皆さん、おはようございます。
「愛」とは何でしょう?
「愛」の反対は「無関心」だそうです。
「愛」とは、「犠牲」だという人もいます。
“Give and Take”の世の中で、さりげなく“Give & Give”を!
「情けは人の為ならず」
京都市東山区に位置する臨済宗建仁寺派の寺院「高台寺」は、豊臣秀吉の正室である北政所「ねね」が秀吉の冥福を祈るため建立した寺院です。
ねねは14歳で秀吉と結婚し、天下統一を目指す秀吉を献身的に支え続けました。ねねのサポートがあったからこそ、秀吉は天下人になることができたのでしょう。子供には恵まれませんでしたが、 秀吉の親戚にあたる加藤清正や福島正則らを我が子のように可愛がって育てたそうです。
秀吉の死後、側室の淀君の息子である秀頼の後見人となります。淀君とは決していがみ合っていたわけでなく、互いに連絡を取っていたそうです。
大阪夏の陣の時には、大阪城が燃える火を高台寺から涙を流しながら見ていというエピソードが残っています。その後、豊臣家は滅亡しますが、ねねは殺されることなく、家康から化粧料16,000石を与えられ、余生を過ごしました。
高台寺に行くと、ねねの生き様を感じさせられます。ねねの人生は、「愛」そのものだったのではないでしょうか。
「愛する」ことの反対は?
毎年8月下旬の土曜日から日曜日に、日本テレビが24時間チャリティー番組「愛は地球を救う」を行っています。1978年から行われているロング番組で、コロナ禍にあっても、募金額約9億円、世帯視聴率2桁超えを達成しています。
世界には、まだまだ多くの悲劇があります。明日の食べ物にも困って餓死したり、伝染病にかかって命を落としたりする子どもたちがたくさんいます。「愛は地球を救う」という標語は、本当に素晴らしい言葉だと思います。
ところで、「愛する」の反対は何でしょうか?
愛情の反対は憎悪だから、「愛する」の反対は「憎む」だと思われるでしょうが、「愛する」ことと「憎む」ことは、どちらも激しい感情を相手に向けるという点で同じなのです。大脳生理学者にいわせても、「愛する」ことをつかさどる脳と、「憎む」ことをつかさどる脳の部位は、同じだそうです。「愛憎」という言葉があるように、「愛する」時と「憎む」時は、脳の同じ部位が興奮しています。「可愛さ余って憎さ百倍」という諺がありますが、強い思いを相手に向け、相手に固執するという態度において、「愛する」ことと「憎む」ことは同じなのです。
では、「愛する」の反対は何かというと、それは「無関心」です。「無関心」とは相手に眼を向けず、全く心を動かさない対応です。
子どもたちのいじめに「シカト」する、つまり無視するというのがありますが、これは昔の村八分というのに似ていて、やはり、「無関心」な対応をするということです。
マザー・テレサは、この世の中で最大の不幸は無視されることだと述べています。「無関心」は、その人の存在を無視することであって、最も破壊的で、残虐な対応でしょう。
中高年の夫婦が離婚する際、妻が挙げる理由の一つに、「子育てで大変な時、夫が私の苦しみに無関心だった」というのが多いそうです。
問題行動を起こして補導される青少年の大半が、「自分を愛してくれる人が身近にいない」と感じていると言います。誰からも注目されない、無関心の対象になっている少年が問題行動を起こすことが多いのです。
「私には関係ない。」という態度は、自分の家族や友達、学校や社会を破壊する行為であるということを忘れないでください。
「無関心」は人を滅ぶす。
平成13年頃、世界中を駆け回っている一通のEメールに、「世界がもし100人の村だったら」という話がありました。
世界の人口63億人をわずか100人の村に縮めてみると、74人がアジア人とアフリカ人、12人がヨーロッパ人、残りの14人が南北アメリカとオセアニア人です。
その100人の村人のうち、なんと20人が飢饉に瀕し、1人は死にそうですが、15人は太り過ぎています。
村の財産の29%を、たった6人のアメリカ人が独占しています。
村のエネルギーの80%は、20人が使っています。
大学教育を受けているのは、たったの一人で、村には極端な格差があります。
この話は一体何を言いたいのかというと、村の中にはあなたと違ういろいろな人がいることを理解し、相手をあるがままに受け入れ、何よりも、そういうことを知ることが大切だということを述べています。
現実のあるがままを受け入れ、世界村の悲劇や不平等に目をそむけないという姿勢は、自分の家族や友人、そして学校や社会などにも関心を寄せるということにも繋がるでしょう。
私たちの身の周りには、実は様々な問題があります。どんな家庭でも、ひとつやふたつの問題があるでしょう。友達関係で悩むこともあるでしょうし、学校や社会にも様々な問題があります。そういう問題から目をそむけ、無関心になってはいけませんよと教えているのです。
