3種類の質問
皆さん、おはようございます。
先日、職場で研修を行いました。講師の方が最後に「質問コーナー」を設けてくれます。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と言われます。しかし、「質問は?」と言われると、なかなか切り出しにくいものです。
一般に、学会の発表では、大体20分間の発表時間があり、質疑応答の時間が10分程度取られます。
私は、大学時代、指導教官から「質問には3種類ある」と教えてもらいました。
一つは、本当に内容がわからないので質問するケース。
しかし、これは自分勝手な行為で、良識的な人ならまずしないだろうし、まして誰でも知っているような解答なら、自分の勉強不足を披露するようなものだから、恥ずかしい行為だと言われました。
次に、相手の発表内容が「おかしい」と言わんばかりにクレームをつけるようないじわるな質問。
指導教官が発表者を育てる意図があってするならまだしも、発表者の顔に泥を塗り、その場を壊すような質問は決してしてはいけないと教わりました。
そして、いい質問とは、発表者が時間が足らずに詳細に語れなかったことを引き出してあげるような質問です。
それは、自分が回答をわかっていても構わないわけで、その場にいる人たちがさらに理解を深められるような内容の質問をするのが質問者の紳士的な行為だと教えていただきました。
また、10分間の質疑応答が可能なのは3つくらいだろうから、自分の質問がベスト3に入るかどうかを検討しながら、質問をするようにするということも教わりました。
さらに、発表時間が終わって、自分だけが個人的に発表者を捕まえて質問するのは、マナー違反だとも・・・。
「質問」が人生を創る。
実は、人というのは質問に支配されています。
なぜなら、私たちは意識的な行動をとる前に、自分自身に質問をすることで意思決定をしているからです。
「明日の約束は何時だっけ?」
「何を準備すればうまくいくだろう?」
と、心の中で質問することで、出かける時間を決めたり、資料を作成したりします。
つまり、人がどのような行動をするかは、自分自身に対する質問の内容次第で決まるのです。
ということは、質問を変えれば、行動が変わるということになります。
「良い質問」とは、問われた人が思わず答えたくなる,新しい気づきを与えてくれる質問です。「良い質問」を続ければ、人生を変えることができるわけです。
「良い質問」をするために
「エグゼクティブコーチ」の粟津 恭一郎氏が『「良い質問」をする技術』という本を出しています。
「エグゼクティブコーチ」というのは、主に大企業の経営者に「質問をする」ことだそうです。2~3週間に一度、「コーチング・セッション」という時間をとってもらい、一対一で質問をし続けます。その中で、経営者の方に気づきを得てもらうことが仕事だそうです。
1. 「良い質問」をするために一番、大切なことは、相手の話を「聞く」ということです。質問相手に心から関心を寄せ、真摯に話を聞く態度と行動のことを「アクティブ・リスニング」と呼んでいます。日本語には「傾聴」という言葉があります。「傾聴」は、カウンセリングや看護の現場などで、クライアントや患者さんの発言を否定せず、丸ごと受け止めて聞くということですが、それ以上に、「質問して聞く」というのは、「傾聴」のニュアンスよりもさらに動的なものとして捉えられます。
2. 「良い質問」をする際、技術的なことの基本は、「質問は流れに合わせてその場で考える」ということです。事前に紙に書いて準備しておいた質問をクライアントの前で順番に繰り出していくというのはよくありがちな失敗です。なぜなら、あらかじめ準備した言葉は、相手の心をとらえないからです。かといって準備が無駄だというわけでないものの、いざセッションがはじまったら、リストよりも、その場の流れや展開を重視すべきです。
3. 質問をその場で考える際、ある程度、オープン・クエスチョン(5W1H)に沿って繰り返し聞いてみるべきです。そうすれば、詳しく聞きたいことが必ず出てきます。
※5W1H=what(何を) who(誰が) when(いつ) where(どこで) why(なぜ) how(どうやって)
4. 質問はしてもアドバイスはしないようにします。「こうしたほうがいい」というアドバイスは、その時は役立つかもしれませんが、同じような状況で再び使えるとは限らないものです。多くの場合、アドバイスには再現性がありません。しかし、質問によって、その人自らが気づきを得た場合は、大きな成長を期待できるのです。
NGな質問
これだけは避けたほうが良い、NGな質問を5つあげましょう。
【1】ネガティブクエスチョン
「なんで出来ないの?」といった相手の否定を前提とした質問です。こういった質問は、反省することに終始しがちで、やる気が削がれ、本来望んでいる解決策を考えて行動することには繋がりにくいものです。
【2】ノーアンサークエスチョン
答えを求めるのが質問ですが、中には答えを求めていない質問もあります。例えば「何回ミスしたら気が済むの?」といった質問です。これは質問の形を取っていますが、実は「何回もミスをするな」と言っているだけです。謝罪を受けて溜飲を下げるという、いわば質問者の自己満足でしかないと言えます。
【3】即否定
質問しておいて、答えるとすぐに否定するパターンです。これも結局は自己満足です。質問に答えてくれた相手への敬意を忘れてはなりません。
【4】自分で答える。
相手に質問したのに、答える前に自分で答えてしまうのは感じが悪いです。当然心の距離は遠ざかり、信頼関係はズタボロ。本当に答えて欲しい質問をしても「どうせ自分で答えるんでしょ」と思われ、口をつぐんでしまいます。いくら答えるのが遅くても、待ち続けるのが質問者のマナーです。
【5】誤導質問
浮気はしていないと言っているにも関わらず、「浮気するようになって長いの?」と質問する行為を指します。「はい」と答えても、「いいえ」と答えても浮気自体は認めたことになるため、事実を歪めるミスリードだと言われています。特に警察や司法の場では禁止されています。悪用しようとすればいくらでもできてしまう、恐ろしい質問です。
不恥下問
論語に「不恥下問」という言葉があります。」
衛の国の大夫、孔叔圉は死後「孔文子」とおくりな(諡号)されるのですが、「文」は最上級のおくりなとされます。彼が何故「文」とされるのか、弟子の子貢の問いに、孔子が次のように答えています。
『子曰、敏而好學、不恥下問、是以謂之文也』
読み下すと、「敏にして学を好み、下問を恥じず、是(ここ)を以てこれを文と謂(い)うなり」となります。
意訳すると、「才能があり賢くあるにも関わらず学を好み、目下の者に対して質問することを恥じなかった。だから文というのだ」ということでしょう。
「「質問して損することはあまりありません。どんどん質問しましょう!」といっても、歳をとるとともに、なかなか質問ができにくくなったりするのも事実です。そういう時は、「不恥下問」を思い出してみましょう。
日本では昔から、「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」というではありませんか!
〝Nothing is lost for asking.〟
〝A man becomes learned by asking questions.〟
〝Better to ask the way than go astray.〟
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