愛宕神社
皆さん、おはようございます。
京都市最高峰の霊山である愛宕山にある愛宕神社 (旧白雲寺)は、京都市右京区にあり、東京都港区および福岡市の愛宕神社とともに「日本三大愛宕」と呼ばれています。全国900社以上ある愛宕神社の総本宮で、「火迺要慎(ひのようじん)」と書かれたお札が有名で、火伏(防火・鎮火)や縁結びに霊験あらたかな神社です。
かつては「伊勢へ七たび、熊野へ三たび、愛宕まいりは月まいり」と言われるほど修験道場と栄えたそうですが、今でも、3歳になるまでにお参りすると、生涯、火からの災難に遭わないとされており、子連れの参拝者も多くみられます。特に、毎年7月31日の夜から8月1日の早朝にかけて参拝すると、千日分のご利益があるとされる千日詣があり、一晩中多くの参拝者で埋め尽くされます。
愛宕山は標高924m、愛宕神社まで表参道から約4km、登り2時間半ほどの登山をしなければ行けません。参拝登山に備え、普段からよく歩くことに努め、筋トレやフィットネスに取り組み、ある年の秋、初めて愛宕神社を訪れました。
登りは休むことなく、約1時間30分で到着しましたが、下りの途中から膝に痛みが出て、2時間30分かかって下山しました。まさしく、「行きは良い良い帰りは恐い」のわらべ歌を思わせる参拝でした。
「火中でさえ涼しい」
京都の愛宕神社は、古くから戦国武将にも厚く信仰されてきました。1582年、明智光秀には「本能寺の変」の直前に愛宕山でおみくじを引き、何度も凶が出たという逸話があり、その後に開かれた連歌「愛宕百韻」では、発句で「ときは今 あめが下しる 五月かな」と天下取りの野望とも取れる歌を詠んでいます。
その1582年、織田信長は、意に従わない恵林(えりん)寺に火を放ちました。恵林寺の快川(かいせん)和尚は、「心頭を滅却すれば、火も自ら涼し」と言って、生きながら火定に入ったという話があります。心の持ち方によっては、火に包まれていても、火を涼しいと感じれるのです。
しかし、その怨念ともいうべきか、その2ヶ月後の6月2日、信長自身が本能寺で火に包まれ、最期を遂げたのでした。
振袖火事
1657(明暦3)年1月18日、江戸城天守閣と市街のほとんどを焼失し、死者が10万人にもおよんだ明暦の大火が起きました。これは、西暦64年のローマ大火、1666年のロンドン大火とともに、「世界三大大火」にあげられています。
ちなみに、ローマ大火は、皇帝ネロ時代のローマ帝国の首都ローマで起こった大火災で、ローマ市14区のうち3分の2にあたる10区が灰塵と化しました。鎮火するまで6日7晩かかったそうです。ネロ帝はローマ市内のキリスト教徒を大火の犯人として反ローマと放火の罪で処刑したことから暴君と恐れられました。
また、ロンドン大火とは、1666年にロンドンで起こった大火のことで、ロンドン市内の家屋の約85%(1万3200戸)が焼失しました。しかし、意外にも死者は少なく、記録されているのは5名でした。
さて、明暦の大火は、「振袖火事」とも呼ばれます。これは次のような話によります。
上野の神商大増屋十右衛門の娘おきくは、花見の時に美しい寺小姓を見初め、小姓が着ていた着物の色模様に似せた振袖をこしらえてもらい、毎日寺小姓を想い続けました。そして、恋の病に臥せったまま、1655(明暦元)年1月16日、16歳で亡くなってしまいました。
寺では法事が済むと、しきたり通り振袖を古着屋へ売り払いました。その振袖は本郷元町の麹屋吉兵衛の娘お花の手に渡りましたが、それ以来お花は病気になり、翌1656(明暦2)年の同じ日(1月16日)に死亡しました。振袖は再び古着屋の手を経て、麻布の質屋伊勢屋五兵衛の娘おたつのもとに渡りましたが、おたつも同じように、その翌年1657(明暦3))年の1月16日に亡くなりました。
おたつの葬儀(1657(明暦3)年1月18日)に、十右衛門夫婦と吉兵衛夫婦もたまたま来ており、三家は相談して、因縁の振り袖を本妙寺で供養してもらうことにしたのです。 しかし、和尚が読経しながら振袖を火の中に投げ込んだ瞬間、突如吹いたつむじ風によって振袖が舞い上がって本堂に飛び込み、それが燃え広がって江戸中が大火となりました。
火元に十分に用心を!
