皆さん、おはようございます。
毎年、正月が明け、成人の日の頃に大学入学共通テストが始まります。(今年2024年は、成人の日が1月9日、共通テストは1月13日~14日でした。)これを皮切りに、いよいよ、受験シーズンの到来です。小学6年生、中学3年生、高校3年生のお子様のいるご家庭は、ピリピリする大変な時期でしょう。まず第一に、風邪などひかないように、健康に十分気をつけて、家族全員でこの時期を乗り切ってほしいと思います。そして、周りの大人たちは、どっしりと構えて、いいアドアイスを送るようにしましょう。
受験は自分のためだけじゃない。
学校は集団で勉強するところです。したがって、多くの人と生活するための知恵を学ぶことが、一番大切なことだと思います。自分→家族→友人→学校→地域社会→世界へと輪が広がるほど、相手の立場を考える時の配慮が必要で、学ばなければならないことが増えてきます。
そのために、小学校・中学校では、多くの教科が用意されているのです。嫌いな教科や苦手な科目も、義務教育で学ぶべき内容は最低、学習しておかなければなりません。平和で助け合える社会を維持する智恵を身につけた人が多い国ほど発展している国です。
日本は、戦争に負け、アメリカをはじめ多くの国から食料援助を受けていた時代があります。今は、発展途上国に援助している世界でトップクラスの国になり、平和で豊かな国です。教育を大事にし、字の読めない人がいない国になり、学び続ける人が多い国だったからです。学ぶことをやめ、勤勉に働くことを忘れた時から国は滅び、貧困に苦しむ人が増えることを歴史は教えてくれています。
進学とは決して自分のためでなく、社会発展のためにもなるのです。受験勉強では自分だけがしんどいのではありません。友達も頑張っていることを思い起こし、自分の限界を広げる挑戦を期待します。
「招かれる人は多いが、選ばれる人は少ない。」
受験期になると、いつもこの言葉が頭に浮かびます。これは、聖書(マタイ福音書22章14節)にある言葉です。
今現在、大学受験生の数よりも大学の定員数の方が上回り、えり好みさえしなければ誰でも大学に入れる時代になっています。しかし、いわゆる難関大学とされるところは、相変わらず厳しい状況が続いています。受験という壁を乗り越えていかなければならないのですが、「選ばれる人は少ない」という現実はしっかりと認識しておかなれけばならないでしょう。「選ばれる」のに必要な「ふさわしさ」を身に着けなければならないのです。その「ふさわしさ」とは、学力だけではありません。むしろ「私の人間性」が問われるのです。「選ばれる」人間性を磨いていかなければならないと思います。
その意味では、一日一日が大切で、それが積み上げられて、自分自身になっていくのです。自らを鍛えるという意識を大事にしながら、学校生活も大切に送りましょう。
「狭い門から入りなさい。」
茶の湯を完成した千利休がつくった茶室には、「にじり口」という不思議な出入り口があります。四方70cmに満たない狭い入り口です。なんでこんな出入り口を設けたのか、一説に、聖書にある「狭き門より入れ」から発想を得たというのがあります。どんな人間であれ、たとえそれが時の権力者であっても、巨万の富を得た者であっても、茶室には、自分の膝を折って、「にじり」よって入るようにしたというのです。膝を折って、「にじり」入るためには、みずから身を低くし、身をかがめなければなりません。そこから、利休は、茶室にあっては、謙虚になること、謙遜になることを求めたとも考えられます。
入試の時期になると、今年は少し「広い門」になったとか、依然として「狭き門」であるといった表現をよく耳にするようになります。倍率が低いか高いかを言うときに使われるのですが、「広き門」と言われれば、少し安心し、「狭き門」と言われれば、厳しさを覚悟するのです。
しかし、受験の準備を一生懸命している人たちに、あえて「狭い門から入れ」と言いたいと思います。それは、困難なことにチャレンジすると同時に、人間が謙虚になるためです。狭い門から入って、俺はやったぞ、と誇らしい気持ちになるのは分かりますが、同時に、謙虚な思いを身につけるためでもあります。膝をにじって、身をかがめて、狭い門にチャレンジして、謙遜さを知るということです。
「狭い門から入りなさい」という聖書の言葉はこう続いています。
「滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを見いだす者は少ない。」
ぜひ、「狭い門から入る」という難しさを味うことにチャレンジしてほしいと思います。そして、「にじり」入ることを通して、身をかがめることを通して、謙虚さを覚えてほしいのです。
受験はアルバイト!?
