「マクドナルド」はどこのコトバ?
皆さん、おはようございます。
皆さんはハンバーガーをよく食べますか? 今日はハンバーガー店舗数ランキングナンバーワンのマクドナルドに関するお話です。
ご存じ「マクドナルド」は、三重県を境に、関東では「マック」、関西では「マクド」と言って親しまれているといわれています。しかし、「マクド」という呼び方を使っている地域は、関西圏の11府県(マクドのみ:大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県,マック・マクド混在:徳島県・香川県・高知県・愛媛県・三重県・滋賀県)だそうです。
また、「マック」というのは「子ども」という意味で、「マクドナルド」は「ドナルドさんちの子」というのが本意です。
では、「マクドナルド」はどこのコトバでしょうか?
答えは、マクドナルドの昔のコマーシャルにあります。
「いつだって、どこだって、誰だって。美味しいコトバはひとつだけ。
『世界のコトバ』、マクドナルド。」なんです。
(この問題は、日本マクドナルのマネージャー昇任試験の第1問にあげられていました。)
さて、日本マクドナルド初代社長は、藤田 田(でん)という人ですが、今回は彼に関わる話をしましょう。少し長くなります。
ユダヤの商法
「ユダヤの商法」という本は、日本マクドナルドの創業者である藤田 田氏が昭和47年(1972年)に出版してベストセラーとなった本です。
その内容を幾つか紹介しましょう。
○商売人が数字に強くなければならないのは当然のことだが、中でもユダヤ人の数字に対する強さは特筆すべきものがある。それほどにユダヤ人は、ふだんから生活の中へ数字を持ち込んで数字を生活の一部としているからだ。
○ユダヤ人は、世界をまたに飛び回っているだけに、最低2か国語はマスターしている。自国語でものを考えながら、同時に外国語でものを考えることができるということは、違った角度から幅広く理解ができるということであり、国際商人としては大変な強みである。そのために、自国語しかしゃべれない商人より、はるかに的確な判断がくだせるのだ。
○ユダヤ人は暗算の天才である。暗算が早いというところに、彼らの判断が迅速であるという秘密がある。
○ユダヤ人とつき合ってみるとよくわかるが、ユダヤ人は「雑学博士」である。しかも、それが通りいっぺんの浅い知識ではなく、博学なのである。ユダヤ人と一緒に食事のテーブルを囲むと、彼らの話題が、政治、経済、歴史、スポーツ、レジャーと、あらゆる分野にわたって、豊富であることに驚かされる。ユダヤ人は、商取引にはまったく関係がないと思われるようなことも、実によく知っている。大西洋の海底に住んでいる魚の名前、自動車の構造、植物の種類-などに関する知識ですら、専門家に近い知識をもっている。こうした豊富な知識が、ユダヤ人の話題を豊富にし、人生を豊かにしていることはいうまでもないが、商人としての的確な判断を下すためにどれほど役立っているかは、はかりしれないものがある。雑学に支えられた広い視野。その視野に立って、ユダヤ人は正確な判断を下してくるのである。
○ユダヤ人は、出社すると1時間ほどは「ディクテイト(dictate)」といって、前日の退社後から出社時間までに届いた商取引の手紙の返事をタイプしてしまう。「今は、ディクテイトの時間だから」といえば、ユダヤ人の間では「万人シャット・アウト」という公認用語である。ディクテイトの時間がすむと、お茶を飲み、それからその日の仕事に入っていく。ディクテイトの時間は、どんなことがあってもユダヤ商人に面会することは不可能だ。ユダヤ人が「ディクテイト」の時間を大切にするのは、彼らが、速戦即決をモットーとし、前日の仕事をもちこむことを恥辱と思っているからである。有能なユダヤ人の机の上には「未決」の書類はない。その人間が有能であるかどうかは机の上を見ればわかるといわれているのもそのためである。
○金に糸目をつけず、たっぷり食べれば、結果として健康になる。この健康がユダヤ商人の最大の元手なのである。2千年もの間、迫害されながらも、ユダヤ人の血がけっして絶えることのなかった理由も、ユダヤ民族がいかに”健康”を重要視してきたかの現れである。
○ユダヤ人は、金曜日の夜から土曜日の夕方まで、禁酒禁煙禁欲と、すべての欲望を絶って休息に専念し、神に祈りを捧げる。この日、ニューヨークの自動車の交通量は半減するといわれるほど、ユダヤ人は厳格に休息の掟を守っている。24時間、たっぷり休息して、土曜日の夜からが、ユダヤ人のウィークエンドである。休息を十分にとったあとで、今度は悠々と週末を楽しむのである。働くばかりでは、いずれ健康をそこね、人生の目的である快楽を味わえなくなることを、ユダヤ人は長い歴史を通じて、知っているのである。働いたら必ず休むことを忘れてはならない。
この「ユダヤの商法」という本は、現在、ほとんど市場に出回っておらず、高価な本となっています。なぜなら、この本には元祖富裕層になった起業家の教えとして、商売と金儲けのコツがふんだんに書かれており、購入した人が大切に保管しているからだと、著者の藤田氏本人が語っています。
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ユダヤの法則
