YOSAKOI(よさこい)の歴史
皆さん、おはようございます。
今回は、元気の出るイベント、一度見たらハマるYOSAKOI(よさこい)のお話です。毎年3月~11月にかけて、全国各地でYOSAKOI(よさこい)が開催されています。
YOSAKOI(よさこい)は高知県のよさこい祭りから端を発した、踊りを主体とする日本の祭の一形態です。1950年、南国高知産業大博覧会(高知市)において「よさこい踊り」が披露され、第1回「よさこい祭り」が開催されたのが1954年でした。当初は、徳島県の阿波踊りに対抗して開催されるようになったものでした。その後、1992年、札幌市において第1回「YOSAKOIソーラン祭り」が開催され、その成功のノウハウをもとに2000年代にかけて各地に広がったとされています。
ソーランが全国に広まったのには、2つの出来事があります。
1986年、校内暴力で「日本一荒れた学校」といわれた中学校が北海道、日本最北端の街にある稚内南中学校でした。学校再建のため、文化活動の一環として、教師と生徒の共同作業により「ソーラン」が考案されました。もともと、「ソーラン節」として知られる「沖揚げ音頭」は、ニシンでいっぱいになった網を手繰り寄せ、ニシンを陸まで運ぶ船にくみ上げる作業のとき漁師が唄った民謡です。1992年、歌手の伊藤多喜雄さんのソーラン節と、舞踏家の春日壽升さんの協力により、現代風ロック調にアレンジされた「南中ソーラン」ができあがり、1993、第10回全国民謡民舞大会で日本一になるのです。この実話を、斎藤耕一監督が、安達祐実やガッツ石松らを出演させて、「稚内発 『学び座』 (ソーランの歌が聞こえる。)」という映画で発信しています。
そして、もうひとつが1979年~2011年にかけて放映されたTBS系のテレビドラマ3年B組「金八先生」(1話~8話)でした。第5シリーズで、稚内南中学校の「南中ソーラン」が踊られた1999年からソーランは爆発的に全国に広まっていきました。その年、高知市で第1回「よさこい全国大会」が開催され、2011年には、東日本大震災を機に、全国組織の「YOSAKOI! JAPAN連絡協議会」が発足しています。
今やソーランは日本の文化になったといえるでしょう。現在、全国200か所以上でYOSAKOI(よさこい)が開催されています。
全国で行われているYOSAKOI(よさこい)
コロナ禍にあって、この3年ほど、YOSAKOI(よさこい)がストップしたところもありましたが、2013年時点で全国で行われていた主なYOSAKOI(よさこい)をあげてみましょう。
・札幌市 YOSAKOIソーラン祭り 21回
・旭川市 旭川夏まつり(YOSAKOIソーランナイト)51回
・仙台市 みちのくYOSAKOIまつり 15回
・前橋市 前橋まつりだんべえ祭部(前橋だんべえ踊り) 18回
・さいたま市 浦和まつり南浦和会場(浦和よさこい) 32回
・埼玉県飯能市 飯能まつり 42回
・千葉県匝瑳市 よかっぺまつり 34回
・石川県七尾市 能登よさこい祭り 16回
・岐阜県各務原市 ろっけん通り歩行者天国(六軒通りおどりん祭) 37回
・名古屋市 にっぽんど真ん中祭り 14回
・一宮市 おりもの感謝祭 一宮七夕まつり 57回
・津市 津まつり「安濃津よさこい」 15回
・伊勢市 よさこいソーランフェスティバルin朝熊 22回
・奈良市 バサラカーニバル 14回
・京都市 京都さくらよさこい 8回
・京都市 龍馬よさこい 5回
・大阪市 大阪メチャハピー祭
・大阪市 こいや祭り 13回
・堺市 堺まつり(堺よさこいかえる祭り) 39回(3回)
・神戸市 神戸・垂水よさこいまつり 13回
・小野市 おの恋おどり 12回
・宝塚市 宝塚サマーフェスタ 40回
・姫路市 夢さきふるさとまつり 34回
・広島市 ひろしまフラワーフェスティバル(きんさいYOSAKOI) 36回
・岩国市 岩国祭 56回
・高松市 さぬき高松まつり 47回
・高知市 よさこい祭り 59回
・久留米市 水の祭典久留米まつり 41回
・佐賀市 佐賀城下栄の国まつり 41回
特に、毎年8月上旬に4日間開催される高知市の「よさこい祭り」には、約200チーム、約18,000人が参加しています。高知市内16か所の競演場と演武場でよさこい踊りが披露されており、参加条件は、よさこい鳴子踊りのメロディが入っていることと、鳴子を持って踊ることです。リオのカーニバルにも匹敵する盛り上がりをみせます。
そして、全国のよさこいの中でも熱気の高まりがトップなのは、8月下旬に4日間開催される名古屋市の「にっぽんど真ん中祭り」です。約200チーム、2万人を超える踊り子が参加し、市内の公園、会館、ストリート、あらゆるところで踊られています。
2023年 にっぽんど真ん中祭り ファイナルコンテスト どまつり大賞
「総踊り」
さて、YOSAKOI(よさこい)では、出演の合間に、見学者も一緒になって踊る「総踊り」という時間があります。かつては「南中ソーラン」が踊られていましたが、今では、各地特有の踊りが作られており、踊り子も見学者もネット動画などで知っており、いろんな踊りが踊られています。
