G-26E361VSD1
生活の知恵 PR

パワースポットが語ってくれた人生の生き方(6)

タイトル 生活の知恵
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
Contents
  1. 【大湯環状列石】遺伝子スイッチオン
  2. 【日光東照宮】私の教育モットー・家訓
  3. 【箱根神社・九頭龍神社】夫婦生活は長い会話
  4. 【諏訪大社上社本宮】〝正論〟は「可能性」をつぶす
  5. 【事任八幡宮】欠点を改めるより、長所を伸ばせ!
  6. 【梅宮大社(またげ石)】青春とは心の若さ
  7. 【大本山 妙心寺】読書習慣「私のペースでしおりは進む」
  8. 【八坂神社】家を治むる「勤」「倹」「恭」「恕」
  9. 【御髪神社】〝髪〟一 重(紙一重)
  10. 【京都・大原の里】「彼岸花」を見て
  11. 【意賀美神社】心の健康三原則
  12. 【湊川神社・楠公さん】「鏡」を見てごらん。
  13. 【やきもち地蔵】感謝の心に奇跡は宿る。
  14. 【淡路沼島・上立神岩】計画は即実行!
  15. 【生田神社】寝る子は育つ。
  16. 【東大寺】祈り(=意宣り)の心
  17. 【飛瀧神社・那智の滝】呪文「ツイてる、ツイてる」
  18. 【龍神温泉】風呂あがりの気持ちで人に接せよ。
  19. 【三朝温泉】健康は財産
  20. 【美星天文台】未来は〝話した言葉〟で作られる。
  21. 【吉備津神社】時を守り、場を浄め、礼を正す。
  22. 【宮島・厳島神社】健やかな体・康らかな心を育む食事
  23. 【石鎚神社】禁句3D
  24. 【高知桂浜・ホエールウォッチング】虹は自分で作ろう。
  25. 【壱岐】趣味の王様「アマチュア無線(ハム無線)」
  26. 【阿蘇・押戸石の丘】プライド教育
  27. 【高千穂峡・天安河原】人生は一瞬で変わる。
  28. 【マクドナルド】日本マック創業者 藤田氏に学ぶユダヤの法則

【大湯環状列石】遺伝子スイッチオン

秋田県鹿角市には、約四千年前の縄文時代に築かれた**二つの環状列石(野中堂環状列石、万座環状列石)**を中心とする古代遺跡があります。
ストーンサークルが点在し、令和三年にはユネスコ世界文化遺産に登録されました。
冬至の日の出や夏至の日の入りを示す石や出入口があり、そこには縄文人の深い自然観と宇宙への意識が刻まれているように感じます。

私たちの体には、遠い過去からの命の記憶が宿っています。
父母が二人、祖父母が四人、そのまた上には八人――十代遡れば1024人、二十代で百万、三十代で十億、四十代では一兆を超える人々の遺伝子を受け継いでいます。
当然、四千年前の縄文人の血も、私たちの中に流れています。
この地に立つと、**「血が騒ぐ」**という言葉の意味を、深く実感しました。

私たちの細胞には、23組・46本の染色体があり、約二万~二万五千の遺伝子が存在します。
しかし、遺伝子には優位性があり、持っていても必ず発現するわけではありません。
では、どうすれば良い遺伝子を働かせることができるのでしょうか。

高血圧の原因酵素「ヒト・レニン」の遺伝子解読に成功した村上和雄先生は、遺伝子をオンにする三つの条件を示しています。

  1. 高い志を持つこと
  2. 喜びを多くの人と共有すること
  3. 自分の仕事が世の中のためになるという熱い思いを持つこと

要は、志を高く、感謝を忘れず、プラス発想で生きること
それが、眠っている遺伝子を目覚めさせる力になるのです。

東洋思想家の安岡正篤氏は「思いは物質化する」と語っています。
零下212度の冷却装置で吐息を液化すると、精神状態によって色が変わるという実験があります。
平静なら無色に近いが、怒りの後は毒々しい栗色、悲しみは灰白色、恐怖は青、恥じると桃色になる――。
感情は、目に見えないはずの息の色さえ変えるのです。
だからこそ、マイナス感情に支配されない心が大切です。

「心身統一法」を広めた中村天風氏も、感情が血液の色や味わいを変えると述べています。
怒りは黒褐色で渋味、悲しみは茶褐色で苦味、恐怖は淡紫色で酸味――。
心のあり方が、体の状態にまで影響するのです。

現代では、唾液の検査で将来かかりやすい病気や出生地までわかる時代になりました。
しかし、その遺伝子を発現させるかどうかは、私たち自身の生き方次第です。
志を持ち、感謝し、前向きに生きる――それが、未来を変える力になるのです。

【日光東照宮】私の教育モットー・家訓

世界遺産「日光の社寺」の中でも最も有名な日光東照宮
ここには徳川家康が主祭神として祀られ、左右には豊臣秀吉と源頼朝が配されています。
豪華絢爛な陽明門は、あまりの美しさに「日暮らし門」と呼ばれ、一日眺めても飽きません。
その門を見つめていたとき、私はこう問われました。
「あなたの教育モットーは何ですか?」

「モットー」とは、イタリア語で方針・信条・スローガンを意味します。
徳川家は、家康の遺訓
「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し。急ぐべからず」
を信条として守り抜き、264年もの長きにわたり続きました。

企業の平均寿命が30年といわれる中、日本には創業100年を超える企業が2万社以上存在します。
その多くに共通するのは、立派な神棚や仏壇があること、そして「家訓」があることです。
現代の優良企業も、老舗の家訓に通じるモットーを掲げています。
学校教育や家庭教育にも、同じように揺るぎないモットーが必要だと私は思います。

そこで、私はこう答えました。
「学ぶとは誠実を胸に刻むこと。教えるとはともに希望を語ること。」

教育アドバイザー坪田陽子さんは、
「理由なき殺人と自殺を防ぐための家庭教育」として【家庭教育の極意十二カ条】を提唱しています。

  1. 挨拶をしましょう
  2. 「早寝・早起き・朝ご飯」はやる気・元気・根気・本気の素
  3. 「ハイ・ニコ・ポン」を実践しましょう
  4. 家族を褒め称えましょう
  5. 家族に感謝しましょう
  6. 先祖を敬い、親を大切にしましょう
  7. 「お陰様で・ありがとう・しあわせ・すみません」のオアシス生活
  8. 喜び上手なお母さんになりましょう
  9. 艱難を乗り越える力を養いましょう
  10. 家訓を作ろう
  11. そのままを大切にしましょう
  12. 日本精神・武士道精神を生きよう

私も、我が家の教育方針を明確にしようと考えました。
YouTuber田口久人氏の「内定の常識」に倣い、**「あかさたなはまやらわ」**でまとめました。

  • 【あ】「ありがとうございます」を口癖に
  • 【か】感謝の心には奇跡が宿る
  • 【さ】最善観&三忽三行(怒らず・恐れず・悲しまず、正直・親切・愉快に)
  • 【た】食べ物の好き嫌いをしない、食べ過ぎない
  • 【な】波乗り人生(晴れの日を喜び、雨の日を愛する)
  • 【は】春風をもって人に接し、秋霜をもって自らを律する
  • 【ま】前向きに生きる
  • 【や】優しい心を忘れず、やりたいことを全力で
  • 【ら】ライバルを作る
  • 【わ】若くして学べば、壮にして成す

そして、我が家のモットーはこう決めました。
「健康で! 自立させ、プライドを持たせる」

【箱根神社・九頭龍神社】夫婦生活は長い会話

神奈川県、富士の膝元に広がる芦ノ湖
四季折々の美しさを見せるこの湖には、かつて九つの頭を持つ毒龍が棲んでいたと伝えられています。
その毒龍を鎮め、九頭龍大神として祀ったのが、箱根神社を創建した僧・万巻上人。湖畔には九頭龍神社本宮が静かに佇んでいます。

「百聞は一見にしかず」という言葉がありますが、私は一度この神社を訪れてみたいと思い、夫婦で芦ノ湖を歩きました。
箱根神社と九頭龍神社本宮は約三キロ離れており、湖畔を小一時間、会話を楽しみながら歩きました。

歩きながら、ふと考えました。
「見ること」と「聴くこと」、どちらが大切だろう?
もし、どちらかを失うとしたら、あなたはどちらを選びますか?