精神科医で受験アドバイザーの和田 秀樹さんが、『受験は要領』という本で、「受験は頭のよしあしでなく、“暗記”と“要領”だ」と述べています。
さらに、
「受験勉強を一生懸命やっていい学歴を手に入れるほど、ラクな処世術はない。ある雑誌の調査によると、都市銀行員の生涯賃金は、4億5000万円にも達するそうだが、これが一流メーカーでは3億円弱、二流企業では2億円あまりにしかならないという。そのうえ、一流大学を卒業していれば、出世も早いだろうから、その収入の差はさらに大きくなるだろう。
受験勉強を要領よくやるかやらないかでは、生涯賃金では2億円以上もの差がついてしまう。では、あと2億円を手に入れるためには、どれだけの時間が必要なのかというと、これがわずか1500時間でいいのである。1500時間と言えば大変なようだが、高3から受験勉強を始めれば、1日4時間、高2からなら1日2時間でクリアできる」
と述べています。
2億円を1500時間で割ると、約13万円。少し打算的な考え方だと思いますが、受験勉強は1時間13万円のアルバイトと考えられるわけです。
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一流校を選ぶか、二流校を選ぶか?
2022年4月9日に日本テレビで放送された「世界一受けたい授業」にイェール大学助教授で 半熟仮想株式会社代表取締役の成田 悠輔氏が面白いデータを発表していました。
成田氏は、中学から高校まではほぼ不登校状態でしたが、東京大学を首席で卒業し、マサチューセッツ工科大学で経済学の博士号を取得され、現在、データ分析を駆使して世界最先端の研究を行っている“世界が認めた天才”学者です。
まず、シカゴの高校生約4000人を対象に普通の学校の生徒とエリート校の生徒を縦断的に比較しています。1点差でギリギリ合格した人と不合格だった人の未来を比べ、2つのグループで違いがあればエリート校に入れたかどうかが作り出した違いではないかという考え方に基づき、高校卒業後の共通テストの成績をみました。
すると、エリート校に行った人の成績はほとんど変わらないか、むしろ低いことがわかったというのです。さらに、出身大学と将来の収入を調査した結果でも、その差は1%以下でした。
つまり、
「子どもたちの将来の目に見える幸せを考えるなら、有名な学校に行くことはそんなに大事じゃないかもしれない」
「学歴を身につけてしまうことで思い込みや足かせになったりする側面もある」
ということだそうです。
エリート校に進学しても将来の収入は変わらない!?
