私といたしましましては、」
11.「~になります。」
12.「部長さんは、出かけていらっしゃいます。」
13.「お暇なときにでも」
14,「私には役不足です。」
他に、「すみません」「お久しぶりです。」「(商品を)存じ上げております。」「お名前を頂戴できますでしょうか?」「こちらが〇〇部長でございます。」「一応、作業が終わりました。」「以前は、マラソンとかしていました。」「〇〇様が参られました。」「コーヒーでよろしかったでしょうか。」「社長はゴルフをやられますか。」「〇〇様でございますね。」「たしかに〇〇に申し伝えます。」「お電話の声が遠いようなのですが、」「〇〇は本日休みを頂戴しております。」「つまらないものですが、」「ご了承ください。」などがあげられています。
教師同士ならまだしも、保護者に対して言葉遣いを間違うと、無用なトラブルを引き起こすことがあります。私も保護者から成績について質問の電話がかかってきた時、「期末テストの点数がひどいですね。」と言ってしまい、余計に保護者を怒らせてしまったことがありました。
ついでに、、普段違和感を覚えている言葉を一つ・・・「お疲れ様です。」と言われると、「別に疲れてなんていないよ。」と言い返したくなります。本来、「疲れる」という言葉は、霊か何かに「取りつかれている→憑依されている」という意味だそうですから、帰る時に、「お疲れ様」と言われると、思わず後ろを振り返ってみたくなるのは私だけでしょうか?
「江戸思草」
「江戸思草」とは、もともと「商人しぐさ」,「繁盛しぐさ」といわれ、商人道、哲学として語られる江戸っ子のマナーをいいます。
現在の東京は約1,200万人くらいです。1k㎡当たりの人口密度は、約5,700人になりまあす。しかし、300年前の江戸の人口密度は、なんと、60,000人だったそうです。江戸の町は、現在の東京23区よりも、ずっと狭かったのです。その中で8割は武家屋敷で、残りの2割に町人が住んでいました。
また、現在の東京には、42,000人くらいの警察官がいて、安全を守っていますが、江戸の町では、警察官の代わりに「同心」という人が、安全を守っていましたが、その数は、僅か24人だったそうです。
最近の公共広告機構(AC)のCMなどでも「江戸しぐさ」が取り上げられていますが、江戸しぐさは、互いに尊重し助け合い、地域で快適に暮らすための「共生の哲学」で、江戸商人のリーダーたちが築き上げた人間関係を円滑にするための知恵でもありました。この江戸しぐさのできない大人は、田舎から出てきた「ポッと出」と見られて,スリにねらわれたそうです。
・肩引き:道を歩いて、人とすれ違う際、左肩を路肩に寄せて歩く。
・傘かしげ=雨の日に狭い路地ですれ違う時、濡れないよう互いの傘を外側に傾ける。
・こぶし腰浮かせ=乗合船などで込んだ席では腰をこぶし一つ浮かせて詰める。
・三脱の教え=人を肩書き、年齢、職業で判断してはいけない。
・♪「指切りげんまん、うそついたら針千本飲ーます。指切った」・・・この歌の最後には「死んだらご免」とつけたそうです。これは、うそをついたり約束を破ったりしてはいけないということを教える「江戸しぐさ」でした。うそをついたり約束を破ったら、指を切っておわびします、げんこつ1万回の罰を受けます、針千本飲みます、という意味です。ただし、自分が急な事故などで死んでしまったら約束は守れないので、「死んだときは守れないけどご免なさい」と言う意味で「死んだらご免」と言ったのです。
・時泥棒:断りなく相手を訪問したり、約束の時間に遅れるなどで相手の時間を奪う。 →十両の罪にあたる。
・うかつあやまり:たとえば相手に自分の足が踏まれた時に、「すみません、こちら がうかつでした」と自分が謝ることで、その場の雰囲気をよく保つこと。
・七三の道:道のど真ん中を歩くのではなく、自分が歩くのは道の3割にして、残りの7割は緊急時などに備え他の人のためにあけておく。
・逆らいしぐさ:やってもみないうちから、「でも」「だって」「そうはいっても」「しかし」と文句を並べ立てて逆らうことをしない。