人類は古来、「見る」ことで真理を探ろうとしてきました。
望遠鏡で宇宙の果てを、顕微鏡で微細な世界を――。
近代科学は「見えるものこそ真理」と信じてきました。
しかし、視覚は必ずしも真実を語るとは限りません。

「みる」には、「見る」「観る」「視る」「監る」「瞰る」など多くの漢字があります。
英語でも see, look, watch と意味が異なります。
一方、「きく」は hearlisten
hear は「音が耳に入る」状態、listen は「心を傾けて聴く」こと。
日本語の「聴く」は、「十四の心を耳にする」と書きます。
相手の心に寄り添い、全身全霊で耳を傾ける――それが本当の『聴く』です。

コミュニケーションの基本は「傾聴」。
そのための四原則があります。
①目で聴く ②微笑んで聴く ③うなづいて聴く ④相槌を打って聴く。
これが「聴き上手の四原則」です。

ドイツの哲学者ニーチェはこう言いました。
「夫婦生活は長い会話である。」

結婚して二十五年、銀婚式を迎えた私たち。
芦ノ湖の湖畔を歩きながら、心に誓いました。
「これからも長い会話を続けよう。
そのために、傾聴の心を忘れないでいよう。」

【諏訪大社上社本宮】〝正論〟は「可能性」をつぶす

全国に10,000以上ある諏訪神社の総本社として知られる諏訪大社は、長野県諏訪湖の周辺に鎮座しています。上社は本宮(諏訪市)と前宮(茅野市)、下社は秋宮と春宮(ともに下諏訪町)からなる二社四宮の構成です。

諏訪大社は、生命の根源・生活の源を守る神として「お諏訪さん」と親しまれ、古くから厚い崇敬を集めてきました。特徴的なのは、本殿を持たないこと。そして境内は「ゼロ磁場」と呼ばれ、訪れる人々の心を高揚させ、すっきりとした気持ちにさせるといわれています。

下社で行われる御柱祭は、日本三大奇祭の一つ。中でも、巨木を急坂に落とす「木落とし」は圧巻です。丸太に乗った人々が急斜面を滑り落ちる姿を見ていると、最後まで乗り切る人は1%にも満たないのに、彼らは何度も何度も挑戦します。私は思わず「無駄なことを…」と心の中でつぶやきました。

しかし、ふと気づいたのです。成功率が1%でも、100回挑戦すれば一度は成功する。その一度の成功が、人生を大きく変えることもあるでしょう。教師や親は、子どもが成功率1%のことに挑戦しようとしたとき、つい「確率」を盾に正論を語りがちです。でも、その正論こそが、子どもの試行回数を減らし、可能性を簡単につぶしてしまうのだと思いました。

試行回数が1回なら成功率は1%、ほぼ成功は見込めません。しかし69回挑戦すれば、成功する可能性は50%を超えます。100回なら63%、459回なら99%以上。もちろん、どれだけ挑戦しても100%はありませんが、917回挑戦すれば99.99%を超えるのです。野球でいう「千本ノック」も、こう考えると意味があると思いませんか。成功率が3%、5%、10%なら、さらに少ない回数で成功に近づけます。結局、試行回数こそが大切なのです。

野球のバッターも、プロバスケットボールの選手も、ヒットやシュートの成功率が3割を超えれば一流と呼ばれます。でも3割ということは、10回のうち7回は失敗しているのです。七転八起どころか、半分以上失敗しても気にせず挑戦し続ける姿勢がなければ、一流にはなれません。失敗のたびに悩んでいては、時間がもったいないのです。

子どもに教えることは、必ずしも「正論」である必要はありません。京セラ創業者の稲盛和夫氏は、人生の成功を「人生の結果=考え方×熱意×能力」という方程式で表しました。この中で最も大きな要素は「考え方」です。イギリスの劇作家シェイクスピアも、松下幸之助氏も同じことを語っています。

「世の中には幸福も不幸もない。ただ、考え方でどうにでもなるのだ。」

挑戦する心、失敗を恐れない姿勢、そして前向きな考え方。それこそが、人生を豊かにする鍵なのです。

【事任八幡宮】欠点を改めるより、長所を伸ばせ!

静岡県掛川市、旧東海道沿いに佇む事任八幡宮(ことのままはちまんぐう)は、「ことのままに願いが叶う」と伝わる言霊の神社です。枕草子や東海道中膝栗毛にも登場する、歴史ある社です。

ある年の七月十三日、「ナイスなこと、素敵なことを見つけよう」と設定された「ナイスの日」に、私はこの神社を訪れました。当時、管理職をしていた私は、職場で言葉の力――言霊を大切にしたいと考えていました。良い言葉を授かりたい、そんな思いでここに来たのです。しかし、神様は何も語ってくれません。

そのとき、ふと頭に浮かんだのは大学院時代の記憶でした。研究に行き詰まり、気分転換に数学の授業を聴講したとき、黒板に描かれた円柱の図形を見たのです。円柱は側面から見れば長方形、真上から見れば円。物事は一方向からだけ見てはいけない――見方を変えれば、世界は違って見えるのです。

私たちは、人の短所や欠点に目が行きがちです。しかし、視点を変えれば、短所は長所に、欠点は利点に変わります。明治・大正期の小説家、徳富蘆花は『みみずのたはこと』でこう述べています。

「欠点は常に裏から見た長所である。」

プロ野球の天才バッター、イチロー選手もそうでした。オリックス時代、彼の独特な振り子打法を、当初の監督は「そんなに足をプラプラさせてはだめだ」と矯正しようとしたといいます。しかしイチロー選手はフォームを変えませんでした。打撃コーチが「フォームを直すより、ミートをよくしよう」と助言したことで、彼は自ら工夫し、打率を急上昇させました。その後の活躍を見れば、誰も彼の打法を否定しなかったでしょう。

欠点は、神様がくれたトレードマークです。その人の個性が輝くポイントなのです。「角を矯めて牛を殺す」という諺があるように、欠点ばかりにこだわりすぎると、全体を台無しにしてしまいます。もちろん直すべき欠点もありますが、長所を伸ばすことを優先すべきです。

フランスの画家ルノワールもこう言いました。

「百の欠点より、一つの長所を伸ばせ。」

長所を伸ばせば、短所は味わいになる――そんな言葉もあります。人間の長所と短所は、別々のものではありません。長所が短所であり、短所が長所であることが多いのです。短所をどう長所に変えるか、長所をどう短所にしないか。それが、人生を豊かにする秘訣なのだと思います。

【梅宮大社(またげ石)】青春とは心の若さ

「青春とは心の若さ」

結婚して三年、妻は何度か流産を繰り返し、子宝に恵まれませんでした。そんな時、ある方からこう言われました。

「京都の梅宮大社に行って、またげ石をまたぐと子宝に恵まれる。」

最初は信じられませんでした。しかし、藁にもすがる思いで参拝しました。そこで偶然出会った方が、さらにこう教えてくれました。

湯の峰温泉に行きなはれ。」

和歌山県田辺市にある湯の峰温泉。その天然温泉の岩風呂「つぼ湯」は、一日に七回も湯の色が変化するという言い伝えがあり、夫婦で一緒に入ると子宝に恵まれるといわれています。

早速、湯の峰温泉へ。そこで聞いたのは「昔は武士が刀傷を治しに来ていた湯」という話でした。半信半疑で湯につかっていると、たまたま手にあった切り傷が翌日には治っていたのです。私は温泉の効能を初めて実感しました。

さらに、ここで出会った方から今度はこう教えていただきました。

花山温泉がいい。」

花山温泉は和歌山市にあり、「末期ガンが治る奇跡の湯」と言われる秋田県の玉川温泉と同じくらい成分の濃い炭酸温泉なのだそうです。この湯に入って驚いたのは、三日間ほど体の芯が温かい感じが続いたこと。ガンは体を冷やすとなりやすいと言われますから、体を温めることで効能があるのだと思いました。

こうして、梅宮大社に参った縁で温泉に通うようになり、私たち夫婦はとても健康になりました。そして、三人の子供を授かることができたのです。

一時は「もう年だから」と諦めていました。しかし、アメリカの実業家であり詩人のサミュエル・ウルマンの不朽の名詩『青春の詩』(岡田義夫訳)が、私たち夫婦に勇気を与えてくれました。

「青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。
人は信念と共に若く、疑惑と共に老ゆる。人は自信と共に若く、恐怖と共に老ゆる。
希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる。
大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして偉力と霊感を受ける限り、
人の若さは失われない。」

この詩にヒントを得て、松下幸之助氏が自ら作った詩も心に響きます。

青春とは心の若さである
信念と希望にあふれ
勇気にみちて日に新たな活動をつづけるかぎり
青春は永遠にその人のものである

諦めない心、希望を持ち続けること。それが、人生を変える力になるのだと、私は身をもって知りました。

【大本山 妙心寺】読書習慣「私のペースでしおりは進む」

京都市右京区にある臨済宗大本山・妙心寺。その法堂の天井には、通称「八方にらみの龍」と呼ばれる雲龍図が描かれています。直径十二メートルの二重円相の中に描かれた龍は、どこから見ても睨まれているように見えます。東側から見ると昇り龍、西側から見ると下り龍――角度によって姿を変えるその迫力に、思わず息をのみます。

十一月三日、文化の日。この「八方にらみの龍」と向き合っていると、まるで龍がこう語りかけてくるように感じました。

「本を読んでいるか。」

文化の日を中心にした二週間は「読書週間」です。二〇二三年の標語は「私のペースでしおりは進む」。一人の人が一生で実際に出会える人は、一%にも満たないでしょう。しかし、読書をすれば、自分とは違う世界で生きる人、時代を超えて活躍した人と出会うことができます。

