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忙中閑あり・死中活あり

タイトル 忙中閑あり・死中活あり
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「忙中閑あり」

現代人は、「毎日、忙しい」と感じている人が大多数だそうです。

しかし、「閑ができたら勉強しようなどと考えてもだめです。閑のある人はあくびをして呆けている。閑は忙中にあるのです。」・・・これは、昭和の財政官界の多くのリーダーたちが師と仰いだ陽明学者、安岡 正篤の残した言葉「六中観」のひとつです。

「忙」という字をよくみると、「心を亡くす」と書きます。

余りに忙しい毎日を過ごすのは、心の健康上、よくないでしょう。しかし、その中で「閑」を見つけだすことも大切です。

「六中観」とは、安岡 正篤の座右の銘で、「死中有活」,「苦中有楽」,「忙中有閑」,「壷中有天」,「意中有人」,「腹中有書」の6つをいいます。

「死中有活」

「死地に入って活路が開け、全身全霊をうちこんでこそ何ものかを永遠に残すのである。のらくらと五十年七十年を送って何の生ぞや」

死んだつもりで頑張れば、活路はひらけます。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあるでしょう。

「苦中有楽」

「いかなる苦にも楽がある。貧といえども苦しいばかりではない。貧は貧なりに楽もある」

苦労の中に楽しみをみつけることです。苦しい時に楽しみを見つけるようにすれば、乗り越えることは容易でしょう。

「忙中有閑」

「ただの閑は退屈でしかない。ただの忙は文字通り心を亡ぼすばかりである。真の閑は忙中にある。忙中に閑あって始めて生きる」

忙しい中に真の閑があります。忙しい中でも心の余裕を持つことが大切です。

「壷中(こちゅう)有天」

「世俗生活の中にある独自の別天地をいう」

自らの生活に別天地を作ることです。どんな境遇にあっても、不可侵の自分だけの世界を作ることを意識しておけば、ものごとを客観的に見つめることができるでしょう。

「意中有人」

「常に心の中に人物を持つ。或いは私淑する偉人を、また要路に推薦し得る人材をここというように、あらゆる場合の人材の用意」

理想の人を心中に持つことです。心から尊敬する人は、偉人、伝説の人、身の回りの人を問いません。この分野ではこの人しかいないという人を心の中に持つと、軸がぶれません。

「腹中有書」

「目にとめたとか、頭の中のかすような知識ではなく、 腹の中に納まっておる哲学のことである」

確かな哲学を腹中に持つことです。身心を養って経綸に役立つ学問をすることが必須です。

死中活あり

人は「死」を意識すると、人の生き方は変わると言われています。実話を4つ紹介しましょう。

本気の極みは捨て身

坂村 真民先生の話に、こんな話が載っていました。

ある校長先生の体験話です。

この話は、まさに、「死中有活」の実例でしょう。「本気の極みは捨て身」といわれますが、自己の保身を忘れて捨て身になった時、そこに活路がひらかれるということもあるのです。

いまを生きよ! いまを生き切れ!

多摩大学名誉教授で、シンクタンク・ソフィアバンク代表・田坂塾塾長の田坂 広志さんのお話です。

32歳の時、重い病を患い、医者から「もう長くは生きられない」との宣告を受けまたそうです。

医者から見放され、自分の命が刻々失われていく恐怖と絶望の日々、両親から、ある禅寺に行くことを勧められました。

藁をも掴む思いで、その寺に行きましたが、そこには何かの不思議な治療法があるのではとの期待は、すぐに打ち砕かれました。寺を訪れると農具を渡され、ただひたすら畑仕事で献労をすることが求められたのです。

「明日の命も知れぬ自分が、なぜこんな農作業をやらなければならないのか。」そう思いながら鍬を振り下ろしていると、不意に横から「どんどん良くなる! どんどん良くなる!」と叫ぶ声が聞こえてきました。見ると一人の男性が懸命に鍬を振り下ろしている。しかし、その足は大きく腫れ上がり、ひと目で腎臓を患っていることが分かりました。休憩時間に声を掛けると、その男性はこう言いました。

「もう10年、病院を出たり入ったりですわ。一向に良くならんのです。このままじゃ家族が駄目になる。自分で治すしかないんです!」

その覚悟の言葉が胸に突き刺さってきました。そして、その瞬間、一つの思いが湧き上がってきました。

「そうだ、自分で治すしかないんだ!」

それまで、医者が治してくれないか、この寺が何とかしてくれないかと、常に他者頼みであり、自分の中に眠る無限の生命力を信じていませんでした。それが最初の気づきでした。

