「もう、トシだねえ!?」

この頃、物忘れが多くなったと実感しています。つい先日、卒業した生徒なのに、よほど印象に残っていないと名前が出てきません。「やはり、トシですかねえ」とぼやいていたら、ある人が「それは老人力がついたんだよ」なんて言ってくれました。

老人力」とは、芥川賞作家の尾辻克彦の名で知られる赤瀬川 原平氏が書いた、「老人力」(筑摩書房)、「老人力のふしぎ」(朝日新聞社)にも詳しく紹介されています。別名、「忘却力」です。忘却力がつけば、よく辞書を引くようになり、年表や地図もしばしば参照にします。人に繰り返しものを尋ねるようにもなります。これは貴重な力だというわけです。

人間、忘れっぽくなると、警戒心がなくなって、逆に新しいものが入りやすくなるそうです。かえって、自分の意見や考えが活性化すると考えられます。

ゴルフや野球のスイングでは、「余分な力を抜け。」と教えられますが、力を抜くには、抜く力がいります。老人になれば、自然に老人力がついて力が抜けるのだと考えるできでしょう。決して、トシをとって体力が衰えたというようには考えてはいけません。

トシをとることを嫌だと考えるか、素晴らしいと考えるかで、その人の人生は大きく変わってくると思います。同じトシをとるなら、積極思考で生きたいものです。

まだまだ老人と言われるトシではありませんが、フランスの作家アンドレ・モーロアなんかは、「忘却なくして幸福はありえない」とも言っていますし、忘れることは仕方ないかと納得しています。

「それでもなお・・・」

コルカト(カルカッタ)にある「孤児の家」の壁に書いてあった言葉に、ケント・M・キースの書いたとされる、人生の意味を見つけるための「逆説の10か条」 というのがあるそうです。一時、マザー・テレサの作であると誤解されていましたが、今は、「マザー・テレサも感動した世界最高の処世訓」として知られています。

The Paradoxical Commandments

Finding Personal Meaning In a Crazy World

                   by Dr. Kent M. Keith

「きんちゃん」こと、俳優でコメディアンの榎本 健一さんは、

と言って、年齢を重ねても益々努力を惜しまず、仕事をされています。

中国明時代の随想家、洪自誠(本名:洪応明)は、「菜根譚」(別名:処世修養篇)で、

と説いています。

太陽が地平線に沈んだ後でも空は夕焼けで美しく輝きます。

また、年の瀬が迫る寒い時期でも、柑橘類の木は実をつけ香りを漂わせます。

これは人間でも同じことでしょう。晩年になっても気力を充実させれば、さらなる飛躍を遂げることができるのです。

マジックアワーの空

作家で詩人の伊藤 整氏

「夕映えが美しいように、老人の場所から見た世界は美しいのです。」

小説家の大佛 次郎氏

「若い人には若い日の花があるのと同時に、老いたる人には老人の日の花がある。」

老人力

さて、先ほど紹介した「老人力」という言葉は、1997年、美術家・小説家の赤瀬川 原平氏が、雑誌「ちくま」で、「老人力のあけぼの」というエッセーの中に出てきます。翌1998年に刊行され、たちまちベストセラーとなって、第53回毎日出版文化賞特別賞を受賞しています。

年をとれば誰でも心身が衰え、できることが減っていきます。マイナスにとらえがちなこの老化現象をユーモアを交え、前向きに捉えたのが「老人力」です。

普通は『トシをとった』とか、『モーロクした』とか、『あいつもだいぶボケた』とか言うんだけど、そういう言葉の代わりに、『あいつもかなり老人力がついてきたな』」というふうに言うと、何だか、年をとることに積極性が出てきてなかなかいい

と述べられています。

老人の幸せ五カ条

一.心身ともに健康で老いて学べば死して朽ちずの生涯教育の夢を持つこと。

一.趣味を持ち、孤独にならず友を得て、自分の可能性を伸ばすこと。

一.家庭にあっても良い意味の柱となり、日本の美風を若者に伝えること。

一.老人なりの仕事役割を持ち、それに参加して生きがいを持つこと。

一.経済的にはもちろん、心の貧しさから解放されること。

「ゆっくり急げ」

ローマ初代皇帝のオクタヴィアヌスが、「Make haste slowly.(ゆっくり急げ)」という言葉を残しています。

日本語には「急がば回れ」ということわざがありますが、「ゆっくり」と「急ぐ」という矛盾した言葉が使われています。

この言葉をモットーにしている塾が公務員・司法書士・行政書士などの試験を専門としている伊藤塾です。

司法試験は1年で受かる人もいれば、10年かって受かる人もいます。しかし、1年で合格した人が偉くて、10年かかった人が劣るのかというと、決してそんなことはありません。

