教師の「褒め方のコツ」
~教師の人間力を高め、児童子どもとの信頼関係を築くのに必要な人間関係づくりの技術~
皆さん、おはようございます。
教師にほめられることは、子どもにとって、とても嬉しく、新たなやる気が出てくるものです。褒め方のポイントを10あげたいと思います。
ほめ上手は、伸ばし上手・育て上手
(1)ほめられてイヤな子どもはいない
人に認められたい、愛されたいという思いは、人間として素直な欲求の現れです。そうした思いが叶えられた時、その人は自信を持って生き生きと毎日を送るようになり、時には周囲が予想もしなかったほどの能力を発揮したり、成果をあげたりするものです。
「ほめることは伸ばすことであり、育てることである」とはよく言われるところですが、子どものヤル気を引き出すにも、ほめるのが一番です。ほめるのが上手な人ほど、子どもを仲ばすのも育てるのも上手な教師といえるでしょう。
(2)短所を責めるのではなく長所をほめる。
頭では「ほめることか大事」とわかっていても、ついつい短所や欠点に目が行ってしまうものです。しかし、自分の短所や欠点を突かれて「よし、改めよう!」という人はなかなかいません。反発し、それ以後は耳を貸さなくなるケースがほとんどでしょう。
まずは、子どもに対するまなぎしを「短所探し」から「長所探し」に改めることです。そうすれば、どんな子どもにも美点や長所がみつかるはずです。
その点をほめることによってさらに伸ばし、ひいては短所を感じさせないほど優れたものとして磨き上げるのです。それか結局は教師のためにもなります。
(3)ほめることはいくらでもある。
「褒めろと言われても、どこを褒めればいいんだ。褒めるところなんかないよ」と言われる方がいます。
何か特に優れたこと以外はほめてはいけないという考えにとらわれすぎていないでしょうか。これではなかなかほめ言葉も出ないでしょう。あげくは、子どもの方もだんだん意欲を喪失していきます。
もっと気楽に、どんな小さなことでも積極的にほめてみましょう。そうすれば「ほめるべき大きなこと」か生まれるものです。
あいさつがていねいだ,話をきちんと聞いている,机のまわりの整埋かよいなど、褒めようと思えば、褒めるべき点はすぐ目の前にいくらでもあるはずです。
ほめる場合は演出家になったつもりで。
(1)基本はみんなの前でほめる。
どんな状況でもほめられるのはうれしいものですが、特に大勢の前で褒めめられると誇らしい気分になるものです。学校では、朝礼・ホームルーム・授業中など、その機会も多いと思います。その際、クラス全員で拍手したり、本人に簡単なあいさつをさせたりするなど、演出法もいろいろと考えられるでしょう。
また、廊下やグラウンドなど、大勢の子どもか周囲にいる状況を生かして、周りにも自然に聞こえるようにほめ言葉をかけ、周囲の子どもを奮起させるのも一つの方法です。
褒めて本人をヤル気にさせるか、周囲までやる気にさせるか、演出家としての腕の見せどころです。
(2)一対一、一対複数を使い分ける。
みんなの前で褒めることの効果は大きいものです。しかし、それが逆効果になる場合があることにも注意しておきましょう。
例えば、ある子どもをみんなの前でほめました。ところが、その子どもが嫉妬を買い、仲間はずれや、いじめにあう事態か起こらないとも限りません。
これを避けるためには、励ましとして褒め言葉をかけるのか、全員に知らせずにはいられないという積極的な姿勢で褒め言葉をかけるのかをはっきりさせておく必要があります。ちょっと励ます程度なら一対一、みんなの前で褒めるなら全員が当然だと納得できる理由を明確にしておくことです。
(3)客観的基準と公平性を守る。
「先生はえこひいきだ」と子どもたちが非難するのは、褒める対象が特定の人物に限られている場合や、褒め方の程度に極端な差がある場合に多いと思います。
こうした不当惑を生まないためには、客観的な基準を設けて、それを公平に実行するとよいでしょう。運動会などで賞品を与える表彰制度はその一例です。
なにも物品を与えたり、営業マンの売上げ表のように成績をグラフで示したりする必要はありません。
「時間を守る」「整理整頓がよい」など、客観的に見て反対のない基準の中から数項目を選び、その項目について公平にほめればよいのです。
ほめるときの態度に気をつける。
(1)照れずに率直にほめる。
日本文化は「恥」の文化だと言われています。どうも日本人は、感情の表し方があまり上手ではない民族のようです。特にほめる・ほめられるという場面では、つい照れてしまうことがあります。これでは、ほめる側もほめられる側もぎこちなくなってしまうでしょう。