「ある言葉に出会うことは、ある人と出会うことに等しい」と言われます。素晴らしい言葉は、人との出会いよりも長く心に残り、夢や希望を与えてくれるのです。

ナポレオンはこう言いました。

「余の辞書に不可能の文字はない。」

彼はフランスをヨーロッパ随一の強国にした軍事的天才でした。その奇跡的な連勝は「兵力の集中」「中央突破」「各個撃破」という戦術によるもの。しかし、実はこれらの戦術は十八世紀半ばから多くの戦術家が書物で説いていたことでした。ナポレオンは多くの本を読み、有用な知識を得て、それを実践で活かしたのです。彼が兵士に送った「告諭」には、こう記されています。

「もっとも堅固な決心は、もっとも有用な知識である。」

イギリスの思想家ベーコンもこう言いました。

「知は力なり。」

彼は大の読書家で、「読書は充実した人間を作り、書くことは正確な人間を作る」と述べています。

日本の思想家・内村鑑三は「書を読まざるは、損失の日なり」、作家・国木田独歩は「読書を廃す、これ自殺なり」と語りました。

読書は子どもや若者にとって有益なだけではありません。読書習慣のある人は脳が若々しく保たれ、問題解決能力が高まり、アメリカ・イエール大学の研究によると、寿命が二年ほど長いそうです。困ったときは本屋に行く――そんな習慣を持つことは、人生を豊かにします。

東洋思想家・安岡正篤氏は、読書についてこう語っています。

「戦場で第一線から遠ざかった場所では、人はつまらない雑誌や小説を読む。しかし、戦場に近づくと、そういう本はバカらしくて読めなくなる。真剣に精神的な書物を読むようになる。本当に生命に響くものを求めるようになる。人間は真剣になると、くだらないもの、浅はかなものは嫌になる。本当に命のこもった尊い本でなければ、身にこたえないのだ。」

本は、人生の戦場で私たちを支える武器です。あなたも今日、心に響く一冊を手に取ってみませんか。

【八坂神社】家を治むる「勤」「倹」「恭」「恕」

京都には「五社めぐり」という有名な神社巡りがあります。中央の平安神宮を起点に、
東の八坂神社には春を象徴する「青龍」、
南の城南宮には夏を象徴する「朱雀」、
西の松尾大社には秋を象徴する「白虎」、
北の上賀茂神社には冬を象徴する「玄武」が祀られています。

中でも、「祇園さん」と親しまれる八坂神社には特別な伝承があります。本殿の下には「龍穴」があり、竜宮城へとつながっているとも言われています。そのためか、八坂神社を訪れるたびに「龍雲」が現れ、まるで何かを語りかけてくれるように感じます。

私は毎年、家族とともに八坂神社を訪れています。子どもたちが成長していく姿を眺めながら、ふと気づいたことがあります――
「人は歳月とともに身体の年齢は重ねるが、心は自然に成熟するわけではない」ということです。

公認会計士であり、日本大学教授も務められた薄衣佐吉氏は、人の心の成長を七段階に示しています。

  1. 自己中心の心(赤ちゃんのように自分の欲求だけで生きる)
  2. 自立準備性の心(幼稚園児が用事を手伝う段階)
  3. 自立力の段階(成人となり、自立する)
  4. 開発力の時代(困難に立ち向かい、改善していく30代)
  5. 指導力(部下を導く40代)
  6. 包容力(好き嫌いを超えて人を抱擁する)
  7. 感化力(その人の存在自体が周囲に良い影響を与える最高の状態)

そして、氏はこう述べています。
「人は歳月とともに身体的年齢は増えるが、心の発達は歳月に比例しない。行き詰まる会社は、必ず家庭が行き詰まっている。親子関係が悪い、夫婦関係が悪い、ご先祖を疎んじている。百に一つの例外もない。人に頭を下げられない者が、どうして人の指導者たり得よう。」

私は長年、中学校の教師をしてきましたが、この言葉の重みを痛感しています。暴力、いじめ、不登校――学校には様々な問題があります。しかし、家庭教育がしっかりしていれば、そうした問題に巻き込まれることはなく、たとえ周囲で問題が起きても、必ず立ち直る力を持てるのです。

ある年、八坂神社で引いたおみくじに、出雲大社でいただいた言葉と同じことが書かれていました。
それは、今ではあまり使われない「家長」という言葉に込められた教えです。
「家を治めるには、『勤』『倹』『恭』『恕』をもってす」とありました。

  • 「勤」なれば功あり
  • 「倹」なれば用を足し
  • 「恭」なれば悔いなく
  • 「恕」なれば怨みなし

この四つの徳目は、今もなお、家庭を守り、人を育てるための不変の指針だと感じます。

【御髪神社】〝髪〟一 重(紙一重)

京都・嵯峨には、日本で唯一「髪」を祀る神社――御髪神社があります。
古くから「髪は女性の命」と言われてきましたが、それは男性にとっても同じこと。
この神社には、全国から美容師や理容師が参拝に訪れます。もちろん、私のようにストレスによる脱毛に悩んでいた人も、たくさん足を運んでいます。

境内に掲げられた言葉をご紹介しましょう。

髪は人身の最上位にあって、造化の神より賜った美しい自然の冠であると共に、生前にも残し得る唯一の分身として、大きな恩恵に感謝する等、副神として納祭し祈拝される。

そう、髪は神様から授かった「冠」なのです。
亡くなった方の形見として大切にされることもありますから、一生、大事にしたいものです。さらに、髪は健康のバロメータでもあります。体調を崩しやすい時期には、体調管理とともに髪の手入れも怠らないようにしたいものです。

さて、ここで実際にあった「髪一重(紙一重・間一髪)」の話をしましょう。
兵庫県神戸市に、定期的に「美容室だより」を発行し、「ヘアドネーション」などの活動を熱心に行っている美容室 Antique bis があります。オーナーのA君は、私が中学三年生の時に担任をしていた生徒です。彼の公立高校入試の時のこと――。

A君は市立のK高校を希望して出願しましたが、定員を100人以上オーバーしてしまい、県立のK高校に志願変更することになりました。当時、志願変更の手続きは担任の仕事。私は市立のK高校に出願取り下げに行き、その足で県立のK高校へ向かいました。

志願変更の最終日、とても寒い日で途中から雪が降り始め、道路は事故車で大渋滞。たまたま私はオフロードバイクに乗っていたので、雪の側道をすり抜け、30キロの道のりを走り、なんとか締め切り15分前に到着。本当に冷や冷やしました。
その後、A君は「紙一重」で無事合格し、3年間頑張りました。

人生の勝負所では、間一髪や紙一重で勝敗が決まることがあります。では、その勝敗を決するものは何でしょうか?
髪の毛を育てるには頭皮の柔らかさが大切だといいますが、人生の勝負所でも「柔軟性」が大切だと思います。

ちなみに、10月20日は「とうはつ」の語呂合わせで「頭髪の日」。さらに「ソフト」の語呂合わせから「ソフト化の日」でもあります。柔らかな発想で、これまでと違ったことに挑戦する「ソフト化」を広く呼びかけています。

柔らかい発想で、毎日の仕事や勉強に勝負をかけて臨みましょう。

【京都・大原の里】「彼岸花」を見て

京都・大原には、心に深く響く場所がいくつもあります。
永六輔作詞、いずみたく作曲、デューク・エイセスの名曲「女ひとり」に登場する三千院。
平清盛の娘・建礼門院徳子が平家滅亡後に隠棲し、『平家物語』の最後を飾る寂光院。
そして、豊臣秀吉ゆかりの出世稲荷神社――。
どこも、訪れる人の心を静かに揺さぶる場所です。

ある年の秋分の日、私はこの地を訪れました。ちょうどお彼岸の時期で、辺り一面に彼岸花が咲き誇っていました。
彼岸花は別名「曼珠沙華」とも呼ばれますが、その他の呼び名は決して良いものではありません。「火事花」「捨て子花」「死人花」「幽霊花」――家に持ち帰ってはいけない、触れてもならないとされ、「手腐れ花」とも呼ばれます。さらに、リコリンという毒を含み、茎をなめると舌が麻痺することから「舌しびれ」という名まであります。

私も幼い頃から「彼岸花には触れるな」と言われて育ちました。家に持ち帰ろうものなら、親から厳しく叱られたものです。
しかし、この花には驚くべき一面があります。根には良質のでん粉が多く含まれ、毒のリコリンからは薬が作られます。さらに、もぐらなどの害獣に食べられず、無農薬で育ちます。土手や畔の土を固める土壌保全効果もあり、自然界にとって大切な役割を果たしているのです。
そう考えると、彼岸花は「先入観や無知が偏見を生んだ花」だと気づかされます。

人間関係も同じではないでしょうか。
本当は素晴らしい人なのに、先入観や無知のために嫌ってしまうことはありませんか?
人を一面からだけ見るのではなく、いろいろな角度から見れば、100%良い人も悪い人もいないことに気づきます。
私は彼岸花を見るたびに、こう心に刻みます――
「無知が偏見を呼ぶ」(Ignorance makes prejudice.)