「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」
正岡子規(1867-1902)の俳句でも有名な法隆寺は、現存する世界最古の木造建造物で、奈良県斑鳩町にあります。建立したのは聖徳太子ですから、1400年以上も前の建造物です。
ところで、1949(昭和24)年)1月26日、この法隆寺の金堂が炎上し、壁画が消失するというショッキングな事故が起こりました。漏電火災による火災で、日本最古の壁画が消失してしまいました。この事故を機に、国の大切な財産を火災から守ろうという世論が巻き起こり、1655(昭和30)年に文化庁と消防庁が文化財愛護思想の普及高揚を目的に文化財保護法が制定されました。そして、1,2月はもっとも火災の発生しやすい時期であることから、昭和30年から1月26日を「文化財防火デー」と定めたのです。
文化財に限らず、この時期、火の元には十分に注意したいものです。
私の教え子で、高校入試の直前に、自宅が全焼するという不幸にみまわれた生徒がおりました。家族全員が無事で、その後、本人もなんとか高校に合格できたものの、焼失したものは返ってきません。原因は隣家の漏電でした。それも、電気コードをたくさん束ねたことによる人為的なミスだったそうです。
また、消防士だった私の知り合いが、ビル火災の消火中に殉職するという悲しい事故もありました。窓を締め切った密室で火災が起こると、一時的に酸素が不足し、下火になります。ところが、室内は異常な高温になっており、その熱のために窓ガラスが割れると、一気に酸素が室内に入ります。そうすると、フラッシュバックといって、爆発が起こるのだそうです。私の知り合いは、そのフラッシュバックで命を落としたのでした。
以前、私の教え子が高校を出て、消防士になりたいといって、相談にきたことがあります。一人っ子の彼に、私は消防士の道を選んだことを、素直に[Go!]とは言えませんでした。結局、30倍の難関だったそうで、幸か不幸か、彼は消防士になれませんでした。私は内心ほっとしたことを覚えています。
心に火をつける。
人類は火を使い、文明を進歩させてきました。火は小さいうちは人がコントロールできますが、大火となると全てを焼き尽くし、命をも奪います。昔は、「地震、雷、火事、親父」の順で恐い存在だとされていました。「親父」は順位がもっと下がっているかもしれませんが、「地震、雷、火事」は今も変わっていません。
昨今、地球温暖化の影響で、世界各地で山火事も多発しています。火は大変恐ろしいものですが、人の心の中の火(やる気)は燃やさないといけません。
人は、「自分が重要な人なのだ」「自分は役に立っている」と自ら認識出来る時、やる気にかき立てられ、素晴らしい仕事をするものです。
やる気をふくらませるためには、①話を聞く,②任せる,③知らせる,の3つのことが必要だと言われています。
すなわち、
①相手の考えを尊重するという態度を示し、親身になって熱心に話を聞いてあげる。
②どんな些細なことでもいいから、責任を与え、任せると、人はやる気になる。
③「時間に正確だね」「いつも笑顔で感じがいいね」などと、些細なことでいいから、あらゆる機会をとらえて相手を評価していることを知らせる。
期待されると、それに近づこうとする努力をするのが人間なのです。
そして、アメリカの牧師で教育哲学者のウィリアム・アーサー・ウォードがこんな言葉を残しています。
平凡な教師は言って聞かせる。
よい教師は説明する。
優秀な教師はやってみせる。
しかし、最高の教師は子どもの心に火をつける。
The mediocre teacher tells.
The good teacher explains.
The superior teacher demonstrates.
The great teacher inspires.
