皆さん、おはようございます。
「はい、マク◇◇◇ド 〇〇店の□□です!」・・・学生時代、アルバイトをした時、一番に躾けられたのが、電話の取り方・対応でした。
一般の会社に就職すると、電話対応の機会が多いので、電話対応のマニュアルがあり、それなりの指導を受けることがありますが、学校で電話対応の仕方について教えられることはほとんどありません。恥ずかしながら、私は、管理職の立場になってから初めて電話対応の本を読みました。
今回は、一般的な電話対応のマナーや具体的な対応の仕方について、まとめてみましょう。
電話のマナー
電話をかける時に気をつけたいことは・・・
電話は、用がある時にかけるのが前提です。まず、用件を整理して結論から話すようにしましょう。できるだけ簡潔に、あらかじめメモなどに箇条書きでまとめておくとスムーズです。
かける時は「私は○○学校のの△△と申します」とこちらから名乗ります。親しい相手でも、「今、よろしいですか」と相手の状況を確認することも忘れずに。
携帯電話などの場合は相手のいる場所が分からないので、話せる状況かどうかを確認するようにします。
電話を切るのは原則としてかけた方からですが、相互の人間関係や立場を考慮して、おおむね「後から切る」がマナーです。また、その際は、相手が受話器を置くのを確認してから、静かに切るようにしましょう。
電話を受ける時に注意すべき点は・・・
電話を受けたら、まず、こちらの名前を名乗ります(個人の家の場合は、勧誘電話への警戒のため、名乗らないケースがあってもかまいません)。
職場では受話器をとったら、まず「○○学校でございます」とはっきりした声で電話を受けます。声だけで伝える最初のメッセージなので、明るい印象を作りましょう。相手が名乗ったら「○○様でいらっしゃいますね。」と名前を確認し、名指し人がある場合は、「△△でございますね、少々お待ちください。」と名前を復唱します。また、電話は声だけが頼りなので、聞いただけではわかりにくい同音異義語に注意しましょう。『きこう』だけでも気候、機構、起工、紀行など、まぎらわしい場合は、別の言葉に置き換えます。
特に、1(いち)と7(しち)、CとT、MとN、数字や記号などは聞き間違えのないようにしっかり復唱し、確認します。社内用語や専門用語、略語など外部の人に通用しない言葉は控え、わかりやすい言葉を使います。
仕事での電話で覚えておきたいマナーは・・・
電話は学校のPRの場だと考えて、学校名をはっきりと名乗り、丁寧な対応で相手に好印象を持ってもらいたいものです。そのためにも相手の会話のペースに巻き込まれないように注意しましょう。丁寧な言葉遣いで会話を誘導するように、ペースをつかむ事が大切です。
注意したいのは、「敬称」や「言葉遺い」です。相手が名乗るときは敬称をつけないので、確認時につられて「○○会社ですね。」と敬称を省略してしまわないことです。例えば、「○○会社です」と電話が掛かってきたら、「○○会社様でいらっしゃいますね」と敬称をつけて確認復唱しましょう。また、校内の人を名指しの場合は、管理職であっても名前に「△△さん」や「△△先生」を付けず「△△でございますね」と呼び捨てにします。伝言を言付かる時は、「念のためお電話番号を教えていただけますか?」「○○の件、申し伝えます。」と言えば、丁寧で確実な印象です。
名指し人が不在の場合は、外出や会議など不在理由を述べ、連絡のつく予定時間を伝えます。そのうえで、こちらから電話するかどうかを尋ねます。できるだけ、迅速に用件を済ませる事が大切ですが、どうしても用があり、引き続きこちらの用件を言う場合は、「頂いたお電話で申し訳ありませんが・・・」と一言付け加えましょう。言葉の前に、まず、気持ちがあることを忘れずに、いつも相手を思いやる気持ちを持っていれば、自然に行動や言葉に現れるものです。
感じのよい電話対応のポイントは・・・
