時の記念日
皆さん、おはようございます。
6月10日は「時の記念日」です。
奈良時代、日本で初めて水時計が使われたという記録が残っており、その日が新暦に直すと6月10日になるのだそうです。日本書記にも、天智天皇が西暦671年4月25日(新暦6月10日)の項に、「漏刻を新しき台に置く、始めて候時を打つ、鐘鼓を動す」とあります。「漏刻」とは水時計のことです。時の記念日は、東京天文台と生活改善同盟会が1920(大正9)年に、「時間をきちんと守り、欧米並みに生活の改善・合理化を図ろう」と制定されました。
時の記念日をきっかけに、時間の使い方について考えてみましょう。
時間を有効に使う
「時は金なり」“Time is money.”と最初に言ったのは、アメリカの政治家・科学者ベンジャミン・フランクリン(1706-1790)だそうです。古今東西、時間が経つのは早く感じられ、この時間をいかに有効に使うかが、成功の鍵だともいわれてきました。
樽の中の哲学者といわれた古代ギリシアの哲学者ディオゲネス(180-240)も、「時は人間が消費しうるものの中で、最も貴重である」と言っています。
時間を有効に使おうとして、成功した例と、失敗した例を一つずつ紹介しましょう。まずは、失敗例です。
時間を有効に使おうとした失敗例
友人S君は、大学受験を控えた高校3年生の夏休み、「僕は夜型人間で、夜に勉強する方が能率が上がるから」と言い、夜6時に起床して、朝9時に寝るという生活をしたのです。つまり、昼に9時間の睡眠をとり、みんなの寝ている夜に集中して勉強するようにしたわけです。勿論、いきなり、そういう生活を始めたのではなく、少しずつ起床時間と就寝時間をずらして、1週間ほどかけて、そういう生活リズムを作ろうとしたのでした。
ところが、夏休みの半ばになって、体調に異常をきたし、入院してしまう羽目になってしまいました。
病院に見舞いに行った時、S君は、「人間の体は夜に活動するようには出来ていないようだ」と嘆いたことが印象に残っています。(S君は、受験にも失敗。一浪を余儀なくされてしまいました。しかし、現在は市民病院で医者をしています。)
時間を有効に使った成功例
もうひとつは成功例です。
私の教え子、T子さんの話です。
T子さんが中学1年生の時、「同じ勉強するなら、早朝にやる方がいい」と言う話をしたのです。
例えば、夜8時から12時まで4時間勉強をして朝7時に起きるより、夜9時に寝て朝4時に起き、7時まで3時間勉強する方が、集中できて能率が上がるのです。特に、試験の日には、早朝にやった方が記憶に残っていますし、目も覚めて試験に臨めると思います。
T子さんは、この話をして以来、その生活リズムを中学3年間実行したのでした。そのためか、入学当初の成績は中の上くらいだったのですが、卒業時にはトップクラスでした。(今はもう二児の母親ですが、今でも、朝4時起きの生活が習慣になっているとのことです。)
早起きは三文の得
ドイツの諺に、「朝の時間には黄金が充満している」というのがあります。
イカリ消費グループの黒澤 眞次氏は、多忙な仕事をこなしながら、英会話、書道、はては飛行機の操縦まで、次々とものにしている人らしいですが、その秘密は、1日4分割法にあるそうです。つまり、1日を朝、昼、夜の3分割ではなくて、朝の前に「早朝」を設け、早朝の1~2時間を自己啓発の時間に当てるそうです。まさに「朝飯前」です。
人間の脳は、朝起きてから本当に目覚めるまでには、3時間を要します。朝8時前に起き、慌てて学校に飛んでくる人は、午前中の授業は、ほとんど寝た状態で受けているということです。
「早起きは三文の得」ともいいます。三文は、今の 1,000円程の価値ですが、それ以上の価値があると思います。
時間を貴重に扱う
講道館柔道の創始者、嘉納 治五郎先生は、講道館館長を務めるだけでなく、第一高等学校、東京高等師範学校の校長を歴任し、初代日本体育協会会長をされた人でした。嘉納先生は、時間を貴重に扱い、工夫するように説き、よく学生たちにこんな話をされたといいます。
「今ここに一升ますがあるとしよう。この中に栗を一升入れたら、もう何も入らないだろうか。決してそんなことはない。その栗の間に豆粒を入れれば、まだかなり、入る余地がある。では、もう何も入れられないかといえば、粟粒ならまだだいぶん入る。それに水を入れれば、まだまだ入るだろう。このように、時間の活用には、上には上があるものなのだ。時間を最も有効に利用した者に、最も立派な仕事ができる。」
1日24時間の升は決まっていても、その中に、何をどう詰めていくか、やり方次第では、実に多くのことが詰め込めるものです。何を「栗の時間」に行い、何を「豆粒の時間に処理し、何に「粟粒の時間」を当てるか、さらには、「水の時間」も生かせないかと工夫することで、多様なことが可能になるのです。
よく「時間がない」とか、「時間が足りない」と言って、結局は何もしない人がいますが、時間は泉水のように、いくらでも出てくるものです。長短の時間を無駄なく、創造的に使い切る工夫をしたいものです。
イギリスの文学者サミュエル・ジョンソンも言っています。
「短い人生は、時間の浪費によって、いっそう短くなる。」
そして、ヨーロッパには、こんな諺もあります。
「暇を利用しない人は、つねに暇なしである。」
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