そして、お彼岸の時期は、ご先祖を思い、お墓参りをする大切な時です。
私たちは、数え切れないほど多くのご先祖の命を受け継いでいます。
父母が二人、祖父母が四人、そのまた上が八人…。十代遡れば千人を超え、二十代で百万人、三十代で十億、四十代では一兆を超えます。
そのうち、たった一人でも欠けていたら、私は生まれていなかった――。
この事実を思うと、命の尊さに胸が熱くなります。

書家・相田みつをさんは、このことを「いのちのバトン」という詩で表現しました。
私たちは、数え切れない命のつながりの中で生きているのです。
その重みを感じながら、今日を大切に生きたいと思います。

【意賀美神社】心の健康三原則

大阪府枚方市、標高約500メートルの小高い万年寺山の頂に、意賀美(おかみ)神社があります。
「意賀美」と書きますが、祭神は京都・貴船神社と同じ高龗神(たかおかみのかみ)。近くを流れる日本一の一級河川・淀川を鎮守する竜神様を祀る神社です。

近年、この神社はパワースポットとして注目されています。その理由は――ゼロ磁場があるからです。
ゼロ磁場といえば長野県の分杭峠が有名ですが、ゼロ磁場に身を置くと、リラックス効果や集中力アップ、免疫力向上など、心身に良い影響があるといわれています。
意賀美神社では分杭峠ほどの圧倒的な力は感じませんが、本殿の階段に立つと、方位磁石の針がクルッと回ります。そして、この地にしばらく佇んでいると、不思議と心の傷が癒され、活力が湧いてくるような気がします。

昔から「病は気から」と言われますが、心の健康を保つためには、いくつかの心がけが必要です。
まずは、「自分に優しくする」こと。多少欠点はあっても、良いところもたくさんある自分を認めることです。自分を好きになれたとき、「私はそんなに悪い人間じゃない」と思えるようになります。

次に、良質な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を習慣にすること。そして、クヨクヨせず、「何とかなる」を口癖にし、明るく笑い、欲張らず、「まだ良い方だ」と言いながら暮らすことです。
家庭は、ゆっくり、ゆったりできる場所でありたいもの。自分には「分かってくれる人がいる」と思えるだけで、心は強くなります。

昭和の「宰相の知恵袋」と呼ばれた東洋思想家・安岡正篤氏は、著書『こころに書き写す言葉』で、心の健康を保つ三原則を示しています。

  1. 心中常に、喜神を含むこと(常に喜ぶ心を持つ)
  2. 絶えず、感謝の念を含むこと
  3. 常に陰徳を積むこと(人知れず善いことをする)

現代社会には、口から入る有害物質と同じように、目や耳から入る「心の発癌性物質」が溢れています。タバコやアルコール、ポルノ雑誌や過激な映像など――。
これらから子どもを完全に隔離することはできませんし、仮にできたとしても、情報化が進む社会で免疫力のないまま大人になれば、もっと大変なことになります。
結局は、それに打ち克つだけの心の強さを育てることが必要です。強い精神力を持つための万能薬はありません。自分に合った方法を見つけることが大切なのです。

【湊川神社・楠公さん】「鏡」を見てごらん。

兵庫県神戸市にある湊川神社は、「楠公さん」と呼ばれ、南北朝の英雄・楠木正成を祀っています。
私はこの湊川神社で結婚式を挙げました。それ以来、折に触れてここを訪れています。都会の真ん中にありながら、境内に一歩足を踏み入れると、厳かな空気に包まれ、まるで別世界。心が静まり、深い安らぎを感じる場所です。

楠木正成公の言葉に、こんなものがあります。
「仁智あるところに必ず勇あり。勇なき仁智は真の仁智にあらず。仁と智と勇に、やさしき武士は火にさえ焼けず、水に溺れず。」

ここでいう「仁」とは、思いやりと優しさの心。
相手を思いやる心は、相手を守り、支えようとする勇気につながります。
思いやりのない社会は、殺伐として虚しいもの。南北朝の動乱期にあって、なお「相手を思いやれ」と説いた楠木正成の言葉に、私は深く感銘を受けています。

ところで、神社の中に飾られているものをご存じでしょうか?
湊川神社にも楠公さんの像があると思われがちですが、実は違います。
そう――「鏡」です。

なぜ鏡なのか。一説によると、「鏡」は「化我美(かがみ)」と書き、鏡に映る自分=「我」を取り除くと、「神」になるからだそうです。
つまり、神様の中に自分がいるとも考えられますし、我を捨てることで神に近づくとも言えるでしょう。

ディズニー映画『ライオン・キング』で、大人になったシンバが水面に映る自分を見て、父ムファサを思い出し、仲間のもとへ帰る決意をする場面があります。水もまた鏡です。
一度、じっくり鏡に映る自分の顔を見てみませんか?

机に鏡を置いて仕事や勉強をすると、楽しくはかどるといいます。心理学では「メタ認知」や「ホーソン効果」として知られる現象です。

鏡にまつわる詩を、星野富弘さんがこう書いています。
「鏡に映る顔を見ながら思った。
もう、悪口をいうのはやめよう。
私の口から出たことばを
いちばん近くで聞くのは
私の耳なのだから。」

私はこの詩がとても好きで、自分への戒めにしています。
また、「子は親の鏡」という言葉もあります。ドロシー・ロー・ノルトの『子どもが育つ魔法の言葉』も有名ですね。
鏡は、ただ姿を映すだけでなく、心を映し出すものなのです。

【やきもち地蔵】感謝の心に奇跡は宿る。

兵庫県神戸市の山中に、やきもち地蔵と呼ばれるお地蔵様があります。
焼き餅をお供えすると喜んで願いを叶えてくれるという、一願成就のお地蔵様です。
本殿と百度石の距離はわずか10メートルほど。お百度参りもしやすい、心温まる場所です。

境内には「金のなる木」という言葉が掲げられています。

  • 一.感謝の生活をする人
  • 一.収入以下で生活する人
  • 一.夫婦仲の良い人
  • 一.金や物を大事にする人
  • 一.健康に心がける人
  • 一.独立自尊心の強い人
  • 一.仕事を趣味とする人
  • 一.一事をつらぬく人
  • 一.常に節約する人
  • 一.儲けをあてにせぬ人

この言葉を目にしたとき、私は深く考えさせられました。

私は長年、中学校で男子バレーボール部の指導をしてきました。
一生懸命練習した甲斐あって、近畿大会に何度も出場することができました。
しかし、全国大会への道は険しく、市大会でベスト2、県大会でベスト2、そして近畿大会でベスト5に入らなければなりません。
あと一試合勝てば、あと一セット取れば、あと一点取れば――そんな場面で逆転負けを喫し、全国大会出場を逃すことが何度もありました。

そんなとき、私は思いました。
「もう、神頼みしかない」
そして、やきもち地蔵を訪れたのです。
そこで、ふと気づきました。
『感謝が足りないんじゃないか?』

感謝を表す言葉は「ありがとう」です。
心学研究家の小林正観さんは、「ありがとうの法則」をこう説いています。

  • 「ありがとう」を2万5千回言うと涙があふれ、5万回言うと奇跡が起こる。
  • 何かをしてもらったときに言う「ありがとう」は、その力の半分しか使っていない。
  • 「ありがとう」は、してもらったときだけでなく、自分がしてあげたとき、させていただいたときにも使える
  • 見返りを期待せず、「させていただいている」という気持ちで行動すること。それが「喜捨」の心である。

受けた恩は石に刻み、与えた恩は水に流す――この姿勢を胸に、私は指導を続けました。
すると、不思議なことに、あっという間に全国大会への切符を手にすることができたのです。

「ありがとう」は、奇跡を呼ぶ言葉です。
感謝の心を忘れず、日々を過ごすことが、人生を豊かにする最大の秘訣だと、私は信じています。

【淡路沼島・上立神岩】計画は即実行!

兵庫県淡路島の南沖、紀伊水道に浮かぶ周囲約10キロの離島「沼島」。
その海岸にそびえる高さ約30メートルの岩礁――上立神岩(かみたてがみいわ)
国生み神話で、伊弉諾(イザナギ)と伊弉冉(イザナミ)の二神が夫婦の契りを結んだ天の御柱とも、竜宮城の表門とも言われる神秘の岩です。

この岩が夕陽を受けて黄金色に輝く瞬間があります。
普段は荒波に打たれ、無言を貫く岩が、その時だけ、何かを語りかけてくるように感じます。
ある日、私は偶然その光景に出会いました。
黄金色に染まる岩を見つめていると、心の奥で声が響きました。
「卵を立てよ」――。

卵を立てるといえば、「コロンブスの卵」の逸話が有名です。
大陸発見を「誰にでもできる」と評されたコロンブスが、卵を立てることを試させ、一人も成功しなかった後、卵の尻をつぶして立てて見せたという話です。
しかし、卵はつぶさなくても立ちます。
古代中国では「春分の日に卵が立つ」と伝えられていますが、実際には春分でなくても立つのです。

卵が立つ条件は、殻の凹凸がうまく配置され、重心が安定すること。
新鮮な卵ほど表面がザラつき、気室が小さいため立ちやすい。
さらに、生卵は黄身が沈むので、ゆで卵よりも立ちやすいのです。

では、ゆで卵はどうでしょう?
ゆで卵を立てるのは難しい。しかし、横倒しにして高速で回すと、縦に立ち上がって回ります。
これは、しっかりした計画を立て、それを即実行すれば、思わぬ成果が得られるという譬えになるでしょう。