子どもをほめる場合にもこの点に注意が必要。照れてロの中でモゴモゴ言っていたのでは、「ほめられたのかなんだか、わからない」ということになり、モヤモヤとした中途半端な気分になってしまいます。ほめる言葉は、相手にヤル気を起こさせるためのものです。たとえテレ屋でも、意識的に率直に、手際よく伝えることが大切です。
(2)ほめるとおだてるは違う。
ほめるのが下手な原因の一つに、ほめるのとおだてることとの混同があると思います。ほめることとおだてることは、目的もその対象もはっきりと異なります。ほめる場合の目的は人を伸ばし育てることです。
これに対しておだてる場合は、最終的に自分が何らかの利益を得ることか目的になっていることが多いものです。また、ほめる場合は、優れた行いをしたり、成果を上げたりした人物が対象として取り上げられます。「おだてる」とは、本来、讃えるに値しない人物や、力関係が上位の人物であることが多いのです。こうした区別がはっきりすれば、妙に卑屈な思いでほめ言葉を発することもなくなるでしょう。
(3)うわべだけのほめ言葉は逆効果
ニヤニヤ、モゴモゴでは、ほめ言葉も効果はありません。と同時に、もったいぶったほめ方や口先だけのほめ方も効果はないでしょう。それどころか、反感さえ買ってしまうこともあります。
例えば、形式的にほめておこうといった程度の気持ちで、子どもをほめた場合がそうです。「まあ、よくやったな」と言うのでは、子どもは喜びません。「先生は、あまりよくやったとは思ってないけど…」といったニュアンスが言外に感じられるのでは、かえって傷つくこともあります。熱意をこめて、心の底からほめる、それが基本姿勢です。
何をどうほめるか具体的に頭に描く。
(1)ほめる目的内容を絞り込む。
ほめる目的は、相手の行動や能力を評価し、それをさらに伸ばしたいというのが第1です。
その他、他の子どもの模範として学級や学校全体のモラルや意欲を高めるためや。ほめることによって沈潜ムードを吹き飛ばすため、子どもをよく観察していることを知らせることにより信頼関係を強めるため、などいろいろあるでしょう。
こうした目的さえはっきりすれば、ほめる相手やほめる内容、ほめ方も自然に決まります。この時、一度にいろいろとほめないことです。あれもこれもでは子どもの側もポイントがつかめず、効果も薄くなります。
(2)具体的にほめる。
「よくできたね」とか「よく頑張ったね」という一言が子どもにとって大きな励みになります。その効果をさらに高めるためには、どの部分かよいのかを具体的にに示しましょう。
「テニスか上手になったという場合から、続けて「あんなに強烈なスマッシュができるなんて、よほど練習したんだね」と感心している部分を具体的に話せば、その点に自信を待ち、さらに練習に励むようになるでしょう。仮に他の点に自信を待っていたとしても、ほめたことがマイナスに働くことはありません。むしろ、自分でも気付かなかった部分だけに喜びも大きいはずです。
(3)一言多く、一言少なく。
ほめる場合には、何をどう伝えるか、ほめたい事柄か最もよく伝わるよう工夫する必要があります。これは口べ夕であろうと、口上手であろうと同じことです。もし口べ夕だとしたら、もう一言多く言葉を継ぎ足して、ほめている内容が正確に子どもに伝わるようにしましょう。
また、ほめるつもりで「びっくりしたよ」と言ったことが、馬鹿にしてるとか、皮肉っぽいと受け止められるのは、言葉が足りない証拠です。逆に、一言多いタイプなら、一言少なくがいいでしょう。「君はすごい。あれがすごい、これがすごい」といった調子では、子どもを慢心させます。ほめ言葉は、あと一言にかかっているのです。
タイミングよくぼめれば効果は倍増
(1)その時、その場でほめる。
ある子どもが黙々と頑張っている姿を見たとしましょう。その時、すぐにその場でほめるのが効果を高めるこつです。時間をおいて「君はあのころ黙々と頑張っていた」と言葉をかけるのも、しみじみと相手の心に伝わるものですが、「あのころは」という言葉は一歩間違うと「なんで今ごろ」とか「それ以後は進歩かないの?」と、すねて受け止められることもあります。ほめる側にしても、時間をおくと気付いたときと同じようなほめ言葉が出てこないものです。ほめ言葉は、見た時、聞いた時すぐにその場でしましょう。時期を逸すると間が抜けたものになります。
(2)必要な時を見逃さない。
事がすべて終わってからほめようと、堅苦しく考えていては、ほめる時機を逸してしまうものです。例えば、長期にわたる作業や厳しい練習などの際には、途中で一役落したときに、「ここまでよく頑張った」などの言葉をかげると、その後も頑張りが続くものです。
