看過できない日本の「不登校」問題
皆さん、おはようございます。
近年、不登校の子供が増えて、大きな社会問題になっています。
文部科学省が2024年に発表した不登校児童生徒は、小学生が13万8千人、中学生が21万6千人、合わせて35万人ほどもいます。比率でいうと、児童全体の3.9%、35人のクラスに1人はいるという計算になります。
ちなみに、10年前は10万人ほどでした。
子供が不登校のままに育つと、進学や就職にも影響し、成人してもからも引きこもりになってしまう恐れもあるでしょう。本来、夢や志を持って活き活き伸び伸びと成長する子供たちが学校に行けないというのは、本当に悲しいことです。
不登校の原因
不登校になるのは、いじめなどが原因と思われがちですが、文科省の令和4年度のデータによると、不登校の要因で最も多いのは「無気力・不安」51.8%、次いで「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が11.4%です。不登校の要因としての「いじめ・不和」はわずか0.2%となっています。
「いじめ・不和」は学校での問題でしょうが、「無気力・不安」や「生活リズムの乱れ、あそび、非行」というのは、家庭で対処すべき問題です。

また、文部科学省が令和6年に公表した不登校の要因分析に関する調査研究に結果をみると、不登校のきっかけ要因は、不登校生、教師、保護者によってかなり捉え方に差があるようです。
サンプル数が少ないので、一概には言えませんが、教師は「宿題ができていない」とか「学業不振」がきっかけになっていると捉えているのに対して、不登校生自身やその保護者は、「不安や生活リズムの乱れ」、「体調不良」がきっかけと捉えていることがわかります。
結局のところ、教師側から不登校の原因は「見えない」→「わからない」のです。

不登校の解決に向けては、まずは「しっかりした親子関係」を築き、家庭で取り組むことが多くあるといえるでしょう。
『不登校の9割は親が解決できる』
「不登校解決支援サービス」を提供している株式会社スダチの代表取締役、小川 涼太郎氏が『不登校の9割は親が解決できる 3週間で再登校に導く5つのルール』という本を出しています。

小川氏は、ボランティア活動を通して多くの不登校の子ども達と関わる中で、不登校に悩んでいる人たちを1人でも多く救いたいという想いから、2020年に不登校支援事業を開始しました。その後、4年間で支援した家庭での不登校児童の人数は850名を超え、再登校率は90%以上にもなるそうです。
小川氏は、次のような実例をあげて、「不登校の解決には、親子関係の改善が鍵になる」と主張しています。
<実例>
シングルファーザーのKさんには小3の娘さんがいた。3年生になるとクラス替えがあって、初日から「学校に行きたくない」と完全に不登校になってしまった。
スクールカウンセラーからは「『学校に行け』とは言わないでください」と言われた。いろいろ本を読んで調べてみても、やはり「学校に行けとは言うな」と書いてある。その通りにしてみたところ、娘は当たり前のように学校に行かなくなってしまった。Kさんが会社に行っている間、娘さんはテレビやゲーム三昧。でも、不登校について書かれた本には、ゲームを取り上げてはいけないと書かれていた。
近くに住む祖母が、何とかしたいとスダチの支援サービスを見つけ、スダチのサポートに従い、朝起きる時間と食事の後は食器を片付けることを決め、テレビやゲームは再登校できるようになるまでいったん制限することにした。
ルールを決めたことに、娘さんの反発はなかった。このルールを娘に伝える時、「お父さんはあなたのことを真剣に考えています。このままでは良くないと思ったので、ルールを決めました」と言った。そうしたら、娘は何も言わずに涙を流した。
Kさんはスダチのサポーターと毎日メールのやりとりをした。すると、書くことがなくて、「私は普段こんなに娘と会話していなかったのか」と気づかされた。これではいけないと思い、積極的に娘と話をし、褒めるようにした。
