「学力」より重要な力…それは「人間力」だ!
皆さん、おはようございます。
「生きる力」とは?
「生きる力」

1998年(平成10年)の学習指導要領から提唱され続けている「生きる力」・・・「ゆとり教育」から「脱ゆとり教育」への改定があっても、「知・徳・体のバランスのとれた力」として今日まで受け継がれてきました。
現在は、「社会の変化を見据えた主体的・対話的で深い学び」を通して、「生きる力」を育むことが要求されています。
また、今後の学習指導要領の改訂においても、「生きる力」は学校教育で身につける力として、中心的な存在となるでしょう。
「人」として育てるために・・・
さて、「人」という文字は、人がからだを曲げて立っているのを横から見た形にかたどって出来た文字だそうです。一方、「一本の棒が支え合って立っている姿」だという解釈もあります。私は、後者の方の解釈をしたいと思います。つまり、「人は一人じゃ、生きれない」ということです。

私たちは、大勢の人たちとお互いに関わり合って生きています。したがって、人間関係が大切な問題となってきます。この人間関係がうまくいくかいかないかは、人生を幸せに過ごせるか過ごせないかということと、死活的な関係があるでしょう。そこで大事になってくることは、社会性の問題です。
「子」が「大人」になるのに、身に付けなければならない力として、次の8つの力があるといわれています。
「明」: 人の心を楽しくさせる力
「暖」: 相手の身になって考える力
「誠」: 真心を貫く力
「行」: 有言実行の理想に近付く力
「体」: 元気のもととなる力, からだの健康
「心」: 人生をたくましく生き抜く力, こころの健康
「智恵」: 判断力, 創造力, 推理力, 分析力, 感受性etc.右脳に関する本当の学力
「知識」: 記憶力, 理解力etc.左脳に関するいわゆる試験学力
学校のテストや通知簿では、ほとんど「知識」の点数しか評価されません。人に必要な8つの力、これこそ「人間力」だと言う人もおられますが、学校ではこの中のたった八分の一の力しか評価していないのです。「知識」力は重要な力です。しかし、それだけで人が評価されてはなりません。
「人間力」とは・・・?
人が人として生きていくためには、生命力が欠かせません。その生命力には、「體力(体力)」「氣力(気力)」「識力」の三つの力が必要です。
地元の人々から「くろたつさん」と親しまれている福井県福井市にある毛谷黒龍神社の「力守り」は、これらの力を授けてくれるお守りだそうです。

| 生命力(心技体):「人間が人間として存在し得る力」 |
| 〇體力:からだの力 〇氣力:生命の原動力 〇識力:見分け知る力 |
| ・行動力:思いを積極的に行動に移す。 ・実行力:実際に適正な計画を持って行動する。 ・持久力:久しく持ちこたえる。 ・快復力:病勢の進行を止める、活療させる、景気回復 ・回復力:こらえ耐え忍ぶ。 ・鈍感力:あまり、神経質ならない。 ・自 力:他人を当てにしない。 ・恋愛力:男女間の恋い慕う愛情を強める。 ・競争力:勝負・優劣を互いに競い合う。 ・胆 力:物事に恐れたり、驚き慌てない。 ・知 力:よく知る力、知識の取得。よく聞く耳を持つ。 ・創造力:新しいものを造る。 ・注意力:気をつける、気を配る。 ・判断力:自分の行動の是非善悪を判断し得る。 ・決断力:きっぱりと決める。 ・統率力:人々を率いる。 ・指導力:目的を持って解りやすく教え指導する。 ・洞察力:よく見通す、よく見抜く力 ・診断力:物事の欠陥の有無を調べ、判断する。 ・思考力:思い巡らして考えをまとめる力 |

