~年賀状、賛否両論~
年賀状じまい
皆さん、おはようございます。
年末が近づくと、年賀状を出そうか、出すまいか、出すとしたら、誰に出そうか、と思案しませんか。
ある最近の調査によると、年賀状を出す人は41.8%、出さない人は58.2%で、今は出さない人の方が多くなったようです。
年代別で見ると、年賀状を出した人は、20代が27.5%、30代は34.2%、40代は38.3%、50代は49.2%。60歳以上は60%で、年代が上がるにつれて、年賀状を出す人が多く、世代によって年賀状の捉え方には違いがあり、年齢が上がるにつれて新年の大切なコミュニケーションツールとして支持されているといえるでしょう。
しかし、最近は、「終活」が流行したため、「年賀状じまい」という言葉も広がり、年配の方でも年賀状を出さない人も増えてきました。
減少する年始の挨拶
年賀葉書の発行枚数の推移をみても、2003年の44億5936万枚をピークに、以降は多少の増減を経て、2008年以降は連続で減少を続けています。2009年が41億3684万枚で、2024年には約3分の1の14億4000万枚に激減しています。
また、2024年10月1から郵便料金を変更され、葉書は63円から85円に値上げされました。毎年、5人家族で500枚購入している我が家にとっては、1万円以上の出費となります、年賀状を出すのに二の足を踏むのは、我が家だけではないでしょう。
2025年の年賀状は、さらに減少することが予想されます。「いつも通りに年賀状を出す」という人の割合は、22.8%という調査もあります。
年賀状の必要性
SNSやメールで気軽に連絡が取れる今、年賀状をやめるのは自然な流れでしょう。
しかし、企業や会社同士の儀礼的な挨拶をなくすのはいいことかもしれませんが、年賀状には他にはない特別な価値もあると思います。
本来、年賀状は、新年の挨拶を直接にする代わりに葉書を送るという、日本独特の伝統文化です。単に新年を祝うためだけではなく、人と人とのつながりを感じるための特別な手段です。また、日頃なかなか会えない方に季節の挨拶として気持ちを伝えるだけでなく、身近な友人や家族、ビジネスパートナーにも、一年の始まりに感謝の気持ちを伝える貴重な機会となり得ます。
私が小学生や中学生の頃、担任の先生から年賀状をいただいたことがとても嬉しかった覚えがあります。通知表のコメントにはボロカス書かれていましたが、年賀状には励ましや期待の言葉が書かれていたからです。
その後、私は教師になってから、教え子には年賀状を出すということを当然のことのようにしてきました。もう40年以上も年賀状のやり取りが続いている教え子もいます。
自分が学年主任や管理職の立場になって担任を持たなくなってからは、周りの先生に年賀状を出すことを勧めてきました。
ある年、教室で一生懸命、年賀状を書いている生徒たちを見つけました。しかし、よくよく見てみると、自分の家の住所を書いているのです。その担任に聞いてみると、「先生に言われて年賀状を出さなくてはいけなくなったから、生徒たちに自分の住所を書いてもらっている」という返事でした。「宛名を書く(印刷する)時間もないくらい忙しい」と言うのです。
自分で住所を書いた年賀状をもらって生徒が喜ぶはずはないでしょう。それこそ、企業や会社同士の儀礼的な挨拶と同じレベルのものです。「業務改善」の一環として、直ちに年賀状廃止を提案しました。
新しい年への期待を込めて送るこの文化は、他国にはあまり見られません。年賀状を通じて子どもを「教育」することも可能ですが、負担だと感じるのに出す必要はありません。
「国民教育の師父」と称された教育哲学者の森 信三先生は、
「義務教育を終えた者なら、最低三つのことは実行しなさい。一つは、あいさつ。もう一つは、お辞儀。三つめは、ハガキを書くこと。」
と述べておられます。
年賀状のメリット
年賀状のメリットをあげてみましょう。
1.心の交流
