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3-3 教頭の役割

タイトル 3-(3)教頭の枠割
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「キーワード」を浸透させよ。

(1)教頭は職員室の担任

 ・職員室のムードメーカーとして、人間関係の調整にあたります。

 ・健全な職場環境の構築を図ります。(不祥事の防止,心身の健康確保)

 ・教職員の意欲を引き出し、校長の意を介して指導・助言・相談にあたり、教育活動の活性化をはかります。気負いすぎることはありません。ゆっくり、しかし、急いでスタートすればいいのです。

(2)教頭はいつも、明るく、若々しく、上機嫌であれ。

 ・自分が思っているより、職員から見られているものです。

 ・「ためいき」「舌打ち」「ひとりごと」は、ご法度です。

(3)職員個々と話せ。

 ・影響力を自覚しましょう。職員室を明るく温かく健康的に,気を配りましょう。

(4)まず、子どものことを考えよ。

(5)常に勉強せよ。

 ・素直に! 知ったかぶりはしてはいけません。

(6)陰口の仲間入りをするな(職員の悪口は絶対に言わない)。

 ・教頭は、どんな意見にも前向きに取り上げる義務があります。誹謗中傷を相手にしてはいけません。

(7)来訪者を大切に。

(8)あいさつを忘れるな。約束は守れ。「孤独」を楽しめ。

(9)人を褒めよ。喧嘩すな。(口論して言い負かしはしない方がいいでしょう。)

(10)若い人を育てよ。(性善説を貫く。)

(11)校長を心配させるな。(教頭は私人ではない。)

(12)「ゆとり」と「ユーモア」をもとう。

 ・「忙しい」を口癖にしていると、チーム内に不安が生まれます。いつでも暇をよそおう教頭でありましょう。

(13)教頭は常に自らの人間力を培うものである。完璧であろうとしない。

 ・教頭は、全ての情報のトップダウンとボトムアップのキーマンとして、コミュニケーションの円滑化を図ります。

 ・学校経営方針や校長の意向の説明と、職員の希望・」要望・意見を整理し、校長へ報告します。

 ・校外の機関、問い合わせ、クレームについては、誠実に対応します。

 ・他機関との折衝・渉外にあたり、校長に報告し、指導・助言を仰きます。

教頭備忘

(1)学校データを常に手元にもっておきます。

 □所在地 □電話番号 □FAX番号 □メールアドレス 

(2)校内外の関係ある連絡先を携行しておきます。

 □職員 □PTA □委員会 □関係機関 □児童生徒情報

(3)ホームページや一斉連絡などは、どこにいてもできる状態にしておきます。

<参考>

アメリカの教育者、ウィリアム・アーサー・ウォードが、

と述べています。

 これを置き換え、

良い教頭は、説明する。
優れた教頭は、自らやってみせる。
そして、偉大な教頭は、心に火をつける。

教頭の仕事の具体

1.地域・保護者の把握

□PTAや地域の有力者 

□自治会・協議会 

□学校運営協議会(コミュニティスクール)

□地域行事 ⇒可能な限り、顔を出しましょう。

2.職員管理

□職員の現状把握

 年齢構成、勤務状況、学歴・職歴、免許状、家庭環境、通勤経路etc.

特に注意が必要な職員

□過去の学校の事件・問題・処分事案等の把握

□関係職員の把握

 加配教員、スクールカウンセラー、ALT(アシスタント教員)、学生スクールサポーター、学校図書館アドバイザー、初任研などの指導員、学校支援員、多文化共生サポーター、支援ボランティア、部活動などの外部指導員etc.

3.児童生徒管理

□実態把握

 児童生徒人数、健康状態(既往歴)、家庭の状況(ひとり親家庭・兄弟姉妹・経済状態etc.)、保護者の職業(特に、学校関係者、医療関係者、警察関係者)など、データで実態を把握しておくことが重要です。

□電話対応(不審電話対等)

□学力状況と課題

□進路状況

□非常時対応(自然災害)・防災関係(地震・津波災害への対策)

□学級閉鎖(臨時休業)対応

 ・まず、何よりもインフルエンザなどの流行のないように、事前措置を講じることです。

 (予防接種のサジェステョン(生徒に強要は不可), 換気・手洗いの励行,情報,etc)