こうしたほめ言葉をかけられるかどうかは、その事に当っている子どもたちをよく観察しているか、心理状態を見抜いているかにかかっています。指導者が自分の能力だけを基準にしている場合も、ほめ言葉をかけるタイミングを逸するものです。あくまでも子どもにとって必要な時期を考えましょう。
(3)小さな変化をうまくとらえる。
ほめ言葉をかけるには、子どもをよく観察していることが前提となります。その観察が細かければ細かいほど、子どものわずかな変化をとらえてほめることができるようになるでしょう。
例えば、忘れものが少なくなってきた、落ち着きがでてきたなど、派手な変わり方ではないが、確実によい方向に変化している部分については、早い時期に見つけ出してほめましょう。本人の自覚も生まれ、効果も上がるはずです。
また、こうした小さな変化に対する目配りを続けていれば、「他の部分も変わっているのでは?」と観察が細かくなり、さらにほめる機会も増えると思います。
タイプに応じたぼめ方をする。
(1)人によってほめる点を変える。
ずば抜けた美人に「きれいですね」と言っても、あまりありません。本人が当然だと思っている部分をほめても、思ったほどの効果は上がらないものです。逆に、多少のコンプレックスのある部分や完全には自信がない部分をほめると、ほめられた側の喜びは大きいものです。本人がほめてほしい部分、大切にしている部分を取りあげてほめることが必要です。仮に、学力は優れているかスポーツはダメという子どもの場合なら、スポーツで努力していることをほめる方が心に残るでしょう。また、学力よりは性格をほめるなど、個別のほめ方を工夫しましょう。
(2)目立たないタイプこそほめる。
自信があって、目立ちたがり屋で、パフォーマンス性もあふれているタイプの子どもは、よく目につきます。ほめられるチャンスも多いでしょう。逆に引っ込み思案の子どもは、どうしても話題になる機会が少なくなってしまいます。
しかし、より積極的にほめ言葉を掛けたいのは、後者のタイプです。ほめられた経験も少ないだけに、自信を失っているとも考えられます。地道に努力していることや目立たないけれどもユニークな才能、あるいは美点などに気付いたら、どんどんほめたいものです。自信家に対するほめ言葉は自信過剰にさせることもありますが、目立たないタイプには大きな救いになるのです。
(3)嫌われる長所、愛される短所
教師と子どもといえども人間同士です。なんとなくウマが合わないこともあるでしょう。といって、ほめるべきことはしっかりとほめなければ、波長はさらにズレます。と同様に、ほめるべきことについても、一般の基準とはズレがある場合があることにも注意しておきましょう。
例えば、何事にも積極的というのは美点ですが、時によっては、出しゃばりとして敬遠されることもあります。その時に、積極的過ぎる子どもをほめるのは逆効果です。また、短所としてのおっちょこちょいも、明るいと見れば長所となります。どんな長所も短所も、見方次第で伸ばし方も変わるのです。
ほめ言葉には細心の注意を払う。
(1)心をこめてさりげなく
口先だけのほめ言葉は、子どももすぐに見抜いてしまいます。何も、大げさな言葉や語調で言う必要はありません。感心したことやほめたいことを、心をこめて誠実に伝えることを心がけましょう。自称テレ屋の先生なら、ふだんよりはいくぶんかトーンをあげるといった程度で、あくまで自然な感じで接すればよいのです。ほめ言葉そのものも「頑張ったね」「すごい」などストレートなものでなくても、十分に相手に伝わります。明るい笑顔で語りかければ、たくさんの言葉を必要としません。ポンと肩を叩くだけでも、十分に言葉以上の働きをしてくれるでしょう。
(2)説教臭が強くならないよう注意する。
「Aさんはこんなに頑張った」という言葉は本人にとっては嬉しいものですが、比較された他の子どもたちにとっては、あまり心地よいものではありません。まして、ことあるごとに比較され続けている子どもたちは、過敏になっていて、Aさんへのほめ言葉を自分の発奮材料にするどころか、説教だと受け止めて反発することになりかねません。
一つの事例から学級内のモラル向上を図ろうとする時に、こうしたことが起こりやすいものですが、そのような場合は、みんなが意外に感じる人物の行動なども取り上げて、多面的にほめれば、無用な誤解や反発を避けられます。
(3)自分の体験を入れて説得力を高める。
「B君は、〇〇がこんなふうによい」と具体的に話したつもりでも、他の子どもたちにはピンとこない場合かあります。抽象的でも紋切り型でもないのに、ほめている内容が身近でない場合、よくこうしたことか起こります。
