【よきリーダーの心得】部下を持ったら…
皆さん、おはようございます。
社会人となって数年もたつと、部下を持つことがあるでしょう。また、児童・生徒の場合でも、学年が上がると後輩を持つことになります。
昔から「他人と過去は変えられない」と言われますが、部下や後輩から信頼され、協力を得て仕事を進めるのは、なかなか困難なことです。特に最近は、「パワハラ」意識が高まっており、部下のためと思って発言したことが問題発言となったり、将来を期待していた部下があっさりと退職したりするなど、リーダーも大きなストレスを抱えているケースが稀ではありません。
学校の場合は、少し年齢を重ねる必要があるかもしれませんが、最近は、管理職(校長・副校長・教頭)と一般教員の間に主幹教諭や指導教員などを配置することになっており、学校も以前のような「鍋蓋組織」から「ピラミッド組織」へと変わってきていますから、新米教師といえども、早い段階で部下を持つ機会が増えてくるだろうと思います。
部下を持ったら何を心得ておけばいいのか、部下を持つ前に勉強しておく必要があると思います。
三洋電機の後藤清一氏が、部下指導のコツ「五たい」を組み取ることをあげています。
一.関心を持たれたい。
二.理解されたい。
三.認められたい。
四.信頼されたい。
五.可愛がられたい。
このような部下の心理を把握し、信頼されるよきリーダーであるためには何をすればいいのか、具体的な提案をしましょう。
アセスメント
アセスメントとは、必要な情報を集めて客観的に分析し、現状を正しく評価して次の判断や対策につなげるプロセスのことです。単なる結果の善悪の判断ではなく、事実を正しく把握するには、事前調査や分析が必要です。まずは、部下のことを「知る」ことです。
(1)部下カルテの作成
履歴書などに目を通し、年齢、住所、連絡先、家族構成はもちろんのこと、学歴・職歴・職歴、趣味・特技・資格、さらに健康状態や交友関係などについて把握します。
これらの情報はエクセル表に記録し、いつでもソートをかけて共通する情報を把握しておくとよいでしょう。
これらの情報を得ることで、部下と「無駄話(雑談)」ができるようになります。例えば、釣りが趣味だという部下に、「そろそろ、アジが捕れる時期ですね」とか、痛風で苦しんでいる部下に、「私も尿酸値が高かったので、医者の勧めで〇〇をするようにしたら、値がよくなったんですよ」というように、一人ひとりと話ができるようになります。
そして、知り得た情報から、たとえば、リーダーが部下に、「今日は誕生日だね。おめでとう。早く帰宅してください」と言うだけで、部下からの視線が変わります。誕生日だからと言って別にプレゼントを渡す必要はありません。いつも気にしているというメッセージを送るだけでいいのです。
ちなみに、職場での「無駄話(雑談)」について、過度な私語は業務効率や集中力を下げる原因にもなりますが、最近は多くの心理学的研究から、心理的安全性の向上や人間関係の円滑化に効果的であること明らかにされています。
無駄話(雑談)の主なメリットは次の通りです。
①関係性の深化:お互いの人となりを知り、信頼感が生まれる。
➁心理的安全性:意見を言いやすい雰囲気が作られる。
③ストレス緩和:緊張や疲労が和らぎ、気分転換になる。
④アイデア創出:偶発的な会話から新しい発想や業務の改善につながる。
(2)面談・面接
定期的な面談がある場合は、それを利用します。個人目標を聞き、仕事に対する意欲を確認することに加えて、プライベートなことについても可能な限り、情報を得ておくことが大切です。
幼い子どもがおり、保育所通いの必要がある,介護しなければならない高齢者や障害者を抱えている,女性の場合、妊娠、出産、育児休暇などは仕事と直接影響するので、しっかり把握しておく必要があります。
話し方の学校学長で、講演家・スピーチ研究家の鴨頭 嘉人氏が、「神レベルの上司」は次の3つの力を持っていると述べています。
1.聴き力・・・意見を言わない。
2.洞察力・・・部下の声にならない声を聴く。
3.承認力・・・次の5段階のレベル(①→⑤へ高める。)
①結果承認・・・いわゆる「褒める」
②経過承認・・・結果よりもプロセスを褒める。女性がドーパミンを出しやすい承認
③行動承認・・・結果を出していない場合の行動の承認。例:「掃除を頑張っているね。」
④意識承認・・・行動しないのに褒める。例:「〇〇しようとしてたのね、すごいねえ。」
⑤存在承認・・・いるだけで「褒める」
よきリーダーは、面談や面接においても、意見を言わずに聴くことに徹し、部下の声にならない声を洞察し、承認することに心掛けなければなりません。
(3)無くて七癖
