先生方へ・・・「原稿を書いて話そう。」
皆さん、おはようございます。
全校朝礼の校長の話というと、どんなイメージがあるでしょうか。
「暑い(寒い)のに早く終わってくれ」とか「誰も聞いていないのに……」など、マイナスのイメージをお持ちの方もいると思います。
かつて、私が大変、荒れていた中学校に勤務していた時の話・・・月曜日の朝、全校朝礼をするのはなかなか大変で、生徒は並ばない,遅刻者は山のようにおり、校長先生の話など、誰も聞いていないという状態でした。集会係だった私は、何度か校長先生に、「今日の朝礼はやめましょう」と提案し、「もっと、生徒が関心を持つようないい話をしてください」と失礼なことまで言っていました。
2学期がスタートしたある日、その校長先生から原稿を見てくれと言われました。それは、全校朝礼で話す内容でした。「3分にまとめてみたが、どう思う?」と私に問われました。原稿を読むと、素晴らしい内容でした。私は、「このお話は生徒の心に残ると思います」と正直に答えました。そして、それ以降、生徒たちは朝礼の校長先生の話をよく聞くようになり、早く並び、遅刻者も劇的に減っていったのです。
教師が魅力のあるいい授業をしないと、教室を飛び出す生徒が出てきて当然です。それと同じで、朝礼でもいい話をしないと駄目で、そのためには事前に原稿を書くべきだと思います。
私も、それ以降、帰りのショートタイムの「担任から一言」という時間を大切にし、話す内容を原稿に書くようにしました。また、全校朝礼や学年集会で話をする機会を得た時やPTAとの会合などでも原稿を書いて話をするようにしました。特に、せっかくの集会やホームルームの時間を、注意や叱責だけで終わらないように心掛けてきました。
校長になって、毎週、全校朝礼で話をする機会を得ました。そこで、普段の授業では教えないだろうと思う話題を選んで、話を続けています。月曜日の朝、普段の授業では教えない、人生の〝生き方〟を学び、生徒や先生たちが夢や希望を抱いて、「1週間、さあ頑張ろう」と元気を出して過ごしてほしいとの思いから語っています。
幸か不幸か、令和2年からコロナがまん延しました。一堂に生徒を集合させて朝礼をすることが出来なくなったので、光回線のテレビやネットを使って朝礼をすることになりました。そこで、単に話をするだけでなく、スライドや映像を使って、生徒たちの視覚にも訴えながら語ることにした。生徒たちも個人タブレットを利用するようになり、不登校の生徒たちにも全校朝礼の話を配信できるようにしました。
この度、それらの中からいくつかをセレクトして1冊の本にまとめたので、ぜひ多くの方に読んでほしいと願っています。
「皆さん、おはようございます」授業では教えない“生き方”教育 スライドで語る全校朝礼のお話[本/雑誌] / 長井功/著 価格:1280円 |
集会時の基礎基本
「前にならえ。」「ちゃんと手をあげて!」
「ハイ、なおれ。」
「前から順に座りなさい。」……?
何か違和感を感じませんか?
「前にならえ」とは、前にいる人との距離をとり、次の動作、たとえば、座ったり、走り出したりすることが一斉に行えるようにするために掛けている言葉です。つまり、「前にならえ」の次に一斉に座れなかったら、前にならう指導が出来ていないことになります。
先進国の中で「将棋倒し」(今は「群衆雪崩」や「群衆事故」と呼び替えられています)によって死亡事件が起きるのは日本だけだと言われたことがあります。整列の出来ない集団は、命を落とすのです。
生徒たちに集団行動を学ばせる時、頭ごなしに「きちんと並べ!」と指導(命令)しても、反発をくらうだけです。やはり、そこに理由を添えてやる必要があるでしょう。
朝礼の中で、座る姿勢、話を聞く態度、挨拶の仕方など、基本的なことについて理由を添えて学ばせておきましょう。
生徒たちへ・・・3つの約束
1.全校朝礼で表彰伝達をする時は大きな拍手を!
表彰伝達の時に、誰も手を叩かなかったり、あるいは、手を叩いても指を合わせるだけで音がなかったりする場面を、ちょっと想像してみてください。
……寒い感じがしますね。
皆で拍手の練習をしておきましょう。
「パチ、パチ、パチ、パチ、パチ……」
2.3D禁止
中学生の時期は、心も体も大きく成長する「ヘンシン」の時期だと思いますが、大きく、いいヘンシンをするには、「素直」であることが大切で、そのコツは「3Dを言わない」ことです。3Dとは、「でも」「だって」「どうせ」です。校内では、〝3D〟を禁句とします。
また、素直であるためにどうすればいいかというと、「経営の神様」と言われた松下幸之助さんが、「毎日、素直になりたいと念じ続けるしか方法はない。」とお答えになっています。、皆さんに、松下幸之助氏直筆の「素直カード」を渡します。ぜひ、普段から身につけておいてほしいと思います。
3.「『ミ』の音で挨拶を!
学校では挨拶をする機会がたくさんあります。朝の「おはようございます」だけでなく、授業前の「お願いします」や授業の終わりの「ありがとうございました」も含みます。
そこで、気をつけて欲しいことは、今までの挨拶の声の音を2音上げてくださいということです。つまり、「ドレミ」の「ド」の高さで挨拶をしている人は、「ミ」の音でしてくださいということです。
一度、やってみましょう。
「ド」の高さの音で、「おはようございます。」
「ミ」の高さの音で、「おはようございます。」
どうですか?
違いがありますね。「ミ」の高さで挨拶をした方が明るく、元気な感じがしませんか?
私の友人に、ご葬儀の仕事をしている人がいました。学生時代は明るく元気な人でしたが、仕事中は笑うことは許されず、「ド」の音よりもさらに低い「ラ」の音で話さないといけないので、会う度に表情がなくなっていき、元気がなくなっていました。ちなみに、「ラの音」というのは、楽器のチューニングをする時の基準にする音だそうです。
高い方の「ラ」の高さまで出せとはいいませんが、挨拶をする時は、「ミ」の高さの声でするように心掛けましょう。
すごい朝礼
「公開朝礼」「本気の朝礼」などで有名となった大嶋 啓介氏が、居酒屋「てっぺん」で実施している「すごい朝礼」を紹介しています。
すごい朝礼 たった15分の習慣で人生が変わる [ 大嶋啓介 ] 価格:1650円 |
15分間の「仕事始めの『朝礼』」が、社員の気持ちに火をつけ、多くの人の夢を実現させています。一種の洗脳に近い状態で、脳をワクワクさせることができるのだそうです。
学校の全校朝礼も、「すごい朝礼」にしましょう。
校長先生がいい話をすると、こんなふうに学校が変わります。
・生徒たちが学校に行くことを楽しみにするようになります。
・当然、不登校の生徒や遅刻する生徒がいなくなります。
・学校内で話題が増え、先生と生徒たちとのコミュニケーションが増えます。
・ポジティブかつクリティカルに「考える」生徒が増え、リーダーが育ちます。
・先生たちの指導力が上がり、授業も上手になります。
・保護者や地域からの信頼度が上がり、学校によく協力してくれるようになります。
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