 ・欠席数の把握と早急な対応

  ・委員会・給食関係への連絡

  ・教師への共通理解

  ・保護者への連絡(文章・ホームページ・緊急連絡)

  ・生徒への指導(課題等)

  ・近隣校への連絡

4.校教育・教育課程管理

□教育計画

□学校基本調査

□チャイム調整

□時間割

5.学校行事

□儀式的行事

 ・入学式、卒業式では、案内状の配布、祝詞・来賓の確認などに気を配ります。

□文化的行事

 ・文化的行事には、保護者だけでなく、地域の方へも案内を出し、可能な限り、来校して参加してもらうように努めます。

□健康安全・体育的行事

 ・体育的行事には、保護者だけでなく、地域の方へも案内を出し、可能な限り、来校して参加してもらうように努めます。

□遠足・集団宿泊的行事

 ・野外活動や修学旅行などの様子は、なるべくリアルタイムでホームページなどを活用し、公表するようにします。

□勤労生産・奉仕的行事

□その他

 ・入学説明会では、新しく入学してくる保護者、児童生徒だけでなく、業者との打ち合わせ(見積もり合わせ)や前学校との連絡・引継ぎなど、多くの事務が必要です。教頭が先頭にたって、立案・計画するようにします。

 ・部活動など、児童・生徒の課外活動についても把握しておきます。

 ・大きな大会には、可能な限り、応援に行きます。

 ・特に、自校会場の場合は、事故・トラブルのないように、観察・指導も必要です。

6.事務・会計管理

□事務職員との人間関係の構築、報告・連絡・相談の徹底

□公費・準公費の管理

□業者の把握

7.施設・設備関係

□管理員さんとの良好な人間関係の構築、報告・連絡・相談の徹底

□鍵の管理

□廃棄物・ゴミ処理関係

 可燃ごみ,資源ごみ,粗大(不燃)ごみ,直裁・剪定ごみ,産業廃棄物,

 ・紙ごみ(段ボール・新聞・雑誌・シレッターのごみ)や機密文章

□プール管理

□工事関係

□修繕・修理関係

□消防・防火設備

 ・年度初めに、消防署に、防火管理者報告、マニュアル、消防計画書を提出します。

 ・防火管理者は、基本的に管理職が講習を受けてなっておきます。

□電気設備

□防犯カメラ・防犯モニター

8.学校保健・安全管理-

□養護教諭との良好な人間関係の構築、報告・連絡・相談の徹底

□安全対策

□職員・児童生徒の健康管理

9.研修・会議

□職員研修の計画・実施

 ・情報・セキュリティ研修

 ・クレーム対応・電話応対

 ・体罰研修

 ・職員の道徳・倫理観向上研修

□会議の計画・運営

 ・職員会

 ・運営委員会(企画委員会)

 ・PTA関係

 ・主任会

 ・児童生徒指導連絡会

10.職員厚生

□職員旅行

親睦会

□同窓会

□冠婚葬祭関係

 ・訃報

11.緊急時対応

□委員会連絡

□役所関係連絡

□近隣の学校への連絡

□その他  

 ・プールへの入水時は?  

 ・犬・猫・鳥の死骸処理は? 

 ・ハチ対策は? 

 ・動物(イノシシ・アライグマなど)の被害届・対応策は?

 ・放置自転車対応は? 

