「ナショナルデー」に学ばせたい：「ルーツ」を知ること。

Contents

日本の「ナショナルデー」
世界の「ナショナルデー」
「ルーツ」を知ること
まとめ

日本の「ナショナルデー」

皆さん、おはようございます。

２月11日は、「建国記念の日」です。「建国記念日」ではなく、「建国記念の日」が正式名称となっています。
1873年、明治政府は初代・神武天皇の即位日を「建国記念日」に決めましたが、史料的な裏付けがなかったことから、戦後、「建国記念日」は廃止されました。
しかし、1966年、「建国をしのび、国を愛する心を養う」ことを趣旨として、国民の祝日に関する法律によって、2月11日を「建国記念の日」として正式に定めました。新暦の2月11日は、紀元前660年1月1日にあたります。ただ、古事記や日本書紀に記されてはいるものの、初代・神武天皇は神話の人物であり、「日本が建国された日そのもの」を祝うのではなく、「日本が建国されたことを祝う日」として制定されたのです。
なお、2月11日は、明治の大日本帝国憲法の公布日でもあります。

ところで、2月11日の建国記念の日を日本の「ナショナルデー」とする「紀元節」に対して、2月23日の天皇誕生日を「ナショナルデー」とする「天長節」というのがあります。
また、1951年のサンフランシスコ講和条約が発効されて７年間にも及ぶ占領軍の統治から解放された4月28日こそが、「ナショナルデー」だと唱える人もいます。

ちなみに、日本の旧ナショナルデーは、明治時代から続く天皇誕生日、4月29日を指しています。

しかし、いずれにせよ、ナショナルデーは、「日本という国の根っこを知り、大切にしよう」という気持ちを育てる日にしたいものです。

世界の「ナショナルデー」

さて、世界の建国日をみると「独立日」「統一日」「革命日」「憲法を制定した日」「政府の樹立日」などが、建国日にあたるでしょう。
ただ、イギリスには建国記念日はありません。イギリスの正式名「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」the United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandが示す通り、イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの同君連合の国家で、それぞれの記念日があるため、国家として統一された建国記念日がないようです。
主な国の建国日をまとめてみました。

世界の建国記念日（ナショナルデー）ダウンロード

アメリカ合衆国

アメリカ建国記念日（独立記念日）　7月4日

イギリスからの独立を達成した日で、首都ワシントンでは60以上のマーチングバンドや軍関係者が参加し、毎年30万人以上の観客を動員する「The National Independence Day Parade（ナショナル・インディペンデンス・デー・パレード）」が実施されます。

オーストラリア

オーストラリアン・デー　1月26日

オーストラリアに植民地化を目的としたイギリスの一団が到着した日にちに因んで付けられました。1994年までは浸透していなかったようですが、今ではオーストラリア全土で祝日となっています。
1994年まで浸透しなかった背景には、イギリスからの植民を肯定することへの反感や先住民族アボリジニの反対があったなど、「侵略された日」であったからですが、今では、オーストラリアを思い、家族や友人と集まってバーベキューやピクニック、ビーチでゆっくりしに行くなどして家族や友人と過ごすことが多いそうです。

カナダ

カナダ・デー　7月1日

植民地時代の終わりの日、イギリスから自治権を獲得した日です。カナダ全土でお祭り騒ぎになります。屋外ではパレード、野外コンサート、花火など、様々な催しが開催され、観覧する人も、カナダ国旗のフェイスシールや帽子などのグッズを身にまとい、国中で祝う日です。

ニュージーランド

ワイタンギ・デー　2月6日

先住民のマオリ族の首長とイギリス政府の間で武力衝突の終結をするワイタンギ条約が結ばれた日です。
しかし、このワイタンギ条約はマオリ語ではなく英語で結ばれました。英語をマオリ語に翻訳する際に様々な誤訳ヤ認識の違いから、条約を結んだ後にマオリ族は明らかな不平等条約であるとして1860年から1872年に戦争が起こりました。
　その後、100年間、この条約は放置され、いまだまだ、すっきりと解決はしていません。そのため、このニュージーランドの建国記念日は、世代間で多少捉え方が違うこともありますが、基本的にはお店でセールが行われたり、イベントを都市ごとに行っていたりと、楽しい日と捉える人が多くなってきています。

「ルーツ」を知ること

「建国記念の日」には、節分のような豆撒きや巻きずしの丸かじりなどといった行事や風習があるわけではありません。しかし、全国各地の神社で神事が行われたり、お祝いの式典や市民の集いがあったりと、お祝いイベントが開催されています。

ところで、日本には、神社が約80,000社、寺院が約77,000寺もあります。2022年の調査では、神社仏閣の数は全国に15万8,000カ所以上もあるのです。コンビニエンスストアの店舗数が57,594店（2023年調査）ですから、約3倍の数の神社仏閣があるのです。
県別に神社と寺院の上位ベスト５をあげると次のようになります。

これほど身近にあって、しかも、2月11日の「建国記念の日」には多くの神社仏閣で催し物が開催されているのに、世界の多くの国で建国記念日のような日を大切な日にしているのに対し、日本ではそれほど大切な日として認識されていないのが実状です。
その理由は、法律にあります。

教育基本法（第15条）（宗教教育）
「国及びその機関が、特定の宗教のための宗教教育その他の宗教的活動をしてはならない。」

学校教育法（第51条）（宗教教育）
「公立の学校においては、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。」

つまり、建国記念の日を大切にしている神社仏閣の行事は宗教教育の一環と捉えられているので、戦後、学校では触れてはならないとされてきたのです。
ところが、「クリスマス」や「ハロウィン」などは、本来、宗教的儀式の色が濃いのに、今では多くの日本人が楽しいイベントとしています。
勿論、学校では扱われていなくても、大晦日に除夜の鐘を鳴らしたり、正月に初詣に行ったり、節分の日に「鬼は外、福は内」の追儺式をしたり、子どもの成長を願ってお宮参りや七五三に行くなど、神社仏閣に行く機会は数多くあります。
ですから、2月11日の「建国記念の日」に神社仏閣で行われいる催し物は、宗教教育として捉えるのではなく、日本という国の根っこ（ルーツ）を知る大切な日という認識にしたいものです。

そもそも、自分のルーツを知ることは、現在の自分や未来の子孫を大切に思うことに繋がります。
最近は遺伝子解析が進み、自分のDNAを調べれば、自分の祖先がどこから来たのかが判明します。例えば、私の場合、肌の色が濃く、胸毛があり、暑さに強い体質は、ポリネシア系の遺伝子を多く持っているからということでした。妻の場合は、色白で丸顔、骨太の体は、モンゴル系の遺伝子を多くもっているからでした。そういう自分のルーツを知ると、ポリネシアやモンゴルの人たちにも親近感を覚え、自分の子孫たちも幸せに過ごせるようにしたいという思いが強く沸いてきます。