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1-5 健康・安全指導のコツ

タイトル 1-5健康・安全指導のコツ
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不登校生や欠席者の多いクラスは、なかなか活気が出ません。連鎖反応で、休む生徒も多くなってきます。

また、登校していても、体調を崩して保健室に出入りする生徒が多いと、これも連鎖反応が起きてきます。

心身の健康や安全については、普段から一番気をつけて指導しなければならないことだと思います。日常の健康観察を怠らないようにすることは勿論のこと、養護教諭にも助言を求めながら、生徒の発達段階に応じた保健活動を活発に進めていきましょう。

体調管理のアドバイスをする。

食事・休養(睡眠)・運動について、全体にも個々にも普段から気をつけ、体調管理の術をアドバイスすることが大切です。

中学生になると、部活動に入ったり、塾に通ったりして、生活リズムが大きく変化します。小学校よりも学校が遠くになることも多く、部活動の早朝練習が始まるなどするので、早寝早起きを心掛け、朝型の体にしておくことをアドバイスしておくとよいでしょう。

また、姿勢教育にも関心をもちましょう。姿勢の悪い生徒は、視力や体力の低下がある,精神面が不安定である,基本的生活習慣が身についていない,生活様式に問題がある,脊柱側弯症などの骨格の異常や内臓の疾病がある,などの可能性が考えられます。特に、「気をつけ」の姿勢のできない生徒は、背骨を支える腹筋、背筋が低下しており、運動能力が低く、歌を歌うことも得意でありません。姿勢が悪いと心身の発達・発育にも悪影響を及ぼすことを理解させ、生徒同士でも注意を喚起するように指導しましょう。

保護者の協力を得る。

保護者の理解と協力なしに、健康・安全指導は成り立ちません。風邪をひいたり、食中毒にかかったりしないよう、季節や時期に応じて、学級通信や保健だよりなどによって、保護者にも健康管理の理解と協力を求めることも大切です。

また、どうしても欠席しなければならない時は、家庭からの連絡をしてもらうように働きかけておきましょう。無断で休むことが1,2回でもあると、ずるずるとそれが習慣になってしまいます。特に1,2年生の時に無断で休ませることのないようにしておきましょう。連絡なく休んだ時は、朝すぐに連絡をとっておくことです。そして昼や夕方にも連絡し、できれば家庭訪問をして心配したということを知らせておくことが必要です。

次に、身だしなみを整えさせることも、保健衛生上、大切なことです。身体や服装を清潔にし、下着の着用や髪・爪の手入れ,洗面・歯磨きの習慣も、保護者の理解と協力をもとに定着させるようにしましょう。

衛生面の管理をする。

まず、手洗い・爪切り・うがいの習慣づけをさせることです。昼食前の手洗いや体育の授業や休み時間にグランドに出ていた後にうがいを呼びかけるだけで、随分と欠席者の数が違ってきます。爪も定期的に点検するようにしましょう。

また、教室の換気にも注意しましょう。特に冬場に教室の窓を開けて換気をすることは、風邪の流行を防ぐ意味でも大変重要です。昼休みには日番が窓をあけることを習慣にしておくとよいでしょう。

さらに、採光についても注意しましょう。これについては、私の経験を述べたいと思います。私が担任になった教室は、南側の窓の前に別の建物の屋根があり、日当たりが悪くて、何となく薄暗い感じがしていました。1学期、そのクラスは欠席者が多く、活気のないクラスだったので、夏休みに照明を倍にしてもらう工事をしてもらいました。そうすると、2学期以降、生徒たちの表情がよくなり、急に活気のあるクラスに変容しました。欠席者も激減しました。

無欠席・無遅刻の生徒を褒める。

学校で計画的に学習指導や進路指導を実施していても、欠席の多い生徒には、その効果を十分みることはできません。また、最近、不登校になる生徒が多いことから、「行きたくなかったら無理に学校に行かなくてもいい」と考える保護者も多くいます。休まず学校に来ることは素晴らしいことだということを、常に訴えていきたいものです。生徒たちに月ごとや学期ごとに、無欠席や無遅刻の生徒を表彰するなどして、褒めると効果的でしょう。

