ユーモア・センスを持とう。
皆さん、おはようございます。
「笑う門には福来たる」「笑いは百薬の長」「一笑一若」などといわれますが、笑いは肉体の健康の源であると同時に、精神の健康の源でもあります。
放送作家の神吉 拓郎の「笑いの辞典」の中には、
「笑うとアセチルコリンの分泌が高まり、副交感神経の働きが強まる、同時に末梢血管は拡がり、血圧はやや下がる。心臓の負担は軽くなり、血中の糖分が減る。唾液、胃液などの分泌は高まる。不快を感じたり、怒ったりした場合は、その反対の現象が起きる。」
とあります。
また、哲学者カントは、「人間学」という本の中で、
「哄笑は常に、消化に必要な筋肉の振動であり、それは医者の知恵がよくするであろうより遙かに消化を促すのである。」と述べています。
人を笑わせるためのユーモアやジョークは、機械でいえば潤滑油のようなもので、ギスギスしがちな人間関係の歯車をスムーズに回転させるためのものです。
アメリカの作家シンクレア・ルイスは、
「人間には耐えられない侮辱が二つある。ユーモアのセンスがないという断言と、苦労知らずだという断言だ。」
と言って、ユーモアで人を笑わせる感覚のない者は、人間として恥ずかしいと述べています。ユーモア・センスは知性の印であり、事実、アメリカでは、ジョークの言えない人はレベル以下の人間とみなされます。時には、その人の人格さえ疑われることもあるのだそうです。
アメリカの大学教授は、学生を1日1回笑わせないと、首だと言われています。
オランダの歴史学者ホイジンガは、人間のことを「ホモ・ルーデンス」と呼びましたが、これは直訳すると、「遊び人」という意味です。
日本でも、福沢 諭吉が、
「ジョークは単なる娯楽ではなく、そこに人生の意味を感じさせるものであり、教育の一種だ。」
と述べています。
人を笑わせる技術がなければ、人の上に立つこともできない。
リーダーであれ、ボスであれ、マネージャーであれ、人の上に立つ人には、「コミュニケーションスキル」「洞察力」「統率力」「決断力」「行動力」「業務遂行能力」「責任能力」「人心掌握術」「育成能力」「学習能力」が要求されます。
各界のリーダーや先哲も人の上に立つ人に必要な能力をいろいろと述べています。
〇戦国武将の上杉 謙信
「人の上に立つ対象となるべき人間の一言は、深き思慮をもってなすべきだ。軽率なことは言ってはならぬ。」
〇日本マクドナルドの初代会長で日本トイザらスの創業者でもあった藤田 田
「人の上に立つためにも、数字を使わなければならない。数字の持つ客観性こそが、人を説得する。」
〇中国春秋戦国時代の思想・社会の集大成と分析をした韓非子
「人主(じんしゅ)は、刑徳(けいとく)を以って臣を制する者なり。今、人に君たる者がその刑徳を釈(す)てて、臣をしてこれを用いしむれば、則(すなわ)ち君は反(かえ)って臣に制せられん。」
すなわち、人の上に立つ者は、刑罰と恩賞によって部下を操る。上に立つ者が刑罰と恩賞を手放して、その実権を部下に任せるようなことがあれば、逆に部下に操られる羽目になる。
〇清末の篤行の長者であった金蘭生
「自責の外に人に勝つの術無く、自強の外に人に上たるの術無し。」
すなわち、すべてを自分の責任と考える以外には人に勝つ方途はないし、自身でつとめ励む以外には、人の上に立つ人物となる方法はない。
〇精神科医で随筆家の斎藤 茂太
「人には「活躍の場」を与えよう。それが、懐の深さというもので、人の隠れた能力を引き出すということでもある。人の上に立つ人の、もっとも大切人な仕事なのではないだろうか。」
しかし、実は、人の上に立つ人に最も求められるのは、ユーモア・センスなのです。
ユーモアを解せる国際人に!