10年かかった人でないと見られない景色があります。鈍行列車の窓から見る景色と、新幹線から見る眺めは、全く違うのです。東京、新大阪間を3時間弱で走り抜ける爽快感もあれば、一つひとつ駅に止まっていくからこそ学べる情報や喜びもあるでしょう。

どちらがいいとか、素晴らしいという問題ではありません。目的が何かによって違ってくるだけの話です。

ローカル線で旅情を楽しむ旅なら鈍行列車の方がいいでしょう。速く移動したいなら新幹線の方がいいに決まっています。

自分の人生の本当の目的は何なのか。自分は何をしたいのかを吟味することです。

前のめりに先を急ぐだけでなく、時には立ち止まって、じっくり人生の意味や目的を考えてみるのもいいでしょう。

それでもなお、多くの人は新幹線に乗りたがります。その方が早く目的地に着くような気がするからです。

しかし、本当にそうでしょうか。

司法試験に特急で合格しても、鈍行で合格した人より幸せな人生を送れるかどうかはわかりません。もしかすると、10年かけて鈍行列車でやってきた人の方が、苦しかった経験を糧に法律家として活躍できるかもしれません。どちらが幸せかは誰にもわからりません。その人にとって一番いい時に合格するものなのです。

ですから、ゆっくり一歩ずつ、時間がかかっても前に進むことが大切です。そうすれば、必ずゴールに到着できるでしょう。たとえ自分が鈍行列車でも、あきらめてはいけません。

「本当にダメだ」「もうあきらめよう」と思った時が、実は一番ゴールに近いものなのです。あきらめてはいけません。

一駅、一駅あきらめずに進んでいく力、忍耐する力、続ける力は、勉強によって養われます。

あと1問、頑張って解く。あと1ページ頑張って読む。日々の勉強の積み重ねが、最後まであきらめない「根っこの忍耐力」を養ってくれます。勉強によって、あきらめない力を身につけることができるのです。

年を武器にする方法

「経営の神様」と言われた松下幸之助氏は、「人生に遅すぎることはない」と述べて、常に新しいことにチャレンジされていました。

年を重ね、老いることは、悲しむべきことではありません。むしろ、年齢は武器にすることができるのです。

ただ、その際に気をつけておかなければならないことを3点述べています。

1.体験を分かち合う。

  高齢者には豊富な体験があります。成功体験も失敗体験も全部、人に分けてあげことです。特に失敗談は効果的です。

2.相手を理解する。

  説教はせず、アドバイスは押し付けてはなりません。まず、相手の気持ちを理解し、相手の立場に立って考えることです。

3.謙虚に学び続ける。

  年を取ったからと言って何でも知っているわけではありません。時代は変わり、新しいことは若い人の方が詳しいものです。

タイトル 人生100年時代
人生100年時代、いつまでも若い人の秘訣人生100年時代、いわゆる「アンチエイジング」が必要です。老けない人の特徴と老けない人になるための方法を紹介しましょう。 100歳のスイマー、長岡 三重子さんは、若い時と同じように、年老いてからも一所懸命努力しなきゃならないと述べています。 老けない人になるために、正しい姿勢を保つ運動、ヘアケア、肌のケア、体内の老化を防ぐ食生活の改善、血管を若がらせる方法を教えます。 サミュエル・ウルマンは、若さの条件は時間だけでなく、「こころの若さこそが重要である」と言っています。 ...

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赤瀬川 原平氏が提唱した「老人力」は、別名、「忘却力」です。フランスの作家アンドレ・モーロアは、「忘却なくして幸福はありえない」と言っています。太陽が地平線に沈んだ後でも空は夕焼けで美しく輝きます。人間でも同じことで、晩年になっても気力を充実させれば、さらなる飛躍を遂げることができるのです。

「経営の神様」と言われた松下幸之助氏は、年を武器にする際に気をつけておかなければならないこととして、体験を分かち合うこと、相手を理解すること、謙虚に学び続けること、の3点を述べています。

また、「マザー・テレサも感動した世界最高の処世訓」ケント・M・キースの書いたとされる「逆説の10か条」 と、ローマ初代皇帝のオクタヴィアヌスの言葉「Make haste slowly.(ゆっくり急げ)」をモットーにしている伊藤塾を紹介しましょう。