性に関する指導

中学生の時期は心身の成長の著しい時期であり、心身のアンバランスは本人の自覚なしに不安と悩みをもたらせます。また、最近の性情報の氾濫による性刺激の中で、異性への関心や性の悩みは、中学生にとって大きな問題となっています。性に関する指導は人間の生き方の教育だと言われています。しかし、なかなか性に関する指導は、賛否両論があり、十分になされているとはいえません。

性に関する指導は、教科や道徳・学級の時間に限らず、日常生活のあらゆる機会を通してなされるべきです。問題が起きてから性に関する指導を行うのではなく、生徒たちの様子を観察し、必要と思われる時期に適切な指導を行うべきでしょう。性に対する理解や考え方には個人差が大きいので、いつ,誰に,どのような指導を行うかは、教師の経験や勘,洞察力が必要になってくると思います。全体指導だけでなく、男女別指導や個別指導も行って生徒の身体的・精神的な悩みや不安を親身になって一緒に考えるようにしましょう。

性に関する指導の内容には、次のようなものが考えられます。

()学級作りと男女の協力(男女の心の交流,性の目覚め)

()異性の理解(男女の特性,協力と実践)

()身体の成熟と心の変化(第二次性徴期,自我の自覚と適応)

()男女交際のエチケット(男女敬愛の精神と実践)

()性欲の仕組み(性欲の意味,性衝動)

()性の異常行動(実態と健全な行動との対比)

()友情と恋愛(友情の美しさ,文学上の恋愛)

()マスコミと性(マスコミの中の性の実態,性情報の選択と理解)

()性感染症と避妊(エイズ問題,コンドームの使用法)

(10)妊娠のメカニズムと中絶

ところで、最近、ジェンダーフリーが叫ばれ、男女混合名簿が取り入れられ、男女共習の教育がなされています。また、LGBTに関する法律が策定され、男女差を問うてはいけないという風潮です。

しかし、男女は生来的に違いがあるもの疑いのない事実です。

ただ、そうはいっても、性差の違いだけで、男の子は「男らしく」,女の子は「女らしく」というような「らしさ教育」を主張するのは、時代錯誤でしょう。

なお、性に関する指導には、担任の生活歴も影響します。例えば、独身の若い女性教師が男子生徒のマスターベーションの説明をすることには困難を伴うでしょう。担任一人では指導しきれない部分があることも踏まえ、担任同士、協力して取り組むようにしましょう。

安全のための指導

体育実技や技術家庭科などの学習時間に限らず、休憩時間,清掃時間,部活動の時間,登下校中など、様々な場所や時間に事故が発生しています。時に生徒の生命に関わる事故もあり、安全のための指導は最優先で考えなければならないと思います。

安全工学で知られる「ハインリッヒの法則」は、多くの労働災害にも引き合いに出されています。これは、「1つの事故が発生した場合、その背景にはインシデント(事件)に至らなかった300のイレギュラリティ(異常)があり、さらにその陰には、数千に達する不安全行動と不安全状態が存在する。」という説です。殆どの事故は未然に防ぐことが可能です。定期的に安全点検日を定め、教室や校舎内外の危険箇所の点検をするようにしましょう。

また、交通安全指導や非難訓練などの学校行事には、その目的を自覚させ、真面目に真剣な態度で臨むよう指導することも大切です。

万一、事故が発生した場合には、冷静に判断し、適切な処置をしなくてはいけません。救急体制をしっかりと確認し、学校長・教頭・学年世話係とよく相談し、医療関係への連絡,保護者への連絡など、迅速かつ正確に行動できるようにしましょう。そのためには、普段からの安全に対する心構えが必要でしょう。