年賀状は、メールやSNSでは伝えきれない温かみを形にして伝えることができます。少し疎遠になった友人や久しく会っていない親戚へ年賀状を送ることで、関係の深まるきっかけにもなります。
デジタル化が進んでいる今だからこそ、年賀状を受け取ることで、温かみや人との距離の近さが心に染み渡るのです。年賀状は、時間をかけて準備し、手元に届くというプロセスがあります。SNSでは感じられない、紙媒体ならではのぬくもりや安心感があるので、もらったときの喜びは格別です。
2.近況報告
引っ越しや結婚、子どもが生まれたなど、家族の近況報告にちょうどいい機会です。個人情報を広く漏らす必要などありませんが、自分とつながっている人に近況を知ってもらうことは、自他ともにメリットになります。
3.思い出の記憶
毎年届く年賀状は一つのアルバムのようなものです。特に、子どもの成長や家族の出来事が記録され、時が経って見返すと思い出になるでしょう。
4.新年の活力
送られてきた年賀状のメッセージには、頑張っている様子が書いてあることが多いものです。それは、自分にとっても、新しい一年の活力となり、前向きなスタートを切る手助けになります。
「ハガキ道」
坂田 道信さんは、教育哲学者の森 信三氏とその弟子の徳永 康起氏に出会い、複写ハガキを教えられ、ハガキ道伝道者として全国で講演をされてきた方です。また、玄米菜食家としても有名です。
幸せになれる一番の生き方
世間の人が持っているものさしとは違うものさしで生きた方が、幸せになれるのです。それは、森信三先生の言われる「全一学」というものさしです。分かりやすく言ったら「易(えき)」です。
科学のものさしは、得てして西洋的な思想からきたものです。テストの成績が良い、悪いということは、走りっこが1番か4番かという程度の問題です。
走りっこが1番でも4番でも、人生にはあまり関係でしょう? 私たちは、いつの頃からか、テストでいい成績を取れる人が幸せになれるという錯覚を起こしているのです。
人と競争しないのが利口なあり方です。
競争したら絶対に弱い者が負ける。勝った人でも、その上にもっと強い人が現れていつか負ける時がきます。人間の感情の中で、悔しいという思いが一番危険なのです。恨みを買わない生き方が一番の基本です。
友達の数がその人の実力
「頭、悪くてもいいんです。頭のいい人を友達にすればいい。
お金、なくてもいいんです。お金持ちを友達にすればいい。
国語ができない人は、国語ができる人を友達にすればいい。
友達をつくる技術が生きる技術です。」
私たちの先祖は、友達づくりの技術を「躾」という形で伝えてきたのです。挨拶一つできない人に友達はできません。返事一つできない人に友達はできません。履物を揃える、立つ時机に椅子を入れる。これは約束を守るということに通じます。
この躾の三原則を教えたら、親としての義務は9割以上果たせるのです。
昔の日本は、結婚の90%以上がお見合いでした。年寄りは、結婚する女は器量よしがいいだの、頭がいいだのとは言わなかった。見合いの相手が履物を揃えとったらパスだったのです。
弱くても生きる「技」
西洋のものさしの価値観では、相手より強くならないと生きられない。資本が大きい、従業員が多い、誰それはこんないい家に住んでいる……、
どれも相手より強く、大きくなるところに価値を置いています。
ところが、世界の中で日本だけが弱くても生きられる文化を作り上げたのです。それは「技」を身につけるということ。西洋には「技」という概念がありません。自分が相手より強くならないと生きれなかったのです。
しかし、「技」があれば、相手が強ければ強いほどいい。相手の力を利用して生きられるからです。
ハガキ道というのは、「技」の文化です。頭のいい人は絶対に複写ハガキを書きません。一対一だから手間がかかるし、お金もかかります。
頭のいい人は、効率や能率を考え、一対千といった接し方をするのです。
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