「無くて七癖、有って四十八癖」と言われるように、どんな人も言動に癖を持っています。その癖から心理状態を探ることができます。
一例をあげてみましょう。
(1)鼻をよく触る人は・・・嘘つき。
(2)耳や耳たぶを触る人は・・・会話に不満を感じたり、相手を苦手に思っている。
(3)唇を舐める人は、・・・緊張している。
(4)舌を出す人は・・・リラックスし、好意や安心感、信頼感を持っている。
(5)口を隠す人・・・自分の考えや意見に自信がなく、心情を隠そうとしている。
(6)目をこする人は・・・相手の発言を否定している。
(7)髪を自ら撫でる人・・・「褒められたい」や「甘えたい」などの心理が隠れている。
(8)椅子に浅く座る人・・・その場に長く居たくない。
(9)足を組む人は・・・安心しているか、警戒している。常にプレッシャーにはさらされている。
(10)首を傾げる人は・・・会話の内容に満足しておらず、相手を見下している。
(11)貧乏ゆすりをする人は・・・ストレスで不満・不安・退屈等のプレシャーを感じている。
(12)手を後ろに組む人は、警戒心が強く、他人を信用していない。
(13)ペン回しをする人は、眼の前にあることに不安を感じていたり、悩んでいることがある。
(14)眉毛を触る人は・・・喜怒哀楽を隠そうとしている。
(15)眉を抜く人は・・・過度のストレスがかかっている。
(16)ポリポリと頭をかく人は・・・恥ずかしいと思ったり、照れている。
(17)唇を噛む人は・・・感情を抑え込み、極度のストレスを感じている。
(18)まばたきが多い人は・・・嘘を隠したい、恥ずかしいなどの緊張状態にある。
(19)髪をかき乱す人は・・・悩んでいたり、イライラしている。
(20)髪をかき上げる人は・・・無意識に女性らしさをアピールしている。
(21)指先に髪を巻きつける人は・・・退屈している。
(22)髪を強く引っ張る人は、ストレスを感じている。
(23)足を広げて座る人は、無警戒か、体を大きく見せ相手を無意識に威嚇している。
(24)ふんぞり返って座る人は、縄張り意識が高く、プライドが高い。
(25)爪や物を噛む人は、ストレス・不満・苛立ちを感じている。
(26)机をトントンと叩く人は、「話が退屈」「会話を終えたい」「意味が分からない」
(27)ポケットに手を入れる人は、警戒心が高く、心を開きにくい「人見知り」
(28)ため息をつく人は、緊張や不安などを感じている・
(29)頬杖をつく人は、不満や退屈を感じている。
(30)早口な人は、自己主張が強く、頑固。事務処理能力や頭の回転も早い。
(31)頭の後ろに手をおく人は、ライバル心が高く、見栄っ張り。
(32)頭の上で手を組む人は、頭を使う作業をしていたり、リラックス状態である。
(33)胸の前で手を組む人は、何かしらの緊張状態にある。
(34)机の上で手をギュッと握る人は、何かしら考えごとがあり、その考えに集中している。
(35)机の上で手を軽く組んでいる人は、リラックスしている状態。
(36)スマホが手放せない人は、何かに依存していないと落ち着かない心理。
また、ふとした時に指を組んだり、腕を組んだ時の癖から、利き脳(左脳派・右脳派)を知ることができるそうです。

☆指を組んだ時:インプット
(a)左親指が下(左脳で理解したい人):理論派
(b)右親指が下(右脳で理解したい人):イメージ派
★腕を組んだ時:アウトプット
(A)左腕が下(左脳型):理論派
(B)右腕が下(右脳型):イメージ派
「誠」タイプ(a)-(A):理論-理論⇒亀さんタイプ・・・こつこつ努力家
・物事を冷静にとらえて処理
・瞬時の判断と決断が的確
・一度決めたことは最後までやりきる。
・自分で言ったことは確実にやる。
・ルールや手順にこだわる。
・曖昧では動けない。
・うまくいっていないと落ち込む。
「礼」タイプ(b)-(A):イメージ-理論⇒犬さんタイプ・・・社交的でポジティブ
・いろんなことを積極的に吸収して処理する。
・正しいかどうか冷静に判断できる。
・チームワーク(縁の下の力持ち)
・曖昧〇
・友達尊敬し合える。
・気を使える。
・断言×
「勇」タイプ(a)-(B):理論-イメージ⇒猫さんタイプ・・・ツンデレ
・論理的に捉え、直感的に要領よく処理をする。
・冷静に状況を判断して自分がいいと思うことを優先的に処理する。
・とりあえずやってみよう。
・アクシデント〇
・擬態語が多い。
・空気×
・影のあやつり師
「義」タイプ(b)-(B):イメージ-イメージ⇒猪さんタイプ・・・猪突猛進、熱血
・積極的に自分から吸収し、積極的に自分が思う通りに発信する。
・ズルを許さない。
・場になじめていない人を巻き込める。
・空気を壊すのが嫌
・感情が最優先!