職場での電話対応では「待たせない,間違わない,気を遺い,丁寧に」が基本です。電話の特質として、相手の顔が見えない,声だけが頼り,通話料がかかる,公共性が高いということを踏まえて、「迅速、簡潔、正確、丁寧」を覚えておくことです。それに加え、「明るく笑顔で確認して、言葉遺いに気をつけて、きちんと整理して」電話で、イメージアップをしましょう。
保護者からのクレーム対応
「クレーム対応」で意識しておきたいこと
1.誰でも「モンスター」に成り得る。
2.「初期対応」を誤ると、泥沼化する。
3.対応には、タイプ別の「コミュニケーションスキル」が必要。
電話での応対のポイント
①電話を受けた時、ていねいな応対をする。
②「感謝」と「ねぎらい」の気持ちを伝える。
③「傾聴」:話をしっかり聴く姿勢を示す。
・急いで話を終わらせようとしない。
・途中で話をさえぎらない。
④「共感」:「お気持ちはよく分かります。」
⑤「できること・できないこと」を伝える。
⑥「配慮」:保護者の電話が今後の学校運営に生かされていることを伝える。
面談での応対のポイント
① 保護者が安心して話せる場の設定
・複数での応対、面談の時間の目安を伝える。
②「出迎える」:保護者を尊重する学校の姿勢を示す。
・来校したことへの労をねぎらう。
③「傾聴」:保護者の気持ちに寄り添って聴く。
・保護者の話を十分に聴いてから、話す姿勢を意識する。
④ 面談終了後も「ねぎらい」の気持ちを伝える。
⑤「見送る」:保護者のことを大切に考えているという姿勢を伝える。
避けたい表現
①あいまいな表現
「たぶん」「~みたいです」「おそらく、~でしょう」⇒不信感を抱く可能性がある。
②保護者の気持ちを逆なでする表現
「子どもの言うことですから…」「話を大きくしないでください。」⇒感情を高ぶらせ、話し合いにならなくなる可能性がある。
③保護者を追い込む表現
「これから先が心配ですね。」「家庭で何とかしてください。」⇒不安を強めたり、焦燥感を抱いたりする。
④誠実さに欠ける表現
「そんなことはよくあります。」「そこまで面倒をみられません。」⇒期待を裏切られたという思いになり、学校と話し合うことを諦める可能性がある。
⑤保護者の話す内容を否定する表現
「気にしすぎですよ。」「いじめなんてないと思います。」⇒内容を否定されたのではなく、自分を否定されたと思い、より感情的、攻撃的になる可能性がある。
保護者と協働するためには・・・
☆クレームの内容を正確に把握する。
☆保護者と教師の違いを埋めていく。
☆事実確認を慎重かつていねいに行う。
☆学校側の対応の検討をする。
勧誘電話の対応について
1.勧誘電話の法的根拠・・・「特定商取引に関する法律」
16条(電話勧誘販売における氏名等の明示)
販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、その勧誘に先立って、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称及びその勧誘を行う者の氏名並びに商品若しくは権利又は役務の種類並びにその電話が売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げなければならない。
17条(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止)
販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。
2.勧誘電話の特徴
・電話口の後ろでオフィスの騒音が聞こえる。(社員の話し声、電話のやり取りの声など)
・最初に、「○○(カタカナの会社名)の某」と自己紹介をしてくる。名前だけを名乗った時は、「どちらの某さんですか?」と尋ねれば、会社名を答えてくる。聞き覚えのないカ夕カナの会社名を頭につけて自己紹介してくるので、判断のポイントとなる。
・若い男の声が圧倒的に多い。
・時間帯は放課後が多いが、必ずしもそうではない。
3.勧誘電話の撃退法
①「(勧誘先の先生が)不在です。」と断る。ただし、すぐに不在の方便がつけない場合は、「少しお待ちください。」と電話を保留して心を落ち着かせてから、「呼び出しましたが、戻ってきません。」と不在を告げる。