生卵とゆで卵を見分ける方法もあります。
テーブルで回してみると、よく回るのがゆで卵、グラグラして止まるのが生卵です。
ゆで卵は内部が固体で回転しやすいのに対し、生卵は中身が液体で重心が安定せず、うまく回りません。
これは、計画も立てずに物事を進めるのは、生卵を回すようなものだという譬えに使われます。

さらに、どちらが長持ちするか――答えは生卵です。
生卵は常温で約2週間食べられますが、ゆで卵は冷蔵でも3日程度。
その理由は、卵に含まれる殺菌作用のあるリゾチームが熱に弱く、ゆでると効果が失われるからです。
これもまた、計画を立てたら、即実行せよという教訓に通じます。

私はその日、黄金色に輝く上立神岩を前に、心に決めました。
「頭の中でぼんやり考えていた計画を、今すぐ実行しよう」
そして、上立神岩を後にしたのです。

【生田神社】寝る子は育つ。

兵庫県神戸市の中心に位置する生田神社は、都会の喧騒の中にありながら、豊かな緑に囲まれたオアシスのような神社です。
安産祈願、恋愛成就、縁結びなどにご利益があるといわれ、多くの人々に親しまれています。

境内にある「生田の森」は、源平合戦の戦場となった歴史を持ち、数々の戦火や水害、震災にも耐え、樹齢千年を超える楠木が今もなお生き続けています。
その森に足を踏み入れると、都会の喧噪を忘れ、心が静まり、まるで眠りに誘われるような安らぎを感じます。

睡眠は、健康な生活を送るうえで欠かせない要素です。
睡眠不足は、自律神経の働きを乱し、内臓機能を不安定にし、健康を損なう原因となります。
フランスの英雄ナポレオンは睡眠時間が3時間だったといわれますが、「もしもう少し眠っていたら、セントヘレナで死ぬことはなかっただろう」とも言われています。
昔から「寝る子は育つ」といわれますが、これは科学的にも正しいのです。成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるため、よく眠る子どもは健やかに成長します。

ところで、睡眠を「一日の疲れを取るため」と考える人が多いでしょう。
しかし、**「明日の活力のために今日しっかり眠る」**という積極的な発想も大切です。
睡眠を大切にし、朝からベストコンディションで過ごせるよう心がけましょう。

寝不足は、心筋梗塞(2倍)、頭痛(3倍)、うつ病(4倍)、アルコール・薬物依存症(数倍)、生活習慣病(肥満・高血圧・糖尿病など)を増やすことが知られています。
7~8時間眠る人が最も長生きし、がん・心臓病・脳梗塞などの病気も少ないといわれます。
子どもの場合、寝不足は肥満や集中力低下、学力低下、さらにはキレやすい性格になるという報告もあります。

もちろん、睡眠時間には個人差があります。
5~6時間で十分なショートスリーパー(人口の5~10%)は行動的で悩まないタイプが多く、
10時間眠らないと調子が悪いロングスリーパーも同じくらい存在し、苦労性やストレスを抱えやすい傾向があります。

最近では、仕事の効率改善に「昼寝」が効果的であることも注目されています。
一方、富山県の雨晴クリニック副院長・坪田聡氏はこう述べています。
「睡眠の良し悪しは時間だけでは測れない。睡眠は『時間』と『質』のかけ算で決まる。質を高めれば、朝5時起きの『5時間快眠法』で健康的な毎日を過ごせる。」
つまり、ただ睡眠時間を増やすだけではなく、質を高めることが重要なのです。

生田の森の静けさに包まれながら、私は思いました。
「心と体を整えるために、今日しっかり眠ろう。そして、明日を最高の一日にしよう。」
睡眠は、疲れを癒すだけでなく、未来をつくる力なのです。

【東大寺】祈り(=意宣り)の心

奈良県奈良市にある東大寺は、現存するブロンズ像として世界最大の大仏様を安置する、華厳宗の大本山です。
大仏様の正式名称は**「東大寺盧舎那仏像」。その意味は、「智慧と慈悲の光明を遍く照らす仏」**――。
その前に立つと、自然と手を合わせ、祈っている自分に気づきます。

本来、「祈る」という文字は「意宣る」と書きます。
つまり、祈りとは自分の心にある思いや願いを宣言することなのです。
祈りと聞くと、観念的なイメージを持つ人もいるでしょう。
しかし、祈りには不思議な力があります。

戦時中、我が子を戦地に送り出した母親たちは、朝まだ暗いうちに神社でお百度参りをしました。
その祈りが遠く離れた異国の戦場に届き、母の想いを感じた兵士が生き抜いた――そんな証言がいくつも残っています。
祈りには、人と人を結び、絆を深める力があるのでしょう。
そして、いざという時には、命をも救う力があるのかもしれません。


私は、祈りには四つの場面があると思います。

  1. 「ちょうだい」という祈り
  2. 「嘆き」の祈り
  3. 「感謝・賛美」の祈り
  4. そして、最も大切な「知る」祈り――。

「知る」祈りとは、自分は何者なのかを問い、人智を超えた偉大な存在を知ることです。

作家・藤本義一氏はこう述べています。
「日本は今、『祈る文化』を失いつつある。しかし、震災モニュメントの前で手を合わせ、冥福を祈りながら、生かされている自分を見つめることが、祈る文化を再生するきっかけになればいい。」

学校生活にも、祈りに似た場面があります。
弁当を食べる前に手を合わせて「いただきます」と言うこと。
授業の始まりと終わりに黙祷すること。
「集中できますように」「理解できますように」「楽しく学べますように」――。
そして終わりには「この一時間を感謝します」と心でつぶやく。
これも祈りです。

シカゴ大学の調査によると、結婚した夫婦が末永く仲良く幸せでいるための習慣の一つに、**「一緒に祈ること」**があります。
これは宗教を信じるという意味ではなく、お互いのことを思い、祈るということ。
それによって、精神的な共有が生まれ、会話に正直さと深みがもたらされるのです。

年を重ね、病気になり、病床に伏したとき――
「もう自分は何もできない」「人の役に立たない」と思うかもしれません。
しかし、決してそうではありません。
体が動かなくても、人のために祈ることはできるのです。
祈りは、最後まで人を支える力であり、誰にでもできる最高の贈り物なのです。

【飛瀧神社・那智の滝】呪文「ツイてる、ツイてる」

和歌山県那智勝浦町にある飛瀧神社は、熊野三山のひとつ熊野那智大社の別宮です。
この神社には拝殿も本殿もありません。なぜなら、那智の滝そのものが御神体だからです。

那智の滝は、日本三大名瀑のひとつであり、落差133メートルは一段の滝として日本一。
滝壺の水は「延命長寿の水」と伝えられています。
岩を伝って流れ落ちる水の美しさ、無数の水滴が岩に当たる音――その響きに耳を澄ませていると、心の中のストレスも悲しみも、すべてが洗い流されていくようです。

熊野は古くから**「再生」**の意味を持つといわれ、ここ飛瀧神社も、心身の浄化、運気の向上、邪気払い、そして「すべてをリセットする場所」として知られています。

滝の奥へ進むと、滝壺のすぐ近くに御瀧拝所舞台があります。
そこから見上げる滝は、下から見るよりもさらに迫力があり、しぶきと音が全身に響き渡ります。
水量や風によって、ミストのような飛沫が身体にかかることがあります。
この飛沫は「神様に歓迎されている証」であり、ご利益があるといわれています。
初めて訪れたとき、私は「濡れてしまった」と後悔しました。
しかし、後に「濡れることは良いこと」と聞いてからは、飛沫を浴びると「ツイてるなあ」と思うようになりました。

ここで思い出すのは、古代ユダヤの智慧「カバラ数秘術」をもとにした運命診断法を提唱したはづき虹映さんの言葉です。
著書『2週間で一生が変わる魔法の言葉』には、状況に応じて唱えるとよい9つの呪文が紹介されています。

  1. 人間だもの、いろいろあっていいじゃない
  2. だいじょうぶ、だいじょうぶ。絶対、大丈夫!(ブレーキ)
  3. すべてはうまくいっている
  4. 私はガマンしない!
  5. 私はいい人をやめる!
  6. ありがとうございます(ハンドル)
  7. 私は日々、あらゆる面で、ますます光輝いています
  8. 私はとてもよくやっている
  9. ツイてる、ツイてる(アクセル)

不思議なことに、「ツイてる、ツイてる」と唱えれば唱えるほど、良いことが起こるのです。
那智の滝の飛沫を浴びながら、私は心の中で何度もつぶやきました。
「ツイてる、ツイてる」――そして、本当にツキが訪れたのです。

【龍神温泉】風呂あがりの気持ちで人に接せよ。

島根県の湯の川温泉、群馬県の川中温泉と並び、日本三大美人の湯として知られる和歌山県・龍神温泉
その名の通り、龍の神のお告げによって弘法大師が浴場を開いたと伝えられています。
龍神温泉の共同浴場は、土・日・祝日には朝7時から開店。私は時々、朝3時に家を出て、4時間かけてこの温泉を訪れます。

