皆さん、おはようございます。
魚を一匹やれば一日食いつなげるが、魚の取り方を教えてやれば一生食いはぐれることはない。
Give a man a fish and you feed him for a day; show him how to catch fish and you feed him for a lifetime.
これは、ボランティア精神の基本ルールです。
同様のことを、中国道教の開祖、老子も述べています。
「学校の成績を上げたい」という気持ちは、生徒や保護者の切なる思いでしょう。勉強そのものを教えることはもちろんですが、教師は、勉強の方法やコツについても語らなければならないと思います。
「呉下の阿蒙に非ず」
教え子に天羽(あもう)君という生徒がいました。中1の時に担任をしたのですが、体が大きく、力の強い暴れ者で、気に入らないことがあると、すぐに手を出すタイプでした。
最初、野球部に入っていたのですが、先輩にも疎んじられ、学校を休みがちになったので、私が顧問をしていた男子バレーボール部に途中から入部させました。
その時、彼にした話が、「呉下の阿蒙(あもう)に非ず」でした。
・・・三国志の中に出てくる呂蒙(ろもう)は、少年時代に家が貧しく、勉強ができませんでした。そのため、武芸には秀でていましたが、無教養という評価がなされ、バカにされていました。ところが、ある日、呂蒙は一念発起して猛勉強を始め、ついに先輩将軍たちと戦略論や戦術論を語り合えるほどになり、先輩将軍を驚かせたといいます。この時、先輩将軍のもらした言葉が、「呉下の阿蒙に非ず」だったのです。
「このままじゃいけないことはわかっているね。人間は勉強次第で変身できるんだから、男子バレーボール部に入った限りは、人の3倍の時間をかけて勉強するように。」という約束をさせました。
オール2だった天羽君が、中3の頃にはオール4になり、周りからも頼られるリーダーになったのは言うまでもありません。途中入部だったこともあり、男子バレーボール部では公式試合に出ることはありませんでしたが、高校に入ってから再び軟式野球に戻り、高3の時にはキャッチャーとして全国大会に出場しました。全国大会は1回戦敗退でしたが、天羽君だけがホームランを打ち、スタンドで観戦していた私にガッツポーズを見せてくれたことが忘れられません。
人間は、勉強次第で変身出来るのです。
勉強方法
さて、次は「勉強方法」の話です。
「しいてつとめる」と書く「勉強」という言葉は、明治に入って広まった言葉で、本来の意味は、①無理すること ②困難なことを無理してもすることです。もう1つ、③品物を安く売ることという意味もありますが、①②の意味なら、嫌がられるのは当たり前ですね。
辞書で調べると、「学び」は、①真を習うこと ②慎み深いことmodestyという意味があり、「学習」は「真似して慣れること」ということで、動物にも使える言葉だそうです。
学業成績は、決して、IQ(知能指数)などで測られる頭の良し悪しによるものではありません。私は、「学業成績=学習意欲×質×量」の掛け算で決まると思います。「質」は学習能率(勉強法)であり、「量」は学習時間です。一番大事な要素は「量」です。また、勉強は「授業」が勝負だと思います。
しかし、一日は24時間と限られていますので、質を高めること、つまり、学習の仕方が大切です。学習法には千差万別ありますが、自分にあった勉強法を見つけ出すことは、今後の人生においても、大きな影響を及ぼすでしょう。
「質」より「量」
学習の仕方の五大原則を紹介しましょう。
①学んで理解したと思うことは、機会があるごとに繰り返し理解せよ。
②復習には力を入れ、どんな場合にもかかすな。
③決して、一度にまとめてやろうとするな。
④丸暗記に頼らず、なぜそうなのか、
その内容、理由をよく考えながら覚えよ。
⑤粗雑でも速く・正確をモットーに。
1番目の「繰り返し」ということですが、記憶が定着するには、36回の復習が必要だと言われています。自分なりの学習方法をみつけるためにも、量をこなさないと駄目です。スポーツにしろ、勉強にしろ、訓練に属するものにおいては、量をこなすことが重要です。野球で「千本ノック」という言葉がありますが、自転車に乗るなど、「わざ」を身につけるには1,000回のトライが必要だそうです。
私の家では、冷蔵庫に「refrigerator」という文字を貼っていましたが、子どもたちが一番最初に書いた英語でした。なぜなら、毎日のように見ていたからでしょう。こんなふうに、目につくところに、覚えたいことを貼るのは大変効果的です。
「わかる」というのは、じわじわとわかるようになるのではありません。ある瞬間に、電光石火の如く、わかるのです。鉄棒のさか上がりが出来るようになった日のことを覚えているでしょうか。また、自転車が乗れるようになった日のことを覚えているでしょうか。何日も練習していて、ある日、突然、出来るようになったでしょう。「わかる」というのは、コップに注いでいると、ある時、水がこぼれ出すようなものです。
受験は要領
和田 秀樹という人が『受験は要領』という本を出しています。この中に、たとえば、「数学は解かずに解答を暗記せよ!」と書かれています。
掛け算の九九を覚えていると便利ですが、さらに11×11とか25×25を覚えていると、早く解答が解けますね。さらに、
「受験勉強を一生懸命やっていい学歴を手に入れるほど、ラクな処世術はない。ある雑誌の調査によると、都市銀行員の生涯賃金は、4億5000万円にも達するそうだが、これが一流メーカーでは3億円弱、二流企業では2億円あまりにしかならないという。そのうえ、一流大学を卒業していれば、出世も早いだろうから、その収入の差はさらに大きくなるだろう。
受験勉強を要領よくやるかやらないかでは、生涯賃金では2億円以上もの差がついてしまう。では、あと2億円を手に入れるためには、どれだけの時間が必要なのかというと、これがわずか1500時間でいいのである。1500時間と言えば大変なようだが、高3から受験勉強を始めれば、1日4時間、高2からなら1日2時間でクリアできる」と述べています。
2億円を1500時間で割ると、約13万円。少し打算的な考え方だと思いますが、受験勉強は1時間13万円のアルバイトと考えられるわけです。
受験は要領 たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ【電子書籍】[ 和田秀樹 ] 価格:570円 |
「受験期の心構え」を紹介しておきましょう。
自分なりの武器を持て!