危機管理対応の「さしすせそ」

・・・最初のひとこと

・・・慎重な応答

・・・推察の危険

・・・誠意ある態度

・・・組織一丸の姿勢

緊急対応の「さしすせそ」

・・・最悪のことを考えて 

・・・慎重に

・・・素早く

・・・誠意を持って

・・・相談して

予防の「さしすせそ」

・・・些細なことでも記録

・・・情報の収集・活用

・・・すでに起きた事例の共有化

・・・精通すべき法律知識

・・・組織の危機管理意識向上

※教頭の一日

教頭は、おそらく、教職員の中で一番、多忙です。ある程度、「ルーティーン」を作っておくことが必要でしょう。

〇出勤

 ①開錠

 ②校内内外の見回り・清掃・換気

 ③新聞・郵便物回収

 ④メール・ホームページ確認

 ⑥電話対応

 ⑦挨拶指導

〇校長への連絡・相談。

○朝の係打ち合わせ

○職員朝礼

 ・大きな声で、爽やかな挨拶を心掛ける。まずは、教頭から・・・。

 ・できるだけ短時間で。

 ・前日、生徒指導等で遅くなった学年があったら、「○年生の先生方、昨日は遅くまでありがとうございました。」など、労いの言葉掛けを。

○午前中には、校舎内の見回り、授業・集会・ホームルームの様子を観察する。

○来校者対応は、丁寧に。

○電話は率先して取る。

 ・話し方、対応の仕方は、職員が聞いている。見本となるように。

○書類作成・提出物の期限は絶対におくれないようにする。

○郵便物は、夕方にも回収しておいた方がよい。

○ホームページは、こまめに更新

○下校後、校舎の鍵閉め・学校日誌・職員連絡板の記入

○施錠チェック

校長との関係

□教頭は校長を補佐する立場です。私的な発言は禁物。教頭という立場で言動をすべきです。職員や保護者の前で、校長批判をすることは、(たとえ冗談であっても)あってはなりません。

【根拠】学校教育法 第三十七条の七

 「教頭は、校長(副校長を置く小学校にあっては、校長及び副校長)を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる。」

 ※「助け」るとは、校長の職務を補佐すること。

 ※「整理」するとは、整理すること。

□校長の考え方、性格をよく理解し、敬意を持って接します。

【根拠】学校教育法 第三十七条の八

 「教頭は、校長に事故があるときは校長の職務を代理し、校長が欠けたときは校長の職務を行う。この場合において、教頭が二人以上あるときは、あらかじめ校長が定めた順序で、校長の職務を代理し、または行う。」

教頭心得(一般論)

(1)基本心得

・この学校を背負っているという気概、「自分の学校」だという愛情を持つこと。

・学校課題、地域の実情、生徒の特質・実態、保護者の意向などを常に把握しておくこと。

・行事や教育活動について、地域や保護者の支援・協力を受ける上で、学校のPRが大切である。学校便り、PTAだより、報道機関の活用などを積極的に行う。

・自分の信念を堅持し、特性、持ち味を生かすこと。(前任者と違うのは当然)

・管理職と同じ見識や力量を教職員に求めるのは無理である。教え、育てる姿勢に努める。教頭が自分でやるのは、教員が育たない。指示・指導して待つことが大事である。

・教職員の公務上の過失、失敗は教頭の責任、指導不足と理解する。

・功績は校長・教職員に譲ること。校長をたて教員を思って行動すれば、自ずと教頭自身が評価される。

・常に公平、誠実であること。身辺をきれいにし、公私混同は避ける。

校長、職員の健康状態を把握しておく。(教職員の家族への配慮も忘れない。)

・報告文書は期日に遅れないこと。早めに提出する。

・外部に提出する文書は、必ず目を通し、書式、文章、誤字・脱字の有無に留意すること。

・事故・事件の発生を予測し、いかに対応するかという心構えを常に持つ。(マスコミヘの対応は要注意)

・発生した場合はその内容は勿論、指示・対応等についても記録すること。

・公文書、外部からの文書、校内の会議資料、部会資料、配布文書等もきちんとファイルしておくこと。

服務・勤務に関しては、「常識・慣例」で発言せず、法律・規則・条例を踏まえて行う。

・教頭会などを利用し、近隣の学校との情報交換を心がける。

・校内を巡回し、授業の様子、生徒の動き、施設・設備の異常・破損などを確認する。

・管理上の問題に直面したときは、法的な根拠を調べておくこと。

(2)対校長心得

・校長の方針、考え方、性格をよく理解し、その補佐役として、誠実かつ敬意を持って接し、管理職・教員の先輩として学び取る姿勢が基本である。

・連携を密にして、一心同体の姿勢を貫く。

・校務の最終責任者は校長であることを忘れない。

校長の補佐役に徹する。

・校長の意図、意向を正確に読みとり、できれば先取りの形でその実現に努める。

・自分の考え方と異なっても、明白な間違いでない限り校長に従う。

・意見具申は積極的に行う。但し、固執しないこと。例えば「校長先生がこんな風に指摘されていましたが・・・」などと、校長をたてた言い方をすれば角が立たないし、受け入れられやすい。