・ロマンチストなムードメーカー
・「できる」と確信しないと動かない。
(4)六星占術
「占いなんて?」と思うかもしれませんが、これが意外に当たります。なぜなら、本人がそのように思い込んでいるケースが多いからです。
例えば、「血液型」。一般に、A型は几帳面、O型はおおざっぱ、B型は変人などと思われています。幼い頃からそのように言われ続けていると、実際にそうなってしまうのが、人の性(さが)です。
「星座占い」なんかもそうでしょう。根拠はあまりないことだとは思いますが、「私は〇〇座だから・・・」とか「彼は□□座だから・・・」というようなことで、納得してしまうことが多々あります。
また、「干支」もよく言われます。「五黄の寅はカリスマ性があるが吉凶の波が激しい」や「丙午の女性は気性が激しく、夫の命を締める」という具合に、人の判断材料にもなることがあります。
そして、細木数子氏が提唱した「六星占術」というのは、中国の「四柱推命」を元にした占いで、生年月日から算出し、人を12に分類し、12年周期に運気の善し悪しを示したものです。
六星占術は生年月日から人物生来の運命を土星、金星、火星、天王星、木星、水星の6つの運命星で占い、それぞれの運命星を持つ人物を土星人、金星人、火星人、天王星人、木星人、水星人、そして特別な条件が符合する霊合星人に分け、それぞれプラス・マイナスを特定しています
運命の隆盛を、種子→緑生→立花→健弱→達成→乱気→再会→財政→安定→陰影→停止→減退という12の段階に分け、12年間と12か月間の周期としています。そして、「陰影」「停止」「減退」の3年間は冬の時期で「大殺界」と呼んでいます。
六星占術は、生年月日からすぐに割り出せるので、毎年、生年月日から調べて、「金星人の●●は、今年は財政の年だ」とか「水星人の■■は、今月から大殺界だ」という具合に知っておきましょう。
なお、「四柱推命」を信じている中国人の多くは、自分の生年月日を殆ど明かしません。それは、誕生日を明かすことで、自分の運気の隆盛を相手に知られることになるからだそうです。

(5)動物占い
「動物占い」も、基本的には「四柱推命」や「六星占術」と変わりありません。人を、狼、こじか、猿、チーター、黒ひょう、ライオン、虎、たぬき、コアラ(子守熊)、ゾウ、ひつじ、ペガサスの12種類の動物に例えています。


相性を考える。
先ほどあげた「動物占い」の面白いところは、人間関係の相性を把握する参考資料にもなることです。

動物占いでは、こじか、たぬき、ひつじ、黒ひょうを「MOON(いい人チーム)」、 狼、猿、虎、コアラ(子守熊)をEARTH(しっかり者チーム)、ゾウ、チーター、ペガサス、ライオンをSUN(天才チーム)の3グループに分けます。お互いの価値観や行動パターンが似ているグループの組み合わせや、お互いの長所を補い合える関係を把握しておくことで、仕事も効果的に回ることがあると思います。

環境整備
(1)6S
世界No.1の総合モーターメーカー、ニデック株式会社(旧:日本電産)の創業者、永守 重信氏は、多くの企業のM&A(合併・買収)を成功させてきましたが、買収された会社は、それまでの長期低迷がうそのように、黒字化しています。会社を再建するにあたって、雇用を守り、社長以下役員も留任させてきました。
その再建の秘策は、「6S」と「出勤率」だったそうです。
「6S」とは、「整理」「整頓」「清潔」「清掃」「躾」「作法」です。「職場をキレイにしなさい。もう一つは出勤率。休まんと会社に来てくれよ」だったそうです。
リーダーが率先して、環境を整備することが重要です。
カー用品販売イエローハットの創業者で「掃除の神様」と呼ばれている鍵山 秀三郎氏は、自ら進んでトイレ掃除をされてきました。その活動は、学校や公園で子ども達とトイレ掃除をする活動として日本全国に広がっています。

なお、職場環境の維持・改善を図るために、一般には「5S」があげられています。
・整理(Seiri): 要るものと不要なものを分け、不要なものを捨てること。
・整頓(Seiton): 必要なものをすぐ取り出せるよう、置き場と量を決めて配置すること。
・清潔(Seiketsu): 整理・整頓・清掃が保たれた状態を維持すること。
