特別活動のコツ

特別活動は、望ましい学級集団を作る上で、重視したい活動です。行き当たりばったりの指導ではなく、担任の裁量を発揮し、計画的に取り組むようにしたいものです。

良い学級集団には、生徒間に努力して達成しようとする共通の目標(課題)があり、協力して解決しようとするエネルギーがあります。集団による浄化作用の働くクラス作りは、たまたま偶然にできることもありますが、やはり、教師の意図的なサポート(支援)があってできるものです。集団の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的・実践的な態度を育てなければなりません。

また、特別活動では、人間としての生き方についての自覚を深め、自己に生かす能力を養うことも目標にされています。将来の生き方や進路の適切な選択について、十分な指導を行うようにしましょう。

一人一役

 マザー・テレサは、

「人間にとって最大の不幸は、自分は誰からも必要とされていないと感じること。見捨てられた存在だ。」

と述べています。

クラスに問題のある生徒がいる時、「どうせ、あの子は仕事をしないだろう。」と学級の中で何の仕事も与えていないことはないでしょうか。たとえ、不登校になっている生徒にも、一人一役を与え、「あなたがいなければ、このクラスは困るのだよ。」というメッセージを送り続けるべきだと思います。

学級の係には、学級委員や教科係だけでなく、クラスの実情に応じて、様々な係を作るとよいと思います。そして、よくやっている時はみんなの前で褒め、仕事をサボったりしている時は、みんなが困っていることを個別に話すようにしましょう。

リーダー養成

「自分の学級にはしっかりしたリーダーがいないから学級会などできない。」と嘆く教師がいます。しかし、これは自分の学級経営のまずさをリーダーの責任に転嫁しているようなものです。リーダーは与えられるものではなく、担任がその責任において養成しなければならないものです。

どんな組織にも「2:8の原則」というのがあります。アリをよく観察してみると、よく働いているのは2割で、6割はほどほどに、後の2割は殆ど働かず歩き回っているそうです。そこで、よく働くアリだけを捕まえて集団を作ると、やはり、2割の働かないアリが出てきます。逆に働かないアリだけを捕まえて集団を作っても、2割はよく働くアリになり、相変わらず遊んでいるだけのアリが2割出来るのだそうです。

 学級組織もこれと同じで、生徒の2割はあまりその集団に貢献しない者が出てきます。逆にいうと、どんな学級を編成しても、生徒の2割はリーダーとして働く可能性があるのです。

実際、学級編成の際、ベテラン教師担当のクラスにはリーダーが少なく、若手教師の担当のクラスにはリーダーを多くすることがあります。しかし、1年たってみると、ベテラン教師のクラスではリーダーが育っていますが、若手教師のクラスではリーダーだった生徒が育っていないケースはしばしばみられることです。

リーダー(LEADER)の意味

L:Listen(傾聴する)

E:Explain(説明する)

A:Assist(援助する)

D:Discuss(話し合う)

E:Evaluate(評価する)

R:Respond(回答する・責任をとる)

まさしく、リーダーを育てるには、人の意見を傾聴する雰囲気のクラスを作り、集団生活におけるリーダーやメンバーのあり方について説明し、リーダーの活動を教師が援助する,そして、個別に話し合い、よい行動は集団の前で褒め(評価し)、失敗に対しては教師が責任をとるという姿勢が大切でしょう。

また、良いリーダーを育てるには、集団の中で良いメンバーシップを育てることが基本です。それには、リーダーを固定したものとして捉えるのではなく、活動内容によってリーダーを交替させ、メンバー全員にチャンスを与えることが必要です。学級委員や学級班班長だけでなく、日常の清掃や日番活動,行事ごとに多くの生徒にリーダーの経験をさせることが大切です。