「受験学力」は、役に立つのか?
かつて、精神科医で受験アドバイザーの和田 秀樹さんが『受験は要領』という本で、「受験は頭のよしあしでなく、“暗記”と“要領”だ」と述べ、一流大学に入ることを勧めていました。
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受験は要領 たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ (PHP文庫) [ 和田 秀樹 ] 価格:990円 |
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つまり、
「受験勉強を一生懸命やっていい学歴を手に入れるほど、ラクな処世術はない。ある雑誌の調査によると、都市銀行員の生涯賃金は、4億5000万円にも達するそうだが、これが一流メーカーでは3億円弱、二流企業では2億円あまりにしかならないという。そのうえ、一流大学を卒業していれば、出世も早いだろうから、その収入の差はさらに大きくなるだろう。」
「受験勉強を要領よくやるかやらないかでは、生涯賃金では2億円以上もの差がついてしまう。では、あと2億円を手に入れるためには、どれだけの時間が必要なのかというと、これがわずか1500時間でいいのである。1500時間と言えば大変なようだが、高3から受験勉強を始めれば、1日4時間、高2からなら1日2時間でクリアできる」と述べています。
2億円を1500時間で割ると、約13万円。少し打算的な考え方だと思いますが、受験勉強は1時間13万円のアルバイトと考えられるわけです。
この話を信じ、猛烈に勉強して一流大学に入った人もいたかもしれません。

しかし、実社会では、一流大学を出たからといって、収入が多いわけでもなく、出世に繋がったというわけでもなかったと思われます。
さて、2022年4月9日に日本テレビで放送された「世界一受けたい授業」で、イェール大学助教授で半熟仮想株式会社代表取締役の成田 悠輔氏が面白いデータを発表しています。

イェール大学助教授 成田悠輔
成田氏は、中学から高校まではほぼ不登校状態でしたが、東京大学を首席で卒業し、マサチューセッツ工科大学で経済学の博士号を取得され、現在、データ分析を駆使して世界最先端の研究を行っている“世界が認めた天才”学者です。
まず、シカゴの高校生約4000人を対象に普通の学校の生徒とエリート校の生徒を縦断的に比較しています。1点差でギリギリ合格した人と不合格だった人の未来を比べ、2つのグループで違いがあればエリート校に入れたかどうかが作り出した違いではないかという考え方に基づき、高校卒業後の共通テストの成績をみました。
すると、エリート校に行った人の成績はほとんど変わらないか、むしろ低いことがわかったというのです。さらに、出身大学と将来の収入を調査した結果でも、その差は1%以下でした。
つまり、
「子どもたちの将来の目に見える幸せを考えるなら、有名な学校に行くことはそんなに大事じゃないかもしれない」
「学歴を身につけてしまうことで思い込みや足かせになったりする側面もある」ということだそうです。

次に、アメリカの約250万人のデータを取り、子供の頃に習った教師の指導力とその子どもが28歳になったときの年収をグラフにして示しています。

すると、指導力の高い教師に習えば習うほど、大人になったときの年収が上がっている傾向があることがわかりました。その差はなんと年収10万円にもなります。つまり、指導力が高い先生が教えることの経済効果が高いと指摘しています。
なお、「指導力」は教師の指導方法や人柄、個性といったものを数値化しており、指導力のある先生は、必ずしもエリート校にいるわけではなく、これらのデータから、「有名な学校に行くことは大事じゃないかもしれない。自分がやりたいことに耳を傾けては?」と提言されています。
「学力」よりも「人間力」
教育経済学者の中室牧子さん(慶應義塾大学教授)が、『科学的根拠(エビデンス)で子育て―教育経済学の最前線』という本で、人間の社会的成功には「学力」は小さな要因で、「人間力」の方がはるかに重要だと述べています。
今や、偏差値の高い大学に進学することが将来の収入に与える効果はほとんどありません。あっても極めて小さいのだそうです。
そして、子どもの頃や若い頃に「忍耐力」に欠けると、生涯収入が13%低くなるそうです。「忍耐力」がないと、学校での成績が悪く、校則違反が多く、高校を中退する確率が高いだけでなく、大人になってから後悔する確率も高いという結果が出ています。さらに、飲酒量が多くなり、肥満になり、貯蓄率が低くなる傾向もあるそうです。
また、自分の感情や行動をコントロールできる「自制心」も重要で、ニュージーランドのダニーデンという小さな村で、1972~73年生まれの1,037人の子どもを長期にわたって追跡したデータによると、3~11歳の間に「自制心」が低かった人は、32歳時点での健康面や経済面、そして安定的な生活の面で不利になっていました。
幼少期に身に付けた人間力は、その後の学力を伸ばすのに役立ちますが、その逆、つまり、学力が人間力を伸ばす効果はないと断言しています。
ところで、日本経済団体連合会(経団連)が2018年度に行った「新卒採用に関するアンケート調査」では、選考にあたって特に重視した点は次の通りでした。
1位:人間関係・コミュニケーション能力(82.4%)
2位:独創力・主体性(64.3%)
3位:チャレンジ精神(48.9%)
4位:協調性(47.0%)
5位:誠実性(43.4%)
これをみても、学歴やいわゆる学力は、殆ど重視されていないことがわかります。既に社会も、学力よりも人間力のある者を求めている時代なのです。
「人間関係力」をつけるために…固定観念からの脱却
「空の色は、何色ですか?」