子どものやる気に「着火」させる方法
緑進学院代表取締役の石田 勝紀氏の「人をいかにして本気にさせるか、その方法とは?」の話を紹介します。
「本気になるかどうかは、モチベーションの問題と深くかかわります。モチベーションとは日本語で、「動機づけ」といいます。私は動機づけを、よく車のエンジンに例えます。しかし、動機づけはエンジンそのものではなく、エンジンを動かすための「点火プラグ」のことだと考えています。
点火プラグがスパーク(発火)すれば、エンジンは動きはじめます。そうすれば燃料が切れるまでエンジンは動き続けます。エンジンを動かすのに、燃料いくらがあってもスパークがなければ無用の長物となってしまうということです。」
「いくら勉強させようとして、参考書や問題集を用意しても勉強をやり始めることはありません(勉強していても本気ではありません)。それよりも、スパークする何かと出会うことで、興味関心を持って本気で勉強するようになっていくのです。」
つまり、重要なことはどう点火するかであり、ひとたび発火すれば人はやる気になって本気になるわけですが、実際にはどうしたらいいでしょうか。
1.好奇心の歯車を動かしてくれる存在に出会うこと
まず、1つ目の点火プラグは「人」によって”発火”されるということです。たとえば、A先生が教えれば子どもたちは夢中で勉強するようになるが、B先生に変わった途端に勉強が嫌いになり、成績も落ちていくということが往々にしてあります。数学ができる子は数字の問題の面白さを小学校のときに教えてくれた先生がいたり、英語が得意な子は英語で会話する楽しさを教えてくれた外国人がいたり。歴史の展開を面白おかしく話をしてくれた授業のおかげで日本史が得意になった子など、枚挙に暇がありません。誰と出会うかによって、好奇心の歯車が動くようになっていきます。
家庭内においては、いつも一緒に生活をしている親御さんから興味関心の刺激を受けるということがあるかもしれませんが、できれば第三者の方から受ける影響の方がはるかに大きいことを知っておくとよいでしょう。
たとえば、習い事をさせることで、プロの第三者と出会うという方法がありますが、それ以外にも、世の中には第三者と出会える場がたくさんあります。そのためには、親がそうした場に子どもを積極的に連れていってあげることでしょう。
たとえば、博物館や科学館という場が身近にあり、さらにはイベントやワークショプなどもあったとします(ただの見学だけでなく、専門の人から説明してもらうことや体験型のほうがよいでしょう)。
今や休日ともなれば、無料で開催されているイベントがたくさんあります。プロの大人と接する機会をあまり知らないだけで、意外とたくさんあるのです。出会う数によって、子どもの心に火がつくチャンスも増えていきます。また、休日に親子で社会科見学をしてみるのも面白いでしょう。事前に子どもに調べさせて、親子一緒に楽しむという機会を作っていくのです。
2.子供を取り巻く環境を見直す。
次に2つ目の点火プラグです。それは「雰囲気」です。
医者の家庭では医者が育ち、学者の家庭では、学問に対する意識が高い子が育つ傾向があります。スポーツ選手の家庭ではスポーツの得意な子が育ち、芸能人の家庭では芸能人になる子が出てくることが少なくありません。いつも思考することが当たり前の家庭では、考えることが好きな子どもが育ち、アウトドアが好きな家庭では、自然に対する意識の高い子ができます。要するに、小さい時から”(自分も将来)そうなる”という雰囲気があるのです。
“そうなる”雰囲気の中で育てば、意識せずとも、自分は将来、この道に行くのだなと思い育っていきます。強制されたものではなく、無意識のうちに形成された場の中に浸かることで、いつしか「静かなスパーク」をしていくのです。無意識であるだけに、環境の力とは実にすさまじいものです。
これらを勉強の場に応用すると、「たとえ勉強をしたくなくても、勉強をすることが当たり前の場に入れば、勉強するようになる」ということです。ここで確認しなければならないことは、家庭内が本当にやるべき事がやれる雰囲気になっているのかどうかということ。
たとえば、親が「勉強しなさい」と言う一方で、親が毎日、長時間テレビを観ながらお菓子でも食べていたら、とても子どもは勉強する雰囲気にはなりませんね。また、勉強しようと思っても、手の届くところに、マンガやゲーム機が置いてあれば、意識拡散型の子はすぐに気が散り、そちらへ気持ちが流れてしまいます。
ハッとされた方、子どもを取り巻く環境や雰囲気を変える方法があります。たとえば、親が家で何かに一生懸命に取り組む場を作ることや、家族で部屋のレイアウトを変えたり、整理整頓をやったりして、雰囲気づくりをしていくという方法もあります。
いずれにせよ、家庭内の雰囲気を”そうなる”という場に変えてしまうのです。そうすることで、強制せずとも「静かなスパーク」を引き出すことができるでしょう。
子育てや教育現場で、子どもの心に火をつける大人でありましょう。
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