欠点は裏から見た長所
皆さん、おはようございます。
7月13日は、「ナイスの日」。「ナ(7)イ(1)ス(3)」の語呂合せによるもので、ナイスなこと、素敵なことをみつける日です。
どんな人にも長所と欠点がありますが、自分の欠点はなかなか見えないものです。しかし、その欠点に恐れを抱いた時、人は失敗するものです。
「短所は長所」というように、人の性格はコインの裏表のように、短所が長所になり、その逆にもなります。
明治・大正時代の小説家で、「不如帰(ほととぎす)」や「思い出の記」,「黒潮」などで有名な徳富蘆花が、「みみずのたはごと」という本で、
「欠点は常に裏から見た長所である」
と述べています。
たとえば、「生真面目で頭が固い」人は、「曲がったことが嫌いで信用できる」人ですし、「神経質な」人は、「慎重で、細かいところまで気を配れる」人です。また、「強引でおせっかいな」人は、「面倒見がよく、困った時に頼れる」人ですし、「飽きっぽい」人は、「頭の切り替えが速く、おおらかで自由な」人です。角度を変えるだけで、正反対の見方が成立するのです。
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また、思考心理学者の樺 旦純さんが、人間関係に「短所」を活かす発想法として、次の10の提案をしています。
不器用・生真面目系
・・・好かれる人はたいてい口下手です。
内気・ナイーブ系
・・・シャイな人ほど包容力が深い。
イライラ・ぶち切れ系
・・・成功する人は短気です。
気分屋・はんぱ系
・・・気ままな人は憎まれにくい。
ジェラシー・好き嫌い系
・・・本当の心の温かさは冷たさが育てる。
悲観・甘え系
・・・弱気な人ほど心を決めると凄い。
おたく・執着系
・・・ちょっとネクラな方が組織で伸びる。
自己中心・みえっぱり系
・・・ほどよいわがままは人望の条件。
けち・強情系
・・・セコさは意外に信頼される。
自己不信・凡人系
・・・自分を少し疑う人が大成する。
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角を矯めて牛を殺す
私の友人に、中国人の体操競技の指導者がいます。体操王国の中国では、これまで、幼少の頃から大変厳しい練習を行ってきたそうです。体操演技では、いかに正確な技をするかがポイントですので、悪いところを直すということが練習の中心となります。そして、欠点を直すには、厳しい練習を強要することになります。
しかし、一人っ子政策により、子どもが減ってきていることもあって、最近は器械体操をしようとする子どもがいなくなってきました。そこで、これまでのような厳しい練習では体操人口が減る一方でだめだということで、指導方針を一変し、遊びを取り入れ、子どもをどんどん褒め、長所を伸ばそうという練習に切り替えているそうです。その結果がどう出るかは、この先をみないとまだわかりません。しかし、練習の場が、特訓の場,試練の場ではなくなり、子どもたちが意気揚々と練習に取り組むようになったということで、違った成果が出ることを期待しているということでした。
プロ野球の天才バッターだったイチロー選手は、オリックス時代、独特の1本足打法でしたすが、当初、仰木監督は「そんなに足をプラプラさせてちゃだめだ。」と矯正しようとしたそうです。ところが、イチロー選手は、頑としてフォームを改造しなかったようです。そこで、当時の打撃コーチが、フォームを直すよりもよりミートがよくするようにアドバイスをしたところ、自分からスタンスをオープンスタンス変え、急に打率を上げたということです。今では、誰も、イチロー選手の独特の1本足打法を矯正しようとする人はいないでしょう。
欠点は神様がくれたトレードマーク。その人の個性が発揮されるポイントだともいえます。
背の高い人は、その背の高さが魅力なのであって、猫背で歩けば、ただの姿勢の悪い人になってしまいます。目が小さい人は、その目の小さいことがその人らしさなのであって、アイシャドーやアイライン,マスカラ等を使って化粧をしても、かえって滑稽になる場合もあります。
「角を矯めて牛を殺す」という諺があるように、僅かな欠点にばかりこだわって度が過ぎ、全体までも台無しになってしまうこともあります。欠点は直さないといけない場面もありますが、長所を伸ばす方を優先すべきのように思います。
『百の欠点より一つの長所を伸ばせ。』
これは、19世紀末から20世紀初当に活躍したフランスの画家、ルノアールの残した言葉として有名です。
ルノワール作
最も美しいと称される少女『イレーヌ・カーン・ダンヴェール』(可愛いイレーヌ)
ルノアールは少年時代、貧しい陶器工場の絵付け職人として働いていました。ようやく、20歳になってグレーに入門し、モネやシスラーとともに印象派運動を起こします。その後、イタリア・ルネッサンスの影響を受け、印象派から離れて、独自の色彩家として活躍します。しかし、晩年はリウマチで手足が動かすことができず、絵筆を手首に巻き付けて描いたと言われています。
何回かの挫折を乗り越えたルノアールが得た教訓は、欠点を直そうとすることより、長所を伸ばす努力をした方がいいということだったのでしょう。
「長所を伸ばせば、短所は味わいになる」とも言われます。
ユダヤの格言には、
「人間の長所は欠点があることである」
というのがあるそうです。
人間の長所、短所というのは別々のものではありません。長所が短所であり、短所が長所であることが多いのです。ですから、短所をいかにして長所にするか、長所をいかに短所にしないか、ということが修養のひとつの秘訣でしょう。
「暖かさを好む者は、煙を我慢しなければならない。」
コインの裏表のように、人の性格は短所が長所になり、その逆にもなるということは、他人、特に子どもと接する時も大切にしなければならないことだと思います。
ロシアの諺に、「暖かさを好む者は、煙を我慢しなければならない」というのがあります。昔は暖をとるのには薪を焚く必要があり、薪を焚くのは必然的に煙にむせることでもあったわけです。物事には、必ず、プラスの側面とマイナスの側面があります。
人間の性格もそうで、しとやかな人は、反面、陰気で積極性に欠けるわけですし、頭の回転の早い人は思慮に欠けるという側面をもっています。
私は大学院で研究に息詰まっていたある日、ふと、数学の授業を聴講しにいきました。そこでは円柱の図形をやっていました。円柱は側面から見ると長方形に見えますが、真上から見ると円に見えます。「なるほど」と思いました。物事はある面だけで眺めてもいけません。見方を変えれば違うように見えるものです。
私たちは、どうしても人の短所や欠点が先に見えてしまいますが、見方を変えれば、短所は長所に、欠点は利点になるのです。
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