健康寿命のためには、運動・身体活動を日常生活に取り入れよう!
運動が体にいいとわかっていても、現代社会は、生活が便利になった一方、運動や身体活動不足の人が殆どです。
運動や身体活動は、身体→心→行動→ 会→長期成果の順に効果が波及します。特に重要な起点は、「血流・筋肉・ホルモン」で、これらの効果は、最終的に人生の質(QOL)と寿命に直結します。
健康の維持・増進のために、食事や睡眠と同様のレベルで、運動や身体活動を日常生活に重視して取り入れましょう。
運動・身体活動の効果
運動をすると、身体機能が向上し、身体のコンディションや健康面が改善されます。さらに、運動はホルモンや脳にも作用し、心理面や行動が変化し、社会的つながりも向上するでしょう。
運動・身体活動の習慣ループを、①運動・身体活動(きっかけ)⇒②身体機能の向上(ベース)→③身体コンディション改善→④健康・代謝改善→⑤ホルモン・脳への作用→⑥心理的変化→⑦行動・習慣の変化→⑧社会的効果→⑨長期的成果(最終ゴール)とまとめてみました。

①運動・身体活動(きっかけ)
・歩く
・走る
・ストレッチ・体操
・スポーツ
②身体機能の向上(ベース)
・筋肉量増加
・柔軟性が高まる
・心肺機能の向上
・血流がよくなる
・骨密度の維持・向上
・発汗作用
③身体コンディション改善
・体が軽くなる(軽快に動ける)
・姿勢がよくなる
・ボディバランス向上
・腰痛や肩こり軽減
・怪我の防止
・疲労回復/疲れにくい体
④健康・代謝改善
・ウエイトコントロール(肥満予防)
・血圧低下
・尿酸値改善
・排泄・排尿がよくなる
・食欲増進
・睡眠効果
・免疫力向上
⑤ホルモン・脳への作用
・テストステロン分泌
・スポーツハイ
・マインドフルネス状態
・頭が冴える
・発想力・アイデアが出る。
⑥心理的変化
・爽快感(気持ちいい)
・心の安定(リフレッシュ)
・ストレス軽減
・自己肯定感・達成感
・積極思考
・チャレンジ精神
⑦行動・習慣の変化
・仕事や学習の意欲向上
・禁酒など生活習慣改善
・清潔感が高まる
・積極的な行動
⑧社会的効果(社会的つながりの向上)
・コミュニケーション増加
・仲間づくり
・社会参加の促進
・孤立感の軽減
・対人関係の改善
⑨長期的成果(最終ゴール)
・アンチエイジング/老化防止
・健康寿命の延伸
・要介護リスク低減
・認知症予防
このように、運動や身体活動は「体を変え→脳を変え→心を変え→人生を変える」連鎖を生みます。
厚生労働省では、身体活動が健康づくりに役立つ主な仕組みとして、
1.エネルギーの消費、糖や脂質の代謝の向上が、肥満症、メタボ、2型糖尿病、脂質異常症などの代謝性疾患の予防改善に、
2.正常血圧の維持、動脈硬化の抑制が、高血圧、虚血性心疾患、心不全、脳卒中などの心身疾患の予防・改善に、
3.慢性炎症炎症の抑制、筋力や骨密度の向上が、関越痛、腰背部痛、骨粗鬆症、サルコペニアなどの運動器障害の予防・改善に、
4.認知機能の向上、気分の改善が、うつ病、不安、ストレス、認知症などの精神・神経疾患の予防・改善に、
5.エネルギーの消費、慢性炎症の抑制が、大腸癌、子宮体癌、乳癌など一部の癌の予防につながるとしています。

おススメの運動
ウォーキング
運動の強度を表す単位として「メッツ」(MET: metabolic equivalent)という基準があります。安静時の酸素摂取量3.5ml/kg/分を1とし、その運動で何倍のエネルギーを消費できたかで運動強度を示した単位をメッツとして表します。

ランニングは日常的な歩行の2〜4倍以上の高い負荷がかかるため、効率的な脂肪燃焼や心肺機能の向上に非常に効果的な運動です。
しかし、最近のアシックスの研究によると、ランニングよりも早歩きの方がエネルギー消費が高く、膝下の筋肉の活動量もより多くなるそうです。
(1)早歩き(速歩)