実業家、藤田 田は、日本マクドナルド初代会長だけでなく、日本トイザらスの創業者でもありました。「R」だけを反転させた表記に倣って、「ら」だけをひらがなにした日本語表記を考案・命名しました。
また、「人の上に立つためにも、数字を使わなければならない。」と主張し、数字の持つ客観性こそが人を説得するとし、たとえば、こんな数字をあげています。
・ハンバーグを焼く鉄板の厚さは32mm、表面温度は摂氏188度で3分半焼き
・注文されて32秒でお客にサーブ
・人間が温かい食べ物で一番美味しく感じるのは61度
・水が一番美味しいと感じるのは4度
・カウンターは小銭を一番出しやすい72cm
・スマイルで3秒間だけ催眠状態にかかる。
そして、藤田氏は「ユダヤの商法」の中で、「ユダヤの法則」を紹介しています。世の中はすべて78対22で成り立っており、ユダヤ人の商売に対する心構えや儲ける法則が、この78対22にあてはまるというのです。
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが、経済活動において全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという「パレートの法則」を提唱しています。「80:20の法則」や「2:8の法則」とも呼ばれ、「売上の8割は商品の2割で生む」、逆に言えば「商品の8割は売上の2割にしかならない」というわけですが、これも「ユダヤの法則」と同じような考え方です。
78対22
ユダヤ人というのは、金融、政治、娯楽などの多くの分野で、世界トップクラスに君臨しています。
スティーブン・スピルバーグ,アルバート・アインシュタイン,ロスチャイルド家,レオナルド・ダビンチ,ノストラダムス,イエス・キリスト,etc…世界の名だたる方々がユダヤの血を引いています。
世界の億万長者トップ400人中に占めるユダヤ人の割合は60人で、億万長者の15%を占めているそうです。また、ノーベル賞受賞者(1901年~1999年までの間)は、663人中140人がユダヤ人だそうです。
「78対22」という黄金比は、科学的にも証明されており、統計の中から見つかっているものも多かったりします。
例えば、
・地球は、海の部分が78%で、陸が22%
・空気は、窒素が78%で、その他が22%
・人間の体は、水分78%で、その他が22%
・腸内の理想的な善玉菌と悪玉菌の割合は78対22(この割合が崩れると体調を崩しやすい。
・足の裏にかかる体重の割合は、かかとが78%、つま先が22%
・人間の肺呼吸と皮膚呼吸の割合は、78対22
・正方形とその正方形に内接する円の関係は、正方形の面積を100とすると、円の面 積は78.5。つまり、正方形に内接する円の面積を約78とすると、正方形の残りの 面積は、約22。
・世の中の22%のお金持ちが、世の中の78%のお金を動かしている。
・売上の約8割は、全顧客の2割の人達により生み出されている。
・お金を貸したい人が78に対して、借りたい人が22の割合でできている。
・働きアリの集団のうち、まじめに食料を集めているのは78%、残りの22%の働きアリはサボっている。サボっている22%を集団から隔離すると、まじめに食料を集めていた働きアリの22%が新たにサボるアリになり、逆に、まじめに食料を集めいていたアリの数を減らすと、サボっていたアリの中から、まじめに働くアリが現れる。
この他に、ユダヤの商法には、「男はすべての金の78%を稼ぎ、女はすべての金の78%を使う」というような考えもあるそうです。
「ユダヤの法則」の応用
この「ユダヤの法則」は、仕事や人間関係にも応用できます。
①仕事においては、
・仕事で結果を出すという目標であれば365日の78%(285日)は仕事して、 残りの22%(80日)を休む。
・1時間のうち78%は仕事に集中し、22%は脳を休める。
・仕事が辛ければ、楽しい仕事を22%する。
・仕事が楽しいのなら、辛い仕事を22%する。
などなど、仕事で成果を発揮するには適度な休みが必要です。
休みがあるからこそ仕事で力を発揮できる=22%の行動が78%の効果を最大限に発揮するとも言えると思います。
仕事内容は変わらなくても、今までとは違う方法や考え・技術などを22%だけ取り入れてみると、大きな失敗もなく新しい結果が生み出せていいかもしれません。
②家族や職場でいい人間関係を築きたいと思えば、
・好きな人でも、22%合わないところがあって当たり前、
・チームのうち、22%苦手な人がいるのがちょうどいい、
と考えるといいかもしれません。
世の中に完璧な人なんていませんから、相手に100%を求めるのではなく、違うところがあって当たり前と考えていれば、コミュニケーションの取り方や、話し方にも変化がでてくるでしょう。
立てた目標も、78%達成できれば大成功!と考えても良さそうです。
③サンキューセット
さて、藤田田氏は、マクドナルドの商法に、この「78対22の法則」を応用しています。その例として、サンキューセットがあります。ちょうど、500円紙幣が500円硬貨に変わろうとしていた時代に、彼はこのセット商品を文字どおり390円で売りました。
サンキューセットに500円を払うと110円のおつりがきます。390円:110円=78:22というわけです。
ソフトバンク
