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令和5年7月7日 A市立N小学校 教職員職員研修

画像 講演会
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参加者 N小学校教職員 32名

テーマ 「叱る」

「しつけの三原則」

教室の机に平気で座る生徒を見たらどうしましか? 

私は常にこう言って叱ってきました。

「学校の机は勉強するところでもあるが、昼食を食べる食卓(テーブル)でもあるのだ。あなたは、家でもテーブルの上に座るのですか?」殆どの生徒は、「はっ」として、跳び上がってくれました。

「しつけ」は押しつけだと言って、しつけ教育に反対する人がいます。しかし、本当に不必要なものなのでしょうか。

「人」という文字が二本の棒が支え合って出来ているように、人は一人では生きていけません。常に自分以外の人たちとの関わりの中で生きています。そこで、周りの人たちと、よい人間関係を作っていく必要があります。周りの人たちからバカにされたり、見放されたり、不当に扱われたりすれば、幸せな生活を送ることは出来ません。しつけというものは、子どもが将来、立派な社会人として生きるために必要な基本となるものであり、幸せに生きる社会人となるための生活行動基準だと思います。碁でいえば「定石」,柔道や剣道でいえば「型」,スポーツでいえば「基本」にあたるものです。これらをしっかりマスターしない限り、試合に勝つことはできないでしょう。

しつけなき社会人は、定石・型・基本を学ばずして試合をするのと同じで、どのように頑張ってみても、結果はみえています。たまたま運よく成功したとしても、一時期のものに過ぎないと思います。

教育哲学者の森信三氏が「しつけの三原則」というのを提唱されています。

しつけの三原則

 1.特に朝、「おはようございます」と明るくあいさつをします。

 2.呼ばれたら、「ハイ」と返事をします。

 3.はきものをきちんとそろえ、席を立ったら椅子を入れます。

この三つのしつけが身につくと、子どもの「我」がとれるそうです。「我」がとれるということは、素直な気持ちになるということであり、心の受入れ態勢が整うということです。こういう子どもは、何でも吸収し、伸びていくことができます。反対に、「エゴイストに成長なし」と言われるように、「我」の強い子は、心の窓が締め切った状態ですから、風通しが悪く、中の空気もどんどん悪くなっていきます。

しつけのきちんと出来ている子は、将来、必ず伸びます。無理に押しつける必要はありません。たった三つのことを自然に出来るようにさえすればいいのです。

しつけと体罰

知り合いのフランス人のお母さんが、自分の子どもに対して、私の目の前で非常に厳しいしつけ(体罰)をされるので、意見をしたことがあります。そうしたら、逆に、「私はフランス人です。この子をフランス人としての誇りをもった子になるように育てています。私のしつけのどこがいけないのでしょう? フランスはね、フランス革命で血を流さずして自由を勝ち取った国なんですよ。私達の国では決して暴力は教えません。でも、自由権を持つフランス人に育てるためには、命を懸けても必要なことはします。」と言って、叱られました。

アメリカが独立を宣言したのが1776年,フランス人権宣言が出されたのが1789年,その後、ドイツのワイマール憲法,ソ連のスターリン憲法,アメリカのルーズベルトによる四つの自由など、各国の人権保障の動きを経て、世界人権宣言が採択されたのが1948年です。人類史上、人権が尊重されるようになったのは、それほど昔の話ではありません。したがって、現在でも、まだ様々な偏見や差別が残っています。

私たちの周りで、最も偏見や差別問題が表層化するのは、結婚ではないでしょうか?人種差別や障害者に対しての偏見がいけないことだと頭でわかっていても、いざ、自分や身内が結婚するとなると、反対に回るということが少なくありません。