年長者のいうことには,とにかく素直に従ってみる,自分が知らないことは知っている人の意見に従うことが大事。年長者や経験者の助言はそれなりの配慮があってのことだから、多少、無理があってもそれを実行することが、本人の成長につながると考えた。
・喫煙しぐさ:たばこは同席した相手が吸わなかったら自分も吸わない。
・死んだらごめん:どんな小さな口約束も守る。守れないのは死んだ時だけ。
・三脱の教え:初体面の人には年齢、職業、地位を聞かない(先入観を防ぐため)。
・尊異論:人は異なっていて当り前。違いを尊重して受け入れる。
・結界わきまえ:自分の立場、力量、器量を客観的に把握しておくこと。
・陽にとらえて:何事も明るい方向にとらえて対処する。
・「水かけ言葉」を使わない:「それがどうしたの」は気分を冷やす。
・肩引き:人とすれ違うときに右肩、右腕を後ろにひいて互いにぶつからないようにするしぐさ。
・「おはよう」には「おはよう」:江戸しぐさは互角のつき合い。丁稚が「おはようございます」なら、旦那も「おはようございます」。
・「どちらへ」と聞かない:プライバシーを大切に。「お出かけでございますか。お気をつけて」がスマート。
・腕組みしぐさ・足組みしぐさは衰運のしるし:相手に敬意が感じられない。
・おつとめしぐさ:己の道に徹しているしぐさ。黒子に徹する姿からは他人には真似のできない強さや美しさを感じる。
・即実行:江戸しぐさの基本姿勢。まずやってみて、やりながら考える。そして改善するべきところはどんどん改善していく。
・もったい大事しぐさ:一枚の浴衣も、古くなれば赤ちゃんのおむつに、さらには雑巾にと徹底的に使い込む。
・お心肥やし:江戸っ子は教養豊かでなければならないということをこう呼んだ。ここでいう教養とは読み書き算盤のほか、人格を磨く事が何よりも大切なのだという意味合いが強く込められている。
・「打てば響く」:江戸っ子はすばやく対応することを身上とした。当意即妙の掛け合い、初対面で相手を見抜く眼力など、その切れ味が真骨頂とされた。
・「はいはい」:物事を頼まれた時の返事は「はい」の一言でよい。一人前の大人に返事を繰り返すことは、目上の人に向かって念をおす行為と受けとられ、してはならない失礼とされていた。
さて、これらの江戸しぐさは、何歳くらいまでに教えられたと思いますか。
江戸っ子を育てるための言葉として、「三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五理で末決まる」というのがありました。3歳までに素直な心を、6歳になるとその振る舞いに節度をもたせ、9歳では人様の前でも恥ずかしくない言葉遣いを覚えさせ、12歳ではきちんとした文章が書けるようにさせ、15歳にもなると物の道理がわかるようにしなければならないというものでした。すなわち、6歳までに、手取り足取り、口移しで体得させられたのでした。
この教えは現代にも通用する教育論ですね。
◆「三つ心」 数え年の3歳までに、目に見えない心の糸をしっかりと張り込み、糸(心)が手足を動かすことを体感させる。
◆「六つ躾」 6歳までには身体と脳を結ぶ糸を、何度もなんども動かし、繰り返すことによって、上手に美しいしぐさができるようにします。「傘かしげ、肩引き、カニ歩き、うかつ謝り」のお初しぐさ(稚児しぐさ)をマスターさせます。
◆「九つ言葉」 9歳までにどんな人にもきちんとあいさつができること。また、大人の「世辞」がいえるようになること。「世辞がいえる」ことは、江戸っ子の条件でした。
◆「十二文(ふみ)」 12歳までには、請求書、納品書、弁解書までまがりなりにも書けるようにしました。万一、主が亡くなっても代理ができるようにするためです。こうしたことが子どもに一人前の人間としての自覚をもたせることにつながります。
◆「十五理(ことわり)で末決まる」 森羅万象を暗記でなく、実感として理解できるのは十五歳だそうで、この年齢でその人間の行く末というか、展望が大体決まるということを意味しています。
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