日本マクドナルドの創業者である藤田田氏の「ユダヤの商法」の本を読み、感銘を受けて、著書の藤田さんにアポなしで会いに行った若者がいました。のちのソフトバンクの社長、孫 正義さん、当時16歳だったそうです。
アポイントをとってないので当然、門前払いを受けたらしいです。それでも面会してくれるまで毎日通い続け、その熱意に負けた藤田さんが15分だけという条件付きで対面しました。その時、孫さんは、「君、これからはコンピューターの時代だよ。」と言われ、次の年、孫さんはアメリカに留学して勉強し、今の基礎を築いたのでした。
そのソフトバンクの戦略にも、ユダヤの法則78対22が応用されているといわれます。ちなみに、孫さんは感情認識ヒューマノイドロボット、ペッパー君の開発にあたり、フランスのロボット会社を買収しましたが、その株式の購入割合が「78%」でした。
マクドナルドの栄光と衰退
藤田田が、日本マクドナルドを立ち上げたのは、1971年でした。
当初、アメリカ側は店の名前を英語の発音に忠実に「マクダーナルズ」にしなさいと主張してきました。しかし,藤田氏は「発音しづらい!」と反論し、日本語として言いやすい3・3の音になるようにマクドナルドを押し切りました。
また、出店場所もアメリカ側と対立しました。アメリカ側は車でお客さんが多く来る「茅ヶ崎」を主張しましたが、藤田氏は「銀座の三越」以外にないと、これも押し切りました。
そして、通常なら1ヶ月半はかかる改装工事を39時間で仕上げ、マクドナルド1号店が銀座の三越に開店しました。
当日は2000人が駆けつけたそうです。開店にかかった費用は3,000万円。しかし,わずか1ヶ月で4,000万円の売上げを上げました。
その後、順調に売り上げを伸ばしてきたマクドナルドでしたが、藤田田が2003年に会長を辞任して以来、アメリカマクドナルド社は藤田イズムを日本マクドナルドから消し去ることに躍起になります。
そして、2004年、藤田田が78歳で亡くなると、直後にアメリカ本社の考えを経営に反映できる代理人として、アップルコンピュータ社長だった原田 泳幸(えいこう)氏がスカウトされ、日本マクドナルドの社長に就きました。
原田氏がアメリカ本社から叩き込まれたミッションは、「藤田経営潰し」であり、「藤田派幹部の一掃」でした。原田氏は日本マクドナルドのトップとして乗り込んで最初の取締役会で英語のスピーチを行い、「バスに乗る者はバスに乗れ! そうでない者は辞めろ。」という方針を明確に示しました。こうして、藤田派の経営幹部の切り捨てがなされたのでした。
その後、原田氏の積極的な不採算店の閉鎖や「100円マック」などの新たな事業展開により、7年間減少し続けていた業績が嘘のようなV字回復を見せました。
しかし、マクドナルドの退社を余儀なくされた藤田派幹部たちは、その後、それぞれに大出世を遂げています。
そのうちの5名をあげると、
・バーガーキング・ジャパンの村尾 泰幸社長
・モスダイニングの友成 勇樹会長
・フレッシュネスの柴関 修社長
・コメダの臼井 興胤社長
・すき家本部の興津 龍太郎社長
藤田 田氏のDNAは、日本の外食産業に脈々と生き続けているのです。
一方、マクドナルドは2012年に売り上げが低迷し、翌2013年にはサラ・カサノバさんが社長に就任しました。
その後、2014年に上海工場で賞味期限が切れた食肉の不正利用が発覚し、その後も食の安全が問われる不祥事が相次いで、2016年には過去最大の赤字を記録してしまいます。しかし、そんな”暗黒時代”を抜けて、現在は見事復活を遂げています。
ちなみに、原田 泳幸氏は、マクドナルドを追われてから、ベネッセホールディングスの会長兼社長となりますが、個人情報漏えい問題等で業績が悪化し、「疫病神」「貧乏神」の批判を受け、2年後に退職しています。
『人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった』
これは、現在、日本一熱い想いを伝える「炎の講演家」「YouTube講演家」として活躍している鴨頭 嘉人さんの著書です。
鴨頭さんは、アルバイトとして4年間、正社員として21年間、マクドナルドに勤め、その間、新規開店した店舗の店長として、お客様満足度全国1位、従業員満足度全国1位、セールス伸び率全国1位の「三冠」を達成した最優秀店長でした。
講演もさることながら、この本も実にユニークで面白い内容です。
「マクドナルドは、アルバイトの高校生や大学生でなりたっている。人生で初めて仕事をしてお金をもらう学生たちに、働くことの意味やお金を儲けることの大切さ、そして人生を教える場だ。」と述べています。
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藤田 田氏の作った日本マクドナルドは、多くの人を育て、社会貢献をしてきたのです。
最後に、なぜ、私がこんなにマクドナルドについて詳しいのかというと、私も大学生時代、マクドナルドでアルバイトのマネージャーを勤めていたからでした。私も、『人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった』と思う一人なのです。(また、つい最近まで、大学生だった息子も、マクドナルドでマネージャーとして勤めていました。)
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