お父さん自身も変わっていくと、娘の表情が次第に明るくなってきた。1ヶ月くらい経って、その変化から、「そろそろ学校に行ってみようか」と声をかけた。すると小さな声で「学校に行く」と。しかし、いきなり学校に連れて行くのも心配だったので、クラス替え前に一緒だった子の親御さんたちにお願いして、週末に10人くらい遊びに来てもらい、楽しい一日を過ごした。
月曜日、不安ながらも教室前まで娘を連れて行くと、一緒に遊んだ子たちが廊下まで出て来てくれて、周りを囲むようにして一緒に教室に入っていった。それからは学校に通うことができている。
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「しっかりした親子関係」を作る(不登校問題に親ができること)
子供の「自信」を溜める。
不登校の解決のためには、親の子育ての姿勢が大切です。
子育てには、昔から言われているように、「愛情」と「厳しさ」の両面が必要です。これは、いつの時代にも変わりないことだと思います。
子供が求め、必要としているのは、「自分は愛されている」というメッセージを受けながらも、社会に出るために必要な厳しさを毅然と学ばせてくれる、頼れる親の姿です。
「不登校は1日3分の働きかけで99%解決する」の著者、森田 直樹氏は、不登校生には親の「愛情」と「承認」が育てる「自信」が必要だと述べています。

不登校の主な原因は自尊感情の低さによる「自信のなさ」です。不登校の「きっかけ」となった「ストレス」を乗り越える自信を失い登校ができなくなっているのです。
不登校の子どもを再登校に導くには、子供の心のコップを強く大きく育て、「自信」の水を溜めて自尊感情を高めることが必要です。この「自信」の水は親の「愛情」と「承認」から作られます。
子供の身体が育つためには、食事からしっかり栄養をとることが不可欠であると同様に、子供の心が育つためには、親が「愛情」と「承認」をたっぷり与えて、子供の「自信」を溜めることが大切なのです。十分な「自信」があれば、学校での勉強や友達関係などのストレスを乗り越えられます。それが社会に出てから、仕事や社会のストレスに負けない人間を作る道だと説いています。
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努力や成長を褒める。
子供に親の「愛情」と「承認」を注ぎ、「自信」を溜めるには、子供をタイミングよく褒めることが必要です。
ただ、褒める時に注意すべき点があります。それは、「結果や能力を褒める」のではなく、「努力や成長を褒める」ことです。
最近のアメリカの研究において、子供がテストで良い成績をとったという結果を褒めると、子どもは無意識に「成功することが大切で、失敗するのはダメなことなのだ」と思うようになるということが指摘されています。能力を褒めるのも同じように良くありません。「頭がいいね」という褒め方をすると、難しい問題が解けない時に、自分は頭が悪いと思ってしまうのです。それを避けるために、自分が解けそうなものばかりを選び、難しい問題に挑戦しなくなってしまうことが明らかにされています。
一方、努力を褒められた子供は、難問を解けなかった場合、「もっと頑張らなくでは…」と考え、さらなる成長を目指します。
共同体の中で「処を得させる」
オーストリアの心理学者アルフレッド・アドラーは、「子供を褒めてはいけない」と指摘するとともに、子供たちが「共同体感覚」を発達させて共同体に貢献することが幸せへの道だと主張しています。

アルフレッド・アドラー
人間は共同体の中で生きる存在であり、その中で処を得て、他者のために尽くす存在となることが、人間としての欲求であり、幸せへの道なのです。
子供たちが自分の家庭やクラスの中で自分の居場所を見つける、すなわち「処を得る」ことで、不登校は解決につながるでしょう。
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「不養担」様へ(不登校問題に教師ができること)