 ところで、学級組織作りは、学級委員の選出から始まります。学級委員を選出する際には担任の手腕が問われます。学級委員をクラスの人気投票で選んだり、単に成績が良いからというだけの理由で選出されたりするようなことのないようにしないといけません。学級委員は、よりよい学級作りをするために、学級の諸問題を解決するための中心的存在であると同時に、学級の意見を代表し、生徒会との連携を保つ活動をする存在です。この学級委員の役割をふまえ、十分な事前指導を行って、立候補,推薦,指名,選挙,などの方法によって選出するようにしましょう。なお、学級委員は学期ごとに選出することが多いものですが、2学期,3学期の学級委員は、その前の1学期,2学期の終わりに決める方がよいように思います。

班活動

学校行事や学習指導,特別活動などを円滑に行うには、小集団活動を取り入れることが有効です。班活動は、自己表現の最もよい機会を数多く得ることができ、生徒同士の人間関係を深め、責任を果たすという喜びを味わわせることで、情緒的安定や満足感を感じる場になります。

班の種類には、生活班と係班が別々にする場合や生活班がそのまま係班になっている場合,生活班と係班が組み合わされている場合など、様々な形態が考えられます。いずれの場合にしても、班活動がうまくいくかどうかは、班運営の仕方いかんにかかっています。班ノートを回すなどしてお互いの人間関係を深め、時に班ごとに競争を取り入れるなどして班活動を活発にすることは、学級作りに欠かすことの出来ない要素です。

私のクラスでは、提出物を集めるのも班活動の一環として班ごとに集めています。そうすると、お互いに忘れ物をしないように声をかけるようになり、全体で一斉に提出物を集めるより、数段早く集まります。

ところで、班を編成する時、注意しなければならないことは、仲良し班とか、くじ引きによる班などという、思いつきや偶然性で行ってはいけないということです。班編成にあたっては、学級経営をふまえての担任の意図的な配慮が必要です。特に、「好きな者同士」の班作りはさせない方がいいでしょう。「好きな者同士」を認めるということは、クラスの中に、一緒にいたくない嫌いな者がいるということを公に認めることであり、人間関係の幅を狭め、いじめや差別の温床になる危険性があるからです。「いじめのないクラスを作ろう」と言いながら、好きな者同士の班を公然と作っているようなクラスでは、決していじめはなくなりません。

学級会活動

学級活動には、学級会活動と学級指導があります。学級指導はよくなされていても、学級会活動はなかなか計画的になされていないケースが多いようです。

学級会活動の中心は、話し合い活動です。生徒自身に考えさせる場で、生徒たちに任すわけですから、生徒たちの自主性や協力性が育っていないと効果があがりません。

担任として、まず、話し合いの約束を決め、話し合いの方法と長所・短所について熟知しておくことが必要です。

話し合いの約束-発表6ヵ条-

(1)ためらわないで発表しよう。

(2)皆の方を向いて発表しよう。

(3)全員に聞こえる声で発表しよう。

(4)単語だけで言わないようにしよう。

(5)結論は先に、理由は後から言おう。

(6)言葉は最後まではっきり言おう。

話し合いの約束-聞き方3ヵ条-

(1)発表する人の顔を見ながら聞こう。

(2)発表する人が何を言いたいのかを考えながら聞こう。

(3)できるだけ、メモをとって聞こう。

(4)分からないことは、その場で質問しよう。

<話し合いの形>

(1)バズセッション(六六式討議)

(2)円卓式討議

(3)パネル・ディスヵション

(4)シンポジウム

(5)フォーラム

このような話し合い活動は国語の教科指導の中でも行われるので、国語科教師との連携を取りながら実施するようにしましょう。

短学活の時間の指導

朝と帰りの短学活の時間も、計画的で綿密な指導を行うことにより、学級経営・生徒指導に大きな成果を期待することができます。特に1年生の段階で、しっかり指導しておくと、

3年間に渡って大きな成果をあげることができるでしょう。

まず、誰が司会・進行をするかということを決めておかなければいけません。できる限り、担任が一方的に進めるのではなく、学級委員長,班長,日番,司会係などを決め、自主的・自治的な活動にしたいものです。

また、活動内容には、様々な工夫が必要です。定期的に服装・持ち物・衛生検査を盛り込んだり、1分間スピーチや学級日誌・班ノートからの発表をさせたりするなど、充実した内容にすることが大切です。

