子育ての悩みは尽きませんね。

親がこのようなことを感じることはないでしょうか?

また、部下をお持ちの上司は、こんなことを部下に期待しませんか?

親や上司のマイナス発言

実は、今の子供や部下の状態は、親や上司の使う言葉によって生み出されてしまっている可能性があるのです。

つまり、今使っている言葉が子供を育てたり、部下を伸ばしたりするうえで、逆効果になっている可能性があります。

最近のアメリカの研究で、褒めている時でさえ、多くの褒め言葉が、長期的には逆効果を生んでいる可能性も多々あるということが証明されています。

例えば、親が子供を言う次のような言葉は、マイナス効果を生みます。

□テストの点数が良かった時の言葉

 ・・・「頭がいいね!」「天才!

 ・・・あなたはコレが得意ね!」「あなたはコレが苦手だものね。

□失敗した時の言葉

 ・・・「なんであなたはこんな事ができないの?

    「どうしていつもできないの? あなたはいつもそう。

□簡単にできた時の言葉

 ・・・「こんなに早く簡単に出来るなんてすごい!

    「一番早く終わったね。よくできたね。

□他の子と比べて言う言葉

 ・・・「あの子はできる子」「この子はできない子

□何かにチャレンジしようとしている時の言葉

 ・・・「あなたには難しいんじゃない?

□何かがうまくできた時の言葉

 ・・・「才能があるね!

    「運動神経抜群だね!

□何か失敗した時の言葉

 ・・・「ほら〜、お母さんの言うこと聞かないから…

やる気を高めるためのヒント

「やる気マインドセット」

スタンフォード大学の心理学者キャロル・S・ドゥエック教授が、著書、『マインドセット「やればできる!」の研究』(原著Mindset)・『Self-theories』」)で、私たちの思考は以下の2つの対照的な考え方に分類されるとしています。

1. 成長マインドセット (Growth Mindset)

「人間の能力は努力次第でいくらでも伸ばせる」という考え方です。 

「拡張的知能観」(成長思考)

・挑戦: 失敗を恐れず、成長の機会として捉える。

・努力: 熟達するための不可欠なプロセスだと考える。

・失敗: 学習の一部であり、やり方を変えるサインと捉える。

・結果: モチベーション(やる気)が維持されやすく、長期的な成功に繋がりやすい。 

2. 硬直マインドセット (Fixed Mindset)

「能力や才能は生まれつき決まっており、変えられない」という考え方です。 

「固定的知能観」(固定思考)

・挑戦: 失敗して「能力がない」と思われるのを避け、安全な道を選ぶ。

・努力: 「努力が必要なのは才能がない証拠」とネガティブに捉える。

・失敗: 自分のアイデンティティへのダメージと感じ、挫折しやすい。

 「やる気マインドセット」とは、一般的に成長マインドセット(グロース・マインドセット)」を指し、自分の能力は努力や学習によって後天的に伸ばせると信じる考え方のことです。 

成長マインドセットを組織に根付かせる「仕組み」

では、固定マインドセットを成長マインドセットに切り替えるために、経営者やマネジャーはどんな工夫ができるのでしょうか。

やる気を引き出すマインドセットを作るには、以下のポイントが有効です。

やる気を引き出すマインドセットを作るポイント

1.「まだ〜ないだけ(Not Yet)」と考える。

「できない」ではなく「今はまだできないだけ」と捉えることで、脳が解決策を探し始めます。

2.結果ではなく「プロセス」を褒める。

100点を取ったことではなく、そこに至るまでの工夫や努力を評価する習慣をつける。

3.小さな成功体験(スモールステップ)を積み上げる。

確実に達成できる小さな目標を設定し、「自分はできる」という感覚を積み上げる。

1.評価の基準を「結果」から「プロセス」へ

「すごいね、天才だね!」という評価は、子供や部下に「この結果は生まれ持った能力によるものだ」というメッセージを送り、固定マインドセットを育ててしまいます。

そうではなく、「この困難な課題を乗り越えるために、どんな努力をしたのか?」「そのプロセスから何を学んだのか?」といった、プロセスに焦点を当てた評価とフィードバックを行います。これにより、子供や部下は「努力すれば成果が出る」という成長マインドセットを育むことができるのです。