体罰に関する事例①

中学校剣道部において、女子生徒が友人に「ああ疲れた。私も年ね」と冗談で言っていた。

居合わせた教諭は、軽い気持ちで「何を言っているんだ。若いくせに」と言って、生徒の背後から、腰部をやや痛みを感じる程度の強さで、稽古着、垂れの上から一回蹴った。

生徒に怪我は全くなかったが、生徒の保護者から賠償を求めて提訴された。

⇒東京高等裁判所の判決(平成17年12月22日)は・・・

体罰に関する事例②

小学校2年生の男子児童が、休み時間に廊下で教諭のでん部付近を2回蹴って逃げ出した。教諭は立腹して追いかけ、児童を捕まえて、児童の胸元を右手でつかんで壁に押し当て、

「もう、すんなよ。」と叱った。

その後、児童は夜中に起き、食欲が低下するなどの症状があらわれるようになった。児童の保護者より、賠償を求められて提訴された。

⇒最高裁判所の判決(平成21年4月28日)は・・・

体罰に関する白己チェック

チェックポイント<教職員の共通理解>

1.子どもとの信頼関係を築く教職員の自覚

 □「体罰は時には必要」「自分も叩かれて成長した」と考えていませんか?

 □ 保護者の体罰容認論を言い訳にしていませんか?

 □ 自分の感情を上手にコントロールできますか?

 □ 児童生徒の考え方や意見を受け入れ、心情を理解しながら指導していますか?

2.学校全体で子どもを育む生徒指導の充実

 □ 全敦職員が相互に情報交換をしながら、協カして指導していますか?

 □ 学習指導や生徒指導に一貫性をもち、同一歩謂の指導をしていますか?

 □ 威圧的・高圧的な言動に頼らすに集団指導を行っていますか?

3.一人ひとりの子どもが生き生きする教育活動の実施

 □ ー人ひとりの個性や能カが発揮される教育活勤を行っていますか?

 □ 校則や学級のきまりについて、児童生徒に意義を考えさせる機会を設けていますか?

 □ 児童生徒の心理や言動の変化を踏まえた対応について、研讃を積んでいますか?

チェックポイント<指導体制の整備>

□ 校内研修等を通じて、生徒指導に関する通知等や体罰に頼らない指導に関する学校の基本方針について、共通理解ができていますか?

 □ 問題行動や特別な支援を要する児童生徒への指導を学年や学校全体で行っていますか?

 □ 日々起こる問題行動や指導困難な状況を管理職や同僚に伝える報告・連絡・相談体制は、整ってい

ますか?

 □ 特定の敦職員に生徒指導をまかせる傾向がありませんか?

 □ 児童生徒に関する諸問題を自分の責任だと抱え込んでしまう雰囲気はありませんか?

 □ 教職員間でお互いに注意・指摘したり、相互に協力したりできる体制がとれていますか?

 □ 児童・生徒を理解・受容し。児童・生徒と教職員との好ましい人間関係の醸成に努めていますか?

クレーマー対応

基本原則

1.誰でも「モンスター」に成り得る。

2.「初期対応」を誤ると、泥沼化する。

3.対応には、タイプ別の「コミュニケーションスキル」が必要。

モンスターペアレントの4類型

①我が子はお姫様

②私が王様タイプ

③何でも金タイプ

④ストレス発散タイプ

イギリスでは、フーリガンペアレント(フーリガン:熱狂的なサッカーファン)

アメリカでは、ヘリコプターペアレント(いつも見張って駆けつけるタイプ)

⇒ペアレントバウンサーと呼ばれる対応係が必要

事例

ドラマ「モンスターペアレント」より(2008年7月~9月)