そして、担任として心掛けたいことは、担任の話のコーナーを入れ、行き当たりばったりではなく、計画的にいい話をすることです。いい話かどうかは、生徒たちの表情をみればわかるでしょう。いい話をするには、事前に話の内容を原稿に書いておくといいと思います。

校外学習・修学旅行への取組

学校を離れて校外で学習活動を行うことは、児童・生徒にとって、非常に大切な経験になります。何より、一番の思い出になるでしょう。

大人になっても、「学生時代の思い出は何?」と聞かれると、あまり学校での授業はあがってきません。運動会・体育大会、文化祭などの学校行事があがることはままありますが、一番多いのは修学旅行とか遠足だったではないでしょうか。

ついつい、校外学習や修学旅行などを実施するにあたって、教師も開放的な気持ちになり、無計画に等しいまま実施したりすることも珍しくありません。しかし、それは大変危険なことでもあり、やはり、教育活動である以上、PDCAサイクルに基づいた取組が必要です。

1.最悪の事態を考えて計画を立てる。

緊急対応の「さしすせそ」というのがあります。

校外学習や修学旅行などの計画を立てる際、最も注意しなければならないのは、「安全」であり、そのためには、最悪の事態を考えておくことです。

たとえば、悪天候のケース、バスや船などの交通機関のトラブル、けが人・急病人が出た場合の対応など、あらゆる緊急時の対応を想定して計画を立てることが大切です。

ちなみに、危機管理対応の「さしすせそ」は、

予防の「さしすせそ」は、

校外学習や修学旅行はあくまで授業の一環です。目的・意義・ねらいのない活動はあり得ません。誰もが納得できる目的を定めるようにしましょう。

たとえば、「修学旅行はディズニーランドで自由に遊ぶ」など、何の学習になるのでしょうか。ディズニーランドで日中、数時間の班別行動をさせたところで、価値ある教育になるとは思えません。そもそも、ディズニーランドなどというところは、家族やより親しい仲間で、夜のパレードも見て、時間をかけて楽しむ所でしょう。

修学旅行に行くなら、普段や将来的にも、あまり家族では行かないような所へ、そして、今しかできないような体験のできる場所を選ぶべきだと思います。

ご参考に、私は、中学生の修学旅行は、離島を選び、島の中学生や地元の方と交流会をしてきました。飛行機や船泊・民泊の体験、文化交流や農業・漁業の体験など、普段の生活では経験できないこと、また、将来的にもあまり経験できないことを3年間かけて計画・実行してきました。

タイトル 修学旅行
修学旅行の思い出話 ~歌と共に~何故、旅をするのだろう?  人は、旅をすることで、価値観が変わります。 旅につきものは「歌」です。 修学旅行への私の熱き思いを歌とともに語ります。 旅の歌で一番好きな「岬めぐり」 長崎県壱岐「きみに会えて」 長崎県松浦市「長崎は今日も雨だった?」  沖縄「ひめゆりの塔」 奄美大島「花」...

3.子どもの成長とレディネスに応じて実施する。

 小学校の遠足で行った場所に、中学校の校外学習で同じ場所に行くなどということのないように、子どもの体験を鑑みて、実施しなければなりません。そのためには、縦断的な計画を立てることです。たとえば、

 小学校時代に、地元の有名な観光施設をほとんど訪れたことのない中学生に対して、

など、子どもの成長とともに交友関係を広めながら、発信する力を育むことができます。

 また、小学校時代に、キャンプファイヤーの体験のない中学生に対して、

など、自然体験学習やサバイバル体験学習を自他とともに広げることができます。

 このように、校外学習や修学旅行などは、単に1年間だけの取組で完結するのではなく、子どものレディネスを鑑みて、将来像を描いて計画するようにしましょう。

タイトル TAE本物の教育者
The Tips for Authentic Educator教育の低下は日本の衰退にも繋がります。今こそ、本物の教育とは何かを明確にし、『プロの教育者』になることを目指して、コツをお伝えします。...