次は、実際にあった話です。
ある学校で、番長と言われている喧嘩の強い生徒が弱い生徒をいじめていました。それを見つけたのは新任の若い体育の先生。大学時代、ボート部で鍛えた胸囲1mの体をいかし、正義感をもって番長を力ずくで押さえつけました。暴れん坊の生徒は、今まで先生に力で押さえつけられたことがなかったので、びっくり。しかし、その後、その体育の先生の言うことには、一切逆らわなくなったそうです。
ところが、ある夜、その体育の先生、ちょっとお酒を飲んで店を出たところで、肩が当たったということで、通りすがりの中年のおじさんと喧嘩になってしまいました。話をつけてやろうということで、店主や周りの者が止めるのも聞かず、裏道で決闘が始まったのです。しかし、その決闘は、ものの2、3秒で決着がついてしまいました。それもそのはず。その中年のおじさんというのは、空手道5段の猛者だったのです。かわいそうに、若い体育の先生は、口から泡を出してひっくり返っていたそうです。
それから、数日後、その空手の猛者は、北海道にキャンプに出かけました。大自然の中で一人きりでいたところ、運悪く、子どもを連れたヒグマと出会ってしまったのです。ヒグマは子どもを守るため、必死になって攻撃してきました。暫くは一進一退の攻防が続いていましたが、いくら空手の猛者といえども、ヒグマには勝てません。瀕死の重傷を負い、もう駄目だと目をつぶった瞬間、ヒグマは頭から血を出して目の前に倒れていました。見ると、その後ろから鉄砲を持った猟師さんがいたのでした。その猟師さんというは、偶然にも番長にいじめられていたという生徒のおじいさんだったのだそうです。
そのおじいさんの最近の口癖は、「孫には何をやっても勝てない」でした。
では、この話の中で、一番強いのは、一体誰なのでしょうというのが問題です。
ヒグマに出逢う前なら、やはり空手5段の猛者でしょう。中年のおじさんといえども、「空手」という武器をもっているから強かったのです。しかし、ヒグマには「爪」があり、猟師には「鉄砲」がありました。やはり、優れた武器を持っている者が強かったということです。猟師のおじいさんの孫が最初に出てきたいじめられっ子で、そのおじいさんが孫には勝てないというのが滑稽ですが、やはり、自分なりの武器を持っている者が強いということがいえるでしょう。
勉強するにしても、自分の武器となる、得意な教科を1つでも2つでも持っておくことが大切です。「数学なら負けない」とか、「英語で稼げる」という武器を持っていれば、入試も安心でしょう。
得意教科を持つか、それとも不得意教科を克服するか、考えて実行してみてください。
勉強は計画が8割
ところで、山登りをする時の心構えには、Must(義務感),Can(得意),Will(やりたい)があると言われています。これは、勉強する時も同じです。最初はMustであっても、Canになり、Willにレベルアップしていけるようにしましょう。
次に、仕事にしろ、勉強にしろ、楽しくする秘訣を教えます。
それは、「段取り」をすることです。先取り精神で段取りをうまくやれば、仕事は進むので、面白くなり、プラスの循環が起きます。
焚き火をするにしても、火がつくまでは焚き付けを入れたり、小枝を組み合わせたり、いろいろと段取りをしてやらないと燃え上がりませんが、いったん火がつけば、後は勝手に燃えていきますね。
何事も、弾みをつけてやると、うまくいくことが多いものです。それが段取りというものです。勉強は計画が8割だと言う人もいます。テスト前には、ムダ・ムリ・ムラのない計画を立てて臨みましょう。.
最後にとっておきのの言葉を紹介して終わります。
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