主なものは、次のようなものです。
・札幌市 YOSAKOIソーラン祭り 「祭りだ! 和っしょい」
・名古屋市 にっぽんど真ん中祭り 「わっしょい(MAIYA)」
・京都市 龍馬よさこい 「おどるぜよ」
・京都市 さくらよさこい 「さくよっしゃー」
・神戸市 神戸よさこい祭り 「神戸わっしょい」
・小野市 おの恋おどり 「ずっとおの恋」
・大阪市 こいや祭り 「こいや丼舞」「エビバディこいや!!」
・岡山県 「うらじゃ音頭~神の宿る火~」
私とソーランとの関わり
ソーランが広まった頃は、「荒れている学校だ」とか、踊り子も「茶髪の不良」というイメージが強く、私は少し敬遠していました。しかし、いろんなところで関わりができ、今やソーランファン、YOSAKOI追っかけ隊です。
①ニュージーランドで・・・
2002年(平成14年)、文部科学省の派遣でニュージーランドに教育視察に行きました。
ネーピア市の教育委員会との懇親会で、お互いの国の文化を披露しようということになり、ニュージーランドは先住民族マオリの戦闘の踊り「ハカ」をしてくれました。
日本が世界に紹介できる踊りってなんだろうと皆で議論を重ね、私たちはそのお礼に「南中ソーラン」を披露したのでした。
ニュージーランド「ハカ」 vs 日本「南中ソーラン」
②A中学校体育会で・・・
2008年、A中学校に転勤しました。体育会では3学年男女一緒に組体操と南中ソーランを隔年ごとにしており、転勤1年目は組体操でした。
ところが、体育会の練習になると、特に3年生の女子生徒たちがエスケープを繰り返すのです。体重の増えた(?)3年生女子生徒たちにとって、組体操は面白くなかったのでしょう。
翌年の体育会は南中ソーランでした。生徒たちは昨年の組体操とは見違えるほど、一生懸命に取り組んでいました。
そして、その翌年、生徒たちに体育会で何をしたいかと聞くと、ほとんどの生徒が「南中ソーランをしたい」と言うのです。
そこで、当時、兵庫県内各地で行われていたよさこい祭りで活躍していた網干の「純大恋」というよさこいチームにお願いして、南中ソーランを指導しに来てもらいました。「純大恋」の踊る南中ソーランは一味違っていて、動きが大変きびきびしていました。よさこい祭りの「総踊り」でも、「純大恋」が出るというだけで場の雰囲気が変わるのです。
その指導のお陰で、生徒たちは乗りに乗って「純大恋」の南中ソーランを身につけ、少しだけアレンジして、(あつかましくも)「A中ソーラン」と名付け、体育会本番で披露したのでした。
A中ソーラン
それ以来、10年以上も、「伝統あるA中ソーランを見てください」と言って、A中学校の体育会や文化祭で「純大恋」の南中ソーランをアレンジした「A中ソーラン」を披露しています。
③追っかけ「朱蘭」
娘が大阪の大学に入学し、2015年~2017年の3年間、「朱蘭」というよさこいサークルに入り、毎週末に全国各地で踊っていました。私たち夫婦は旅行を兼ねて追っかけをし、元気をもらっていました。
よさこいソーランチーム3選
よさこいソーランチームには、小さな子どもから大学生、社会人の大人まで、様々なチームが参加しています。特筆すべきチームを3つあげておきましょう。
北海道大学YOSAKOIソーランサークル″縁″
「周りを巻き込み、ゴキゲンな流れを作る」というコンセプトのもと、赤ふんどしに裸で舞う男子が見物です。元気と笑顔とキレのある踊りに見とれてしまいます。
OBたちもたくさんおり、各地のYOSAKOI(よさこい)に、少人数であっても参加しています。また、名古屋市で行われる「にっぽんど真ん中祭り」には、全員、ヒッチハイクで集合・参加しているそうです。
嘉們-KAMON-
2013年に結成された大阪の社会人チームで、関西を中心に全国各地にメンバーがいます。「勢い・楽しさ・心意気~感動し続け感動させる団体へ~」をコンセプトに活動しており、「にっぽんど真ん中祭り」では、第21回(2019年)、第22回(2020年)と連覇しています。
純大恋
さきほど紹介した姫路市・網干市を拠点としたよさこいチームです。中学生から30歳までの男性だけのチームで、キレキレの踊りを披露します。特に純大恋の踊る「南中ソーラン」は動きが大変きびきびしていて、すがすがしく、力強い踊りに魅了されます。A中学校の「A中ソーラン」の原型にしました。
「純大恋」の南中ソーラン
日本人なら「ソーラン」
新型コロナの影響で、多くのYOSAKOI(よさこい)が自粛や中止となりましたが、2021年の名古屋市「にっぽんど真ん中祭り」は、オンラインを主軸とした「テレどまつり」と題して無観客開催をし、国内外から従来の倍に当たる438チームがエントリーしていました。
今やYOSAKOI(よさこい)は日本文化です。今後もますます発展するでしょう。
ニュージーランド人が〝ハカ〟を踊れるように、日本人なら「ソーラン」は踊れるという時代がきています。
また、全国各地で行われているYOSAKOI(よさこい)を見に行くだけでも、元気がもらえます!