・教職員・保護者等に対して校長批判は絶対にしない。

・教職員と安易な妥協はしない。「教頭は悪役だ」という姿勢も必要。譲ることがある部分は校長にゆだねる。

・校内の職員、生徒の主要な動きはすべて校長に報告する。

・一日の日程は管理職の朝の打合せで必ず確認する。その週(次週)の予定も。週始め(週末)に確認しておく。

・各種会合、集会、大会等の校長の役割、出番は当日改めて校長に念を押す。

・校長から指示された事項は、処理後必ず報告する。

・分掌の決定事項、決済文書等は必ず目を通し、不明瞭な点は確認し、ミス等があれば、係、担当者に訂正させ、教頭として納得した上で決済を仰ぐ。

・出張等のため校長が不在になる間については、校務処理、主な出来事、教職員の動向などについて、報告書(簡易なものでよい)を作成しておき、必ず校長に報告する。

・校長室への出入りは正装と心がける。教職員にもそのように指導する。

・校長宛の私文書、親展文書は決して開封しない。(出張等の場合、特に指示があれば親展文書を開封することがある。)

・校長の電話中は入室を控える。電話が掛かってきた場合は退室する。

・来客の場合、校長の許可がない限り同席しない。

・特別の理由のない限り、校長よりも早く出勤し、校内を巡回する。退勤も校内の異常の有無を確かめてから行う。

・連休、長期休業中は、校長の動静を先に確認してから、自分の行動(年休、私事旅行等)を考える。

(管理職がすべて勤務地にいないような状況は避けるのが望ましい。)

・校務の処理についていかがしますか?」は禁句。「このようにしたいのですが・・・」,「こうしようと考えていますが」等、教頭の考え方(概要)を示して判断を仰ぐ。

・管理職の打ち合わせ、または校長と話すときは、指示があるまで着席しない。また、校長が職員室の教頭席に来て話すときは、立って聞くことが望ましい。

・教頭の出張、教頭会への出席の有無などは、校長の了承を得てから出張伺いを提出したり、回答したりする。

・出張から帰ったら校長への報告を忘れない。(複数日以上の場合は帰った時点で連絡する)

・校長不在時の生徒や職員の事故、問題行動については、緊急性、重大性、波及性を見極めて連絡し、指示を仰ぐ。

・職員会議での答弁は、できるだけ教頭が、校長の意を体して行い、校長の直接の答弁は避ける。

・人間同士なので、校長との相性が悪いと言うことは起こりうる。校長の考え方、性格などをよく理解して、敬意を持って接すること。

・校長は管理職としても、教員としても先輩であり、その考え方や意見を積極的に聞き、学んでいこうとする姿勢が大切である。

(3)対事務長(事務・労務)心得

・校務運営を円滑に進めるために行政との連携、意志疎通が不可欠である。

・事務長は行政職員を束ねる立場にあり、教頭とは同等であると心得る。

・事務に関しては原則として干渉せず、必要があれば事務長を通して行う。

・教育に直接かかわる物品の購入については、教員の希望を尊重するべきだが、その際も事務の意向を確かめて行う。

・教員の出張については、校長の意向を確認した後、事務長からの旅費の支出見通しを得て内定する。

・出勤簿の整理は本来事務長の職務だが、実務上は教頭が代行している場合が多いので留意し、教員に押印などの指導をする。

・事務長とは常に十分な意志疎通を図り、二人三脚の姿勢を保つ。

・決裁文書は可能な限り早く処理し、事務関係の書類は事務に戻す。

・事務に仕事を依頼する場合は、「お願い」の形で謙虚に行う。

・教育職にある者は、どちらかというと事務的なことに弱いので、不明な点は事務長に率直に尋ねて、正確を期す。

・事務職員、労務職員(夜警員、ボイラーマンなども含めて)などは大切な裏方、日常的にコミュニケーション、親交を深め、良好な人間関係を作るよう配慮する。

・施設設備の補修など、管理員さんの手を煩わすことも少なくない。感謝の気持ちを失わない。

(4)対教員心得

・「人間的にはあたたかく、仕事にはきびしく」が基本である。

感謝の気持ちを忘れない。儀式、行事の終了後などには必ずねぎらい、礼を述べる。

・公平で、毅然たる態度を保つ。

長所を認め、あげた成果には賞賛を惜しまない。よいことは、小さなことでも誉め、励ます。「自分はきちんと評価されている」「期待されている」という実感を持たせる。

言うべきことは勇気を持って言う。但し、タイミング、言葉遣い、場所柄に配慮する。

・生徒の動向や主要な校務の処理状況は必ず報告させる。(報告・連絡・相談が鉄則)