それから数日後、山の中腹の畑を耕しに行くことになりました。仲間に農具を配り終え、先に出発した仲間を追って山道を登り始めると、思わず言葉を失う光景を目にしました。

それは、足を患っている献労仲間の老女が、鍬を杖にして、山道を必死に登っていく姿でした。農作業はおろか、歩くことすら困難なのに、不自由な足で、鍬にすがりながら、山道を登っている。しかし、その後姿から、その老女の覚悟の声が聞こえてきました。

「たとえ畑に辿り着けなくとも良い! 私は全身全霊、この命を振り絞って登り続けます!」

彼は思わず心の中で手を合わせ、「有り難うございます。大切なことを教えて頂きました」と念じながら、横を通り過ぎていきました。

その献労の日々を続け、寺の禅師との接見がかなったのは、ようやく9日目の夜でした。長い廊下を渡って部屋に入り、一対一で向き合った禅師は、力に満ちた声で、彼に聞きました。

「どうなさった」

「はい、実は……」

彼は堰を切ったように苦しい胸の内を吐き出しました。重い病気を患っていること、医者からもう命は長くないと言われたこと、一縷の望みを抱いてこの寺へやってきたこと……。禅師はきっと、何か励ます言葉をかけてくれるに違いない。そう期待しながら語りました。

彼の話を聞き終えて、しばしの沈黙の後、禅師は言いました。

「そうか、もう命は長くないか」

「はい……」

その後、禅師は、腹に響く声で力強く、こう言ったのです。

「だがな、一つだけ言っておく。人間、死ぬまで命はあるんだよ!」

一瞬、彼は何を言われたのか理解できませんでした。当たり前のことを言われた気がしました。しかし、禅師は続けてもう一つ、力強く言葉を語ると、接見を終えました。

彼は部屋を出て長い廊下を戻りながら、禅師の言葉を思い起こしました。その瞬間、突如、気づいたのです。

そうだ、禅師の言う通りだ! 人間、死ぬまで命があるにも拘らず、私は、もう死んでいた! どうしてこんな病気になってしまったのかと「過去を悔いる」ことに延々と時間を使い、これからどうなるんだろうと「未来を憂うる」ことに延々と時間を使い、かけがえのない、いまを生きてはいなかった。

その瞬間、禅師が続けて語った言葉が、心に甦ってきたのだそうです。

この言葉が胸に突き刺さってきました。そして、このとき、彼は、一つの覚悟を心に定めたのです。

そして、そう覚悟を定めた瞬間、私は病を超えたのです。

もとより、奇跡のように病が治ったわけではありません。しかし、心が病に囚われなくなったのです。

生きることができるのは今日だけ

教育評論家・セミナー講師の中井 俊已先生のお話です。

黒澤 明監督の映画に「生きる」という名作があります。役所に勤める老年の男性が不治の病を知らされ、残り半年の命をどのように生きたかを描いた作品です。

自分の余命が短いことを知った渡辺 勘治課長は、それまでの味けない判で押したような生き方に疑問を持ちはじめ、悩みます。そして、自分が心底生き甲斐を持ってできることを探しさまようのです。見知らぬ小説家と知り合って夜の歓楽街に案内されますが、空しさが残るばかりです。役所を無断欠勤して、生の意味を求めてさまよう日々が続きます。

そしてある日、役所の同じ課にいた女子職員の小田切とよが、新たな生き甲斐を求めて玩具工場に転職したことを知った時、彼は悟ります。他人のためになる仕事に没頭することこそ、苦悩を越える道であると。

意外にもそれは、これまで味けないと思っていた役所の仕事の中にありました。彼が選んだその仕事は、町に小さな公園を造るという平凡なものでした。ところが、彼は、人が変わったたように、その仕事に打ち込み始めます。誠心誠意働き、多くの困難にもひるまず、遂にその仕事を成し遂げるのです。 

そして、余命を知らされてから半年後、完成した公園のブランコにゆられながら、彼は微笑みをもってその生涯を閉じるのです。         

その生き方は、彼を知る多くの者を驚かせ感動させます。

なぜ、彼は変わったのか。なぜ、彼はまったくやる気のなかった仕事に、全力を傾け、命を燃やすように打ち込むことができたのか。

余命を宣告されるまでの彼の長い緩慢な生活ぶりを知る者にとっては、それは大きな驚きであり、疑問でもありました。人は自分の命がわずかだと知らされたとき、こんなにも「生きる」ことを真剣に考え、行動するようになるのです。

本当に価値のあるものを追い求め、そのために残り時間のすべてを捧げ尽くすようになるのだとこの映画は語っています。

なお、この映画が公開されたのは、1952年のことでした。2022年、イギリスのオリヴァー・ハーマナスが監督、カズオ・イシグロが脚本を務めて、リメイク作品『生きる LIVING』が発表されています。