長らく中学校の生徒指導担当を務めてきましたが、ある学校に転勤したら、何でもかんでも「生指担」の仕事だとされ、特に学年生徒指導担当のM先生が私に仕事を押し付け、私のことを「生指担」「生指担」と言うものですから、いいかげん腹が立っていました。
ある時、「私のことを〇〇(名前)と呼ばず、『生指担』」と呼んでくれるのはいいが、M先生は『不養担』だね」と言ってやりました。どうもM先生は、「不必要な担任」と解釈したようでムスッとしていましたが、私はM先生のことを「不登校生 養成担任」の意味で言ってやったのです。
M先生は大変熱心な先生で、学年生徒指導担当のみならず、部活動指導にも力を入れており、いつも集会では自信満々に大きな声で威圧的に話をしていました。集会の最後のセリフはいつも、「いいか、おまえら、わかったな!」でした。ところが、M先生が担任をしているクラスはいつも欠席者が多く、毎年2学期に入ると不登校の生徒が増えてくるのです。確かに生徒指導で手のかかる元気な生徒もクラスに抱えていたので、誰も高圧的なM先生の生徒指導に対して“おかしい”と言いません。私はM先生を『不養担』に任命し、不登校生への対応を勉強してもらおうと考え、①不登校生やその家族とどうかかわるか、また、②不登校生を作らないためにどうすればいいか、について、様々な資料を集め、全員の先生たちにも配り歩きました。
学校が楽しくて面白くて仕方がないという生徒が不登校生になることは、まずあり得ません。元気のいい生徒も、多少意欲のない生徒であっても、学校を楽しい場にしてやれば、休むことなんてないのです。ですから、教師はまず授業を楽しく、わかるものにすること、学校行事や部活動などで自己実現の場を作ってあげること、そして、友だちを含め、いい人間関係を構築すること、に全力を注ぐべきだと思います。残念ながら、いつも高圧的なM先生のクラスでは、生徒たちは委縮していたのでした。
ただ、もし生徒が不登校になってしまったら、違う対応が必要です。不登校は誰にでも起こり得る可能性があることを理解しておかなければなりません。不登校生は、心のエネルギーが、0(ゼロ)%近くになっています。普通のやる気がでないとは次元が違います。子どもが不登校になると、親は大変でしょう。「まさか、うちの子が・・・」「なんで、うちの子が・・・」「どうすればいいの?」と悩みますが、早期回復のために大切なことは「余計なひと言を言わない」ことだと言われています。同じように、担任も、不登校生に、「余計なストレス」をかけてはいけません。たとえば、毎朝、欠席の連絡をさせることや毎日、家庭訪問をするなど、担任は「よかれ」を思ってやっていても、生徒には余計なプレッシャーになり、保護者にも負担をかけることになってしまいます。
また、不登校になる要因は様々であり、十把一絡げに指導できることはありません。一人ひとりに個別の対応が必要です。
不登校の関わりのポイント
1.子どもを知り、関係を作る。
□普段から関係を作る努力を。
□子供と何かをしながら、さりげなく声かけを。
□「本人自身が気づいていない長所」を指摘する。
2.早期対応の重視
□明らかに病気という場合は別として、休み飴めた3日以内に家庭訪間した方がいい。
□心因性の身体症状で休んでいる場合がある。早めに訪問しい心因もあるのかどうか、見当をつける。
□いじめはなかったか。いじめといかないまでも、対人関係に悩んでいないか。
3.子ども一人ひとりに合わせて
□スモールステップで
・本人とともに小さい目標を決めて、達成させていく
(週に1日登校から週に1.5日登校へ、漢宇のプリントの枚数を増やす、など)
□考え方に偏りのある子(発達障害を含めて)には・・・
・話ができる関係を作る。
・考え方のズレに気づかせる。
□発達障害や知的障害、精神科症状がないか。
・情報収集が重要
・勉強をしないからできないのか、やってもできないのか
・視覚優位や聴覚優位は?
・友達との会話はかみ合っているのか、会話がズレたりしないか?
・しゃべるわりに、分かっていないのでは?
・ジョークが通じるのか、こだわりはないか?
・威覚過敏など感じ方、物のとらえ方に偏りはないか?
・自由度の高い事態の調整、構造化ができるか?