・重要な報告または報告者の功績に帰せられる事項については、校長室へ同行し、本人から校長へ報告させる。

返答・回答を求められたときは、(簡易なことを除き)可能な限り即答を避け、問題点、疑問点の指摘にとどめ、考える時間を確保する。

即答を求められた場合は、(内容によるが)否定的な姿勢を見せておき、「校長と相談してから…」と言い添える。教頭が「Yes」といい、校長が「No」では、経営は安定せず、教頭も信頼を失う。

・難しい問題については、主要な部署にいる者(部長など)にあらかじめ根回しをしておく。意見が大きく分かれるような場合、

➀「生徒を生かせるか、伸ばせるか?」

②「教育活動の充実につながるか?」

③「教員はしっかり取り組めるか?」

④「学校は責任を持てるか?」

⑤「予算の見通しはつくのか?」 などを論議の柱に据える。

・対外的な窓口は教頭あることを理解させ、報道機関、地域関係機関、保護者などの対応は教員の独断では決して行わないようにさせる。

・保護者や外部の人に対しては、電話の場合を含め丁寧に応対させる。学校に来た場合は、できる限り、玄関まで見送るなどの姿勢を持たせる。

・校舎、校地内の整理整頓、自分の管理責任となっている箇所の清掃や点検をしっかりさせる。

・生徒の集会には必ず出席させるとともに、PTAの総会・集会などにも出席を励行する。

苦情や愚痴もよく聞く。アドバイスも親切に行う。但し、秘密は守る。

・注意・叱責をするときは、人前を避け、呼び寄せるか、別室で行う。(どんな人間にもプライドがある)

・研修会、研究会、部活動遠征などで出張、生徒引率をする場合は、職員打合せの時に挨拶させる。帰任後も同様。特別な内容、成果があったときは、先に校長に報告させる。

・教員の交通違反・事故の防止については、常に厳しく注意する。生徒への指導等ができなくなる恐れがある。

・諸納金の管理、決算等はきちんとさせる。修学旅行や物品購入業者の選定に際しては学校の決定システムに基づいて適切に行うよう指導する。

・出張の機会はバランスよく、公平に与える。研修会、研究会については年間計画を作成し、公平になるよう心がける。

・部長、主任は、教頭の重要なスタッフであり、その「活用」を工夫し、いかに自主的に動くようにするかを考える。

・一人ひとりの教師の個性、持ち味、特技を尊重し、課題を持たせて意欲的に取り組むようにさせ、各種の研究会で研究・実践発表させる機会を考える。

(5)対行政(教育局等)心得

・相互の連携を密にする。

・報告は正確で、しかも期日を遵守する。(早め対応)

・学校の内部事情の報告等は校長の了解のもとに行う。

・学校の教育活動については、よく宣伝に努め、正しい評価か得られるようにする。

・優れた実践や研究活動等について、教員の対外活動の場を与えられるよう、相談し協力を求める。

・指導主事との友好な関係保持に努める。

・指導主事の学校訪問等に対しては、十分な配慮をして、失礼にならないようにする。

(6)対PTA心得

PTA(特に役員)は、学校の応援団と心得、常に良好な関係を保つ。特にPTA会長、副会長などとは、親しく話が出きるような関係作りに努める。

・地域の実態やPTA会長の考え方等も把握して、PTA活動の工夫をする。

・PTA事業(総会、役員改選、研修会、懇談会、学校行事への協力等)の実施に当たっては、周到な準備をし、なおかつ役員には事前によく理解してもらうよう相談・報告する。

・団体会計の仕組みを熟知しておく。

・役員会等には必ずしっかりとした資料を準備する。(開催要項、議題、説明資料)