早歩き(速歩)は、通常のウォーキングより高い脂肪燃焼、筋力・心肺機能向上、脳の活性化、生活習慣病予防など、短時間で高い健康効果が得られます。1日合計20分以上、または15分程度、息が弾む「中強度」の速さで歩くのが理想的だそうです。
ランニングの場合は、どうしても膝や足首、股関節などに負担がかかり、障害の原因になります。その点、速歩は、健康維持増進に最適だといえるでしょう。
早歩きには、以下のような効果が認められています。
①新陳代謝の向上
②心肺機能の向上
③骨と関節の強化
④生活習慣病・慢性疾患の予防
⑤老化の遅延
⑥メンタルヘルスの改善
⑦ホルモンバランス ⑧体重増加抑制
ヨーガ行者の成瀬雅春氏が、『速歩のススメ 空中歩行』という本で、効果的な早歩き(速歩)のやり方を示しています、
●速度
早歩きの速度は、普段歩くより2割増しのスピード。「少し息が弾み、鼻歌は歌えないが、なんとか会話はできる程度」の速さが目安です
人にもよりますが、一般的には時速7kmが最適だそうです。時速7kmの目安は、一般に約30mおきにある電柱の間を20秒弱で歩く速さとなります。
▼頻度
1日合計15分〜20分が目安(小分けにしても効果あり)で、15〜20分を週4日以上を実施すると、効果を実感しやすくでしょう。
■注意点
・上半身の力を抜き、そのエネルギーを下半身に持っていきます。
・目的地・行き先を見据え、そこの向かって効率よく歩きます。
・重心を少し下げて、脚幅を広げ、大股で歩きます。
・背筋はまっすぐ伸ばし、腹筋を使って歩くようにします。
・毎日の通勤や買い物の中で取り入れるとよいでしょう。
(2)ナンバ歩き
「ナンバ歩き」というのは、右足と右腰・右肩をほぼ同時に出す動作です。明治以降に取り入れられた西洋式の行進における歩き方とは対極にある手足の動かし方ですが、右手と右足、左手と左足を同時に出すというわけではなく、むしろ、右足と右半身(つまり右腰と右肩)を同時に出す動作です。
急な坂を登るとき、自然と右手を右膝に、左手を左膝に乗せて歩くことがありますが、これはナンバの動きであると言われています。

江戸時代の人はとにかく長い距離をよく歩いていました。江戸時代の全ての人が「ナンバ歩き」をしていたかは不明ですが、今でもナンバの動きは能や古武道などに残されています。阿波踊りの歩き方も「ナンバ歩き」です。
「ナンバ歩き」のメリットは、まず、膝への負担が少ないことです。行進式の歩き方では膝が伸びてかかとから着地するので、着地の衝撃を膝で受けるため、膝に負担がかかります。しかし、「ナンバ歩き」では、膝を少し曲げて足裏全体で着地するので、膝への負担は大きく減り、全体で着地の衝撃を受けることができるので、長時間歩くことが可能となります。
また、「ナンバ歩き」は体幹をたくさん使います。通常の歩行では、つま先で地面を蹴るため、主にふくらはぎなどの小さな筋肉を使いますが、「ナンバ歩き」はかかとを押し出して、肩関節と股関節が連動して動くことになります。大きな筋肉を動かす、つまり広範囲の体幹を使いながら鍛えることができるので、体幹が強くなって効率よくパワーを使うことができ、疲れにくく長時間歩けるようになるのです。基礎代謝もアップするので、ダイエット効果も期待でき、腰周りの筋肉が鍛えられて、腰痛の予防にもなります。
なお、このナンバの動きを使って、2017年に行われた名古屋ウィメンズマラソンで、2時間21分36秒という初マラソン日本女子最高記録をマークしたのが、ワコールに所属していた安藤 友香選手でした。両手をダラリと下げ、両腕を大きく振らず、上下動を少なくしてヒタヒタと走行する独特なフォームで、シドニーオリンピック金メダリスト高橋尚子さんが、これを「忍者走り」と称しました。
江戸時代、昼の「飛脚」と夜の「忍者」は、長く速く走ることができた特殊能力を持った特別な人たちでした。おそらく、「ナンバ走り」を取り入れていたのでしょう。
(3)ポールウォーキング