・清掃(Seisou): ゴミや汚れを取り除き、きれいに磨くこと。
・躾(Shitsuke): 決められたルールや規律を正しく守る習慣をつける。
「6S」には、「作法」(Sahou)の他に、「安全」(Safety)があげられることもあります。
(2)言語環境
環境整備の中で、もう一つ大切なことは、「言語環境」です。
特にリーダーは部下に対して、上から目線の言葉を使わず、敬語を使うことに心掛けましょう。今は、部下を叱り飛ばすというような時代ではありません。「そんなこともできないのか!」「早く〇〇しろ!」など、厳しい言葉はもはや「体罰」であり、「パワハラ」として訴えられる事案に当たるでしょう。
あるリーダーが部下に「がんばってな」ではなく、「がんばってるな」という言い方をしました。たった「る」一言ですが、前者は、「まだ十分ではない」というメッセージを伝え、後者は「自分は認められている」というメッセージを与えます。人は、そのままの自分をプラスと認められるとやる気が湧いてくるものです。
リーダーの研修
実業家でコラムニストの金平 敬之助氏が、『ことばのご馳走』で、部下の5つのタイプを示しています。
(1) 言う前にわかる。◎
(2) 言えばわかる。〇
(3) 言ってもわからない。□
(4) 言えば反発する。▽
(5) 初めから聞く気がない。▼
(4)や(5)のタイプの部下は、もとよりリーダーの方に原因があるかもしれません。
ところで、アメリカ実業家で、ゼネラルエレクトリック(GE)のCEO(最高経営責任者)である、ジャック・ウェルチ氏が、「部下の士気を高める7つのツール」をあげています。
1.金銭的な報酬
2.仕事の面白さ
3.一緒に働いて楽しい同僚
4.認めてあげること
・・・個人やチームが大きな取引を制約したなどの注目すべきことをしたら、大袈裟なくらいに騒いで、人前で認めよう。
5.お祝い
・・・成功したときに十分お祝いしてあげる。勝利を祝うのは、人々の気持ちをつなぎとめるための効果的な方法である。
6.部下の身も心もとらえて離さない偉大なミッション
7.ギリギリタッチできる目標を設定する。
・・・達成感と挑戦がちょうどうまい具合にバランスが取れている職場環境を作り上げる。仕事に興奮を覚えるには、成功の喜びを感じる必要がある。
これらの殆どの項目は、リーダーの技量に影響を受けるものだと思います。すなわち、リーダーの資質によって、部下は士気を高めるのです。
部下が各自の仕事力を高めながら、意欲的に働けるようにサポートするには、リーダーが本を読み、人の話を聞き、資質を高めておくことが必要です。
ジャーナリストで評論家の長谷川 如是氏は、「社長のノート2」で「組織はリーダーの力量以上には伸びない。業績を上げたいなら、部下の尻を叩く前に、自分が伸びろ!」と述べています。
リーダーはいつも向上しなければなりません。そのための自己研鑽や研修は欠かせないでしょう。本を読み、幅広い知識や情報を得ることとともに、自ら研修に参加するように心掛けたいものです。
古代ギリシャ哲学者、アリストテレス
「人に従うことを知らないものはよき指導者になりえない。」
アメリカのサーバントでリーダーシップ提唱者、ロバート・グリーンリーフ
「よきリーダーは、まずはよき部下(召使い)にならなくてはいけない。」
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まとめ
部下を持ったら何を心得ておけばいいのか、部下の心理を把握し、信頼されるよきリーダーであるためには何をすればいいのか、具体的な提案をしましょう。
まず、アセスメントです。部下カルテを作成し、その情報をいかして無駄話(雑談)をします。また、面談・面接を通して、仕事に対する意欲を確認することに加えて、プライベートなことについても可能な限り、情報を得ておきます。意見を言わずに聴くことに徹し、部下の声にならない声を洞察し、承認することに心掛けます。さらに、六星占術や動物占いによって、部下の特性や人間関係の相性を把握します。
次に、「整理」「整頓」「清潔」「清掃」「躾」「作法」の6Sに心掛け、環境整備や言語環境を整えます。
そして、何より、リーダーが本を読み、人の話を聞き、資質を高めるための研修が必要です。