2. 「まだ」という言葉を共通言語にする。

まだできていない」と表現することで、成長の余地を自然に意識させます。

□子供や部下が失敗を報告した時

 ・・・「まだこの技術を使いこなせていないだけ。次はどうすればいいと思う?」

□親や教師が自ら失敗談を語る時

 ・・・「この企画は、まだ成功には至っていない。しかし、ここから大きな学びを得られた。」

このような表現は、「できない」と断定する固定マインドセットの思考から「まだ伸びる」という成長マインドセットへと切り替えるための強力な言葉のツールとなります。

3.失敗を「学びの資産」として共有する。

失敗を罰する文化は、社員を固定マインドセットに陥らせます。

新しい挑戦で失敗した社員を責めるのではなく、その失敗から得られた学びをチーム全体で共有する場を設けます。

上司が自ら失敗談を語り、それを学びに変えた経験を共有することも非常に効果的です。これにより、失敗は「恥ずかしいもの」ではなく、「組織全体の成長を加速させる貴重な資産」に変わります。

職場組織のマインドセット

日本の職場が抱える「失敗を恐れる文化」は、教育・文化・雇用慣行といった背景から生まれています。しかし、それを理由に停滞を受け入れるのではなく、心理学の知見を活かして「成長マインドセット」を育てることで、挑戦と学びの循環を回すことが可能です。

リーダーの役割は、少数の優秀人材に依存することではありません。多数派の意識を変え、組織全体の「マインドセット」を経営資産に変えていくことにあります。

それは、社員一人ひとりが自らの仕事に意味を見出し、主体的に動く「心のスキル」を育てることにも繋がります。

キャロル・S・ドゥエック(アメリカ心理学者、スタンフォード大学心理学部教授、『マインドセット「やればできる!」の研究』(原著Mindset)・『Self-theories』」)名言

・「あなたの潜在能力が最大限に発揮されるのは、能力はどんどん伸びると信じているときです。」

・「現在の評価でその人の能力を判断してはいけません。これからいくらでも伸びるのですから。」

・「子どもの『能力』を褒めるな! 『努力』を褒めよ。」

・「人間の基本的資質というものは後からいくらでも伸ばすことができるのです。」

・「ユニークで、頑固で、気紛れで、お天気屋で、魅力的で、愚かで、聡明で、素敵で、粋でもある、あなたという人間を正しく評価してください。」

親や上司のプラス発言

「やる気を引き出すマインドセット」(考え方の枠組み)は、行動や思考の癖を変えることで構築できます。成長志向(グロースマインドセット)や前向きな行動を促す具体的な言葉やフレーズを紹介しましょう。 

これらの言葉をメモして目につく場所に貼ったり、声に出してみたりすることで、自然とポジティブな思考パターンが身につき、やる気(モチベーション)が高まるでしょう。 

成長マインドセットを育む言葉(能力は向上すると信じる。)

□「まだ、できていないだけ」 (Not yet)

・・・固定観念(自分には無理)を打破し、学習と成長の余地があることを認めます。

□「間違えても大丈夫、そこから学べばいい。」

・・・失敗を「終わり」ではなく「プロセス」と捉えます。

□「どうやったらできるようになると思う?」

・・・他者や自分への問いかけで、主体的に解決策を探します。

□「失敗しなくちゃ成功はしないわ。」 (ココ・シャネル)

□「壁というのは、できる人にしかやってこない」 

行動力を高める魔法の言葉(先延ばしを防ぐ。)

 □「とりあえず5分だけやってみよう。」

・・・取り掛かりのハードルを下げ、行動の習慣化を促します。

□「最初の一歩は、小さくていい。」

・・・完璧主義を捨て、結果ではなくプロセスを褒めます。

□「やればできる!」 (You can do it if you try!)