山道やハイキングコースを安全・快適に歩くため、「トレッキングポール」を使用することがよくありますが、主に平地を安全に効率よく歩くことが出来るよう、グリップ・先ゴム(石突き)などに工夫がなされた「ウォーキングポール」というものがあります。
その「ウォーキングポール」を使った歩き方には、大きく2種類の方法があります。
ポールを体の前に突く「前方スタイル」という歩き方をする「ポールウォーキング」と、ポールを体の後ろに突きながら歩く「後方スタイル」という歩き方をする「ノルディックウォーキング」です。
ノルディックウォーキングは、もともとクロスカントリースキー選手のトレーニングとして使われていたものなので、両者には、歩き方、効果、ポールに大きな違いがあります。「前方スタイル」で歩く「ポールウォーキング」は、足腰の負担を軽減して歩けますが、「後方スタイル」で歩く「ノルディックウォーキング」は、運動量が多くなります。
また、「ポールウォーキング」は、手を横から差し込み、握るだけですが、「ノルディックウォーキング」は、ストラップに手をしっかり固定します。腕を後ろに振った時に手を離して、前に戻した時には握るという少し難しい使い方をします。
さらに、地面につく先端部分(先ゴム)の形状に大きな違いがあります。「ポールウォーキング」に使うポールは、接地面が丸くなっていて、360度どこでも突いて歩けますが、「ノルディックウォーキング」に使うポールは接地面が斜めになっていて、後方に突いた時にしっかり接地するように作られています。

「ポールウォーキング」には、次のようなメリットがあります。
①筋肉のバランスがとれて正しい姿勢になり、見た目がすぐに若返る。
②歩幅が広がり、肩甲骨もしっかり動き、ふつうのウォーキングの1.5倍の運動効果がある。
③ゆがみや血流不足からくるひざ痛、腰痛、肩こりなどの解消に効果的。
④骨盤周辺の大きな筋肉をはじめ全身を大きく動かすのでやせて、くびれができる。
⑤ポールを使うことで基底面(体を支える土台)が広がり、転倒しにくく、安全。
⑥リハビリ中の人でも起立、歩行の安全性が確保しやすく、運動機能の改善が可能。
⑦骨粗しょう症の予防改善に効果的。 ⑧家の回りや街中ですぐにできる。
一方、「ノルディックウォーキング」の方は、ポールウォーキングよりさらに全身の筋肉をたくさん刺激します。また、普通のウォーキングよりエネルギー消費量が約20%も増加します。つまり、体力づくり、スタミナアップ、減量などにとても効果的です。また、上半身もしっかり使うので、肩や首のコリの解消、肩甲骨の可動域の改善にも有効です。
(4)コグニサイズ
コグニサイズ(Cognicise)とは、国立長寿医療研究センターが開発した、運動(Exercise)と認知課題(Cognition)を組み合わせた認知症予防プログラムです。足踏み等の軽い運動をしながら、計算やしりとり等を同時に行うことで、脳と体の機能を向上させ、認知症の予防・発症遅延を目的としています。
考え事やおしゃべりを含め、頭を使いながら運動する(二重課題運動)と、前頭葉が活性化し、加齢に伴う望ましい行動選択、判断、長期記憶の保持の低下が抑制されるとされています。
コグニサイズは、マインドフルネスウォーキングの対極にある考え方で、歩きながら、計算をする、しりとりをする、川柳を作る、数を数え、7の倍数で手を叩くなどの動作が考えられます。
(5)万歩計より携帯アプリ
一日何歩歩けばいいのでしょうか。
これには諸説あり、10.000歩が目安だという見解もあれば、7,000歩でいいというものや、歩けば歩くほど効果があるという説まで様々です。
一日どれくらい歩いているのかを知るには、万歩計というものがありますが、最近は携帯を持ち歩いていれば、歩数が図れるアプリがたくさんあります。しかも、アプリによっては、歩いた分だけポイントが加算されたり、無料で商品がもらえたりするものもあります。