4.保護者との関わり
□保鐘者との信頼関係が重要。「話を聞く」
⇒「ひょっとして、A君は、家では○○なんでしょうかね~」といった軟らかい表現
で教師の意見は言う。
□どうしたらいいのかと聞いてきたら、「ためしに、やってみてもらいますか?」
□今までとは違うことをしてもらう。
【一般原則】①強すぎる交流を減らし、ない交流を作る。
②肯定的な交流を増やす。
5.教師間連携
□一人の先生が負担するシステムは避ける。
□複数の先生が、役割分担し、環境調整、情報収集、スモールステップなど支援策に
ついて意見を出し合うシステムをつくる。
□専門機関との連携を考える。
6.不登校が長期にわたっている場合
□発達障害の二次障害である可能性を考盧しておく。
・ものの威じ方、考え方に偏りがある可能性がある。
1 いつも自室で過ごす。
2 家族とはほとんど顔を合わせない。
3 ほとんど自宅で過ごす(食事、排泄などは自室から出る)。
4 ほとんど白宅で過ごす(自室からしばしば出る)。
5 学校以外の場所に時々外出する。
6 学校以外の場所にしばしば外出する。
7 時々登校するが教室に入れない。 ▽
8 時々登校し、教室に入る。 ‥
9 時々休むが、ほとんど登校。
→長期にわたる不登校児を登校に誘うには、5以上になってから。それまでは、教師も保護者もとりあえず、5レベルを目標にする。
1 遊べない。
2 室内でひとりだと遊べる。(テレビゲーム)
3 室内で誰かと一緒に遊べる。(二人→複数)
4 屋外で誰かと一緒に遊べる。(二人→複数
5 屋外で一人で遊べる。(散歩。町中をぶらつく。)
6 屋外で誰かと一緒に身体遊びができる。
7 一人でも遊べる。
→登校できるのは4以上が可能性が高い。
1 遊べない。
2 遊びができている。
3 楽しめている。
4 気が抜けている。
5 軽口をたたける。
→歴校は3以上が可能性が高い。


不登校を解決する10のポイント(日生学園不登校チーム)
新型コロナの影響で廃校となってしまいましたが、兵庫県に日生学園という全寮制の男子高校がありました。昔はスパルタ教育で有名でしたが、徐々に中学時代に不登校だった生徒が集まるようになり、日生学園不登校チームというのを作って、対応していました。
この日生学園不登校チームが多くの不登校生を立ち直らせたコツを「不登校を解決する10のポイント」にまとめ、発表しています。そのエキスをご紹介しましょう。
(1)原因は何なの?
→犯人探し(原因追及)は解決につながらない!「原因はわからない。」
(2)学校に戻れるの?
→83%が不登校を継続している現実がある。小さなステップ(保健室登校・フリースクール・学習塾で勉強だけでも)やイベント(修学旅行、校外学習、体育大会、etc.)をきっかけに、本人の心を動かす。
(3)将来はどうなるの?
→9%が大学に進学
学校に行かないことで、学習面の遅れと友人関係が将来の不安を生み出す。
(4)第一歩は周りから
→子どもの心は不安でいっぱい。周りの大人が克服への前向きな一歩を踏み出すことから始める。子どもが「このままではいけない」という発言をした時がチャンス。
(5)自信をつけてあげる。
→不安を自信に変える。自信は行動することから。
(6)アニメ・ゲームは?
→取り上げることは解決にならない! ひきこもりは、とにかくヒマで、時間を持てあましている。現実逃避とヒマつぶしにしているので、家の手伝い(掃除・お風呂・料理など)を手伝わせてみる、クラス活動や修学旅行だけでも参加させてみる、学習塾や音楽教室に行ってみる、ゲームの時間を減らして読書をしてみる、英語検定や漢字検定に挑戦する、などの目標を持たせる。
(7)男の子って?
→マザコンが多い? 男の子に自信をつるには、不登校から離れて、「やったこと」を褒める!
(8)女の子って?
→わがまま娘に振り回される。女の子には、たっぷりの愛情としつけが必要で、毎日の何気ない「おしゃべり」が欠かせない。
(9)不登校教育
→挑戦することで変わってくる。生活・学習・課題活動のバランスを取り、生徒を伸ばす環境(寮生活)を与える。
(10)子育て第2章スタート
→何のための子育てなのか? その答えは「自立」させること。
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まとめ
近年、不登校の子供が増えて、大きな社会問題になっています。
文部科学省が2024年に発表した不登校児童生徒は、小学生、中学生合わせて35万人ほどもいます。
子供が不登校のままに育つと、進学や就職にも影響し、成人してもからも引きこもりになってしまう恐れもあるでしょう。
不登校の要因は、「いじめ・不和」よりも「無気力・不安」「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が圧倒的に多くなっています。不登校の解決には、親子関係の改善が鍵になります。
子育てには、「愛情」と「厳しさ」の両面が必要です。そして、不登校生には親の「愛情」と「承認」が育てる「自信」が必要です。そのためには、タイミングよく、子供の努力や成長を褒めることです。
そして、自分の家庭やクラスの中で自分の居場所を見つける、すなわち「処を得る」ことで、不登校は解決につながるでしょう。
不登校生との関わり、不登校を解決するポイントについて、実例を紹介します。
