2-7 教育相談・カウンセリング
【教育相談】・・・子どもが「こうしたい」と言い出すまで見守る。
私が小学校から高校までの時代、先生に悩み事を相談するということなど、全くありませんでした。子供の数が多い時代であったので、ご多忙な先生に一人の子供のために時間を費やすことなど、失礼千杯という感じだったと思います。
しかし、時代は変わりました。今、教育相談の機会を設けると、子供たちは競うかのように相談にやってきます。
ところが、実際に教育相談を受ける際、教師はカウンセリングについて学んでおかないと、次のような失敗をしてしまいます。
・すぐにアドバイスしてしまう。
・相談された問題にだけに注目してしまう。
・「正しいこと」を押し付けてしまう
・自分の経験を優先してしまう。
教育相談の本質は、「安心して話せる関係づくり」と「一緒に考える姿勢」です。
基本姿勢(3原則)
1.傾聴(最優先)
教育相談では、ついつい、アドバイスをしてしまいがちです。中には、教育相談では、
教師がアドバイスをしなければならないと認識している方もいますが、アドバイスよりも、まず、傾聴することが大切です。相手の言葉を決して遮らず、うなずきや相づちを大切にしましょう。
ちなみに、「聴く」とは、「十四の心を耳にする」と書きます。理解しようとすすんで耳を傾けるという積極性やひたむきさが必要です。子供の立場に立ち、子供の心を敏感に感じ取るという、全身全霊の姿勢、これが「聴く」ということです。
例:「そんなふうに感じているんだね。」
「それは大変だったね。」
2.受容
教育相談の場では、絶対に評価や否定をせず、安心できる場づくりをすることが優先されます。
「それは違う」とか「普通は〇〇だ」などはNGです。あくまでも子供の感じ方を尊重しましょう。
3.共感
子どもの気持ちをくみ取ったら、言葉にして返すことが大切です。「つらかったね」「心配だね」などと、共感することです。共感とは「、同意」ではなく「理解」することです。
見守る
東京都江東区で長年、生活指導相談をされてきた鎌稲 蔵先生が、教育相談の際、心掛けておられることを3つあげています。
①相談者とは、また会えるとは思わず、一期一会の気持ちで対する。
②後悔をしないように、自分にできる限りのことをしてあげる。
③自分が指導しているなどを思わず、相談者が幸福な生活を送るためのお手伝いをさせてもらっているだけということを忘れない。
その上で、ともかく、相談者の言い分を親身になってじっくり聞いてあげることに努めておられるそうです。
時には、話が何時間にも及ぶことがあり、くたくたになってしまいますが、その中から様々なことが浮かび上がってきて、いつも「子どもの問題は、親の問題」という真理を実感されるということです。
相談者が親を憎んだり、恨んだりしているケースは実に多いのですが、親に感謝することの大切さをそれとなく話すだけで、決して、「こうしなさい」とは言わない方がいいのです。子どもが思い悩んでいたり、行き詰まったりした時、親や教師は、つい、「こうしなさい」「ああしなさい」と、強いてしまったりするものですが、そんな場合も、子どもの自尊心を傷つけないように気をつけ、子どもが自ら納得して、正しい方向に「こうしたい」と言い出すまで見守ってあげることが大切なのだと思います。
教育相談のコツ・・・それは、子どもが「こうしたい」と言い出すまで見守ることです。
教育相談の進め方のコツ
1.「オープンクエスチョン」を使う。
「オーピンクエスチョン」とは、Yes or Noで終わらない質問です。
例 ×「学校は楽しいですか?」
○「学校ではどんなことが楽しいですか?」
2.要約して確認する。
話を整理して返すことで、理解を深まります。
例 「つまり、朝がつらくて登校が難しいということだね」
3.沈黙を怖がらない。
子どもが考える時間を尊重し、無理に話題を埋めないようにします。
4.責めない、安心させる。
特に、保護者対応の場合、保護者は既に悩んでいることが多いのです。絶対にこれまでやってきたことを責めてはいけません。
例 「ここまでよく対応されてきましたね。」
5.学校と家庭を対立させない。
学校と家庭は敵対関係にあるのではありません。互いに連携・協力し、「一緒に支える」というスタンスが大切です。
6.否定しない。
学校と家庭は敵対関係にあるのではありません。互いに連携・協力し、「一緒に支える」というスタンスが大切です。
7.言葉以外も見る。
本音は言葉に出にくいこともあります。表情を読み、沈黙を大切にし、姿勢から本音を知ることが大切です。
8.すぐに解決しようとしない。
解決に向かうためには、まず「安心」させ、問題を「整理」し、「対策」を一緒に考え
ます。決して、すぐに解決しようとしてはいけません。ただ、長時間に渡って相談を受けるのは避けなればなりません。時間はきちんと守り、次の機会を早めに設定して回すようにします。
9.小さな目標を一緒に作る。
いきなり大きな改善を求めてはいけません。
例 「まずは週に1回だけ登校してみませんか。」
10.専門職と連携する。
必要に応じて、スクールカウンセラーや医療機関、福祉関係者と連携して取り組みます。
カウンセリングのテクニック
①カウンセリング・マインドを持つ。
⇒その際、自分のマインド(心)にとらわれず、相手のマインドを認めることが重要であ る。認めることによって、相手に「セルフ・エスティーム(自尊感情)」ができる。
②信頼関係を作る。
③共感する。≠同情
④守秘義務
⑤積極的傾聴
⑥関わり行動(アイコンタクトなど)
⑦誘発と質問(オープンエンドな質問)
⑧反映と明確化
⑨要約する。
⑩正当性を認める。