私のおススメは、コカ・コーラ公式アプリの「Coke ON(コークオン) 」です。


筋トレ
「人は足から歳をとる」と言われますが、睡眠や食事と同じように大切なのが筋トレです。
人は何歳からでも筋肉は増強します。特に大腿四頭筋(太ももの筋肉)のトレーニングは膝痛にも有効で、歩くことの必須条件ともいえるでしょう。
筋トレのやり過ぎは弊害を生みますが、細かい条件よりも続けることが重要です。筋力、骨格筋量は、24週間(6か月)で効果を失うといわれています。食事で十分なタンパク質摂取をしながら、筋トレを日常生活に取り入れることが大切です。
筋トレの効果
・基礎代謝量が向上し、太りにくい体を作ることにつながる。
・成長ホルモンが分泌され、骨・筋肉が作られるとともに、脳の疲労回復が早まり、
病気への抵抗力をつく。
・脂肪燃焼と筋肉をつけるという両面からボディメイクにつなげることができる。
・毛細血管が発達し、全身の血行が良くなるので、冷え性やコリが解消する。
・セロトニン(=幸せホルモン)が分泌され、気分がリフレッシュし、ストレスが解消されやすくなる。
・ストレスによる交感神経の活動が減らされ、メンタル強化がなされるとともに、ストレスへの耐性が向上する。
・テストステロンの分泌量が増え、睡眠、精神状態(向上心)、意欲(やる気)、認知に好影響を与える。
・ドーパミンが出て、テンションが上がり高揚感が出るので、仕事や勉強にポジティブに取り組むことができる。
・サルコペニア(加齢に伴う筋委縮)の進行を抑え、QOL(Quality Of Life:生活の質)に大きな影響を与える。
・運動中に骨格筋から血中に分泌されるIL-6が炎症を抑制し、骨格筋での脂肪分解、肝臓での糖代謝に関連して、全身の脂質・糖代謝を促進する。
・BDNF(脳由来神経栄養因子のタンパク質)の加齢による減少が抑えられ、学習記憶向上、食欲抑制、うつや認知症の予防、メンタルの安定に効果がみられる。 ・ジムなどに通えば、職場や家庭以外のコミュニティが広がる。
トレーニングの5原則
トレーニングをする時は、次の5つの原則があります。
①さあやるぞという前向きな心構えをもって意欲的に行う[意識性]
②発育発達段階を考慮して心身のバランスのとれるように、全面的・多角的にトレーニングをする[全面性・多角性]
③単純(容易)なものから複雑(困難)なものへと行う[漸進性]
④個人に合ったものを行う[個別性]
⑤途中で辞めずに何度も繰り返す[継続性・反復性]
これらの中でも、特に①意識(自覚・意欲)性が重要です。例えば、腕立て伏せをする時でも、「今、これだけ腕立て伏せを行えば、ここ(上腕三頭筋や大胸筋)が鍛えられ、このことがスポーツをする時にも、私の人生においても役立つのだ」と信じて行うのと、いやいやながら腕立て伏せをさせられるのとでは、トレーニング効果は10倍の差が出るそうです。常に前向きに積極的に物事を考えると、人生も10倍充実するでしょう。
水泳・アクアトレーニング
水泳は、重力が普段の生活の1/6で水の中で体を動かすことができるスポーツです。30分の水泳は最大350kcalを消費し、運動強度は陸上の1時間に匹敵します。温水プールで活動されることが殆どなので、天気や気温に影響されずに運動ができ、運動量のコストパフォーマンスの高いスポーツと言えるでしょう。
水泳のメリット
1.浮力によるメリット
(1)リラックス効果でセルトニンやβ-エンドルフィンが分泌され、ストレスが軽減される。
(2)水中でのバランス維持により、体幹腹の強化に繋がり、姿勢(猫背)が改善される。
(3)柔軟性が高まり、関節等のけがのリスクが低い。
(4)「空間認知能力」を高まり、特に「ゴールデンエイジ」の子供の脳の発達に効果がある。
2.水圧効果
(1)水圧と有酸素運動により心肺機能(呼吸筋)・循環器系機能が向上し、VO2 Max(最大酸素摂取量)の向上、肺活量アップによってスタミナ(全身持久力)がつき、バテにくくなる。
