スキーの魅力
皆さん、おはようございます。
今日1月12日はスキーの日です。1911(明治44)年1月12日、オーストリアのレルヒ少佐が、新潟県の高田陸軍歩兵連隊の青年将校にスキーの指導をとりました。これが、日本人初のスキーだったそうです。
以来、日本では、各地にスキー場が作られ、老若男女問わず、楽しまれています。
私の本当の専門種目はスキーです。2歳からスキー板をはき、学生時代は国体選手を目指して、スラローム(回転競技)を専門にしましたし、パトロールやスキー学校のインストラクターもやっていました。
そこで、これまで教師として勤めてきた中学校の野外活動では、よくスキー実習を計画しました。
その一番の理由は、「スキーは短期間で上手になるから」です。
生徒たちをスキーに連れて行くと、3日間でとても上手になります。
スキー実習を終えた時、ほとんどの生徒たちは、「スキーは楽しかった!!」と満足そうな表情で言います。
もちろん、スキーが楽しかったかどうかは、天候やインストラクターの影響が大きいので、必ず、2月15日以降の春スキー日和の日に実施し、国際理解教育を兼ねてニュージーランド人の陽気なインストラクターを選びます。(外国人のインストラクターの方がSAJ(日本スキー連盟)のインストラクターより安く雇えるのです。また、宿舎で「ハカ」を踊ってくれたりします。)
そこで、「なぜ、楽しいか、わかるか?」と生徒たちに問います。
ほとんどの生徒はきょとんとしていますが、その答えは、「それは、スキーがうまくなったからだ。」と教えるのです。
そして、
「技術が伸びている時は、『楽しい』と感じるものだ。」
「これはスポーツに限らず、勉強だって同じだ。伸びている時は、『楽しい』と感じる。」
「だから、学校に帰ったら、先生の話を素直に聞いて、勉強にも部活動にも一生懸命、伸びるようにやってごらん。」
という話を、いつもお世話になっている兵庫県ハチ高原スキー場の「青い鳥」のご主人にして頂くのです。
これまでの経験上、効果はてきめんでした。
スキー実習から帰った生徒たちは、それはもう(3か月ほどは)、一生懸命、先生の話を素直に聞き、真面目に勉強をし、部活動を頑張るようになります。
スキー実習の反対者に!
スキー実習の実施に対しては賛否両論あります。私は、お金をかけるだけの教育的な価値が十二分にあると思っています。
たった3日間で「うまくなった!」と感じるスポーツなんて、スキー以外にはないからです。
しかし、スキー実習実施に際して、反対される方もいます。
以前、スキー実習を行った際、引率して頂いたある教頭先生は、スキー実習の開校式の挨拶で、開口一番、「私はスキーが嫌いです。」「学生時代に初めて吹雪の中でスキーをした時、足をけがしたからです。皆さんもけがには十分に気をつけてスキー実習をしてください。」という挨拶をされていました。
スキー実習実施に反対される方は、教師と生徒との触れ合いが少ないとか、値段がかかるとか言われますが、ほとんどの場合、単にスキーが嫌いなだけではないでしょうか?
先ほど述べたように、春スキー日を選べば、吹雪や交通渋滞に遭うことも少なく、快適に実習を行うことができます。
スキーが好きになるかどうかは、最初の経験が重要で、きっとスキー実習実施に反対される方は、不幸な経験をされてきたのでしょう。
スキー事故と交通事故
ところで、交通事故で出会い頭の事故の場合は、双方に責任が問われますが、止まっているところに後方からぶつかった場合、法的には後方からぶつかった方に100%の過失があるとされています。私も車で信号待ちで止まっているところに追突されたことがありました。当然、相手側の100%責任ということで、車の修理代と若干の慰謝料を頂戴したわけですが、自分に全く非がないのかといえば、決してそうではないと思うのです。
スキー中の衝突事故の責任も、基本的には「上方からの滑走者(衝突した人)」にあるとされ、下方滑走者が後方を注意する義務は原則とされていません。スキーやスノーボードをするときには、他人にぶつからないように避けて滑らなければならないということです。
しかし、基本的には上方からの滑走者が悪いけれど、漫然とコース途中に立っていた結果、事故が起きたなどの場合には、下方滑走者(衝突された人)も責任を問われる可能性があるのです。スキーのパトロール界では、「ぶつけられた方にも過失がある」というのが常識となっています。
交通事故とスキー事故を全く一緒にすることはできないかもしれませんが、車を運転する時には、前や横だけでなく、後ろにも気を配っておくことが大切でしょう。たとえ、信号待ちで止まっていて後方からぶつかってこられた場合でも、バックミラーで後ろの車が来るのを意識しているのと、全くしていないのとでは、ショックの度合いが違います。信号待ちだと思ってハンドルから手を放し、ぼぉーとしている状態でぶつかってこられたら、ムチ打ちになったり、ハンドルで顔面をぶつけたりすることだって多くなるでしょう。
車に乗っている時は、スキー板をはいているのと同じく、油断なく運転することですね。
【豆知識】「赤十字」について
私は、学生時代、スキーのパトロールをしていました。
その時に教えてもらったことですが、スキーのパトロール隊の服装は、赤十字ではなく、スイス国旗と同じく、赤字に白の十文字でないといけないのだそうです。
「赤十字マークをつけていたら、どんな敵からも攻撃されないが、パトロール隊は突然、(熊や野犬から)襲撃されるので、十分に気をつけるように・・・」と隊長からよく言われていました。(しかし、私はせいぜいウサギにしか出会ったことはなかったです。)
