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卒業式「式辞」で〝感動〟を!

タイトル 卒業式
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ある幼稚園の卒園式に来賓として呼ばれ、驚いたことがありました。

その幼稚園を卒業した園児たちは、全員、隣の小学校に入学するのです。卒園といっても、決して別れではなく、2週間後には同じ小学校で出会います。なのに、園児たちも、保護者たちも、先生方も、卒園式で何度も何度も涙を流しているのです。

一番の卒園式での演出は、園長先生のお話でした。園長先生のお話に皆、感動して涙を流していたのです。

卒業式は、児童・生徒にとっても、保護者にとっても、人生の中の節目になる大きなハレの舞台です。

会場にいる人たちの心を動かし、目頭を熱くするような式辞をするためのポイントをまとめてみましょう。

卒業式が始まり、卒業証書を授与した後の、まだ緊張感の残る雰囲気の中で、最初にするのが学校長式辞です。会場を見渡し、アイコンタクトをしながら、張り詰めた緊張感の中にも 温かい風を送る気持ちで、式辞を述べるようにします。それには、なにより、校長自らの熱い思いがなければ、何も始まりません。

校長の式辞の内容は、PTAや来賓の方の祝辞、また、児童・生徒の送辞や答辞の内容とダブらないようにしなければなりません。校長式辞を最初に単発で述べるだけではありません。校長式辞の話が、祝辞や送辞・答辞への布石となってつながってこそ、感動が倍増するのです。可能な限り、事前に祝辞・送辞・答辞の内容を把握しておきます。

児童・生徒には、「ここまで育ててもらって、『ありがとう』」という感謝の思いを持たせることが大切です。感謝の心というには自然発生的に育つのではありません。卒業式までの集会などで、人生の節目にあたって、これまで受けてきた恩を振り返り、感謝の気持ちを持てるように導いておきます。

保護者には、子育ての苦労に寄り添い、労う気持ちを前面に出しましょう。いくら教師が児童・生徒たちの世話をしてきたからといっても、たかだか3~6年のことであり、保護者の苦労とは比になりません。保護者の視線にたって子どもを見ている言葉を述べましょう。

また、教師に対して不信感や不満をもっている場合もあります。素直にゴメンナサイという気持ちを出した方がいいと思います。

式辞は、最後の「教え」です。

フランスの詩人、ルイ・アラゴンは、「学ぶとは心に誠実を刻むこと、教えるとはともに希望を語ること」と述べています。式辞の節々に、希望を語りましょう。

現代の政治社会情勢から話題を提供し、未来に向かって共に羽ばたいていこうという意欲を高めるような話をしたいものです。

その他

式辞の時間(字数)を気にする必要はありません。いい内容であれば 聞いている人は時間を忘れます。

式辞の内容は、何度も何度も吟味しましょう。

もちろん 声の「トーン」や「ボリューム」、「間の取り方」、「視線」なども重要です。これは、何度も練習するしかありません。

暖かな日差しの中に春の足音が聞こえてくるこのよき日に、多数のご来賓、並びに保護者の皆様のご列席を賜り、第〇〇回卒業式が挙行出来ますことに対し、厚く御礼申し上げます。

本日、卒業証書を手にされた〇〇中学校3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

新型コロナの影響で入学式もなく、始まった中学生活でした。自宅待機となったり、授業や部活動にも制限がかけられたり、思うように学校生活を楽しむことが出来なかったかもしれません。しかし、皆さんは、愚痴1つ言わず、いつも明るく元気に、そして、すくすくと素直に学校生活を送っていました。

特にこの1年間、最上級生としての見本を随所にみせ、体育会や文化祭をみごと成功させるなど、後輩たちに背中で語ってくれていました。本当に素晴らしい3年生だったと、私は感謝しています。

さて、これまで私は全校朝礼などでいろんなお話をしてきましたが、今日、これが最後のお話となります。卒業生の皆さんには、卒業に際して、「恩送り」というお話をしたいと思います。

先月、死者4万人を超える大地震がトルコ・シリアで発生しました。トルコは大変な親日国です。日本とトルコの間には100年に渡って受け継がれてきた感動のお話があります。

今から38年前の1985年、100万人の死者を出したと言われるイラン・イラク戦争の最中、イラクのフセイン大統領が無差別攻撃を宣言しました。しかし、当時、日本の自衛隊の海外派兵は憲法違反にあたると反対意見が出て対応が出来ず、また、日本の民間の航空会社も危険な地域への運行を拒否したので、イランのテヘラン空港には215名の日本人が救出を待って足止めをくらっていました。

その時、トルコの航空会社がその日本人のために救援機を2機出してくれたのです。戦争の最中に飛行機を飛ばすのは命がけの仕事です。しかし、機長はじめ多数のスタッフが救援機への志願をしてくれたそうです。「イラン上空に飛ぶ全ての飛行機を撃ち落とす」と宣言されたタイムリミットの1時間15分前に救援機は飛び立ち、無事、215名の日本人たちは帰国することが出来たのでした。

イランにはこの時、6,000人のトルコ人たちが救出を望んでいましたが、救援機に日本人を優先的に乗せたことに誰も非難せず、彼らは数日間かけて陸路で脱出したのでした。

なぜ、トルコ航空はそんな危険なところに来て日本人を助けてくれたのでしょうか。

元駐日トルコ大使のウトカン氏は、「エルトゥールル号の恩返しだった」と述べています。

エルトゥールル号とはトルコの前身、オスマン帝国の軍艦でしたが、今から133年前の明治23年に、和歌山県串本町の沖合で遭難し、587名が死亡・行方不明になるという大惨事を起こしています。

