「叱ってくれるうちが花」
皆さん、おはようございます。
今年(2024年)は、1月20日が、暦の上で「大寒」です。この時期は、植木に寒肥を施します。春に花をつけ、果実をつける植物は今、冬眠状態で春を待っています。今、肥料を施すと肥料は植物の生育が盛んになる頃に栄養を十分に吸収できるような状態に土の中で変化するのです。このことは何かを仕上げようと思えば事前に十分な準備がいるということを意味しています。その時を迎えてあわてての応急処置では立派な花や実はできないのです。
「彼岸過ぎての麦の肥、二十歳過ぎての子に意見」という譬えがあります。時期を過ぎて肥料を与えても実がつかないと言う譬えで、二十歳を過ぎた子にいくら説教しても効き目がないことを教えています。
親や教師のアドバイスを素直に聞ける子どもは、将来、良い花を咲かせるようになります。二十歳を過ぎると自分自身で痛みを味わいながら学ぶことになります。
「叱ってくれるうちが花」(「怒られるうちが華」が正しい言い方だそうです)だということを知っておいてほしいと思います。
成人の日
さて、二十歳といえば、まもなく、成人の日です。
成人の日は、1948(昭和23)年7月公布・施行の祝日法によって制定されました。2000(平成12)年からは、ハッピーマンデー制度により、1月の第2月曜日に変更されており「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」日とされています。今は、成人年齢が引き下げられ18歳となりましたので、成人式とはいわず、二十歳を祝う式と名称を変え、各地で式典が行われます。
「大人」の定義
成人になったことを祝う行事は、昔から行われてきました。昔は、「元服」といい、13歳から15歳までが多かったようです。前髪を落とし、冠をかぶる儀式で、続日本紀には、聖武天皇が満15歳になった時に成人になったことを祝ったと記されています。
さて、成人式を迎えて、いよいよ大人の仲間入りをすることになるのですが、一体、「大人」というのは、どういう人と定義されるのでしょうか。
「大人」というのを、身体的(肉体的),精神的,経済的の3つの側面から考えてみたいと思います。
第1にあげた身体的大人というのは、文字通り、身体が大人として十分に成長していることです。殆どの人は、別に悩まなくても、しっかり食べて寝ておれば、身体的には大人になれます。
3番目にあげた経済的大人というのは、一定の収入があって、金銭的に自立していることです。社会一般の常識として、親の方が早く死ぬのですから、いつまでも親のすねかじりでは困りますね。
そして、一番大切なのが、2番目にあげた精神的大人です。つまり、ものの考え方,捉え方が社会人として通用し、精神的に自立している人であるかどうかということです。この2番目の精神的大人でない人を「大人っ子」と呼んでいます。
では、「大人っ子」にならないためには、どうしたらいいのでしょうか?
昔の人はいいことを言っています。
「子孫のために美田を買わず。」
「子どもには少しの飢えと寒さを与えよ。」
「若い時の苦労は買うてせよ。」
つまり、精神的大人に育つためには、多少の苦労や悩みを経験し、それを乗り越えていくことがなかったら駄目だということでしょう。
荒れる成人式
毎年、成人式(二十歳を祝う式典)で、派手な服装で暴れたり、大声を出して式典を妨害したりする若者がいます。中には、喧嘩や飲酒、器物破損などの度が過ぎて、逮捕者が出ることも少なくありません。
成人式が荒れるのは、彼らの存在の承認欲求からであり、彼らは学校教育の被害者で、成人式は学校教育の失敗の縮図だなどと主張される方もおられるようですが、私は学校教育だけの責任ではなく、これまでの子育てや教育で、「ダメなものはダメだ」と毅然と叱ってこなかった大人の責任だと思っています。
要は、悪いことをしたり、人に迷惑をかけたりした時に、きちんと叱られたことのない若者が、式典を潰すようなモラルのない言動をするのです。
「叱る!」
先日、ファミリーレストランに行った時のこと。
店が混んでいたので、待合い場所でいましたら、4,5歳の男の子が土足のまま、待合所のベンチの上をジャンプして飛び回っていました。誰も注意もしないし、親もいないのかと思って、「これこれ、ぼく。そんなところを靴のまま上ったらあかんよ。」と叱ると、それまで他人のようなふりをしていた母親が、「ほら、おじさんに叱られたでしょ!」と、まるで、自分と我が子が不当な被害を被ったように、感情的に声を出して愚痴るのです。
よっぽど、「あんたのしつけはなっていない!」と母親を叱ってやろうとかと思ったくらいでした。
子どもも大人も、本当に叱られたことの経験が少ないようです。しかし、子どもの行いで、
①ひとの迷惑になる
②だれかにとって危険なことである
③今はどうであってもやがて災難を招くもとになる
という場合は、その行いをやめさせるとか気持ちを取り直させるため、きちんと叱るべきだと思います。
江戸時代の農政家、二宮尊徳(二宮金次郎)は、こんな言葉を残しています。
かわいくば、
5つ教えて、
3つ褒め、
2つ叱って、
良き人とせよ。
「怒り言葉」を「叱り言葉」に。
叱り方には、コツがあります。
感情的になると、「怒り言葉」をつい使いがちになります。でも、ちょっと発想を変えれば、もっといい「叱り言葉」にできます。
子育てネット「上手なほめ方・叱り方」に、こんなことが書かれています。
『なんであんたは・・・』
その後には、「○○できないの?」と否定表現が続きます。背後には、「これくらいできるはず」「できて当然」という思い込みがあるのでしょう。よその子と比較してもいいことはありません。同じ「なんで」ならば、「なんでママが怒っているかわかる?」と原因について子どもに考えさせましょう。
『勝手にしなさい』
怒りのピークの決め台詞ですね。その背後には、「私の言うことを聞かないなら、もう、面倒を見ないゾ」という意味が込められている、究極の脅しのきいた言葉です。発想を変えて、「ママは、今日はママやめる」と、ママが勝手にするのも一案です。子どもはビックリして、何を勝手にするのか知りたがり、いい子になるかもしれません(?)
『褒め言葉』もどんどん使いましょう。
「いい子!」や「すごいね!」は、万能薬です。使い方も豊富です。そして、「ありがとう」は最高の褒め言葉になります。子どもの目を見で感謝の気持ちをしっかり伝えれば、とても喜ぶ魔法の言葉です。子どもは何もしなくても、元気に一日過ごしでくれれば、それだけで、「ありがとう」ではないでしょうか。
最後に、叱り方「かきくけこ」を紹介しましょう。
か:感情的にしかるな
き:機関銃のようにポンポン叱るな
く:比べて叱るな
け:けなすな、軽蔑するな(感情と行為の区別)
こ:行動(体罰)にでるな
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