□「過去に笑顔を褒められたので、営業職に向いている。」

・・・過去の成功体験を自己肯定感に繋げます。 

3.モチベーションを維持する言葉(高い視点を持つ。)

□「あきらめたらそこで試合終了だよ。」 (スラムダンク・安西先生)

□「努力は必ず報われる。」

□「結果ではなくプロセスを大事にする。」

□「挑戦して偉いね!」

□「夢をかなえるためには、自分のやりたいことを言葉にして語り続けることだ。」 

日々の行動をポジティブに変える問いかけ

 □「もし、今日が人生最後の日なら、今日やる予定のことがしたいか?」

   (スティーブ・ジョブズ)

□「この経験から何を学べるか?」

□「成長したね!」 

行動のハードルを下げる言葉

やる気が出ない最大の理由は「やるべきことが大きく見える」ことです。まずは動くことに集中します。

□「とりあえず、2分だけやってみよう。」

・・・脳はやり始めると「作業興奮」という状態になり、やる気が出てくる仕組み(側坐核の活性化)を持っています。

□「完成度は30%でいい。まずは形にしよう。」

・・・完璧主義は行動を止めます。「後で直せばいい」と自分を許すことで、着手が早まります。

□「昨日より1%だけ前に進もう。」

・・・大きな変化ではなく、最小の進歩に価値をおきます。

タイトル やる気
「やる気」を起こす!!…仕事や勉強を楽しくする「やる気スイッチON」方法を伝授します。朝、心をポジティブに保つ最も簡単で効果的な方法は、よき言葉、よき教えに触れることです。 トレーニングをする時、5大原則、意識性、全面性・多角性、漸進性、個別性、継続性・反復性の中で特に重要な要素は意識(自覚・意欲)性で、トレーニング効果には10倍の差が出ます やる気を高める方法は、現在ほぼ確立されています。やる気が出ない原因を明らかにし、それぞれにあった解決策を知っておくことも大切です。心理カウンセラーのラッキーさんが、「やる気スイッチ」をオンにするには、側坐核に刺激を与えるとやる気にスイッチが入る、そのためには、まず、「やりはじめる」ことだと述べています。 また、やる気をふくらませるためには、①話を聞く,②任せる,③知らせる,の3つのことが必要です。また、やる気を起こすには、自己暗示が最も大切だといわれます。 他者暗示は自己暗示に転化しやすいので、親や教師は、子どもたちにプラスの他者暗示をかけ、それが自己暗示に転化するのを待つこと,、つまり、しっかり褒めてやることが重要です。 仕事を楽しくする10の方法、アメリカの小説家マーク・トウェインの言葉も紹介しておきましょう。...
タイトル 居場所
ポジティブシンキングで「居場所」は自ら作り出そう!アメリカ第16代大統領リンカーンが、「幸福の度合いとは、気持ちの持ちようでほぼ決まってしまう」と述べているように、考え方を変えない限り、幸福度は変わりません。 幸せな人の考え方とは、① 反芻思考が少ない,② 人との比較が少ない,③ 感謝が多い,です。幸せな考え方(=ポジティブな考え方)ができる人ほど、人生で成功し、健康で長生きしやすいということも分かっています。 「やまびこの会」の山田暁生先生が「子どもにとって、安らぎの場となる家庭」10のタイプをあげています。これらを自分の職場や学校に当てはめてみましょう。 「東洋のペスタロッチ」安部清美さんが、 「ひとりの子を見失うとき 教育はその光を失う。」と述べています。学校における児童生徒指導には、『自己決定』『共感的人間関係』『自己存在感・自己有用感』という三機能をもたせることがポイントです。ポジティブはポジション(居場所)なくして発揮できないのです。 「居場所」がないという状態になる原因を知り、「居場所」がないという状態になった時の対処法、「居場所」を見つける方法について述べます。...

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子供や部下を伸ばすには、親や上司の使う言葉によって変わります。

マイナス発言にならず、やる気を高めるためには、「固定的知能観」硬直マインドセット(固定思考) (Fixed Mindset)よりも、「拡張的知能観」成長マインドセット(成長思考) (Growth Mindset)によって「やる気マインドセット」を作ることです。

そのためには、

1.「まだ〜ないだけ(Not Yet)」と考え、

2.結果ではなく「プロセス」を褒め、

3.小さな成功体験(スモールステップ)を積み上げて、

行動や思考の癖を変えることが大切です。

具体的な言葉やフレーズを紹介しましょう。