そのような場合は、自分の体験や子どもたちがよく知っている人物の話題を交えれば、理解もされやすく説得力も高まります。ただし、偉人伝に登場するほどの人物の話は、子どもたちも聞きあきているケースが多いので。まずは先生自身の体験を素材にしてみましょう。
もちろん、その前に自分かよい手本となっていなければ、どんな体験談も説得力がなくなるので、注意が必要です。
バランス感覚のよいほめ方で子どもを伸ばす。
(1)ほめすぎに注意する。
ほめられた方が、大いに照れてしまったり、「そんなことないんです」と言い訳までしたり、ついには有頂天になって局囲の子どもがシラケてしまうというようなことがあります。これは、だいたい、ほめすぎのことか多いものです。ほめられる本人のためにも、他の子どもたちのためにも、このようなほめ方はしない方がよいでしょう。子どもの性格は様々です。、ほめるべき事柄や度合も様々ですから、ほめ言葉によって、逆に心理的な負担をかけるようでは、ほめること本来の意味も失われてしまうでしょう。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」と言われますが、ほめる時にも、ほどよいバランスを考えてほめるようにしましょう。
(2)成果だけでなくプロセスもほめる。
ほめるというと、どうしても、結果や成果をほめることに傾きがちです。しかし、それだけでは、たまたまラッキーな状況に恵まれて好結果を残した者にほめ言葉か集中することになります。逆に、黙々こつこつと努力を続けてきた者は、その努力が報いられなかったことに落胆し、しかも顕みられなかったことで再び失意を味わうことにもなるでしょう。
ほめる場合は、見えやすく評価しやすい結果や成果だけでなく、普段から努力しているプロセスが+分反映されるよう心配りをしたいものです。隠れた努力が評価された時の喜びは大きいものです。それが次の励みとなります。
(3)改めてほめると効果大。
一度にいくらほめ上げても、そのあとがパッタリでは、拍子抜けの気分になるものです。一度ほめた後で、時間をおいてからもう一度ほめると、効果が上がる場合があります。例えば、人の言葉を素直に受け止めない相手の場合がそうです。このようなタイプは、同じことについて改めて別の機会に別のいい方でほめると、すんなりと受け入れることがあります。
また、ほめ方か足りなかったのではないかと不安になった時も、改めてほめれば、相手にも評価していることがよく伝わります。ほめ言葉は一度だけと決まったものではないのです。相手によりよく伝わる方法を考えましょう。
ほめの方のテクニックを磨く。
(1)マンネリ化したほめ方では効果がない。
いつも叱られ続けた子どもより、機会あるごとにほめられた経験を待つ子どもの方がのびのび育つといわれます。しかし、そのほめ言葉がいつも同じでは喜びも少なく、ついには「ほめられていないのでは?」と疑問まで抱くようになります。「えらい!」「すごい!」といったワンパターンのほめ方は、次第に耳を傾けられなくなるだけではなく、子どもを無気力にする危険さえあるのです。心身の発達に応じて、ほめる点も、ぽめ方も、グレードを上げることか肝心です。
(2)ほめ方のバリエーション
「~の点かいいね」とストレートにほめるのもよいですが、その繰返しでは芸がありません。子どもの注意を引くには、さまざまな手法をストックしておき、状況に応じて使い分けることが必要です。その手法としては、先のストレート型の他、ほめて→期待・激励する(「このところ調子がいいぞ。先生も次の試合を期待しているよ。」)、叱って→ほめる(「単語の方のミスが多かったね。でも、文法も読解もよくできていたよ。」)、ほめて→叱って→ほめる(「図形の問題はよくできていたよ。計算ミスがあるのは残念だけれど、実力はあるのだから、もう少し慎重にね。」)などが代表的なものとしてあげられます。
また、相手に質問して回答を引き出し、その言葉をもとにほめ言葉をかける臨機応変型(「塾に通っているの?」『はい』→「それで成績が急上昇したんだね。」、『いいえ』→「じゃあ、よほど自分で勉強しているんだねな。」)なども工夫してみましょう。
(3)仕上げで目標を示しながらほめる。
物事の始めと終わりの印象は強いものです。特に終わりの部分の印象が残りやすいので、ほめる部分も最後に一言、印象的なフレーズを用意しておくといいでしょう。また、ほめただけで終わらせないためには、より一段高い次の目標を示してあげれば効果的です。例えば、引っ込み思案の子どもがクラス委員の任期を見事に全うした場合なら、「お疲れさま。あそこまでできたんだから今度はあれを…」と導く言い方をするといいでしょう。