以前、テレビ番組でIQテストをやっていました。知能指数を測定しようとするテストで、昔は、中学校や高校でもやっていました。
ところが、いくらIQが高くても、学業成績の振るわない生徒もいますし、反対にIQが低くても、学業成績はトップクラスだという生徒もいることから、あまり、このIQは意味がないのではないかということで、今は生徒に測定することはありません。
慶応義塾大学の西岡 秀雄名誉教授が、「日本人は、IQばかり問題にするが、もっとHQを大事にすべきです」と提唱されています。HQのHは、「ユーモア」の頭文字で、つまり、「ユーモア指数」を高めようというわけです。
西岡先生の専門分野は日本人の起源だそうですが、一方で「トイレット教授」と綽名されるほどトイレに関する研究でも有名です。
元来、日本人はこつこつと仕事をする真面目人間で、粘着性気質の性格が多いようですが、この粘着性性格というのは、他人に対しての警戒心が強いと言われています。つまり、自己防衛意識が強く、他人に対してあけっぴろにつきあえないわけです。人に弱みを見せないという心理が生まれ、そこがユーモアのないことに繋がります。
日本人よりも粘着性性格で、真面目な国民がドイツ人だと言われています。実際の話ではありませんが、あの豪華客船タイタニックが氷山に衝突し、沈没を余儀なくされ、救命ボートに女性と子供を優先的に乗せるために、船長はドイツ人の男性を説得するのに、こんな話をしたそうです。
「女性と子供を優先的に救命ボートに乗せることは、このタイタニック号のルールです。規則を重んじて今まで生きてこられたあなただったら、分かって頂けるでしょう。」
この話にはオチがついていて、ちなみに、日本人の男性には、
「ご心配いりません。他の方は皆さんそのようにされていますよ。皆さん、女性と子供を優先的に救命ボートに乗せることを了解して頂きましたので…。」
また、イギリス人には、
「あなたがたの国はジェニトル・マン(紳士)の国です。女性と子供を優先し、救命ボートに誘導してあげてください。紳士らしく振る舞うことを願います。」
そして、アメリカ人には、
「女性と子供を優先的に救命ボートに乗せることで、あなたは国のヒーロー(英雄)になれますよ。」
もうひとつ、ドイツ人の国民性を表すこんな話をあります。
あるドイツ人の泥棒が警官に追われていました。しかし、逃げ足が早くてなかなか捕まりません。ところが、あるところまで来たら、その泥棒が鳥モチに捕まったように一歩も進まなくなり、あっさり御用になってしまいました。どうしてかというと、そこには、「芝生に入るべからず」という立て札があったのだそうです。独裁者ヒットラーのもと、ナチス・ドイツが歴史的に大きな過ちをしたのは、ドイツ人の国民性があったからだと言われています。
ユーモアのない、真面目だけの人は、極端に走ることがあり、世の中を渡っていくのに危険な時もあるわけです。
心のゆとりをもち、ユーモアを解せる国際人になりたいものです。
笑いの効用
困難な状況に追い込まれたり、問題にぶつかって、心にゆとりがなってくると、なかなか笑うことは難しいものですが、そんな時にこそ、笑うことが大切です。笑いには、精神的にも肉体的にも、大きな効果があるといわれています。
1.免疫力を高める。
免疫機能は年齢とともに低下するといわれますが、笑いによるNK(ナチュラル・キラー)細胞の活性化が報告されています。
2.ひらめきを与える。
笑うと脳波にアルファ波が多く現れ、集中力、記憶力が高い状態に保たれることが実証されています。
3.血行を促進する。
笑いは腹式呼吸を促します。通常の胸式呼吸に比べ、一般成人の場合、1回の呼吸量が最大で約4倍の2000ccにもなり、老廃物を身体の外に多く排出し、血行を促進します。
4.ストレスを解消する。
数々の不安や悩み、人間関係の問題など、時には「笑い飛ばす」ことも大切です。
5.コミュニケーションを円滑にする。
他人との素晴らしいひとときを共有するきっかけづくりに、ユーモアが大切です。
レジリエンスの強い性格
東京に、メンタルヘルス対策やハラスメント対策、心理カウンセリング事業を展開している「ミーデン」という会社があります。公認心理師、臨床心理士、精神科医、産業カウンセラーらのこころのスペシャリストが力を合わせ、人と職場のメンタルヘルスに貢献するためにつくられた会社です。「ミーデン」とはギリシャ語で「ゼロ」を表します。世の中の自殺者をゼロにとの意味合いが込められているそうです。特に、メンタルヘルスとパワハラ防止に対して、多くのブログやYouTubeを提供しています。
同じコロナウイルスにかかっても、風邪症状で終わってしまう人から重症化して亡くなる人もいます。このような個人差が出るのは、人の体には免疫と言う病気にかかりにくい抵抗力があり、この免疫の力が個人によって異なるからです。
心の病気に関しても、同じストレスを受けながら何も感じない人もいれば、心の病気になる人もいます。例えば、災害の被害を受けると、2割くらいの人がPTSDという病気になるそうです。しかし、同じ被害を受けながらも、8割の人はPTSDになりません。これは、人の心にも体の免疫に似たものがあり、その差によって、心を病む人と病まない人がいるのです。
このようなストレスへの心の抵抗力を「レジリエンス」と呼びます。レジリエンスとはストレスを跳ね返すという物理の言葉からきています。心の免疫に相当するものがレジリエンスであり、心の強さとも言えるでしょう。
すでに何らかの心の病気になっている人でもレジリエンスを強めれば、その病気を跳ね返す力になります。レジリエンスは病気からの回復にも関係しています。
では、具体的にレジリエンスとはどのようなものでしょうか?
レジリエンスは脳の機能など様々な分野で研究されていますが、心理学ではレジリエンスに関係する性格の特徴が知られています。
レジリエンスが強いとされる性格の特徴を7つ紹介しましょう。
1.楽観的
2.一喜一憂しない
3.すぐに諦められる
4.良い面を見つけられる
5.人のために生きる
6.ユーモアがある
7.理解者がいる
ここにも、ユーモア・センスが重要であるとしてあげられています。
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