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人間は生まれながらの死刑囚

2023年、老衰のため93歳で逝去された加賀 乙彦氏は、作家で精神科医として、東京拘置所の医務技官を務め、多くの死刑囚、無期囚と向き合ってこられました。拘置所内で感じた死刑囚、無期囚との違いや死生観について、こう語っておられます。

『同じタイプの囚人でも、入獄して10年経つと、その様子は死刑囚、無期囚で大きく違ってくるんです。

無期囚の人たちはむやみに暴れて発作を起こしていたような者でも。10年経つと本当に人が変わったように大人しくなってしまいます。

ところが、死刑囚の人たちは真剣にいろいろなことを考えるし、人の悪口を言ったり、一方で心を開いてくれる人も多い。亡くなるまでずっと元気なんです。』

ロシア小説家、ドストエフスキーは、「死刑囚は明日死ぬかもしれないという恐怖に常に晒されているから、彼らには非常に濃密な時間が流れている」と述べていますが、無期囚になると、原則として死ぬまで刑務所で働き続けなくてはいけませんから、その人生の時間は薄く引き延ばされる。だからヒステリーも起こらないでしょう。

ドストエフスキーは『死の家の記録』で、ある囚人が1年、2年と毎日棚に印をつけている場面を描いています。無期囚にとって退屈することは何よりも苦しい。だから退屈しないように、あらゆる器官が鈍感になるのです。

死刑囚というのは特殊なあり方のようですが、パスカルの言葉を借りれば、「人間は生まれながらの死刑囚」なんです。

つまり、人間はある日、等しく神に呼び出されて死の宣告を受ける。だとしたら、死を乗り越えるために神と対話をしなくてはいけない。このことは僕が信仰を持つようになってからの気づきの一つでした。

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後悔しない生き方

日本は自然災害が多く、地震や洪水である日、突然に命が終わる人がいます。また、事故や病気で明日の命も知れない人もいます。それは自分も例外ではありません。

そう考えると、もし、あと1年も時間をいただけるのなら、ありがたいことだと思えてきます。あと1年間しかないから、「今日、いま、やろう!」いや、あと1年も時間をいただけると感謝しつつ、「今日、いま、やろう!」と考えることができるでしょう。

最後に、著述家で文筆家の千田 琢哉氏の「死ぬまで悔いのない生き方をする45の言葉」を紹介しましょう。

タイトル 顔
人生の考え方・生き方がその人の顔を作る。レオナルド・ダ・ヴィンチは、『最後の晩餐』を描くのに20年かかったそうです。最初に描いたのがキリストでした。非常に目が澄んでいて、肌がきれいで、すがすがしい好青年をみつけ、モデルになってくれるよう頼んだそうです。その後、ユダだけが描けなくて、10年以上苦しんでいました。 ある日、ダ・ヴィンチは酒場の薄暗い片隅に、人生の悲哀とか、裏切りとか、憎しみ、妬み、嫉みみたいなものを全身に背負っているような男を見つけ、その男にユダのモデルになってもらいました。しかし、それは、キリストとして描いた男だったのです。20年間、このモデルの男は、常に人の悪口を言い続けていました。 リンカーンは、「40歳以上の人間は自分の顔に責任を持て」と述べています。人間は、普段考えていることが顔に出るのです。 「笑う門には福来たる」「笑いは百薬の長」といわれますが、笑いはストレスを発散させます。反対に「一怒一老」と言われるように、人間は、怒ると脳内にノルアドレナリンなどのホルモンが分泌され、体を老化させます。セリエは、無理してでも笑うことを勧めています。 じっくり鏡に映る自分の顔を見てみましょう。机に向かって仕事をしたり勉強をしたりする際に、机に鏡を置いておくと、「メタ認知」「ホーソン効果」という現象で、楽しく仕事や勉強がはかどるそうです。...
タイトル 仕事の効率化
「しごと」の効率化かつて「5時から男」というコマーシャルが流行ったことがあります。私たちの1日のうち、大半の時間は仕事の時間です。仕事の時間の過ごし方が、人生を左右することも多いと思います。仕事で幸せに成功するのが、人生で幸せと成功を手にするための近道だといえるでしょう。 「しごと」には、「私事」「仕事」「志事」の3種類があります。「志事」を増やしていくことが大切です。「志事」を増やせる人は、「自分はできる!」というセルフイメージを持っています。その自信に根拠は必要ありません。「根拠のない自信」でいいのです。 また、「あり方(Be)」⇒「やり方(Do)」⇒「持ち方(Have)」の順で考えると、ビジョンが明確になり、やるべきことが見えてきます。 仕事の出来ない原因と仕事の効率を上げる方法、仕事の効率up術・メモ習慣を紹介しましょう。 ...

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