(7)その他

児童生徒指導については、生徒指導部や担任の立場に配慮しつつも、積極的に行う。

・対外的な窓口になることが多いので、入学、転入学の事務に精通しておく。

・儀式等の準備(式場、来賓席など)は必ず自分の目で点検し、遺漏のないようにする。

・郡部では、人間関係が入り組んでおり、血縁関係にある者も少なくないので注意する。

・生徒の進路、体験学習などの関係もあるので、地元の市役所、役場、商工会、農協、福祉施設等(その代表、長)との関係維持に配慮する。

・地方では、校長、教頭は「名士」なので、言動、服装等には十分注意する。

・引継に当たっては、次の教頭がスムーズにスタートできるように、文書、資料の整備、その学校における校務の進め方、慣習などについて、詳細に記録して残す。

 ・教頭の役割、業務は多様・多岐にわたっており、地域・保護者との連携、教員や生徒の指導も含めて極めて激務であるので、心身の健康保持に十分注意し、趣味、旅行などの「息抜き」できる場を持つことも重要である。

・同時に、「自分が校長ならば・・・」というような問題意識、経営意識を常に頭に置いて、直接の上司たる校長の指導・助言を積極的に仰ぎながら、次のステップへと進む心構えを養うことが重要である。

教頭心得(校長が望むこと)

1.校長の補佐に徹する。

(1)校長の経営方針をよく理解する。これには時間をかけて話し込むことで理解できる。理解できるまで話し込むことが必要である。

(2)校長の方針がうまく具現化するように、校長と教職員の間の調整をする。組織のチーフに指示を伝えるのが最も筋であるが、教員組織には、「影の支配者」のような意外な人が教員全体の気分を醸成していることがある。それが、組合の幹部である場合もあるし、そうでない場合もある。そういうことを踏まえて、チーフ以外に誰に指示をすれば最も効果的に組織が動くのかなどを考えてほしい。

過去、私が経験した学校では、「影の支配者」を見つけるのに何年もかかったことがある。はっきり言ってその人が転出してから職場の空気が一変し、そこで気がついたこともある。日頃から教員をよく観察していることで、「影の支配者」を発見できる。それをみつければ、組織を動かしやすくなる。私は、とにかく、一切根回しをせず正面突破を力ずくで図るタイプなので、かなり体力を消耗する。「影の支配者」を発見しても、私は一切根回しはしない。

(3)校長に意見具申をする。校長は決断をするが、教頭と意見を交わすことで内容がより現実性を帯びていくものである。教頭は校長の相談相手として、十分に意見を述べてほしい。

(4)教頭は、教員の頭ではない。校長の補佐役である。ときには、校長の方針を教員に説明・説得することも必要となる。以前、教頭研修会で、自分は教員の代表で、教員の気持ちを代弁して校長に伝える立場だと公言する人がいたが、勘違いも甚だしい。教頭は組合の分責ではないのである。

(5)職員会議にあたっては校長の方針をよく理解して、しっかり発言すること。校長の倍はしゃべる気で。校長の提言に落とし所はあるのかないのか、あるとすればどこか、などを校長と綿密に打ち合わせて理解しておくこと。

2.校務の整理をする。

(1)校長が意思決定しやすいように資料等を常に整理しておく。特に次年度生徒数調査などはすぐ出せるようにしておいてほしい。

(2)校長と教職員の間の連絡・調整、教職員間の調整を行う。教頭は、教育課程の管理を行う。現場主義を徹底し、現場をよく見ておくことが大切である。

(3)教員を育てる。嫌いな教員、苦手な教員を絶対に作らないこと。教員全員を好きになり、一人ひとりの教員理解に努めてほしい。

校長は組織全体を維持する観点から、組織維持に気持ちがいってしまって、一人ひとりの教員理解は二番目になりがちである。その結果、冷徹にふるまうこともある。教頭は、しっかりと一人ひとりの教員理解を進めてほしい。そして、授業や道徳について励ましたりアドバイスしたりしてほしい。

また、各分掌から相談があることもあるので、適切なアドバイスをする。できるだけ、教員のやりたいことを生かしながら、校長の教育課程編成方針から逸脱しない方向を探る。また、教員の健康管理などをしっかり行う。

各家庭にそれぞれ色々な事情があるので、可能な限りそういうことも把握しておくこと。

(4)出張の文書が来たら、当該の本人に紙ベースで伝えること。同時に自分のダイアリーに出張の日や場所、参加する教員名を書いておき、当日本人が忘れているようなら朝に声をかけること。教員の出張管理は教頭の仕事であると心得ること。