多くの人は「青」と答えますが、よく見ると決してそうではありません。同じように、「りんごは、何色・・・?」「赤い」と答えていませんか?
私たちは、料理の鉄人が作る料理は「おいしい」と思い込んでいたり、有名な画家の絵は、みんな「すばらしい」ものだと、自分が感じる前から決めてしまいがちです。
実は、ストレスの多くは、ものの考え方や感じ方が固定してしまっているために起こるものだそうです。
M.セリングマンといいう心理学者は、「物事の見方に真実などない。みんな心の色眼鏡に染まっているだけだ」と言っています。
カウンセリングでは、固定観念を持つことなく、本当に自分はそう感じているのか、素直な気持ちで自分を確かめるように問いかけて、単純に決めさせることを辞めさせます。むしろ、自分が今ここで正直に感じている心のフィルターを大切にします。自分が感じているそのことが真実で、他の誰もこれに異論を唱えることはできません。一番権威のある判断は、自分自身の感じている心なのです。自分が「おいしい」と感じればおいしいのであって、たとえ、料理の鉄人が作った料理であっても、自分がおいしくないと感じれば、それは「私にとって」おいしくないと言い切ってしまうことを大切にします。
世間一般の権威や過去の色眼鏡に染まった固定観念で物事を判断すると、そこからは何の可能性も見い出せません。人間関係でも同じことで、あの人は「○○だ」という固定観念を持った目で見てしまうと、それ以上、その関係に発展がないでしょう。
「青」以外の空を見出すこと、それがストレスを減らし、自分へのゆとりをもたらすことにつながるのだと思います。