(2)水流によるフラッター効果で血流がよくなるので、むくみが解消し、肩こり、腰痛、多発性硬化症などの痛みが軽減する。
(3)肌艶がよくなる
3.メンタル効果
(1)水中でのリズミカルな動きのマインドフルネススイミング(瞑想効果)により、リラックスするスキルが向上し、人生に 対する熱意や自己肯定感が高まるなど、メンタルヘルスの向上につながる。
(2)低負荷エクササイズにより、リハビリに最適で、喘息患者、うつ症患者、認知症患者にも効果が期待される。
4.フィジカル効果
(1)消費カロリーが多いので、体脂肪が燃焼し、ダイエット・体重コントロールができる。
(2)筋トレ効果(等速性収縮)でボディが引き締まり、基礎代謝が上がる。
(3)副交感神経が優位になるので良質の睡眠をとることができる。
(4)新陳代謝がよくなり、腸内環境が整い、便通がよくなる。
(5)体温調整機能が高まるので、冷え性が改善し、風邪をひきにくくなる。
(6)高血圧の改善につながる。
(7)生活の質(QOL)の向上、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性化による免疫力の向上と発症因子の減少、自律神経の改善が期待される。

ラジオ体操
現在、ラジオ体操には、「ラジオ体操第1」「ラジオ体操第2」「みんなの体操」と3種類あります。日本のラジオ体操は、1925年に考案されたもので、約100年の歴史をもつ、すごい体操なのです。
ラジオ体操をきちんと行えば、速いペースのウォーキングに相当し、毎日ラジオ体操を行えば、年間約14,000kcalを消費し、約2kgの減量が出来るそうです。
2000年にオーストラリアのシドニーオリンピックがありました。その時、オリンピックの女性チームドクターを務められた中村 格子先生が、2012年に、ご自分で見本をみせながら、『実はスゴイ!大人のラジオ体操』というDVDを出されています。
ところで、朝のラジオ体操の番組で流れる「ラジオ体操の歌」にも歴史があります。現在の歌は1956年に発表された、藤浦 洸(こう)さん作詞、藤山 一郎さん作曲で、茨木市の中学校の生徒たちによる合唱で行われています。
一日の始まりに、本当にさわやかで、元気の出る歌だと私は思います。
運動のデメリット
運動のデメリットというのは、オーバーワーク(過労)による慢性疲労、疲労骨折や靭帯損傷などのスポーツ傷害、活性酸素の増加による老化促進、心血管系への過度な負担などがあげられますが、ほとんど全ての原因は、〝やり過ぎ〟や不適切な負荷による身体的・精神的な負担です。それよりも、運動や身体活動をしないというデメリットの方がはるかに大きいのです。
死亡事故
運動のデメリットの最たるものは、運動中の死亡事故です。特に中高年年者は、準備運動なしで突然激しい運動をすると、心血管事故のリスクがあるので要注意です。突然死(心臓停止)は、ランニング中が最も多く、次いでバスケットボール、サイクリング、ジム活動と続きます。
また、中高校生の部活動中の死亡事故で最も多いのは柔道です。次いで、野球、バスケットボール、ラグビーとなっています。
スポーツ障害
転倒や衝突などが原因となって骨折や捻挫など、突発的な外傷を「スポーツ外傷」(Sports Traumas)と呼ぶのに対して、「スポーツ障害(Sports Disorders/Injuries)は使い過ぎ(オーバーユース)による疲労蓄積が原因の慢性的な痛みをいいます。たとえば、
野球肘、テニス肘、ジャンパー膝、シンスプリント、疲労骨折、腰椎分離症などがあげられます。
これらは、正しい知識を得て運動や身体活動に取り組み、〝やり過ぎ〟をしないことによって、防止ができます。
なお、「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」を総称して「スポーツ傷害」(Sports Injury)と呼んでいます。