ある日、湯あがりに龍神温泉のそばを流れる日高川をぼんやり眺めていると、心の奥に声が響きました。
「湯あがりは気持ちいいだろう? 風呂あがりの気持ちで人に接せよ。」

温泉に入ると、心も体もさっぱりします。
湯あがりに人と喧嘩する人など、ほとんどいないでしょう。
「朝風呂に入れば、少なくとも午前中くらいはさっぱりした気持ちで過ごせるのでは?」
そう考え、休日は朝風呂を習慣にしました。

これはいい!
そこで、平日も30分早く起きて、15分散歩し、10分風呂に入るようにしました。
やめられません。今では1時間早く起き、45分トレーニングし、10分湯船につかることを日課にしています。
毎日、さっぱりした気分で仕事に出かけられる――これが私の最高のリセット法です。

さらに、私はサウナにも魅了されました。
サウナドクター・加藤容崇氏は、サウナの効果をこう挙げています。
①頭の疲れが取れる
②リラックス効果
③快眠
④ヒートショックプロテインによる美肌効果

他にも、ストレス解消、血圧低下、肩こり改善、減量効果、血管強化、心臓機能の亢進、自律神経の訓練、汗腺・皮脂腺の清潔など、驚くほど多くの効果があります。

岐阜県大垣市にある「サウナの聖地」大垣サウナには、こんな詩が掲げられています。

われらサウナ人
サウナは自然を愛する人に好まれている。
サウナは野趣があるような気がする。
サウナに入ると旅情を感じるときもある。
なぜか仕事のできる人に好まれている。
サウナは明日を考える人に向いている。
サウナは人生を楽しむためにある。
しかしサウナに入ったからといって
いばる人はひとりもいない。

(出典:旧中山産業〈現メトス〉昭和50年頃のポスター)

「サウナで整う」――それは、心と体をリセットし、明日を輝かせるための最高の時間です。
龍神温泉の湯とサウナの熱が、私に教えてくれたこと。
「湯あがりの気持ちで、人に接しよう。」
この言葉を胸に、今日も笑顔で一日を始めます。

【三朝温泉】健康は財産

鳥取県東伯郡三朝町には、「日本一危険な国宝」と呼ばれる三徳山三佛寺(さんとくさん・さんぶつじ)があります。
その奥にある投入堂は、断崖絶壁に建つため、険しい山道を登って参拝しなければなりません。まさに命がけの巡礼です。

巡礼の際には、略式の法衣である輪袈裟を首に掛け、修行の身だしなみを整えます。
その輪袈裟には「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」の文字が記されています。

「六根」とは、「見る」「聞く」「嗅ぐ」「味わう」「触れる」の五感に「思う」を加えたもの。
「六根清浄」とは、五感と心を研ぎ澄ませ、修行に集中し、力を発揮できますようにという祈りの言葉です。
つまり――

  • 「眼」で不浄を見ず
  • 「耳」で不浄を聞かず
  • 「鼻」で不浄を嗅がず
  • 「舌」で不浄を味わわず
  • 「身」で不浄に触れず
  • 「意」で不浄を思わず

身も心も無垢清浄になろうという願いが込められています。
富士山登拝では「六根清浄、お山は晴天」と唱えると、高山病にかかりにくいとも言われます。
この言葉から「どっこいしょ」が生まれたという説もあります。

三徳山三佛寺の登山口から車で10分ほどの場所には、世界屈指の放射能泉三朝温泉があります。
高濃度のラドンを含み、「三たび朝を迎えると元気になる」と言われる名湯です。
ここでは「六感治癒」という考え方が有名です。
六感――「観・聴・香・味・触・心」。
三朝温泉の湯に浸かり、飲み、湯煙に身を置くことで、六感を癒すというものです。

日本中にコロナが蔓延していた頃、私は妻と三朝温泉を訪れました。
前日から体が熱っぽく、喉がひどく痛む。
ワクチンを打っていたので安心していましたが、「もしかして感染したのでは」と不安を抱えながら、熱い湯に身を沈めました。
すると――不思議なことに、喉の痛みが消え、体が軽くなったのです。
温泉の力を、心から実感しました。

健康は財産です。
健康でなければ、仕事も勉強もはかどらず、生きる意欲も湧きません。
病気にならないためには、普段から心身のケアが欠かせません。
私にとって、健康維持に欠かせないものは二つ――温泉筋トレです。
もちろん、睡眠や食事も大切ですが、筋トレの効果は絶大です。

「筋トレは人生を成功に導く」と語り、自ら筋トレ伝道師を名乗るTestosteroneさんはこう言います。
「ダンベルこそ最強の相棒だ」
筋トレは仕事の効率を上げ、人間関係やメンタルを改善する――まさに人生を変える力です。

トレーニングには五大原則があります。
①意識性(自覚・意欲)
②全面性・多角性
③漸進性
④個別性
⑤継続性・反復性

この中でも、最も重要なのは意識性――「やる」と決める心です。

三徳山の険しい道を登る覚悟も、筋トレを続ける決意も、すべては心の意識から始まります。
六根清浄の祈りと、温泉の癒し、そして筋トレの力――。
それらは、私にこう教えてくれます。
「心と体を整えれば、人生はもっと輝く」

【美星天文台】未来は〝話した言葉〟で作られる。

岡山県井原市美星町は、長野県の野辺山高原、沖縄県の石垣島と並び、日本三選星名所のひとつに数えられています。標高512メートルの大倉龍王山の山頂に広がる「井原市星空公園」からは、360度の大パノラマが楽しめ、美星天文台には国内屈指の大望遠鏡が設置されています。

七月七日、七夕の夜空を見ようと車を走らせました。そこに広がっていたのは、都会では決して見ることのできない満天の星空。「星は何でも知っている」ではありませんが、星が何か語りかけてくれるのではないかと期待しながら、天の川を見つめていました。

しかし、星は何も語りません。そのとき、ふと気づいたのです。「きれいだな」「素晴らしいな」「ああ、幸せ!」――そんな言葉を心の中で繰り返している自分の姿に。

日本人は古来より、日本語には「言霊」が宿ると信じ、美しい言葉を大切にしてきました。「なし」や「する」という言葉を避け、果物の「なし」を「ありの実」、干物の「するめ」を「あたりめ」と呼んだのも、そのためです。

「言霊」をめぐる実験で有名なのが、1999年に江本勝氏が出版した『水からの伝言』です。名水や「ありがとう」といった言葉をかけた水からは美しい結晶が生まれ、逆に水道水や「バカヤロウ」といった言葉をかけた水からは歪な結晶ができる――科学的には荒唐無稽とされる話ですが、写真とともに語られたこの自主出版の本は、やがて支持者の手で広まり、45ヵ国語に翻訳、世界75ヵ国で出版され、シリーズ累計250万部以上を記録しました。

心理カウンセラーのラッキーさんも、YouTubeで「言霊」を使った実験を紹介しています。鶏の卵を二つ割り、それぞれのケースに入れ、一方には「ありがとう」「大好き」「うれしい」といった良い言葉を、もう一方には「めんどくさい」「うざい」「うっとうしい」といった悪い言葉を浴びせ続ける――その結果は、言葉の力を信じたくなるものでした。

日本には昔から「人を呪わば穴二つ」という諺があります。これは、他人を呪えば自分も同じ墓穴に入ることになる、という意味です。悪口を言えば、その言葉を一番聞いているのは自分自身の脳。結局、自分を傷つけることになるのです。

普段、どんな言葉を発するか――それが人生を決めるのだと思います。

五日市剛さんは著書『ツキを呼ぶ魔法の言葉』で、「ありがとうございます」「感謝します」「ツイてる、ツイてる」という三つの言葉を言い続けると、運が良くなると述べています。

私たちの体は「食べ物」で作られています。そして、心は「聞いた言葉」で作られます。さらに、未来は「話した言葉」で作られるのです。

【吉備津神社】時を守り、場を浄め、礼を正す。

岡山県岡山市にある吉備津神社は、桃太郎伝説ゆかりの神社です。ご祭神・大吉備津彦命は、二百八十一歳の長寿を全うしたと伝えられており、そのため「健康長寿」の信仰が篤い場所として知られています。また、災い除けの桃守りは、良縁にも効果があるといわれています。

桃太郎は鬼退治の際、犬・猿・雉を家来にしました。人間の子どもをしつけるには、2~3歳で始めて第二次性徴期までと考えると、12~13年ほどかかります。しかし、犬の場合は半年から1年程度で終わります。実は、犬のしつけと子育てには多くの共通点があるのです。

さて、「国民教育の師父」と称された教育哲学者・森信三先生は、家庭でのしつけに「しつけの三原則」を提唱されました。それは次の三つです。

  1. 特に朝、「おはようございます」と明るくあいさつする
  2. 呼ばれたら「ハイ」と返事をする
  3. はきものをきちんとそろえる

この三つが身につくと、子どもの「我」がとれるといいます。「我」がとれるということは、素直な心になるということ。心の窓が開き、風通しがよくなるのです。こういう子どもは、何でも吸収し、ぐんぐん伸びていきます。反対に、「エゴイストに成長なし」といわれるように、「我」の強い子は心の窓を閉ざし、空気がよどんでしまいます。しつけのきちんとできている子は、必ず将来伸びます。