この時、地元の大島村の住民たちは献身的に生存者たちの救護に努め、生存者69名は神戸に移送されて治療を受けました。明治天皇は彼らのために医者を派遣し、皇后陛下も看護師13名を遣わされたそうです。そして、翌年、無事にトルコに帰国出来たという話が、なんと100年にも渡って、トルコでは教科書にも載り、国内で語り継がれてきたのだそうです。

日本は第二次世界大戦で敗れ、GHQによる日本占領管理政策WGIPのもと、戦前のことを「悪」として忘れ去るようにしてきました。しかし、トルコの人々は「恩」を忘れず、100年前の先人の過去の真実の歴史を、子孫にしっかりと語り継いできたのです。

どうか、皆さんにもこの国を100年先にも語り継げるような国にしてほしいと願います。

「恩」という文字は、「心の原因」と書きます。心の元、つまり、自分というものは、どこからやってきて、どんなふうに育ってきたのかを知ることではないでしょうか。

また、「恩」という文字は、「口」と「大」と「心」から成り立っています。「口」は環境、「大」は人が手足を伸ばしている姿です。何のおかげでこのように手足を伸ばしておられるかと思う心が、「恩を知る」ということでしょう。

生まれて15年間、これまで皆さんはどれほどの多くの恩を受けてきたか、考えてみてください。

皆さんを、生まれた日からたくさんの人が見守ってくれていました。ご家族だけではありません。学校や〇〇の町、〇〇の自然も、皆さんを見守ってきたのです。これからは、受けてきた恩を自分から発信することを考えてみてください。

ただ、「恩返し」という言葉がありますが、受けた恩をその人に直接返すというのは、なかなか出来ることではありません。しかし、受けた「恩」をまた別の人に送り伝えてゆくことは出来るでしょう。そのことを「恩送り」といいます。

日本には、古くからの言葉で、「情けは人の為ならず」というのがありますが、「恩送り」はこれに当てはまると思います。近年、英語圏でも「恩送り」に相当する概念が、“Pay  it  forward”の表現で再認識されるようになってきています。

どうか、皆さん、義務教育が終わるこの節目にあたって、これからは周りの人に、少しずつでもいい、「愛」や「勇気」や「思いやり」を発信出来る人になってください。

人は、何のために生きるのか? 古今東西、いろんな人たちが見解を示してきましたが、実は心理学でも哲学でも、その答えは出ていません。つまり、生きる目的に正解はないのです。ただ、人は〇〇のために生きるのだと考えると、なぜか人生はうまくいくことが多いように感じます。

さて、保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様が生まれてから約15年。立派に成長し、新しい生活に向かおうとしているお子様の姿を見て、感慨深いものを覚えておられると思います。何より、これまでの保護者の皆様のご苦労を思うと、同じように3人の子育てをしてきた身として、思わず目頭が熱くなる思いです。

お子様のご出産の時、新しい命の誕生にきっと涙されたことでしょう。生まれたばかりの頃、お子様は小さな体で精一杯、生き延びてきました。時には体調を崩したり、けがをしたり、心配することもいろいろとあったでしょうが、やがて子どもは歩き出し、言葉を語り出し、少しずつ少しずつ成長してきました。目を閉じると、幼い頃のお子様の姿は、すぐに浮かんでくると思います。

人の脳は、苦しかった思い出や悲しかった思い出は少しずつ忘れ、楽しい思い出だけが残るように設計されているそうです。

そして、今、目を開けると、目の前にいるお子様は、全く別人のように大きく成長されています。特に受験期の中学3年生では、反抗期も重なって、様々な葛藤があったことでしょう。

思春期の子どもは、大人に対して素直な気持ちを表現することは苦手です。

しかし、「うるさい」という子どもの言葉は「ありがとう」という意味であり、黙って無視するのは、感謝の心の現れなのです。15歳といってもまだまだ保護者のお力が必要です。

子どもの一挙一動に振り回されることなく、変わらぬ愛情を注がれますようにお願い申し上げます。

また、本日まで本校に対していろいろとお力添え、ご支援をいただきましたことに、厚くお礼申し上げます。私たち教職員一同、微力ながら精一杯、お子様の教育に携わってまいったつもりですが、十分でなかった点もあったことをお許しいただきたいと思います。

最後になりましたが、御来賓の皆様、本日は3年ぶりに晴れの門出を激励していただき、また、多くの方々から祝辞・祝電を頂戴したことに対し、誠に感謝申し上げます。どうか、これからも、末永く温かく、〇〇の子どもたちを見守ってくださいますようお願い申し上げます。

さあ、いよいよ、旅立ちの時がきました。卒業生の皆さん、本当に卒業おめでとう。

皆さんの健康と幸せを祈り、式辞と致します。                

                

令和5年3月14日   

□□□立〇〇中学校 校長 ●●● ●●●

タイトル プロの教育者
『遊ぶように傍楽』プロの教育者(プロ教師)になる!プロの教育者(プロ教師)になるためには、日本の製紙王、藤原銀次郎の「愉快に働く法十カ条」、アサヒビール中興の祖、樋口廣太郎の「仕事十訓」、川越市立川越第一中学校、河上亮一の「プロ教師になるための十六章」、沖縄県教師としての使命、ラッキーの「仕事を楽しくする10の方法|に学び、遊ぶように傍楽ことである。 遊びはやればやるほど飽きてくるが、仕事はやればやるほど楽しくなる。仕事を好きになる唯一の方法は、楽しくなるまで一生懸命にやることだ。...
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