柔軟性の誤解
運動によるけがを防ぐには、柔軟性に優れている方がいいと言われています。「柔軟性」ときくと、一番に思い浮かぶのは、長座体前屈や立位体前屈でしょう。
上半身を前に曲げる長座体前屈は体力テストの種目にもあるので、私もなんとか胸が膝につくまでやってみようと、高額の指導料を支払って某ストレッチジムに通ってみましたが、一時的に少しだけ成果があっても、すぐに元の固い体に戻ってしまいます。

けがを防ぐには、柔軟性に優れている方がいいというのは、確かに一理ありますが、柔軟性といっても、長座体前屈や立位体前屈だけが柔軟性ではありません。足首や手首の可動域が少ないと、捻挫の危険性が増します。

お相撲さんは、けがの防止のために股割りをしなければならないそうですが、一般の人にとって、たとえば立位体前屈で手が床につくことが、それほど重要なことではないのです。私はいまだに立位体前屈で手が床にはつきませんが、それは「足が長いからだ」と言い放っています(笑)。
日本人はとかく、一生懸命運動をしなければ効果が出ないと思い込んで無理をする傾向があります。
食事や水分摂取、体調を考慮し、決して無理のない範囲で運動を継続すれば、健康の維持・増進につながります。
座位行動の危険性
最近、座り過ぎが体によくないことが指摘されています。
座っている時間が長い人ほど、肥満、糖尿病、癌、脳血管疾患、認知症などが増加し、寿命が縮まる可能性があります。


運動の継続のために
運動・身体活動を継続して行うよう習慣化するには、①良いモチベーションを持つこと、➁あらかじめ〝壁〟とその対策を想定しておくこと、が大切です。
①良いモチベーションを持つ
続ける自信(≒自己効力感)を高めるために、以下のことをやってみましょう。
(1)自分自身の成功体験を通じて
・記録や壁を乗り越えた経験などから、自分の運動継続の成功を実感する。
・実現可能性が高く、無理のない運動計画を立てる。
(2)周りの人の成功体験を上手に学ぶ
・自分と似た境遇の人の成功談を見たり聞いたりする。
・自分とは違う境遇の人を見て、肩を落とさない。
(3)励まされることで
・周りの人から励ましてもらう。
・頑張った自分を自分で励ます。
(4)気持ちの良い運動を行う
・きつすぎると感じる運動を続ける。
・運動中に楽しみの要素を見つける。
➁あらかじめ〝壁〟とその対策を想定しておく。
「備えあれば憂いなし」という言葉がありますが、どんなに気をつけていても、運動を習慣する上で、〝壁〟になるものが発生します。疲労、悪天候、体調不良、怪我、仕事・学業、実生活の問題、人間関係、運動内容のマンネリ化などです。
自分にとっての〝壁〟をリストアップし、その〝壁〟に対する対策を具体的に考えておくことが大切です。
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まとめ
健康の維持・増進のために、食事や睡眠と同様のレベルで、運動や身体活動を日常生活に重視して取り入れましょう。
運動をすると、身体機能が向上し、身体のコンディションや健康面が改善されます。さらに、運動はホルモンや脳にも作用し、心理面や行動が変化し、社会的つながりも向上します。
おススメの運動は、①ウォーキング、➁筋トレ、③水泳・アクアトレーニング、④ラジオ体操です。特に、ウォーキングでは、早歩き(速歩)、ナンバ歩き、ポールウォーキング、 コグニサイズ、携帯アプリの利用をおススメします。
運動のデメリットとしては、ほとんど全ての原因は、〝やり過ぎ〟や不適切な負荷による身体的・精神的な負担です。それよりも、運動や身体活動をしないというデメリットの方がはるかに大きいのです。特に座位行動(座り過ぎ)が体によくないことが指摘されています。
運動・身体活動を継続して行うよう習慣化するには、①良いモチベーションを持つこと、➁あらかじめ〝壁〟とその対策を想定しておくことが大切です。
