皆さん、おはようございます。
子どもを育てる中で犬猫などのペットを飼うことは、大変効果があると思います。
特に現代のように、核家族化が進んだ中で、「死」を身近に感じられなくなった時代において、生き物を育てることは、単なる癒しやストレス解消だけでなく、様々な教育効果があるでしょう。
これまで、私が学校で取り組んできた飼育・栽培についてお話します。
金魚の飼育
子どもが縁日で金魚を持って帰ってきました。最初は仕方なく、小さい水槽に入れて飼っていたのですが、次第に大きくなり、なついてきます。
その時、初めて知ったことですが、魚は死ぬまで大きく成長するのです。また、水槽の大きさによってその成長に差があります。
金魚の成長に従って、次第に大きな水槽で飼うようになりました。また、春になると卵を産むようになり、あっという間に、家中、水槽だらけになってしまいました。
そこで、自分が担任していた中学校のクラスに持って行って、教室でも金魚を育ててみることにしました。
当時、校内暴力の盛んな頃で、生徒指導で走り回っていましたので、教室の金魚がやられるのもすぐかもしれないと心配していましたが、なんと、ほとんどの生徒たちは、金魚たちに勝手に名前をつけ、かわいがってくれます。長期休業中にもエサやりに来てくれたり、水換えも積極的に手伝ってくれたりします。不登校の生徒の中には、金魚のエサやりのためにだけ、放課後や休日にこっそりと教室に来てくれるという生徒もいました。
これは教育効果が高いと思い、自分が学年主任になった時には、その学年の教室全部に,そして生徒指導担当になった時には学校の教室全部に,さらに教頭になった時には池の鯉を含め、玄関や廊下で金魚を飼育しました。
その中で、気付いたことがります。放課後、誰もいない教室を見回ってドアを開けた時、荒れている学級の金魚たちは逃げ回ります。反対に、落ち着いたクラスの教室では悠然と金魚たちが泳いでいます。「教室で飼っている金魚を見れば、クラスの状態がわかる」のです。
さすがに校長になった時には、自分自身の出張も多くなったのでやめましたが、30年近く学校で金魚を育ててきました。
大事に育てると、金魚は次から次にと繁殖します。なにより人によくなつきます。時に、他の動物(猫やサギ)に食べられたり、エサのやり過ぎや病気などで殺してしまったりすることもありますが、それもいい体験になるでしょう。
トマトの栽培
教室でガジュマルなどの観葉植物を育てるこことも教育効果がありますが、収穫のできる食べ物を育てるとすれば、トマトがおススメです。
最近は、食中毒の防止などを理由に、学校で給食や調理実習で作った以外のものを児童・生徒たちに食べさせることが難しくなっていますが、トマトは短期間の間にさほど手間をかけなくても育ち、教室の子どもたちが一人ひとつ持って帰れるくらいの収穫が期待できますし、食中毒の心配もほとんどありません。
作ったものを「食べる」という観点より、食物を大事に育てようとする心を養うことを目的にすればいいと思います。
また、「トマトが赤くなると、医者が青くなる」と言われるくらい、トマトは栄養価が高い食べ物なので、食育の観点から児童・生徒たちが学ぶことが多いでしょう。
抱鯉(だきこい)の術
鯉を捕まえようと網を持って池の周りや池の中を追いかけても、鯉は逃げ回って、なかなか捕まりません。
鯉捕りの名人によれば、まず水の中に入り、鯉の動きに合わせてゆっくりと歩くことから始めるそうです。次に、これと思う鯉の泳ぐ方向に一緒に歩き、少しずつ近づきます。そして、鯉の横に並び、片方の腕で自分の体の方にゆっくり引き寄せ、抱え込むようにして歩きます。もう一方の手で網を鯉の前に差し込むようにすると、やがて鯉はおとなしく素直に網に入るのだそうです。これを「抱鯉の術」というのだそうです。
教育や子育ては、まさにこの「抱鯉の術」と同じではないでしょうか。
私たちは水に入らず、池の端であれこれと子どもたちに言葉で指示や命令をしがちではないでしょうか。人生経験の少ない子どもたちの行動は、大人からみれば、歯がゆく、口をいれたくなることがたくさんあります。しかし、子どもたちは子どもたちなりに工夫したり、努力したりして、悩んでいるのです。この悩みを少しでも解消してあげるためには、大人が子どもたちの立場や考えに腰と目線を落として、子どもたちと同じ位置で話を聞き、共に考え合う方が、子どもに多くの示唆を与えることができるのではないでしょうか。
子どもたちに、時として高所からの命令も必要ですが、普段は、極力子どもたちの心と行動に歩み寄って、抱え込むような教育を進めたいものです。
管理職になってから、幸いなことにすべての学校に池があったので、鯉を飼い、育てました。勿論、生徒たちのためでもありましたが、「抱鯉の術」で教育をして欲しいという、先生たちへのお願いのためでもありました。
<参考>児童・生徒から教師が「信頼」されるコツ
①親から信頼されること。
「足で稼げ」(家庭訪問)
保護者の来校をチャンスに。
一方通行でない学級通信
②授業が上手であること。
教材研究・研修の機会を持つ。
③話上手であること。
行き当たりばったりでなく、話す前に原稿を書いてみる。短学活(ST)の時間を大切に。
④生徒一人ひとりを大切にする。
ひいきはせずに特別に扱う。
個別に接する。(生活日誌や個人ノート,電話,暑中見舞いの葉書)
生徒の個人情報をしっかり把握
⑤温かさと厳しさを兼ねた厳正な姿勢で接する。
「三つ叱って、七つ褒めよ」・・・「ほめる指導」と「叱る指導」をうまく使い分ける。
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