「独創力」を発揮するための条件
ペンシルロケットの開発者であり、「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」といわれる糸川 英夫博士の薫陶を受けた的川 泰宣氏(宇宙航空研究開発機構〈JAXA〉名誉教授)が話された「独創力を発揮するための三条件」を紹介します。
糸川先生はよく「独創力」の大切さについて話されていましたが、一般向けに行われた講演会でこんなことがあったそうです。
糸川先生は、幼い男の子を抱いて前の席で座っているお母さんに、「その子を独創力のある子に育てたいと思いますか?」と聞かれました。
「もちろん」と答えたお母さんに、
「そのためにあなたはどう育てるつもりですか?」と聞くと、そのお母さんは
「独創力を発揮するには自由でなければいけないから、この子がやりたいと思ったことは何でもやらせます」と答えました。
先生は天井を見てしばらく考えていましたが、
「あなたは数年すると、絶望するでしょうな」と言われたのです。
「何でも好きにやって独創力がつくのならチンパンジーには皆、独創力がある」と。
先生が続けて言われたのは、
「人間には意志というものがあって、自分はこれをやりたい、という思いにどこまでも固執しなければいけない」と。
一旦やりたいと思ったことは絶対にやり遂げるという気持ちがなければ、やっぱり何もできません。一度決心したことは石にしがみついてでもやり遂げる強い意志が必要だと第一に言われました。
第二には、
「過去にどんな人がいて、何をやったかを徹底的に学習しないとダメだ」と。
アインシュタインは、ニュートンのことを徹底的に学習して、ニュートンが考えることは全て分かるという状態にまでなりました。そうやって初めて、ニュートンの分からないことが分かるようになったのです。
だから、「過去の人がやったことを決して馬鹿にしてはいけない。これまで先人が残した考えの上に乗っかって、初めて新しいことが生まれる。徹底的に勉強しなきゃいけない」と言われました。
第三は、
「自分が何か独創力のある凄い仕事をしたと思っていても、世の中が認めなければそのまま埋もれてしまうことになる。世に認められるためには、他の人とのネットワークをしっかり築いてよい関係をつくっておくことが大事です」ということでした。
先生はその後、
「私は独創力と縁のないことを言ってるように聞こえるかもしれないけれど、世の中の独創力はそうやってできているんですよ」と話されました。
「人間力」向上のために…言葉の力を育てる。
小さな諍い(いさかい)やトラブルが毎日のように起きているのが、子どもたちの世界です。その際に、子どもたちはトラブルを言葉で解決しようとはせず、とかく、力づくで解決しようとしがちです。すぐに手が出てしまう子がいます。暴力はいけないと言われていても、家庭を含めての日常生活で言葉による解決の訓練ができてはいません。挨拶もぶっきらぼうです。
これでは他人とのコミュニケーションをうまく取れないのは当然でしょう。このような背景には、かつてのような「群れ遊び」の機会がなくなっていることがあげられています。学校から帰っても子どもたちが集まって鬼ごっこをしたり、野球をしたりせず、家に閉じこもってテレビゲームに熱中してしまう。他の子どもとのコミュニケーションがないのです。
また、テレビのお笑い番組の影響もあって、単語だけを発する傾向も無視できないでしよう。単語やワンフレーズでは、十分なコミュニケーションが成り立たないことを、子どもたちは知らないのです。社会も家庭も、子どもたちにきちんとした挨拶すら教えず、言葉の力を育てなくなっています。
豊かな人間関係を築くためには、日頃から、きちんと挨拶したり、相手に分かりやすくお願いしたり、「ありがとう」とお礼や感謝をしたり、「ごめんなさい」と詫びたり、よいところを褒めたり、言葉の力を借りて気持ちを伝える訓練ができていなくてはなりません。言葉を問題解決の道具にすることは、今後の社会を考えていく上でも、あるいは子どもたちが社会人になっていくためにも、大変重要なことだと思います。
言葉遣い一つで、無用なトラブルを解消し、人間関係を豊かにすることができるのです。
早稲田大学大学院教職研究科教授の田中 博之先生が、文科省「言語力養成協力者会議」で言葉の力を育てる教育メソッドより5つの提言をされています。(2009年)
| ①よさを認める。 ・花びらカード交換会を開く ・相互評価活動をさせる ・グループ活動の成果について話し合わせる。 ②笑わせ和ませる。 ・落語、漫才、手品の大会を開く。 ・ショートコントやジョークを発表させる。 ・笑い話をつくって読み聞かせや寸劇にして発表する。 ③励まし応援する。 ・励ましカードや手紙の交換会を聞く。 ・スポーツをしたり、発表、上演をしたりしている友だちの応援をさせる。 ④心を伝える。 ・感謝状、お礼状を書かせる。 ・心を込めた手紙を出させる。 ・お礼のスピーチをさせる。 ・仲直りをさせる。 ⑤合意を形成する。 ・学級会や学年集会を開く。 ・プロジェクト企画書をつくらせる。 ・作戦会議をもたせる。 |
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まとめ
1998年の学習指導要領改訂以降、「生きる力」がは学校教育で身につける力とされています。
「子」が「大人」になるのに身に付けなければならないのは、「明」「暖」「誠」「行」「体」「心」「智恵」「知識」の8つの力です。
人が人として生きていくために欠かせない生命力には、「體力(体力)」「氣力(気力)」「識力」の三つの力があります。
「受験学力」は、あまり将来の役には立ちません。
イェール大学助教授の成田悠輔氏は、学力による一流大学でも二流大学でも、将来の差はなく、それよりも、指導力の高い教師に習うことが大事だと述べています。
教育経済学者の中室牧子氏も、人間の社会的成功には「学力」は小さな要因で、「人間力」の方がはるかに重要だと述べています。
経団連の調査では、新卒採用選考にあたって特に重視したのは、人間関係・コミュニケーション能力と独創力・主体性でした。
「人間関係力」をつけるためには、固定観念からの脱却が必要であり、「独創力」を発揮するためは、種々の条件をクリアしなければなりません。そして、「人間力」向上のためには、言葉の力を育てることです。