スキーパトロール隊は赤字に白の十文字
1886年(明治19年)3月16日、日本の博愛社がジュネーブ条約に加盟したことから、3月16日は「万国赤十字加盟記念日」で、翌1889年に「日本赤十字社」が誕生しています。
また、赤十字運動が始まったのは1859年で、スイスのアンリー・デュナンがイタリア統一戦争の激戦地ソルフェリーノで、「苦しむ人は敵味方関係なくしなくてはならない」という思いを持ったことがきっかけだったそうです。アンリー・デュナンの誕生日5月8日は、「世界赤十字デー」とされています。
赤字に白の十文字:スイス国旗
さて、これはスイス国旗です。スイス国旗の赤は「主権」、白は「キリスト教精神」を表しています。また、スイス国旗は、縦横比率が1:1、つまり正方形の旗です。(国旗の縦横比率を2:3にすると、外洋船舶旗となります。)そして、白い十字の一辺の腕の長さは、その先端の幅より6分の1長いことが決められています。
白地に赤の十文字:赤十字マーク
そして、こちらが赤十字マークです。
赤十字マークは、戦争や紛争などで傷ついた人々と、その人たちを救護する軍の衛生部隊や赤十字の・施設等を保護するためのマークです。紛争地域等で「赤十字マーク」を掲げている病院や救護員などには、絶対に攻撃を加えてはならないと国際法や国内法で厳格に定められています。つまり、赤十字マークは、いざという時に国民一人ひとりを守るマークなのです。ちなみに、赤十字マークの配色は、赤十字の創設者アンリー・デュナンの祖国であるスイスに敬意を表して、スイス国旗の配色を逆にしたものが基になっています。
この赤十字マークは、病院や医療を象徴するマークだと思っている方も少なくないようですが、その使用については赤十字社と法律等に基づいて認められている組織は限られており、一般の病院や医薬品などに使用することは禁止されています。
次のようなケースは、「赤十字マーク」を使用することができません。
例1:病院、診療所等(赤十字病院を除く。)
例2:薬局等
例3:市販の救急箱、薬箱・瓶等
例4:市販のTシャツトレーナー、バッグ等
例5:会社の社章、商品のブランドマーク等
例6:その他、単に「医療」、「看護」及び「救急」等をイメージした表示
日本では、ジュネーブ条約や日本国内の法律に基づき、日本赤十字社の病院や血液センター、献血ルームなどが、日本赤十字社に関係する施設、車両、看護師等であることを表すために、比較的小型の「赤十字マーク」を使用しています。
赤新月
なお、多くのイスラム教国は、「十字はキリスト教を連想させる」として、赤十字の代わりに「赤新月」を使用しています。使用に際しての条件、効力などは「赤十字」とまったく同一です。
レッドクリスタル(赤水晶)
また、2007年、「赤十字」と「赤新月」に加えて、新たな標章「レッドクリスタル(赤水晶)」が追加されました。レッドクリスタルは、白地に赤いひし形を配したもので、各国の赤十字社を表すマークとして使用する場合には、レッドクリスタルの中にその国独自のマークを入れることもできるそうです。
スキーは安全なスポーツ
「スキーに行く」と言うと、「骨折しないようにね」などと声をかけられることがあります。
しかし、実際、スキーで骨折するような事故なんて滅多に起こりません。
スポーツ安全協会のデータによると、けがの多いスポーツランキングは以下の通りとなっています。
1位:アメリカンフットボール
2位:ラグビー
3位:バレーボール
4位:体操
5位:柔道
以上がトップ5で、6位以降、野球、バトミントン、バスケットボール、サッカー、テニス、ソフトボール、スキー、卓球、剣道、陸上競技、水泳となっています。
ただ、スノーボードは別です。スキーの約2倍(統計によっては5倍)の事故件数が報告されています。
スキー場に行くと、黒いサングラスをかけ、「スイス国旗」に似た赤字に白の十文字の服を着たかっこいいパトロール隊員を見かけることがあるかもしれませんが、お世話にならないようにしましょうね。
ちなみに、ゲレンデでけがをして動けなくなったら、スキーをX字にして立てて事故現場を示し、救助を待つことも知っておきましょう。
スキー実習の成功のコツ
最後にもう一度、スキー実習を成功させるポイントをまとめておきましょう。
・3日間で「うまくなった!」と感じるスポーツは、スキー以外にはありません。技術が伸びている時は「楽しい」と感じます。費用に見合うだけの価値が十分にあります。この教育効果の大きさを語ってください。
・スキーは安全なスポーツです。スキーで骨折するような事故なんて滅多に起こりません。ただし、スノーボートはやめておきましょう。
・2月後半以降の春スキー日を選べば、吹雪や交通渋滞に遭うことも少なく、快適に実習を行うことができます。また、雪不足の心配もありません。
・教師と児童・生徒との触れ合いは、単にスキーを教えることだけではありません。また、そんなこと心配しなくても、必ず、個人レッスンの必要な児童・生徒もいますから、「インストラクターに任せてしまってヒマ」なんてことはありません。
・ニュージーランド人の陽気なインストラクターがおススメです。英語学習を兼ねたスキー実習ができます。また、宿舎で「ハカ」を踊ってもらえるかも・・・。
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