「しつけ」は漢字で「躾」と書きますが、この字は和製語で、「身を美しく」という願いを込めて作られました。食事、排泄、衣服の着脱、整理整頓、保健と清潔の基本(入浴、歯磨き、睡眠)などは、幼児期に身についたやり方が一生の生活習慣の基本型になります。しつけとは、子どもが将来、立派な社会人として生きるために必要な基盤であり、幸せに生きるための生活行動の基準です。碁でいえば「定石」、柔道や剣道でいえば「型」、スポーツでいえば「基本」にあたります。

森信三先生は「人生二度なし」という真理を根本信条とし、東西文化の融合をめざして「全一学」という学問を創始しました。これは「宇宙の哲理と人間の生き方を探求する学問」です。さらに、「学校職場の再建三原則―時を守り、場を清め、礼を正す―」や、主体的人間になるための「立腰教育」など、人間としてのしつけ教育を広められました。

ところで、2013年にTBS日曜劇場で「倍返し」で有名になった『半沢直樹』の2020年版では、主人公の半沢が仕事の型についてこう語っています。
「正しいことを正しいと言えること」
「組織の常識と世間の常識が一致していること」
「ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価されること」

これらは、しつけや基本の大切さを現代社会においても示している言葉だと思います。

【宮島・厳島神社】健やかな体・康らかな心を育む食事

広島県廿日市市にある厳島(通称・宮島)は、西日本の広島湾に浮かぶ小さな島で、古くから神聖な場所とされています。「神の島」と呼ばれるこの島には、お墓やゴミ箱、信号、コンビニ、畑がなく、島民は出産も島ではできないといわれています。京都府の天橋立、宮城県の松島と並び、日本三景の一つであり、その象徴ともいえる厳島神社は世界文化遺産にも登録されています。

宮島に宿泊すると、どの宿でも必ず牡蠣が出されます。牡蠣は栄養価が高く、特に亜鉛を豊富に含んでいます。亜鉛が不足すると、うつや不安、摂食障害、多動、統合失調症など、心の病のリスクが高まるといわれています。日本人には亜鉛不足の人が非常に多いそうです。だから私は、毎年宮島を訪れ、食中毒に怯えながらも、心の健康のために家族全員で牡蠣をしっかり食べることにしています。

健康はお金では買えません。何をするにも健康第一。心身の健康こそが幸せの第一条件です。特に成長期の子どもたちが健やかな体と穏やかな心を保つためには、夜更かしをせず十分な睡眠をとる、早寝早起きを心がける、運動習慣を身につける、疲労をためない生活を送ることが大切です。

そして、最も重要なのは食事です。何を、いつ、どこで、どのように食べるか――その習慣が人生を左右します。

①好き嫌いをしないこと
食べ物の好き嫌いは、単に栄養の偏りを招くだけではありません。勉強の好き嫌いや、人間関係の好き嫌いにもつながります。つまり、自分の可能性を狭めることになるのです。

②食べ過ぎないこと
最近の研究では、食べ過ぎが老化を進めることがわかっています。若返り(アンチエイジング)を実現するには、「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」の活性化が必要です。この遺伝子は、飢餓状態やカロリー制限で活性化します。カロリー摂取量を必要量の70%程度に抑えると効果的だという研究もあります。つまり、食べ過ぎは寿命を縮めるのです。

③寝る前に食べ過ぎないこと
寝る前に食事をとると血糖値が上がり、成長ホルモンが分泌されにくくなります。その結果、細胞の老化、新陳代謝の低下、筋肉量の減少、疲労感、無気力、メンタルの悪化などが起こり、熟睡できなくなります。

健康を守ることは、未来を守ることです。宮島の静かな海と厳島神社の朱色の大鳥居を思い浮かべながら、今日の食事を見直してみませんか?

【石鎚神社】禁句3D

愛媛県にある西日本最高峰の石鎚山は、日本七霊山のひとつに数えられています。山の麓から山頂までには、「口之宮 本社」「中宮 成就社」「土小屋遥拝殿」「奥の宮 頂上社」の四社があり、総称して石鎚神社と呼ばれています。

石鎚山は、真言密教の開祖・弘法大師空海が修行した山であり、山伏の山籠もり修行の霊場としても知られています。石鎚山の山伏に身体の不調を伝えると、石鎚の薬草を煎じて飲むように言われ、数日で体調が回復したという不思議な体験談も数多く残されています。

ある年の初夏、私は石鎚神社を訪れました。麓にある「口之宮 本社」は小高い丘の上にあり、西条市の町並みや瀬戸内海、しまなみ海道の美しい景色を一望できます。

中腹七合目には「中宮 成就社」があります。ロープウェイを使えば、幼い子どもでも参拝できるというので、私も足を運びました。さらに、標高1500メートルの「土小屋遥拝殿」まで歩を進めると、石鎚山の頂上や愛媛県東部の町並みなど、息をのむような眺望が広がります。

そして、ここまで来たら、標高1982メートルの石鎚山山頂にある「奥の宮 頂上社」に行かないわけにはいきません。ここには「仁」「智」「勇」の三つのご神徳を表す御神像が祀られています。目の前には天狗岳がそびえ、360度の絶景が広がります。四国山地の連なる山々、瀬戸内海、太平洋、そして遠く九州まで見渡せるその光景は、言葉では言い尽くせません。

この巡礼の道を歩きながら、私はこれまで出会った多くの学生たちの「変身」を思い出しました。中学一年生でオール二だった子が三年生でオール五になったり、スポーツが苦手だった子が全国大会に出場したり――大きく成長した生徒たちには、共通点があります。それは、「人の話を素直な心で最後まで聞ける」ということです。

砂に水をまけば、すっと染み込みます。しかし、粘土に水をまいても染み通りません。同じように、素直な心を持つ子は、アドバイスをどんどん吸収して伸びていきます。反対に、「でも」「だって」「どうせ」という“3D言葉”を口にする子には、どんなに良いアドバイスをしても効果が薄いのです。

石鎚神社を巡りながら、私は自分自身も“3D言葉”を言いながら登っていることに気づきました。そんな言葉を使っているうちは、素直な心で人の話を聞くことができません。つまり、「変身」するチャンスを自ら逃しているのです。これからは、「でも」「だって」「どうせ」を禁句にして生きていこう――そう強く思いました。

【高知桂浜・ホエールウォッチング】虹は自分で作ろう。

「日本最後の清流」と呼ばれる四万十川。その河口から約10キロ離れた入野漁港から、クジラの観察に出かけることができます。クジラは北海道の知床、鹿児島、奄美大島、沖縄の慶良間諸島などでも見ることができますが、「海の貴婦人」と呼ばれるニタリクジラは、ここ土佐湾に年間を通して生息しているため、遭遇率が高く、人懐っこい性質で船が近づいても逃げません。体長15メートルにもなるその姿を、間近で観察できるのです。

ホエールウォッチングの最中、クジラが海面に現れ潮を吹く瞬間、虹がかかることがあります。これを「Whale Rainbow」と呼ぶそうです。偶然その虹を見られたとき、私は「運がいい!」「幸せだなあ!」と心から思います。

しかし、虹は偶然に頼らなくても作ることができます。朝や夕方にホースで霧状に水を撒けば、誰でも簡単に虹を作れます。雨の日でも、室内でペットボトルに水を満たし、懐中電灯の光を当てれば、小さな虹が生まれます。さらに、暗い部屋でCDに懐中電灯を当てると、水を使わずに虹を作ることもできます。

自分で虹を作って「運がいい!」「幸せだなあ!」と思えばいいのです。幸せが訪れるのを待つのではなく、自分から虹を作り、幸せを手にしましょう。

ところで、運命には変えられない「天命(宿命)」と、努力次第で変えられる「立命」があります。同じように、運にも「天運」と「地運」があります。変えることが難しいのが「地運」、そして空の雲のように日々変わるのが「天運」です。どんなに肥沃な土地に種を撒いても、天候が悪ければ立派な作物は育たないように、「地運」より「天運」の方が重要です。その割合は、地運:天運=3:7くらいではないでしょうか。

つまり、運がいいかどうかは、自分次第なのです。

最後に、心理カウンセラーの植西聰さんが紹介する「運のいい人の習慣」を挙げておきます。

  1. 日々の楽しみ方を知っている
  2. 他人のためをいとわない
  3. 周りの人を大切にしている
  4. 何事も柔軟に考えられる
  5. いつでも目標をもっている
  6. 「絶対できる」と信じている
  7. 逆境はチャンスだと思っている
  8. 何でもとにかくやってみる
  9. 「みんなのこと」を考えている

虹を待つのではなく、自分で虹を作る――その心が、運と幸せを引き寄せるのです。

【壱岐】趣味の王様「アマチュア無線(ハム無線)」

九州の北側、玄界灘に浮かぶ長崎県「壱岐」は、南北約17キロ、東西約15キロの小さな島です。「日本で最も神社の密度が高い場所」といわれるほど神社が多く、島全体がパワースポットとされています。千を超える神社の中でも、干潮時のみ参道が現れる「小島神社」は、壱岐のモンサンミッシェルと呼ばれ、神域として小枝一本の持ち出しも許されません。

