皆さん、おはようございます。
一般に野球は9回で勝負をつけるように組まれています。しかし、全国高校野球大会では、8~9割の試合は7回で勝負ありで、8階以降に逆転するという試合は1割にも満たないのです。
しかし、「一発逆転」という場面がないわけではなく、そういう試合は大変思い出にも残りますね。人生にも「一発逆転」というチャンスがないわけではありません。
のびのびプレー
新宿区四谷 野球居酒屋「あぶさん」
2022年1月に亡くなった漫画家の水島新司氏のスポーツ漫画『あぶさん』は、日本一長く連載の続いた作品でした。
主人公の酒豪の強打者、景浦 安武が、弱小少年野球チームの監督をする場面があります。強豪チーム相手に出した作戦は、4番バッターをレギュラーから外し、
「ピッチャーは全てストレートを真ん中に思い切って投げること」
「バッターは初球から思い切って振っていくこと」
だけでした。
子どもたちはのびのびとプレーをし、接戦をします。そして、最後に温存しておいた4番バッターを代打として使い、サヨナラ勝ちをするのでした。
大リーグで活躍したイチロー氏が、以前、智弁和歌山高校で臨時コーチとして選手を指導した際にも、選手一人ひとりに自主練習のメニューを作成させ、「考える」ことの大切さを説きながら、緊張のほぐし方を教え、やはり、のびのびプレーすることを教えていました。
試合で力を発揮するには、選手たちがいかにのびのびプレーできるかが大切でしょう。そこが監督の手腕の問われるところです。そして、いざとなった時に、一発逆転カウンターをくらわすことができれば、それが勝利に繋がるのです。
岡山県津山市 炉端焼「あぶさん」
1秒で逆転
話は変わって、1985年、大学生のオリンピックといわれるユニバーシアード夏季大会が神戸市で開催されました。強豪米ソを含む史上最大の106カ国が参加し、2つの世界記録の樹立とまさに世界大会と呼ぶにふさわしい中にあって、日本は金メダル6個、銀メダル3個、銅メダル7個のメダルを獲得しました。中でも、柔道、女子マラソンのほか、バレーボールは男女共に金メダルと大活躍をしました。個人的なことですが、私も当時、参加資格はあったのですが、残念ながら選手としては出場できず、通訳としてこの大会に関与していました。
さて、この大会では忘れられない試合があります。
バスケットボール男子の決勝戦、アメリカvsソ連の試合です。この大会から初めて「スリー・ポイント」ルールが採用されました。
試合は後半までもつれにもつれ、試合終了1秒前に、1点ビハインドのソ連がボールキープのまま、作戦タイムを取りました。
そして、試合再開。
ソ連は残り1秒で、サイドラインからボールを入れ、スリー・ポイントシュートを放ちました。そして、ボールはゲーム終了のホイッスルとともに、みごと逆転のゴールとなって、リングに吸い込まれていったのです。
その後の勝利監督の話・・・インタビューをすると、
「これはまぐれじゃない。私たちは、残り1秒で逆転する練習をこの2年間、ずっとしてきたんだ。」
と胸をはっておっしゃっていました。
カウンターパンチ
次はサッカーの話。
日本代表チームだったジーコ監督から直接教えてもらった話ですが、サッカーではフリーキックやコーナーキックなどのセットプレーから得点できるのは30%ほどで、最もシュートできる機会の多いのはカウンターアタックで、実に40%を越えるのだそうです。
要は、常に一発逆転を狙う姿勢をもっていることが大切だということです。
そのカウンターアタックの要諦は、「ボールを奪った瞬間にすみやかに頭を上げること」なのだそうです。
ボクシングなんかでも、劣勢になっている選手が一発逆転のカウンターパンチで勝利するなんてことがよくありますが、どんなに打たれ続けていても、「ここ」と思ったら間髪入れず、頭を上げて逆襲にでるという姿勢が大切なのでしょう。
武道諸流の道歌に、「切り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ 踏み込んでみよ 極楽もあり」というのもあります。
一発逆転のカウンターのこつは、「うつむかないこと」です。