3.その他注意しておくこと

(1)時には教職員に対して壁となって校長の方針を徹底することもある。教員の抗議や疑問を顔面でうける覚悟がいる。

校長を苦境に立たせない。校長が苦境に立つと判断を間違う可能性が出てくる。

(2)教頭には、生徒のこと、教員のこと、地域のこと、PTA のことなどすべての情報が集まる。それらを遺漏なく校長に報告すること。報告、連絡、相談は欠かさないように。特に保護者がからむことで、保護者から校長指名で電話があった場合、校長は「知りませんでした」とは言えない立場なので、報告や相談は絶対に欠かさないようにしてほしい。

(3)教頭は、校長の指示の元、教員に指示を行うことができる。簡易なことは教頭の判断でよいが、校長の指示を仰がねばならないこともあるので注意すること。

特に、教員に質問されたときには原則として即答しないこと。一度言ってしまって、校長の判断とちがった場合には、管理職のぶれとして教員から不信を買うことになる。必ず、「校長と相談する」、と返答する。

(4)教頭は校長の命綱である。自覚を持って校長を支えてほしい。

(5)学校の雰囲気を作るのは教頭である。教頭の席は教員全員を見ることができるが、同時に、全員から見られている。暗い顔をしていると士気にかかわる。元気でいてほしい。どうしても疲れた場合は、校長室や更衣室で休むのも一つである。

(6)送られてきた掲示物やポスターはすべて貼る必要はない。緊急のものなどを自ら判断して貼る。

また掲示物は、期間がすぎたらどんどんはがすこと。数年前のものが貼られていたこともあり、学校がいかに沈滞しているかの証明となる。どんどんはりかえて、新陳代謝の活発な学校にすること。

(7)教員は全体に若いので、熱意があるが、時には突っ走る傾向にある。教頭としてよく見ていて適切な指導・助言を行うこと。

(8)校長・教頭は「筋」しか言わないものだと心得てほしい。「まあええやん」という判断はまずないと思っておいてほしい。

(9)毎朝1時間目にうちあわせを行う。そのときに報告や相談があればしてほしい。緊急時はこの限りではない。

(10)教頭は事務が多いが、てきぱきとこなすことが必要である。あいた時間は校内をまわってもいいし、授業をみてもいい。

(11)毎日の文書の整理は、立って行った方が早い。すわってしまうと、ファイルをリアルタイムで出し入れできない。立ってやれば、ファイルが即出し入れできるので早く終わる。文書の処理能力の早さを教頭の「売り」にしてほしい。

(12)日常では人権に十分配慮した発言をすること。管理職の不用意な発言は非常に重いものとなることを自覚しておくこと。

(13)教頭は教員時代のように教員と無条件で仲良くできるものではない。教員から見てある一定の境目は厳然としてあることを自覚すること。

(14)教員を見ていて気がついたことや、まずいこと、うまくいったことなどは、よく見ていて、校長に報告すること。

(15)指導要領や法律に精通していてほしい。時間があれば自己研鑽を。

(16)地域の会議は、教頭がでるものもけっこう多い。教頭は地域協の事務局会議、地域協やPTA 行事の打ち合わせ等、(土)に出勤することが月に何回かあるので、そのつもりをしていてほしい。

(17)本校は、何もなければ、校長も職員も早く帰る。教頭といえども、仕事がすめば早く帰ったらよい。(何もなければ6時半頃までには) 遅くまで残る職員につきあう必要はない。

(18)地域や他校に出ていく場合は、教頭は校長の代理であるので堂々としていてほしい。地域に出る時は本校のトップとしての自覚をもって行動してもらいたい。

(19)教員・地域に対しては、絶対に校長批判や委員会批判を行ってはならない。

(20)保護者への対応は、担任の次は生指主事、次は教頭、最後が校長である。教頭として、保護者への対応にあたることもあるのでその自覚を。

(21)休みが続いたりして、校長と教頭が長期間顔を合わさないことがある。そういう時は、お互いの考えや思いに「ずれ」が生じることが多い。その時は初めに顔を合わせたときに、打ち合わせを綿密に行ってから動くこと。ずれが生じたままで決して動かないこと。