「無関心」というのは、現実を否定する、最も残酷な仕打ちです。「私には関係ない。」という態度が、自分の家族や友達関係や学校や社会を破壊しているのだということを忘れずにいて欲しいと思います。
子育ての心構え・・・Give & Give
ある時、全校朝集で、校長先生が「情けは人の為ならず」という言葉を使ってお話をされていました。
その後、集会係だった私は、朝礼台に立ち、
「昨日、部活動の帰りに駅前のコンビニで買い食いをし、騒いでいる生徒がいるという通報があった。部活動の後で喉が渇いて我慢できなかったという気持ちはわからんではないが、『情け』をかけるわけにはいかないので、〇〇部と□□部は連帯責任ということで、3日間の活動停止・奉仕活動とする」と発表しました。
あとで笑われました。
「情けは人の為ならず」というのは、「人に情けをかけると、その人のためにはならない」という意味ではなく、「人に情けをかけておけば,それが巡り巡って、また自分にもよい報いがくる」でした。
この出典は、新渡戸稲造著、『[新訳]一日一言:「武士道」を貫いて生きるための366の格言集」』にあります。
施せし情は人の為ならず おのがこゝろの慰めと知れ
我れ人にかけし恵は忘れても ひとの恩をば長く忘るな
すなわち、「情けは他人のためではなく自分自身のためにかけるものだ。だから自分が他人にした良いことは忘れてもいい。しかし、人から良くしてもらったことは絶対に忘れてはいけない。」という意味で述べたものでしょう。
人蕩術
ところで、無能 唱元という方が、多くの人の心を引きつけ、自分のことを好きにさせてしまう「人蕩術(じんとうじゅつ)」という生き方を指導されています。
その極意は、
「魅(み)は与(よ)によって生じ、求(ぐ)によって滅す」
というシンプルな言葉に集約されます。つまり、「人の魅力は、与えることで生じ、求めることで消滅する。」というものです。
この世の中、”Give and Take”が当然だと思うと、ギスギスすることが多々あります。特に人を育てるということにおいて、見返りを求めるような行為では、相手の心に響かないでしょう。
「○○してやったんだから、□□して当然だ」という考えでは、○○した方は、もし相手が□□しなかったら腹立たしく思いますし、○○してもらった方も、□□することが当然と思われていると感謝することもありません。
子どもを育てるには、見返りを求めることなく、Give and Giveの姿勢でありたいと思います。「無償の愛」といってもいいかもしれません。その結果、いつの日か、「情けは人の為ならず」ということがあれば、ありがたいと思うことですね。
父母の愛
ここで、マザー・テレサの父母観を紹介しましょう。
「お母さん」というのは、家庭の中心、家庭の心そのものなんです。その方がいるだけで、「安らぎ」と「喜び」と「希望」をもたらす存在なんです。
「お父さん」というのは、家族を支える大事な使命をもち、正義を愛すること、正義のために命をかけて生き方を貫く人なんです。
そして、“The love being at home.”・・・家庭から愛が始まるのです。
また、“Love is giving.” つまり、「愛」というのは、捧げること、差し出すこと、すなわち、「犠牲」だと述べています。
そういう「愛」をお母さんとお父さんが、それぞれの役割を果たしながら、子どもに伝えていって欲しいと言っています。
「博愛を実践するには、最も大きな勇気が必要である。」
北海道旭川に塩狩峠と呼ばれる峠があります。三浦綾子の小説「塩狩峠」の舞台になったところです。自らの命を犠牲にし、大勢の乗客の命を救った長野政雄氏の実話をもとに書かれたものです。私が初めてこの小説を読んだのは、高校2年生の時でした。非常に感銘を受け、その後、北海道を旅した時に塩狩峠を訪れました。
宗谷本線の塩狩駅を降り立つと、ホームの傍に碑が建っていました。
「明治42年2月28日夜、塩狩峠に於て最後尾の客車、突如、連結が分離、逆降暴走す。乗客全員、転覆を恐れ、色を失い騒然となる。時に乗客の一人、長野政雄氏、乗客を救わんとして車輌の下に犠牲の死を遂げ、全員の命を救う。その懐中よりクリスチャンたる氏の常持せし遺書発見せらる。
〈苦楽生死均しく感謝。余はすべてを捧ぐ〉
右はその一節なり。30歳なりき。」
キリストの言葉(聖書)に、次のような言葉があります。
「一粒の麦、
地に落ちて死なずば、
唯一つにて在らん、
もし死なば、
多くの果を結ぶべし。」
インド独立運動の指導者であったマハトマ・ガンジーは、暴力を排し、最後まで無抵抗主義で闘争を続け、1947年にインド独立を達成しました。
彼の言葉に、
「博愛を実践するには、最も大きな勇気が必要である。」
というのがあります。
人のために命を捧げてきた人もこの世にいるのですが、本当に勇気ある行為だと思います。
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