さまざまなほめ方を使い分ける。
(1)決め手のほめ言葉を用意する。
落ち込んでいたり、自信をなくしたりしている子どもに対しては、「君なら大丈夫」、「君には、~など、いいところがたくさんある」など、さりげなくほめ言葉をかけましょう。また、努力が認められる子どもに対しては、「よく勉強している」、「よく頑張っている」などの言葉掛けが大切です。
たとえ期待したほどの成果に達していない場合でも、決して「こんなことも」とか「この程度しか」という言葉を吐いてはいけません。さらに力を発揮させるには、「君以外にはいない」、「君にしかできないことだよ」などの言葉を駆使しましょう。励まし、ノセる言葉を用意できれば、ほめ方も半ば以上成功です。
(2)メモで、人を介して、学級通信によって
あまりほめ上手ではないという場合や、意表を突いた方法で効果を高めたいという時には、メモや学級通信などの小道具を使ったり、直接本人に伝えるのではなく、人を介して伝わるようにしてみるといいでしょう。予想もしなかったメモをもらった時や学級通信に載っていた時の驚きと喜びは格別でしょう。また、ほめ言葉などかけてくれないとばかり思っていた先生からのほめ言葉の方が、他の先生や仲のよい子どもを介して伝わってくるのも、「なにげない顔をしているけれど、自分にも注目してくれているのだな」と知らせることができて効果が大きいものです。
(3)面と向かって叱り、蔭でほめる。
より飛躍が期待できる子ども、あるいは負けん気が強い子どもの場合は、本人の側も指導者の側も次のステップに挑戦しましょう。挑んでもらいたいという気持ちがあるため、通常よりはハードな無題も与えられることがあります。その場合には、時として「これくらいできなくてどうする」といった厳しい叱りの言葉を投げかけ、奮起を促すことも必要です。
しかし、このような場合にも、陰では他の先生や親しい友人たちにはめ言葉を聞かせておき、それとなぐ漏れ伝わるようにしておきたいものです。叱られるばかりでは息もつけません。
それは、どんなに優秀な人物で同様です。
5つ教えて、3つ褒め、2つ叱るコツ
□自分の行動のどの部分をほめられたのかが、子どもに分かるように具体的に指摘する。
ただ単に、「すごいね」、「がんばったね」だけでは、子どもにとっては何を誉められたかが分からず、育ててやりたい行動が育つとは限りません。むしろ、「大きな字が書けたね」、「ちゃんとまっすぐに手を挙げて渡れたね」と言って、ニッコリほほえんであげるといいでしょう。
□にこやかな笑顔で、子どもとアイコンタクトしながらほめる。
自分に向けられた教師の笑顔は、子どもにとって大きなごほうびになります。口先だけで機械的にほめるのでなく、にこやかな笑顔でアイコンタクトしてあげましょう。
□そのことで教師自身もうれしい気持ちであることを伝える。
教師が喜んでくれることは、子どもにとって誇らしく、とてもうれしいことです。「あなたが○○したので、先生もうれしいな」と、はっきりと言葉に出して伝えましょう。
□場合によっては、普通の行動にも誉め言葉をあげましょう。
問題行動を示す子どもの中には、教師から注目してもらいたくても自信がなく「自分は、良い行動をすることによって認めてもらうことは難しい」と感じている子どもがいます。このような子どもは問題行動をすることで教師の注目を得ようとすることが多いのです。そこで、教師は、このような子どもが悪い行動でなく、普通の行動をしているときにこそ、注目し、ほめてあげることが大切です。そうすることで、子どもは問題行動をすることでなく、普通の行動をすることで教師からの注目を得ようとするようになるでしょう。
また、発達障害などをもつ子どもの場合、苦手なことに対しては、他の子ども達以上の努力をしても、他の子ども達のようにうまくはできない場合があります。それでも、教師は、その子どもが注いだ努力の大きさを考えて、些細なことでもよいから具体的にほめてあげましょう。
□不安の強い子どもに対しては、過剰にほめない。
不安の強い子どもの場合、特に「よく頑張ったね」と誉められることは、うれしい反面、「次はもっと頑張ることを期待されているのだろう」と、周囲の人々からの期待を過剰に感じてしまい、不安が増大することがあります。このような子どもに対しては、事実を具体的に指摘して、ほほえんであげるだけでよいでしょう。
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