幼児期の幸福度テスト

 1.自分が覚えている古い記憶の中には、親と過ごした楽しいできごとに関することが多い。

 2.幼稚園や保育所は面白かった。当時の先生や友達の顔や様子をなつかしく思い出すことが出来る。

 3.父と母は仲良くしていたようである。少なくとも子供の前で争ったことはない。

 4.親は私が何か質問すると、面倒くさがらずに、丁寧に、理解できるように答えてくれた。

 5.兄弟と喧嘩をしたことはあるが、他の兄弟に仕べて自分が不公平に扱われたとは思っていない。

 6.おもちゃについては、単なる思い付きでなく、いろいろと考えて買ってくれたようである。

 7.父や母とハイキングに行ったり、泳ぎに行った思い出がある。

 8.親は日本の昔話や民話などをよく話してくれた。

 9.父親は、暇なときによく肩車をしてくれたり、すもうの相手になってくれた。

  父親のからだの感触を覚えている。

 10.その当時の私の写真が整理されて残っている。

 11.おはよう、ただいま、おかえりなさいなどの挨拶がいつもごく普通になされていた。

 12.親は私の発達段階に応じて、近所への買い物、掃除の手伝いをさせた。そして間違いなくやると、誉めてくれた。

 13.親は租のその当時の友人関係を良く知っていてくれた。

 14.自分が病気をしたときや、けがをしたときには、親は心から心盾己してくれた。

 15.家庭の中で父親は枕して機嫌がよかった。たまにしかられることはあったが、それ以外はよく遊ん

でくれたり、話し相手になってくれた。

 16.家に客がきたり、こちらからでかけて行ったりして、にぎやかで明るい家庭であった。

 17.一家そろっての食事が楽しかった。食事のときに叱られた子とはなかった。

 18.旅行先から、父親は子供にあてた絵葉書などを送ってくれた。

 19.親は、子供に約束したことを一方的に破らなかった。やむを得ない理由で、その約束が果せない時には、よくその事情を説明してくれた。

 20.子供が親に、自分の作った作品や小さなプレゼントをすると、親は喜んでそれを大事にしてくれた。

 21.母親に抱きついて甘えた記憶がある。けんかで魚けて泣いて帰ったとき、母親は暖かく迎えてくれた。

 22.次の日曜日に、どこに行こうかと親のほうから意見を聞くことがよくあった。一方的に決められることはなかった。

 23.家の中でひとりが話すと、外の者はそれに耳を傾けるという習慣があった。たわいない私の話も親はよく聞いてくれた。

 24.母親は叱るときは厳しく叱ったが、ふだんはやさしい温かい人柄で、そのころの笑い声や話し方をよく覚えている。

 25.親は客の前で、私のことを「しょうのない子です」などと言ったことはなかった。むしろいい子だと思っているようだった。

 26.身につけるものが不潔にならないように気を使ってくれた。

 27.その当時の家に、どんな品物がどこに置かれていたかを大体覚えている。

 28.父や母は、お互いの悪口やぐちを子供の前で言うことはなかった。お互いに大事にしているようであった。

 29.親と大きな声で叫緒に歌を歌ったことがある。  30.親が帰宅すると、お帰りなさいととんでいった。親は自分を好きだった。

カウンセリングの視点で叱る

受容的、傾聴的、共感的態度で代表される考え方

普段褒めて、子どもとの信頼関係ができている教師ほど、叱る効果が出ます。何より、短時間で叱ることが大切です。

※実践訓練プログラム『3分間叱責法』

・短時間で

・50センチ~1メートル離れて

・呼び捨てでなく、「山田君(さん)」「あなたは」などを使う。

・自信を持って、明確な言葉で、冷静に。

・アサーティブ(さわやかな主張として)に

・「友だちに嫌われたら、私は心配だ」など、「私」が主語になるように。

・逃げ場を用意し、プライドを傷つけない。

・内面的動きを把握してアフターケア

ポイントは、攻撃的ではなく、アサーティブ(さわやかな主張として)に叱ることです。例えば、タバコを吸っている生徒に、「規則だから」と高圧的に言うのではなく、「君の年頃だと、吸ってみたくなる気持ちもよく分かる。でも健康に悪いよね。」と伝えること。人格を否定せず、プライドを傷つけないようにすることが大切です。

そして、叱った後は、その後のフォローが重要です。相手の心の動きをよく見ていないと、最悪自殺に至ることもあります。子どもが自分にとって大事な生徒であるというメッセージを伝え続けることが肝心です。