勧誘先の先生が、電話を取った自分であっても同様である。自分が不在である方便はつきにくいが、相手は自分の声を知っていることはない。ましてや、知らない相手ならば勧誘電話であることは即座に分かる。
よって、電話の受け応えの第一声として、「こんにちは、□□学校○○(自分の名前)です。」と名乗るのは、考えものである。
最後に、「戻ってきましたら、連絡させますので、連絡先をお願いします。」と 言うと、勧誘ならば、必ず「いいえ、急ぎのことではありませんので、またこちらから(電話を)かけます。]と応えてくる。勧誘業者は契約の脈がない限り連絡 先を教えないので、勧誘電話であったことがわかる。
②電話を保留してそのままにする。勧誘常詰の相手は、大概がフリーターのバイトが多く、会社から電話件数の多さを競わされている。よって、2~3分保留すれば、大概、先方が電話を切っている。
あとで、保留電話を確認した特、相手が電話を切っていなければ、不在を告げればいい。問題点は、保留している開、電話が使えないこと。
③不幸にして、勧誘の話を聞かなければならなくなった場合、一番の強硬手段は、前述の「特定商取引に関する法律」16条に基づいて、相手の事業所の商業登記上の住所、連絡先を尋ね、商品の契約締結についての勧誘であることを認めさせることである。大概、なぜ住所など言わなければならないのかと反論されるが、同法17条に基 づいて、身元をはっきりさせないならば、契約締結の意思がないと宣言し、担当者が代わってもその会社から二度と電話をしないように伝える。ただし、当方の身元を知られているだけに、言い方には気をつけないといけない。
いずれにしても、勧誘される商品に興味関心があれば別であるが、教育委員会などとの相談や報告、保護者との連絡など公務のための電話を、個人宛に一方的に勧誘する目的で使われるのは迷惑である。
断るための「結構です。」という言い方は、気に入ってくれたと解釈するし、「忙しいので・・・」という断り方は、暇なときには聞いてくれると解釈する。このようなあいまいな受け答えは、勧誘業者をますます助長させるもととなり、「興味がありません。」「いりません。」と、はっきりと拒否する毅然とした対応が無駄な電話を減らすことにつながる。
マスコミ対応のOKとNG
「生徒が事故に巻き込まれて重体になった・・・」、「職員が盗撮で逮捕された・・・」 学校現場は何が起こるかわかりません。
1.電話の窓口対応をする場合・・・
・個人情報を教えない。
「○○新聞社です。おたくの学校に▽▽という生徒はいますか?」
NG「□年生にいますが・・・」
OK「個人情報ですので、お答えできません。」
・すぐに答えない。
「○○新聞社です。おたくの学校に▽▽という生徒はいますか?」
NG「はい、おりますが・・・」
OK「折り返しお返事差し上げます。ご連絡先をちょうだいできますか?」
・苦し紛れの返答や口論をしない
「○○新聞社です。おたくの学校の▽▽という職員が拘留された件について教えてください」[ここに出典を記載します。]
NG「逮捕されたということは連絡が来ていますが・・・」
NG「その先生はいい先生です。」「そんなことは答えられません(怒り)」
OK「おそれいりますが、現在調査中でございます。」
OK「個人にかかわることですので、お答えできません。」
2.事件事故の記録を残す場合・・・
・「公文書」扱いになるので、事実のみを書く。
NG「□年□組の▽▽は、普段から粗暴で、○○スーパーにおいても万引きを繰り返していたようだ。」
OK「□年□組の▽▽は、○○スーパーにおいて万引きをし、補導された。」
・「公文書」扱いになるので、あとから修正できない。
請求者が請求を行った日時点以降に修正すると、公文書偽造になる。
電話対応演習
1.「10年前の卒業生の〇〇です。□□先生の連絡先を教えてほしい。」
2.「10年前の卒業生の〇〇です。今度、結婚するので、披露宴で出身学校のVTRを撮影させてほしい。」