次に、アメリカの約250万人のデータを取り、子供の頃に習った教師の指導力とその子どもが28歳になったときの年収をグラフにして示しています。
すると、指導力の高い教師に習えば習うほど、大人になったときの年収が上がっている傾向があることがわかりました。その差はなんと年収10万円にもなります。つまり、指導力が高い先生が教えることの経済効果が高いと指摘しています。
なお、「指導力」は教師の指導方法や人柄、個性といったものを数値化しており、指導力のある先生は、必ずしもエリート校にいるわけではなく、これらのデータから、「有名な学校に行くことは大事じゃないかもしれない。自分がやりたいことに耳を傾けては?」と提言されています。
残念ながら、これらのデータはアメリカの生徒たちのものなので、そのままこれが日本にも当てはまるかどうかはわかりません。日本では、教師力を数値化する伝統も習慣もありませんし、日本では縦断的に追跡調査を行うことが大変少ないからです。
しかし、これらの結果は、決して間違っていないと思います。
受験期の親の心構え
どんなに偉そうにしていても、進路に対して子どもは不安です。進路決定期の親の思いやりのある態度、言葉こそが子どもを救います。進路を通して、親子の絆は強くなるのです。
曹洞宗の開祖、道元が、「愛語は愛心より起こる。愛語よく回天の力あり。」という言葉を残しています。「愛語」には苦しい状況を変える力があります。一緒に苦難を越えてあげてほしいと思います。
子どもの言葉から・・・
・「親が思うほど、賢くない。」
・「自分に力がないのが情けない。」
・「もし、失敗したら、許して!」
⇒こういった気持ちも考えず、説教しても効果は期待できません。子どもの視点で考え、人生の先輩として忠告してあげてください。
子どもを追い込んでいく親の態度
・「あんな学校か」(ことさら学校のランクにこだわる親)
・「私立へは行くな。」(経済的理由ならば、子どもは話してやれば納得します。)
・「自分で責任を取れ。」(進路に対しての責任は親が負うものです。)
・「担任の先生ではだめだ。他の先生、知り合いに聞いてみよう。」
(担任一人が判断するのではありません。担任は窓口です。)
・家庭内で責任のなすりつけがある。「勝手にしろ。」(無責任な生き方の見本です。)
望ましい家庭のあり方
・子どもを特別扱いしない。一時的でも、わがままを認めると、それが普通になりま す。
・生活のリズムを崩させない。学習は生活の一部です。
・最後は子どもを受け止める優しさ、温かい家庭の雰囲気が必要です。子どもががっかりしている時、「まだまだ道はある。一緒に考えよう。」と励ましてあげてください。子どもが帰る所は家庭しかありません。突き放しても、効果は期待できません。
・食事、寝具に十分な気配りをしてあげてください。
高校受験は中学1年生から(金をかけて)準備せよ。
大変荒れた中学校に勤務していた時にいた2人の教え子の話をしましょう。
【T君の例】
中学1年の時から授業は受けない,周りの生徒や先生とのトラブルは日常茶飯事,バイクを乗り回しては逮捕されるという、問題行動の多い生徒でした。しかし、どういうわけか、1年生の時から週2回の塾にだけは行っていました。塾の先生がよかったのか、親の教育が厳しかったのか、その理由はわかりません。
こんなこともありました。他校生とトラブルをおこし、双方、謝るということになって、放課後に学校で謝罪の場を設けました。一応、謝罪の儀式が終わって、担任の先生がそれぞれに話をしようとしたところ、T君は、「俺、今日、塾があるから帰るわ。」と言って、担任が止めるのもきかず、さっさと塾に行ってしまったのです。
そのT君は、市内の公立高校を受験しました。受験の当日も、試験会場で他校生とメンチを切ったといって殴り合いのケンカをするなど、トラブルを起こしましたが、合格し、無事、公立高校に進学しました。
中学時代、彼と同じように行動していた者で、公立高校に進学した生徒は誰一人いませんでした。彼だけが公立高校に進学したのは、塾だけは休まず行っていたからでしょう。
【K君の例】
中学1年生から2年生の前半までは、T君と共に行動し、ありとあらゆる問題行動をしていました。しかし、中学2年生の夏休みを過ぎた頃から、急に授業に真面目に取り組むようになりました。T君との交流は続いていましたが、一緒に問題を起こすことはほとんどなくなりました。ただ、家庭的に塾に行くことはできませんでした。
中学3年生でも真面目に生活をし、県立の高校を受験することになりました。
内申点も十分で、合否判定はAでした。しかし、受験の前日、私のところにきて、こんな事を言うのです。「俺は、先生のお陰で中2から勉強するようになったけど、中1の時にまじめにやってなかったから、中1の勉強がわからへんねん。明日の入試は、中1の範囲も出ると思うから不安なんや。」
私は「心配ない」と一蹴して、K君を受験に送り出しましたが、発表が気になり、一緒に見にいきました。すると、10人受けていた生徒の中で、彼だけが落ちていたのです。
彼の内申点は、その10人中2番でした。「まさか」と思いましたが、彼の心配が的中してしまったのです。
高校進学に向けて、中学3年生になったからといってスタートするのではなく、なるべく早い時期から意識して準備をすすめてください。
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