(22)校長と教頭は二人三脚である。校長と教頭の間に方針の違いがあれば、教員はすぐに察知し、迷ったり抗議したりする。管理職は常に同じ方針で一体となって動くことが大切である。その方が教員も働きやすいのである。校長と教頭がうまくいけば、その学校はうまくいくものである。

(23)管理職の極意は、丈夫で長持ちである。健康管理には十分気をつける。

(24)教頭はストレスがたまりやすい。私的な時間をうまく作って気分転換をするなど、リフレッシュをしてほしい。

(25)教員に指示や助言を行う場合には、根拠や理由をはっきりさせておくこと。思いつきで言ったり、その時の感情で言ったりすることは自分の首を絞めることになる。言い換えれば、根拠や理由のはっきりしたことしか指示や助言はしないということである。

(26)怒らないこと。怒ってしまうと教員が離れる。冷静に論を尽くすこと。

(27)地域や外来者には、丁寧に対応すること。

(28)危機管理のアンテナは鋭くはること。突風が吹けばゴール転倒の危険性を回避する注意をするとか、雷が少しでもなればすぐに放送で注意を入れるなど、機敏な対応をしてほしい。校長がいる時は校長と相談することもあるが、いないときは教頭が代決する。

(29)教頭は体を動かす仕事であると心得てほしい。事務以外にも校内のあちこちを回って見ておくこと。

(30)ガラスの破損、ドアがけられていた、たばこ等、教員から報告があれば、即座に現場にかけつけて見て確認しておくことは必須である。自分が見ておかないと校長や他の教員に報告するときにあいまいになるから。

(31)前のボードに、毎日休みの職員や出張の職員の名前を書くこと。この部分の管理と学校日誌は教頭の責任範囲である。

(32)出勤簿に押印のない者は、声をかけて注意を促すこと。

(33)提出する文書は提出前に校長に見せること。校務員や管理人の出勤簿関係は教頭に任せる。文書の提出は、締め切りの2、3日前には委員会に届くようにすること。

7年間の教頭経験から実感したこと・学んだこと

最後に、4つの中学校で7年間、教頭職を勤めた経験から実感したこと、学んだことを5つあげます。

「私はこう思う」と前置きして言った言葉でも、教頭の発言とみなされ、まして、それが校長と違う意見であれば、混乱やトラブルを招くのは必至です。基本的に、教頭は、私的な考えを発言すべきでありません。一言の重み(影響力)を自覚しましょう。

教頭の一挙一動は「みられて」います。教頭の言動は、常に評価されています。そのような境遇の中 で人を動かすには、テクニックが必要です。

・理解させるのではなく、相手を理解する。

・命令の代わりに、質問する。

・小さなことに「よかったね」と称賛する。

・相手の心を明るくする。

・人によって態度を変えない。

・人に、夢と希望を与えよう。

・部下には感謝の気持ち、上司には頼み事をする。

・座らずに、歩き回る。

・部下にも『報・連・相』を忘れずに。

・大事なことほど、立ち話で。

・相手の健康を気遣う。

・アクシデントの時にこそ、笑って任せる度量をもつ。

・文章では叱らない。

・教えるのではなく、一緒に学ぶ。

・相手の才能を見つける。

上位2割の富裕層が社会全体の内8割の資産を占めているという「2:8の原則」(パレートの原則)というのがあります。これは職場でもあてはまり、2割の職員が8割の成果をあげていると言われます。3割も動く職員がいたら万歳なのです。

しかし、だからといって、働く2割の職員だけを重宝する職場はよくありません。教職員の一面だけで評価するのではなく、各々、得意な分野で頑張ってもらうようにすることが大切です。

これまで教員時代にやってきたこと、特に、成功した話や功績をあげたことなどを教員に話す必要はありません。教頭の物差しで教員を見れば、「できていない」のが当たり前なのです。教頭だからといって、エラそうにする必要はないのです。むしろ、失敗の体験を話す方が好感を持たれます。

公平さを保つためには、全職員と「つかず離れず」の同じ距離感で接する必要があります。個人的に飲みに行くとか、特別な職員や仲のいい職員を作ることはしない方がいいでしょう。