3.17:15(退勤時刻)直前に、「〇〇の父親だが、今から担任の□□先生に話したいことがあるので行く。連絡しておいてくれ。」
4.「大阪の△△株式会社の〇〇です。今日は、先生に節税対策のマンション経営についてご連絡しました。資金ゼロで、マンション経営ができるチャンスなので、この機会を逃さないで!」
5.「〇〇の祖父だが、孫が泣いて帰ってきた。何があったか教えてほしい。」
6.「□□新聞社の〇〇です。貴校の▽▽先生が引きひげ事件の疑いで逮捕されたので、今から1時間後に取材に行きますので、よろしく。」
7.「学校の近くに住んでいる〇〇だが、お宅の生徒が下校時、石を蹴って家の車に当てて逃げた。防犯カメラに写っているので見にきてほしい。」
8.「ちょっとお聞きしたい。お宅の学校の始業時間は何時ですか? 先ほど、出勤していた男の先生がいるが、なぜ遅れたのか教えて調べてください。」
9.「とにかく〇〇先生のことを聞いてほしい。
・子どものおしりを撫でてくる。
・授業中に注意する時に、大声でよく怒鳴る。
・生徒の茶髪は禁止なのに、〇〇先生だけ染めている。」
10.「警察の者ですが、2年生の〇〇さんのお父さんが交通事故にあったので、今から〇〇さんを下校させてください。」
<電話対応演習 回答例>
1.10年前の卒業生〇〇に、□□先生の連絡先をたとえ知っていても教えてはいけません。
「わかりまません。」と答えるのが一番でしょう。
2.卒業生が校内を入ることも断るべきです。VTRを撮影するのなら、校外からどうぞ。
3.担任の□□先生の都合をきかずにOKはできませんね。
4.たとえ、マンション経営に興味・関心があったとしても、学校の職場であるので二度とかけてこないように伝えて、電話を切る。
5.基本的に、祖父は保護者ではないので、保護者に答えるべき内容であることを伝える。情報をいただいたことに関しでお礼を述べ、泣いて帰ったことについて対応する。
6.新聞社の取材要求にはこたえる。もちろん、取材対応は、管理職と相談してからの対応である。また、「記者会見」という言葉は絶対に使ってはならない。
7.防犯カメラを見にいくべき。ただし、生徒の名前がわかっても答えず、本校の生徒であることだけを認め、対応を任せてもらう。
8.始業時間に関するような質問については、正確に答える。ただし、出勤してきた先生の情報を教えることは、監査請求がない限りできないことを伝える。
9.相手によるが、傾聴に努める。対応策を即答してはならない。
10.警察を名乗るニセ電話の可能性もあるので、「わかりました」とは答えず、一旦電話を切り、こちらから電話をかけ直す。保護者へ連絡するのもいうまでもない。
<参考>「さしすせそ」
適切な対応「さしすせそ」
さ:最初が肝心(初期対応)
・最初の対応には細心の注意が必要
し:しっかり傾聴
・相手の主張を最後まで丁寧に聴く
・事実をはっきりと把握する
・相手の要望、苦情に主旨をつかむ
・即答できない時は即答を避ける
す:すばやく行動
・加害者や被害者双方の言い分を公平に聞く
・その日のうちに動けるものは可能な限り即日行動
せ:正確な記録
・複数で対応する
・時系列で事実を正確に整理する
そ:組織で対応
・速やかに管理職に一報を入れる
・当該教師だけでなく、役割分担する
・関係者が集まり、解決に向けた方針や対策を話し合う
・対応の窓口を明確にする
・個人情報の管理の徹底
・必要な場合は関係機関と連携する
危機管理対応の「さしすせそ」
さ・・・最初のひとこと
し・・・慎重な応答
す・・・推察の危険
せ・・・誠意ある態度
そ・・・組織一丸の姿勢
緊急対応の「さしすせそ」
さ・・・最悪のことを考えて
し・・・慎重に
す・・・素早く
せ・・・誠意を持って
そ・・・相談して
予防の「さしすせそ」
さ・・・些細なことでも記録
し・・・情報の収集・活用
す・・・すでに起きた事例の共有化
せ・・・精通すべき法律知識
そ・・・組織の危機管理意識向上
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