私が初めて壱岐を訪れたのは、1995年、阪神・淡路大震災の4か月後、中学校の修学旅行の引率でした。壱岐の人々は島をあげて私たちを温かく迎えてくれました。

その修学旅行で、生徒たちが「アマチュア無線機を持っていきたい」と言うので許可しました。出力わずか5ワットの小さなハンディ機でしたが、なんと1,600キロも離れた北海道・礼文島の方と交信できたのです。アマチュア無線クラブの生徒たちは、本当に感動していました。

アマチュア無線は、数ある趣味の中でも「King of Hobby(趣味の王様)」と呼ばれるほど奥が深く、面白い世界です。阪神・淡路大震災の時には、このアマチュア無線が大活躍しました。最近は携帯電話の普及で無線人口は減りましたが、アマチュア無線は世界中の人と交信できる魅力があります。スキー場など携帯電話の電波が届かない場所での連絡や、旅行先で地域情報や交通レポートを得ることもできます。私はそのたびに交信カード(QSLカード)を交換し、楽しんでいます。

アマチュア無線技士は国家資格で、四級から一級まであります。電波の種類によっては、地球の裏側はもちろん、宇宙ステーションとも交信可能です。最近人気のドローンも、FPV機能付きの操縦には四級アマチュア無線技士の資格が必要です。

そして、アマチュア無線には次の「コード」があります。

  • アマチュアは、良き社会人であること
  • アマチュアは、健全であること
  • アマチュアは、親切であること
  • アマチュアは、進歩的であること
  • アマチュアは、国際的であること

私たちは、大人になるほど趣味が重要になります。その理由は、
①一つのことに時間を投下するリターンが低減し、余暇時間が増える
②仕事外でのインスピレーションやつながりの価値が高まる
③心の乾きを癒し、QOL(人生の質)重視の生き方に変わるからです。

豊かな人生のために、アマチュア無線コードに通じるような「いい趣味」を持ちましょう。趣味は、人生を彩り、心を豊かにする最高のパートナーです。

【阿蘇・押戸石の丘】プライド教育

熊本県の阿蘇山は、世界有数のカルデラをもつ活火山。その周辺には、白龍の生誕地といわれるマイナスイオンたっぷりの「鍋ヶ滝」、大風穴「穿戸岩」を擁する上色見熊野座神社、不老長寿のご神水として水神が祀られる白川吉見神社の「白川水源」など、多くのパワースポットが点在しています。

なかでも「押戸石の丘」は、古代人の祈りの場所とされる特別な地です。ピラミッド型の巨岩、シュメール文字が刻まれた鏡石、日時計の役割を果たしたとされるはさみ石、そして方位磁石が一周回る太陽石――ここでは大自然の神秘と力を肌で感じることができます。

標高845メートルの阿蘇外輪山の草原に広がる押戸石の丘で半日過ごすと、まるで古代人のプライドが風に乗って伝わってくるようです。ここは、映画『進撃の巨人』の実写版ロケ地にもなった場所。その圧倒的なスケールに、私たちは「人間の誇りとは何か」を考えさせられます。

小説『限りなく透明に近いブルー』の著者、村上龍氏はこう語っています。
絶望した時に発狂から救ってくれるのは、友人でもカウンセラーでもなく、『プライド』である。

「尊ぶ」という言葉は、カタカナで言えば「プライド」です。しかし、英語の“pride”とは少しニュアンスが異なります。英語では「誇り」だけでなく「高慢」や「うぬぼれ」という意味も強く含まれます。一方、日本語の「プライド」は、「自分は価値ある人間だ」という自尊心であり、主体的に学び、考え、判断し、行動する力。そして、他人を思いやり、感動する心を持つ豊かな人間性――この二つが融合したものだといえるでしょう。

古代ギリシアの数学者ピタゴラスも、「万事に先立って汝自身を尊敬せよ」という言葉を残しています。『尊』という字は、酒だるを両手で捧げる姿を表し、神に敬意を示す意味があります。『敬』は、体を深く曲げて礼をする姿から、人をおろそかにしない心を示します。

人を大切にする心は、自分を大切にする心から育ちます。自分を粗末にする人が、他人に優しく接することはできません。だからこそ、どんな境遇にあっても、不平・不満・文句を言わず、自分のプライド(自尊心)を持って生きることが大切なのです。

【高千穂峡・天安河原】人生は一瞬で変わる。

宮崎県高千穂町にある天岩戸神社西本宮から、岩戸川沿いに徒歩約10分の場所に「天安河原」があります。神話によれば、天照大神は弟・素戔嗚尊の粗暴な振る舞いを避けるため、天岩戸と呼ばれる洞窟に隠れこもってしまいました。その結果、世界は暗闇に包まれます。困り果てた八百万の神々は、この天安河原に集まり、どうすれば天照大神を外に出せるか策を練ったと伝えられています。別名「仰慕ヶ窟」とも呼ばれ、ここで石を積んで願い事をすると、願いが叶うといわれています。

天安河原を訪れた直後、私は人生が一瞬で変わったと言える子どもたちに立て続けに出会いました。つい昨日まで暗闇の中にいたような生活をしていた子が、まるで天岩戸が開き、天照大神が姿を現したかのように、突然輝き始めたのです。練習回数とパフォーマンスをグラフにすると、直線的な成長ではなく、ある瞬間にブレイクスルーが起きて急に「できる」ようになることがあります。子どもの成長も同じで、変わる時は本当に一瞬なのです。

教師として、その瞬間に立ち会えることほど、やりがいを感じることはありません。

教育とは「変容」、つまり質を変えることです。価値観が変わり、物事を見る中心軸が変わること。それが教育です。単に量を増やすこと、知識を積み重ねるだけでは教育とは言えません。それは「養成」に過ぎないのです。

人生は一瞬で変えることができます。不登校の生徒に長年向き合い、「6000人を一瞬で変えたひと言」の著者である師友塾塾長・大越俊夫氏は、著書『こう考えると、人生は変わるよ』の中でこう述べています。
「まずは現実を直視して受け入れること。すると、考え方が変わり、心に羽根が生えてくる。不幸が不幸ではなくなり、幸せに変わる。」

また、中国戦国時代末の思想家・荀子は「性悪説」で有名ですが、自分を作り変えるための具体的な方法を三つ挙げています。
①学問(知識)
②見聞(体験)
③正しい人との親交(師を持つ)

子どもたちにこうした機会を豊かに与えることが、教師の使命です。授業だけでなく、学校行事や総合的な学習の時間、そして部活動にも力を注ぎ、教育活動を充実させる――その大切さを、私は改めて強く感じました。

【マクドナルド】日本マック創業者 藤田氏に学ぶユダヤの法則

「マクドナルドがパワースポット?」と思われるかもしれません。しかし、私にとっては大学時代に初めてアルバイトをし、日本マクドナルド創業者・藤田田氏と接する機会をいただいた場所であり、今でも元気をもらえる特別な場所なのです。

現在「炎の講演家」として活躍する鴨頭嘉人さんは、アルバイトとして4年間、正社員として21年間マクドナルドに勤めた経験から、『人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった』という本を出版しています。鴨頭さんは講演でこう語ります。
「マクドナルドはアルバイトの高校生や大学生で成り立っている。人生で初めて仕事をしてお金をもらう学生たちに、働くことの意味やお金を稼ぐことの大切さ、そして人生を教える場だ。」

藤田氏が築いた日本マクドナルドは、多くの人を育て、社会に貢献してきました。藤田氏は日本マクドナルド初代会長であると同時に、日本トイザらスの創業者でもあります。彼は「人の上に立つためには数字を使わなければならない」と説き、数字の持つ客観性こそが人を説得すると強調しました。そして著書『ユダヤの商法』で「ユダヤの法則」を紹介しています。世の中はすべて78対22という黄金比で成り立っており、商売や人間関係にもこの法則が応用できるというのです。

この法則を活かしてヒットしたのが「サンキューセット」。500円を払うと110円のおつりが返ってきます。390円:110円=78対22。この法則は仕事や人間関係にも応用できます。

  • 仕事で結果を出すなら、365日の78%(285日)は集中して働き、残り22%(80日)は休む。
  • 1時間のうち78%は集中し、22%は脳を休める。
  • 人間関係では、好きな人でも22%は合わないところがあって当然。チームに苦手な人が22%いるのがちょうどいい。

さらに藤田氏は、ソフトバンクの孫正義氏をはじめ、バーガーキング・ジャパンやモスバーガー、フレッシュネスバーガー、コメダ、すき家など、外食産業のトップにも大きな影響を与えました。

ところで、「マクドナルド」という名前の意味をご存じですか?「マック」は「子ども」という意味で、「マクドナルド」は「ドナルドさんちの子」ということなのです。昔のCMにはこうありました。
「いつだって、どこだって、誰だって。美味しいコトバはひとつだけ。『世界のコトバ』、マクドナルド。」

ちなみに、日本マクドナルドの店舗数は2025年現在、2976店。外食産業で最も多い数です。

マクドナルドは、ただのファストフード店ではありません。そこは、人を育て、人生を変える「学びの場」であり、働くことの意味を教えてくれる「パワースポット」なのです。